英語学習に必須のお供と言えば、辞書です。
最近では「辞書サイト」が無料で使えるので、気軽に調べられますよね。
辞書とは言っても「英和辞典」と「英英辞典」がありますが、どちらを使っていますか?
「英英辞典みたいに英語だらけの辞書なんて私には無理だよ」と思っている人も多いかもしれませんが、実際のところどうなのでしょうか。
本記事では、英英辞典を使いはじめるタイミングや、オススメの英英辞典、英英辞典のメリット・デメリットを紹介します。
英英辞典とは?
英語の意味を調べるとき「英和辞典」を使っている人が多いでしょう。
では「英英辞典」を使ったことはありますか?
この記事では、紙の辞書ではなく、無料で使えるインターネットの英英辞典を想定してお話しします。
英英辞典=意味を英語で説明している辞書
英英辞典とは「英語」の意味を「英語」で説明している辞書のことです。つまり英語話者にとっての国語辞典。
たとえば「dog」を調べると次のように解説されています。
テキストにすると以下のとおりです。
an animal with four legs and a tail, often kept as a pet or trained for work, for example hunting or guarding buildings. There are many types of dog, some of which are wild.
dog_1 noun - Definition, pictures, pronunciation and usage notes | Oxford Advanced Learner's Dictionary at OxfordLearnersDictionaries.com
英和辞典で「dog」を調べると「犬」のように書かれていますが、英英辞典だと対訳ではなく「4本足で、尾があり……」といった説明が英語で書かれているんですね。
私たちが日本語の単語がわからないときに国語辞典を調べるように、英語話者は英英辞典で英単語の意味を調べます。
そんな英英辞典をあえて日本人が使う意味はあるのでしょうか?
2種類の英英辞典について
英英辞典といっても、実は「ネイティブ向け」と、「学習者向け」の2種類があります。
それぞれ、次のような特徴がありますよ。
対象 | 英語の難易度 | |
---|---|---|
ネイティブ向けの英英辞典 | 英語が母語の人 | 高い |
学習者向けの英英辞典 | 英語を学んでいる学習者 | 低い |
当然のことですが初級者はまず、学習者向けの英英辞典を使いましょう。ネイティブ向けの英英辞典は避けてください。
初級者がいきなりネイティブ向けの英英辞典を使うと難易度が高すぎるからです。
調べた単語の説明文がぜんぜんわからず、その説明の意味を調べるのに時間がかかりすぎてしまい、学習バランスが悪くなります。
初級者には「ロングマン現代英英辞典」がオススメ
初級者には「学習者向けの英英辞典」がオススメと紹介しましたが、どの英英辞典が初級者に向いているのでしょうか?
特にオススメの英英辞典は「ロングマン現代英英辞典」です。その理由は、定義語彙数がたった2,000語ということ。
定義語彙とは、ことばの意味を説明するための単語です。
ロングマン現代英英辞典の公式サイトでは次のように説明されています(赤字は私による)。
The Longman Dictionary of Contemporary English – widely known as LDOCE – uses 2000 common words in the definitions to make understanding easy.
ロングマン現代英英辞典 | LDOCE | LDOCEについて
「ロングマン現代英語辞典では、理解を容易にするために、2,000の一般的な単語を定義に使用しています」と書かれていますよ。
次の画像は「ロングマン現代英英辞典」のトップページです。
画像を見ると、日本人向けに日本語でも書かれていますね! でも調べた単語の説明文はすべて英語です。
「ロングマン現代英英辞典」をいつから使う?
「ロングマンは初心者におすすめ」と書きましたが、本当の初心者は絶対に使わないでください。
単語の説明文を読むのに英和辞典で意味を調べたり、文法書の助けも借りながら進めるのは効率が悪すぎますから!
高校を卒業したころから使える
では「ロングマン現代英英辞典」をいつから使いはじめるのがいいでしょうか?
結論から言うと、通常は高校を卒業したころから使えます。
後述しますが、学習進度の速い学校の場合は高校2年生の終わりごろから使いはじめてもよいでしょう。
【参考】文部科学省の基準
文部科学省が定めている「従来の基準」では、高校卒業までに習得すべき単語数は約3,000語でした。
ところが2022年4月1日以降に入学した高校生の場合は、基準が変わったことにより、卒業までに習得すべき語彙数が約4,000~5,000語になりました。
4,000~5,000語の習得時期の内訳は、次のとおりです。
習得すべき語彙数 | 累計 | |
---|---|---|
小学校 | 600~700語 | 600〜700語 |
中学校 | 1,600~1,800語 | 2,200〜2,500語 |
高校 | 1,800~2,500語 | 4,000〜5,000語 |
語彙数の幅は、学校により教える単語が違うために生じています。
新しい基準で学校教育を受ける場合は、中学卒業までに2,200~2,500語、高校卒業までに4,000~5,000語を学ぶということです。
語彙数だけを見ると、早ければ中学2年生の終わりごろから、「ロングマン現代英英辞典」が使えるように思えますが、文法レベルは高校卒業レベルが必要です。
授業の進行の速い学校に通っている場合は、高校2年生の終わりごろから使いはじめてもよいでしょう。
とはいえ、ロングマン現代英英辞典の説明文を読んで95%以上理解できれば、年齢や学年に関係なくいつから使い始めても大丈夫ですよ。
英英辞典を使うべきかチェックする方法
前述した習得語彙数はあくまでも文部科学省が定めた基準であり、実際に習得しているかどうかは本人次第です。
まずはロングマンの定義語彙2,000語を習得しているかどうかを以下の方法でチェックしてみましょう。
ロングマンを使うべきかのチェック方法
- 「ロングマン現代英英辞典」のサイトで英単語をランダムに調べる
- 調べた単語の説明文を見て95%が理解できるか確認
- 理解できないなら「ロングマン現代英英辞典」が使用している定義語彙2,000語のリストの単語を覚える
「ロングマン現代英英辞典」の説明文を読んで、それぞれの単語の意味は95%以上わかるのに、文の意味が理解できない場合は、文法力不足です。
説明文がすらすらとわかるレベルになるまでは、英和辞典だけを使い、文法力の底上げもしましょう。
【レベル別】オススメの英英辞典
英英辞典は自分の英語のレベルに合わせて使うと効果を発揮します。
では、英語のレベルに合わせたオススメの英英辞典を紹介します。
レベル | オススメの英英辞典 |
---|---|
初心者 | ロングマン現代英英辞典(定義語彙:2,000語) https://www.ldoceonline.com/jp/ |
中級者 | オックスフォード現代英英辞典(定義語彙:3,000語) https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/ |
上級者 | メリアム=ウェブスター英英辞典(定義語彙:5,000語以上) https://www.merriam-webster.com/ |
ここで紹介する3種類の英英辞典は権威があり、信頼できる辞書発行者が編纂した無料オンライン英英辞典です。
個人的にはお手軽なオンライン辞典の方がオススメ(スマホアプリを含む)なので、そちらを前提に紹介しています。
もちろん、紙の英英辞典のほうがよい場合はそちらでも大丈夫!
【初心者】ロングマン現代英語辞典
まずは、初心者にオススメの辞書「ロングマン現代英英辞典(Longman Dictionary of Contemporary English)」のサイトを紹介します。
定義語彙数は約2,000語
ロングマン現代英英辞典は、ことばの意味を説明するための単語(定義語彙)の数がたったの2,000語です。
授業の進行が速い学校に通っている場合は、高校2年生の終わりごろから使いはじめてもOK。
文法がわからないと感じる場合は、高校卒業レベルに到達してから「ロングマン現代英英辞典」を使うようにしましょう。
「ロングマン現代英英辞典」の定義語彙2,000語リストは以下のリンクから見られるので、チェックしてみてください。
ロングマン現代英語辞典のアプリ
ロングマン現代英語辞典のスマホアプリ版もあります。
無料で制限なく使えるので、ぜひ利用しましょう。
【中級者】オックスフォード現代英英辞典
続いて、中級者にオススメの「オックスフォード現代英英辞典(Oxford Learner's Dictionaries)」のサイトを紹介します。
定義語彙数は3,000語
「オックスフォード現代英英辞典」の定義語彙数は約3,000語です。
では、どのくらいから使うのがいいのか、文部科学省が定めた基準で見ていきましょう。
習得すべき語彙数 | 累計 | |
---|---|---|
小学校 | 600~700語 | 600〜700語 |
中学校 | 1,600~1,800語 | 2,200〜2,500語 |
高校 | 1,800~2,500語 | 4,000〜5,000語 |
小学校から高校までを合計すると、高校卒業までに約4,000~5,000語が身についていることになります。
つまり、一般的には高校卒業するレベルの英語力があれば、「オックスフォード現代英英辞典」の定義語彙が理解できると言えます。
進度の速い学校の場合は高校2年生の終わりごろから定義語彙が理解できるかもしれません。
「オックスフォード現代英英辞典」で使用されている定義語彙3,000語のリストで95%以上わかるかどうか、確認してくださいね。
語彙リストの理解度が95%未満の場合は語彙力が足りないということです。無理して「オックスフォード」を使うのはやめましょう。
また、「オックスフォード現代英英辞典」の説明文を読んで、それぞれの単語の意味は95%以上わかるのに、文の意味が理解できない場合は、文法力不足です。
文法がわからないと感じる場合は、高校卒業レベルに到達してから「オックスフォード現代英英辞典」を使うようにしましょう。
オックスフォード現代英英辞典のアプリ
オックスフォード現代英英辞典のスマホアプリもあります。
ただし、オックスフォード現代英英辞典のアプリは無料版だと頻繁に広告が出るし、音声が聞けないので使えるレベルとは言えません。
それがイヤなら有料版になりますが、年間で5,400円も必要です……。そのため、無料で使えるWEBサイト版がオススメですよ。
【上級者】メリアム=ウェブスター英英辞典
上級者向けの英英辞典としてオススメは「メリアム=ウェブスター英英辞典(Merriam-Webster Dictionary)」のサイトです。
定義語彙数は5,000語以上
メリアム=ウェブスター英英辞典はネイティブ用の辞典です。
そのため、定義語彙(ことばの説明に使われている単語)の難易度が高いのでご注意ください。
メリアム=ウェブスター英英辞典の定義語彙の難易度をランダムにチェックしてみたところ、5,001~12,000語レベルの単語が約10%使われていました。
この10%の語彙レベルがかなり高い場合があるのがくせものです。
ではどのレベルの人にオススメなのでしょうか?
私の考えでは英検準1級レベル以上になってから使いはじめるのがちょうどいいと思っています。
英検準1級レベルの語彙数は約7,500語以上だからです。ちなみに、英検準1級はTOEIC785点以上のレベルですよ。
もちろん、メリアム=ウェブスター英英辞典の説明文を読んで90%以上理解できれば使い始めても大丈夫です。
メリアム=ウェブスター英英辞典のアプリ
メリアム=ウェブスター英英辞典のスマホアプリも紹介します。
アプリでは常に広告が出ていますが、年間300円で消せます(アップグレード版は年間650円)。
個人的には年間300円を支払って広告を消すのをオススメです。
英英辞典のメリット
英英辞典のオススメを紹介してきましたが、今度は英英辞典を使うメリットを紹介します。
英英辞典を使うことで英文を読む力が伸びる
まずお伝えしたいのは、英英辞典を使うと「英文を読む力が伸びる」というメリットです。
今まで述べてきたように、自分のレベルに合う英英辞典を使えば、英語だけの説明文を読む力がついてきます。
ただし、英文を読みこなすには語彙力だけでは太刀打ちできません。文法力も備わっていることが前提です。
それぞれの英英辞典のレベルに合わせた文法力も身につけてくださいね!
英英辞典を使うことで語彙力がさらに伸びる
英英辞典の2つ目のメリットは語彙力がさらに伸びることです。
なぜなら、英英辞典を使って英文を読む習慣が身につくと、説明文で何度も同じ単語に出合うようになるから。
何度も単語にふれることで「知っているだけの語彙」ではなく、一生懸命に思い出そうとしなくても「瞬時に意味のわかる語彙」になるのです。
「語彙を知っていること」と「語彙が定着していること」は違いますよ!
単語が定着すると、瞬時に意味が浮かぶようになり、英文を読むのが楽になります。
英英辞典を使うことで読むスピードが速くなる
英英辞典を使うことで得られる3つ目のメリットが、英文を読むスピードが速くなることです。
なぜなら、辞書をひくたびに「英語を英語のまま理解していく反復練習」ができるから。
こうなると、読むスピードが速くなりますから、長文がどんどん読めるようになり楽しくなってくるんですよね。
逆に、日本語の文法で理解するくせがついていると、「返り読み」になってしまい理解が遅くなるんですよね。
英語から日本語に訳す「返り読み」をせず、英語の語順どおりに読む習慣をつけましょう。
とくに、TOEICで高得点をねらったり、英検の上位級に合格するためには、英語を英語で理解する力がなければ時間不足となってしまいます。
英英辞典のデメリット
では、英英辞典のデメリットはあるのでしょうか?
初心者は使えない
本記事では何度も言っていますが、英英辞典の1つ目のデメリットは初心者には使えないことです。
英英辞典を使えるレベルに達していないのに、無理に使うと英語学習を継続するモチベーションがなくなります。
なぜなら、わからない単語や文法を調べる無限ループにおちいるからです。
英語を上達させるための土台である「継続」が絶たれたら元も子もありません!
慣れるまで時間がかかる
2つ目のデメリットは英英辞典に慣れるまで時間がかかるということ。
語彙力も文法力もそれなりに身についていたとしても、使いはじめの時期は大変です。
日本語なしで英文を読むには時間がかかるし、労力も要します。
和英辞典から英英辞典への移行期間は無理をせず「和英」と「英英」を併用してくださいね。
慣れるに従い速度は速くなるのでご安心を!
まとめ
本記事で述べたように、英英辞典を使うことで得られるメリットは大きいです。
ですが、英英辞典を使える語彙力と文法力に到達してから使い始めるという点がポイントになります。
レベル | オススメの英英辞典 |
---|---|
初心者 | ロングマン現代英英辞典(2,000語) https://www.ldoceonline.com/jp/ |
中級者 | オックスフォード現代英英辞典(3,000語) https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/ |
上級者 | メリアム=ウェブスター英英辞典(5,000語以上) https://www.merriam-webster.com/ |
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