日本語でも褒め言葉は多種多様だと思いますが、日本は「陰徳の文化」で、西欧に比べると褒め言葉を聞く回数はまだ少なめでしょう。
今回は、「努力」を褒めるときに使う英語の褒め言葉をご紹介します。
- 「いいね」と気軽に褒める
- 「かわいい・きれい・カッコイイ」と外見を褒める
- 「賢い・おもしろい」と人の内面を褒める
- 「がんばったね!」と努力を褒める今ココ
- 「おいしい」と料理を褒める
人の努力を褒める英語表現
周りの人やご家族、お子さんを褒めるとき、「どんな点」を褒めていますか?
- 満点取れて偉いね
- お利口さんだね
- 頭が良いね
これらは私が子どものころによく耳にした言葉です。どれも何かを達成した「結果」を褒めていますよね。
これに対して、オーストラリアの教育界では「生徒を褒める基軸」を変えつつあります。
今まで | 硬直マインドセット(fixed mindset) 何かを達成した「結果」やその子の持つ「素質」を褒める |
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現在 | しなやかマインドセット(Growth mindset) 何かを達成しようとした「努力」を褒める |
何かを達成した「結果」やその子の持つ「素質」を褒めるのではなく、何かを達成しようとした「努力」を褒める方向に移行しているのです。
これは「しなやかマインドセット(Growth mindset)」と呼ばれ、「自分自身に挑戦することで、潜在能力を発揮できる」という考え方を育む褒め方です。
一方、その反対の「fixed mindset」とは才能や能力は生まれつきで、努力しても変わらないと信じる考え方。
成績や持ち前の能力だけを褒めたのでは結果のみを評価することに繋がってしまいます。
さて今回は、ヒトの内面にあるしなやかマインドセットを育むような、努力したことに対して褒める言葉をリストアップしました。
「Good」を使ったよく聞く褒め言葉
英語で頻繁に使われる「Good」という言葉。
この後に「effort」「job」「work」を付けて褒めることも多いです。
特に、大人が子供や生徒に対してよく使う褒め言葉としてこんなふうに使われます。
- Good effort = 良い努力 → 頑張ったね
- Good job = 良い作業 → よくやった
- Good work = 良い労働 → よくできました
では1つ1つ見てみましょう。
Good effort(がんばったね)
まずは「Good effort」です。直訳すれば「良い努力」となりますが、相手の努力をねぎらいつつ「頑張ったね」というときに使います。
I’ve completed a marathon !
(マラソン、完走したよ!)
Good effort !
(よく頑張ったね!)
ちなみに、オーストラリアで「マラソン」というと、自動的に「フルマラソン(42.195km)」のことを指します。
Good job!(よくやった!)
日本語でも聞くことのある「グッジョブ!(Good job)」も頑張りを褒めるときによく使います。
「job(ジョブ)」は仕事のことを言うだけでなく相手の努力したことに対しても言います。
「よくできました」といった感覚で相手をねぎらうときに使いますよ。
I finished translating a whole book !
(本の翻訳、丸々一冊終わったよ)
Good job !
(よくやったね!)
Good work(よくできました)
「Good work」は、直訳すれば「良い仕事」ですが、この場合の「work」は「行為、働き」という概念で訳した方が意味がとりやすいですね。
相手の努力をねぎらいつつ「頑張ったね」というときに使います。ただし、同僚、もしくは目下の人に対して使う表現です。
I have finally relocated all the furnitures in my room.
(やっとこさ部屋の模様替えができたよ。)
Good work !
(うまくできたね!)
そのほかよく使われる「努力」を褒める表現
では「Good」を使っていない「ほめる」表現です。
ここで紹介しているものは、主に目上の人が目下の人を褒める表現なので使うときにはご注意ください。
Keep up the great work(その調子で頑張れ!)
「Keep up」は「維持する」という意味です。
「Good work(Great work)」は「良い仕事」「凄い仕事」となりますが、「成し遂げたこと」というニュアンスです。
「keep up(維持する)」と「good work(成し遂げたこと)」の両方を合わせて「その調子で頑張れ!」という意味になります。
I just finished doing the dishes and washing !
(皿洗いと洗濯物、終わった~!)
Keep up the great work !
(その調子で頑張って!)
このフレーズは目上の人から下の人に対して使われる言葉です。
I’m proud of your work(あなたの達成をうれしく思います)
そして非常に英語っぽい表現である「I'm proud of your work」。
直訳すれば「私はあなたの仕事ぶりを誇りに思います」となりますが、そんな堅苦しい使い方はされません。
「Proud」の意味を辞書でひいてみると「誇りに思う」のほかに「嬉しい」「喜ばしい」とあります。
つまり「あなたが仕事を達成したことをうれしく思う」というフレーズなワケですね。
I completed sorting out all the documents in the office.
(オフィスにある全ての書類を分類整頓したよ)
I’m proud of your work.
(君の成し遂げたことは凄いと思うよ!)
このフレーズも、目上の人からその下の人に向けて発せられるフレーズです。
誰に対しても使える表現
最後に、目上、目下は関係なく誰にでも使える「褒める」表現を紹介します。
Hats off to ~(脱帽です)
「帽子(hats)」を「脱ぐ(off)」で「脱帽だ」という意味。
脱ぐのは仮に自分の帽子ひとつであっても、慣用句として「hats」、つまり複数形で言います。
Hats off to you for making the tower of cards.
(君がトランプで作ったカードタワーに脱帽だよ)
Thank you. I crushed the tower three times before succeeding.
(ありがとう。成功するまでにタワーを3回潰しちゃったんだ)
トランプは和製英語。「トランプ」を英語では「cards」もしくは「playing cards」と言います。
I admire the effort you put in to this work(あなたの努力に賞賛を送ります)
「proud」に似た表現「admire」を使った表現です。
「admire」とは「敬服する」「称賛」という意味で、全文では「あなたが仕事に注ぎ込んだ努力に称賛を送ります」という意味になります。
そこまで固い表現ではないものの、軽々しくは使わない表現です。
I admire the effort you put in to this work.
(君がこの仕事につぎ込んだ努力に感心するよ)
Thank you. I’ve put a lot of time into my work.
(ありがとう。この仕事に関しては時間を相当注ぎ込んだんだ)
「I'm proud of your work」は目上の人 → 目下の人に言うのに対し、「admire」は目下の人が目上の人にも使える言葉です。
前述した「proud」よりも(敬意を払う具合が)一段上の表現になります。
Kudos to you(君に栄光あれ)
「Kudos」はあまり聞き慣れない英語かもしれませんが「賞賛、敬意」といった意味があります。
「Kudos」には「 s 」が付いていますが、これで単数形。
これは語源がギリシャ語の「kydos(褒め称える)」から来ています。相手を直接褒めるのであれば「Kudos to you」というフレーズを使います。
Thank you for helping me move in to the new flat, despite the last minute call. Kudos to you !
(新しいアパートへの引っ越し、直前でお願いしたのに手伝ってくれてありがとう。君に栄誉あれ!)
Anything for my good mate !
(親友のためなら何でもござれ!)
ちなみに、日本語でいう「アパート」を英語では「apartment」、イギリス系英語では「flat」といいます。
「Last minute call」は「最後の一分の電話」ではなく、ギリギリ、土壇場になってからのお願いや声掛けのことをさします。
「call」は電話での呼びかけを指しますが、色んな連絡手段が発展している最近、その呼びかけは必ずしも電話に限られていません。
まとめ
いかがでしたか? 人を褒めるのってカンタンなようで案外タイミングが難しかったりしますよね。
知能や才能を褒めるのにとどまらず、その相手が努力やチャレンジしている過程を褒めることによって「しなやかマインドセット」を伸ばしていきましょう。
相手はそれによって、柔軟性があり粘り強い「マインドセット」に移行していきます。
しなやかマインドセットを提唱したドゥエック教授曰く……
褒められるために頑張るのではなく、純粋にチャレンジする精神を育むことが大切
みなさんも努力に対する褒め言葉、使ってみてくださいね。