アメリカの計量カップと計量スプーンの「謎」

タカコ

執筆者

WEBライター。2013年にアメリカに渡る。現在はアメリカ人の夫と子ども2人でテキサスに在住。

以前の記事で、アメリカで使われる単位がややこしいことをいろいろ書いたのですが……ほんとに大変なんですね。

今回は、アメリカの計量カップと計量スプーンについてです。

これまた、謎があるんです。謎が。

アメリカの計量スプーンについて

「え? 計量カップとかスプーンなんて同じでしょ??」

……と思われる方もいるかもしれませんね。

でもじっくり見てみると、いろんな発見があっておもしろいものです。まずは「計量スプーン」から見ていきましょう。

計量スプーンを英語では?
計量スプーン a measuring spoon
大さじ a tablespoon
小さじ a teaspoon

まず、計量スプーンは英語で「a measuring spoon」と言います。

大さじは「テーブルスプーン (a tablespoon)」と言います。レシピでは「T (Tbsp, tbsp)」で表記されます。

小さじは「ティースプーン (a teaspoon)」と呼び、表記ではよく「t (tsp)」で使われます。

計量スプーンの量は日本と同じ

上で見たように、英語表記はいくつか種類がありますが、大事なのは大きな「テーブルスプーン」と小さな「ティースプーン」という名前ですね。

それさえおぼえていれば、表記もわかると思います。

そして肝心の量ですが、なんと日本と同じです!

日本と同じ!

  • 大さじ = 15ミリリットル
  • 小さじ = 5ミリリットル

……です。

日本とアメリカの単位は、重さの単位(ポンドとオンス)がややこしいとか、長さの単位(インチとフィートとヤードとマイル)がややこしいとかいろいろと紹介しました。

その中で、初めて共通の量(液量)です。1つでも共通なのがあってホッとしました(笑)。

それに、日本から持ってきた計量スプーンも気にすることなく使えますし。

アメリカの計量カップの量は?

計量スプーンの次は、計量カップです。

計量カップは、英語で「a measuring cup」といいます。計量スプーンに続いて、measure=測る(測定する)がわかれば、難しい言葉ではありませんね。

アメリカの1カップは、約240ミリリットルと、日本の200ミリリットルに比べて少し多めです。

1カップの量の違い
アメリカ 約240ミリリットル
日本 200ミリリットル
イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど 約250ミリリットル

アメリカでは8オンスで1カップと決まっています。

ちなみに、イギリスやカナダ、オーストラリア、ニュージーランドでは、1カップは約250ミリリットルだそうで、アメリカと微妙に違いますね。

アメリカの計量スプーンは多い

今度は、計量スプーンの見た目の大きな違いです。

私の場合、日本の実家に計量スプーンは大さじ、小さじ、小さじ1/2の3種類しかありませんでしたし、計量カップは1カップ量れる大きさのものしかありませんでした。

アメリカの計量スプーンや計量カップは、細かい量が量れるように、いくつもスプーンやカップがあります。

たまたまかな? と思ったのですが、お店に行くと、けっこう同じようなものが多いです。

こちらが、義母からもらったアメリカの計量スプーンです。

アメリカの計量スプーン
アメリカの計量スプーン

少し見づらいと思いますが……

アメリカの計量スプーン

  • Tablespoon(大さじ1)
  • 1/2 Tablespoon(大さじ1/2)
  • teaspoon(小さじ1)
  • 1/2 teaspoon(小さじ1/2)
  • 1/4 teaspoon(小さじ1/4)

……の5種類7本あります。

実はよく見ると、ご丁寧に1 teaspoon(小さじ1)と1/2 teaspoon(小さじ1/2)が2本ずつついています。

2本ずつついているのも謎です。同じ分量を違う種類の調味料などを量るのに便利ということでしょうか?

たしかに、先に液体を量ってしまうと、次に粉類を量るのにスプーンがぬれていて困ることがありましたが、そのためでしょうか?? う~ん、謎だ。

とにかく、アメリカの計量スプーンはこのように数が多いのが主流です。

スプーンは、細かいものになると1/8 teaspoon(小さじ1/8)くらいまで量れるものもあります。

でもはっきり言って、アメリカの料理で、そんな細かい量を書いているレシピなんて見たことがないです。

アメリカの計量カップ

次は計量カップです。

日本の計量カップは、内側に50、100、150、200ミリリットルくらいの間隔で数字が書かれています。

180ミリリットルの記載のあるカップもありますが、それはきっと「1合」が180ミリリットルだからですね。

ところが、アメリカの計量カップは、それぞれが独立しているような感じです。

1カップ、1/2カップ、1/3カップ、1/4カップくらいまで量れるカップがついてきます。カップの内側には目盛がなく、それぞれの量しか量ることができません。

アメリカの計量カップ
アメリカの計量カップ

写真は、同じく義母からもらったものですが、残念ながら1カップのものがありません。

写っているのは、1/2カップ、1/3カップ、1/4カップの3つです。

ここで、謎なのですが、よく見ると1/2カップには「125ミリリットル」と書かれているんです。

あれれっ!? 1カップ = 240ミリリットルだったはずなのに……。240÷2=120じゃないの??

1/3カップには「80ミリリットル」、1/4カップには「60ミリリットル」なので1カップ=240ミリリットルで合っているハズ?? うーん。なぜ1/2カップだけそんなことになったのか……。

アメリカの計量カップを使った日本のレシピもクックパッドなどにたくさんあるのですが、よく「アメリカの計量カップは240~250ミリリットルです」と表記されています。

このへんの曖昧さも、つながっているのかもしれませんね。しかし謎だ。

レシピでの分量は、「カップ」で表記されている

そういえば、アメリカでは液体の体積を表す単位として「オンス(ounce)」を使います(1オンス = 29.57ミリリットル)。でも、レシピで「砂糖 ○オンス」といった風に、オンスで書かれているのを見たことがないです。

知っている限りでは、すべて液量単位の「カップ」と大さじ小さじの単位で書かれています。

重さのオンスと混同してしまうからかもしれませんね。

なので、アメリカのレシピを使ってカップケーキを焼いたりする時も、はかりがいらないことが多いです。

計量カップと計量スプーンがあれば間に合うので便利です。逆に日本のレシピは、特に粉類は重さで表記されていることが多いですね。

スプーンの液量表示の謎

あと、計量スプーンを見てわかったのですが、どのスプーンも、「1 Tbsp」という、大さじ・小さじの表記と、「15ml」という、液量が書かれているだけです。

オンスはどこに行ったんでしょうね。

大さじ1で1/2オンスですから、数が小さくなりすぎるので書かれていないんでしょうか?

でもそれぞれ独立した計量カップも「1/2 cup」と「125 ml」という表記しかありません。不思議ですね。

アメリカ人は足し算が面倒? 日本人は物を増やしたくない??

ついでに、アメリカ製のパイレックスの計量カップを見てみると、ミリリットルとオンスの両方の表示があります

アメリカの計量カップ
アメリカの計量カップ

よく見ると、やっぱり1/3カップ、1/4カップ、さらには2/3カップや3/4カップなどの表記もあり、とても細かく目盛があります。

これが日本だとどうでしょう? 日本の料理の方が味は繊細で(……だと、私は思っています)、調味料も多く使いますが、たいていは計量カップ1つと計量スプーン(大さじ、小さじ、小さじ1/2)があれば対処できます

中途半端な量、たとえば25ミリリットルでも、大さじが15ミリリットルで、小さじが5ミリリットルなので、大さじ1と小さじ2で25ミリリットルを量れます。

計量カップの50ミリリットルの半分くらいのところまで液体を入れて、適当に量る方も多いのではないでしょうか。

大さじ1/2も、小さじ1と小さじ1/2で量れますね。ごく少量の場合は、「塩 少々」とか、「塩 ひとつまみ」とか書いていますが、細かく書いていて「小さじ1/4」ですよね。

アメリカの1/8 teaspoonは出番があるのか……余計なお世話ですが、気になってしまいます。

私の想像ですが、計量カップと計量スプーンを使って計算しながら細かい液量を量るよりも、それぞれの量のカップやスプーンが存在する方がアメリカ人にはわかりやすいのかな?

日本の家は狭くて、置く物は最小限の方がいいので、たくさん物があるよりは使いまわした方がいいですよね。お互い理にかなっていると感じました。

まとめ

計量カップと計量スプーンですが、同じようで、やっぱり全然違うのがわかっていただけたかと思います。

大さじと小さじの大きさは、初の日本と共通です。いろんな単位を検証してきましたが、初めて共通した数字でした! おもしろいですね。

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タカコ
アメリカ人の夫との結婚を機に渡米。現在は二児の母として英語に囲まれた環境の中で生活。日本語教育に携わっていたため言語への視点が鋭く、元・英会話教師の夫とのやりとりから生まれる記事が秀逸。
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