
こんにちは、インドネシア在住日本語教師のサトです。
インドネシア語学習歴(ほぼ)20年の私は、普段はインドネシア語だけで生活しています。
まれに英語を使うこともありますが、そんなとき、インドネシア人が話す英語の発音を真似るとよく伝わります。
今回は、そんなインドネシア人的英語の発音から、日本人にも比較的発音しやすいものを3つご紹介します。
インドネシア人の話す英語の特徴
それではインドネシアの英語の発音の中でも特に顕著な特徴を3つ紹介します。

以下、便宜上、インドネシア人的英語を「Indolish」として話を進めます。
[ v ]は[ f ]に! 濁らせない
[ v ]は[ f ]になります。……と書いてみましたが、[ v ]って何や?……ですよね。
例を挙げると……
「video」「novel」「active」 なんかの太字部分の音です([ ]は、発音記号に使われるカッコです)。
これを日本語で書くと、
- video …… ビデオ
- novel …… ノベル
- active …… アクティブ
と、バ行を使うはず。
ところが、Indolishの発音をカタカナで書くと、
- video …… フィディオ
- novel …… ノフェル
- active …… アクティフ
……という感じで[ f ]の発音になるのです。
[ f ]の発音方法はこのイラストをご参照ください。

お気づきかと思いますが、冒頭で「日本人にも比較的発音しやすい」とか言いながら、いきなり日本語にない音です(笑)すみません。
ただ、経験上、あまりいろいろ考えなくても、前歯を少し下唇にのせて発音すれば伝わります。
残り2つはものすごく発音しやすいはず。
[ θ ]は[ t ]に!「サシスセソ」は×
[ θ ]も学校の英語で勉強したような気がするものの、ぱっと見、何者? と思ってしまうかも。
例を挙げると、 「think」「three」「marathon」です。
日本語だと、
- think …… シンク
- three …… スリー
- maraton …… マラソン
と、サ行になりますよね。
これをIndolishで発音する場合……
- think …… ティンク
- three …… トゥリ
- marathon …… マラトン
と、「ta」「ti」「tu」「te」「to」に置き換えると伝わりやすいのです。
[ θ ]は舌を上下の前歯で挟んで発音するのですが、そんな日本語にない発音をしなくてもいいので、かなり楽なはずです。
ちなみに、携帯のオペレーターで「3」という会社がありますが、ここのアドレスは「tri.co.id」です。

「3」はインドネシア語で「tiga」。「tri」も「3」を意味しますが、単独では使われないことになっています。
使うとすれば、「triatlon」(トライアスロンのインドネシア語)などですね。
さらに余談ですが、携帯のSIMカードなんかを売っている店の前に、「TREE 1GB」と書いてある看板を発見!

樹木1GBってどんなインターネットプランや。これは「three」→「tri」→「tree」になったものと思われます。
なお、語末の[ θ ]も[ t ]になるのですが、これは寸止めになります。舌は[ t ]を発音する位置に持って行きますが、その舌を離さずに発音。
たとえば、「breath」や「death」だと……
- breath …… ブレッ(ト)
- death …… デッ(ト)
といった具合です。
[ æ ]は[ e ]に! 「ア」じゃないよ!
最後に母音を一つご紹介します。見た目は[ a ]と[ e ]を足したような[ æ ]。 そのまんまですが、[ a ]と[ e ]の間の音ですね。
例えば「bank」「happy」「land」は、日本語だと
- bank …… バンク
- happy …… ハッピー
- land …… ランド
……と、ア段(アカサタナ……)になりますね。
これがIndolishでは……
- bank …… ベン(ク)
- happy …… ヘピ
- land …… レン(ド)
……と、エ段(エケセテネ……)になるのです。また携帯ネタですが、昔、携帯のオペレーターで「hepi」という会社もありました。

ちなみに「ベン(ク)」「レン(ド)」と、語末に( )があるのは、閉音節だからです。説明は省きますが、気になる方は閉音節と開音節についてをどうぞ!
以上、日本人からしたら笑ってしまう発音もあったかもしれませんが、インドネシア人の学生に英語のカタカナ表記(日本語)を説明するとだいたい笑われます。
それは、純粋にことばの違いに対して「おもしろい! 」と、楽しんでいるような笑いです。
インドネシア人にとっても、日本人にとっても、英語は母語ではありません。発音すると母語にある音に近くなってしまうのはお互いさま。
単純に言語的に「わかりあえる」ということも大切ですが、この「お互い苦労するよね」というところも「わかりあえる」と、Indolish話者と素敵な関係を築けるかもしれません。
珍しくきれいにまとまった!(笑)