私が住んでいるインドネシアの町には、「Car Free Day」というイベントがあります。
このイベントがなかなかツッコミどころ満載ですので、今回はこの「Car Free Day」について紹介します。
インドネシアの「Car Free Day」って?
「Car Free Day」と聞いて、どんなイベントを想像しますか?
朝から晩まで、車が自由気まま、縦横無尽に駆け巡るイベント?
実は、これ、日本語にすると「歩行者天国」が一番しっくりきます。
「Car Free Day」の「Free」は、「ない」という意味なのです。「Car Free」だと、「車がない」という意味ですね。
車が通れなくなるので、自由などころか、車を持っている人にとっては不自由この上ないイベントです。
参考: 「スモークフリー(smoke-free)」ってタバコ吸えるの? 吸えないの?
ちなみに、「Day」と言っている割には、一日中ではなく、毎週日曜日、朝5時半〜9時までのたった3時間半のみ。
「Day」って言っているのにたった3時間半!?
しかも、町全体ではなく、区間はほんの3キロほどです。
しかし。その限られた時間、空間に様々なドラマがあるのです!
ドラマというより、ツッコミどころですが(笑)
ちなみに、自宅もその3キロほどの区間に入っています。
以下、「Car Free Day」=「CFD」として話を進めます。実際、普通は省略して呼ばれています。
ツッコミどころ満載のCFD
というわけで、CFDのツッコミどころを、ステップバイステップで挙げていきたいと思います。
準備段階
CFDでは、物を売る人がわんさかいます。
これは市が「日曜日のこの時間、この区間では商売してもいいよ」という許可を出しているんですね。太っ腹。
しかし、そのせいで、場所取りがすごいことに。以前は前日夕方には、CFDの区間に白い布があちこちで見られました。
まず道に布をかぶせて、その布の上に店の名前や、「カバン」「靴」など、商売道具の名前を書いていたんです。
ところが。最近はめんどくさくなったのか、道路に直接……。
しかもペンキです!!
週に1回、数時間のためにこんなことをするなんて。一生そこで物売りを続けるという保証もないのに……。
実施中
一応5時半スタートなのですが、まだ人影がまばらだと、平気でバイクや車が侵入してきます。
街灯もついていないので、かなり危険。
歩行者は車やバイクが来ない前提で歩いているだろうし、車やバイクは「まだいける! 」と思って入ってくるわけなので……。うーん。
明るくなるとようやく賑わい始めます。
CFDは、当初「みんな、運動しようぜ! 」という趣旨で始まったとのことです。
……が、賑わいすぎて牛歩並みのウォーキングしかできません。
もはや一種の屋台村と化しています。
わたしはランニングが趣味。ですが、ここで走ろうなんて、かけらも思えないぐらいの絶望感を与えてくれます。
まあ、ランニングは別の場所でもできるし、それはいいんです。
それは。でも、どうしても我慢できないことがあるので、後述します。
終了時刻前後
一応9時で終了なのですが、9時になる前からみんな片付け始めて、9時には誰もいなくなる……わけがありません。
だいたい9時頃は大混乱です。
開始後も人があまりいなければ車やバイクが入ってくるわけですが、9時を過ぎたら過ぎたでやっぱり入ってきます。
歩行者はCFDという「祭り」が終わったことにも気づいていないか、気づいていても「まあええやん」と思っているのか、堂々と車道を歩き続ける人が少なくありません。
終了後
それから、CFDの実施区間は、終了直後はゴミだらけになります。でも、これが通常運転。
9時を過ぎて、なんとなく終わったかな、というタイミングで、なんとなく掃除が始まります。
清掃員のみなさんも、朝早くからスタンバイしています。
なぜかわたしの家の軒先も、清掃員のスタンバイ場所になっているんですが。
それも、清掃員の方は別にいいんです。家に入ってくるわけではないし。
とある日曜日の朝、買い出しに行って、10時ごろ帰路についたら……まだ、道路が閉鎖されてる!
よりによって、警官が道をふさいているわけです。
おっちゃん、ちゃんと時計見て! 日曜日にサービス残業してる場合やないやろ!!
また、日曜の買い出しはだいたい大量。ガロンと呼ばれる19リットル入りの水2つとか、日常茶飯事です。なので普通、タクシーを利用します。
でも、警官がふさいでいる道を避けて、やっとこさ家の前に着いたら、まだのんびりと物売りを続けている人が……。
時間はすでに午前10時。CFDは9時までなので、本来なら、車は門から入って、玄関の前まで行けるわけですが、それができず。
車を家の前に停めて、荷物を一つ一つ運ばなければなりませんでした。
その時は「迷惑してるで」っていう顔で責任者らしき人を見てみました。気づいてや、と思いながら。
そして。ちょうど2週間後、買い出しから帰ってくると、そこには2週間前と全く同じ光景が……。仕方がないので、はっきり言いました。
「時間過ぎてるやん。なんでわざわざ運ばなあかんねん。あのおっちゃん(手伝ってくれてるタクシーの運転手さん)、かわいそうやん」と。
その後はこういうことはなくなりました。なので、それはいいんです。
でも、さっきも書いた通り、どうしても我慢できないことがあるのです。
カーフリーデーでどうしても我慢できないこと
それは……耳をつんざく、大音量のミュージック。
しかも、めっちゃテンポの速い、ノリノリのやつです。だいたい6時を過ぎたかな、というころに聞こえ始めます。自宅がもろCFD区間なので……。
日曜の朝6時って。平日でもそんな時間に起きるのは週に1〜2回の私。もちろん、まだまだ寝ていたい時間帯です。
でも、イスラム教徒が大半を占めるこの町では、むしろ朝6時に寝ている方が少数派のようです。なんせ、早朝を含め、1日5回お祈りをするのが普通なので……。
朝早く起きるのはいいとして、音楽のチョイスと、音量はもう少し考えていただけませんか。そもそも、日曜朝の運動に、音楽って必要ですかね?
……なんて、ここに書いているだけで、実際に口にしたことはありません。
この音楽に合わせてものすごい数の人たちが体操をしているので、多勢に無勢なんです(笑)ブームが去ってくれるのを待つしかないか……。
実際にブームが去って、一難去ったというケースもあります。
以前は、自宅の前に「どっから持って来てん!」というようなドラムセットを並べて、やはり朝も早よから叩きまくっている人がいたりしました……。
どんな嫌がらせやねん。
この時は相手が一人だけだったこともあり(笑)、はっきり言ってやりました。「もしやるなら、会社とか官公庁とか、誰もいない建物の前でやってくれ。まだ寝とんねん」と。
当時ドラマーはその人だけではなく、CFDの区間に何名かいましたが、ドラム叩きの賞味期限が切れたのか、今は一切いなくなりました。やれやれ。
次に流行るのが、騒音を伴わないものであることを祈るばかりです。
まとめ
ツッコミというか、不満タラタラな記事になってしまいました。しかし、個人的に、このイベント自体は必要だと思っています。
取材のためにCFDの区間に足を運んでみると(自宅から徒歩0分ですが)、みんな楽しそうなんですよね。
お父さんが子どもにおいしいものを買ってあげたり、友だち同士でサッカーをしていたり。ノリノリの音楽に合わせて体操している人たちも、みんな笑顔です。
この町は娯楽が少ないので、市民の貴重な憩いの場になっていることは確か。
また、清掃員、警官の給料も出ている(はずな)わけで、町を挙げてこのイベントを盛りあげるぞ! という気合いがうかがえます。
騒音さえ、なんとかしてもらえれば……太極拳ブームが巻き起こることを、密かに期待しています(笑)