「リンゴ」という言葉を使うとき、次のように「リンゴ」の前に何かしらくっつけて言いますよね?
例
この「リンゴ」のような名詞の前に付き、その状況での名詞の役割を説明する言葉を「限定詞」と呼びます。
冠詞・形容詞との違いや6種類の代表例など、今回は英語の「限定詞」についてわかりやすく紹介します。
英語の限定詞とは?冠詞・形容詞との違いは?
さっそく、限定詞とは何かを見ていきましょう。
冠詞や形容詞との違いも紹介していきますね!
限定詞の意味・特徴
まずは限定詞の意味・特徴をハッキリさせましょう。
英語の限定詞とは、ずばり「その状況での名詞の役割」を説明する言葉です。
限定とは?
「その状況での名詞の役割」を説明する言葉
……と言っても、少しイメージしづらいと思うので、例文で見てみましょう。
例えば以下の英文の「 a 」と「this」が限定詞ですよ。
Give me a carrot.
(ニンジン1本ちょうだい)
OK.
Hmmm. This carrot is good.
(いいよ。ふーむ、このニンジンが良いかな)
まずウサギさんのセリフでは、ニンジン(carrot)という名詞に「 a 」が付くことによって「1本のニンジン」という意味になりましたよね?
でも次のオオカミさんのセリフでは「this」が付いて「このニンジン」という意味になりました。
つまり「ニンジン」という名詞がその文においてどんな役割なのかが決定されたわけですね。
このように「その場合のその名詞の扱われ方」を限定する言葉が限定詞と呼ばれています。

限定詞は英語で「determiner」と言いますよ。
「冠詞」と限定詞の違い
では、他の言葉と比べて限定詞をもう少し理解してみましょう。
まずは冠詞と限定詞の違いです。
先ほど「 a 」が限定詞だとお伝えしましたが、すると以下のように思いませんでしたか?
え?「 a 」って英語で冠詞ってやつじゃないの?
はい。その通りです。英語の「 a 」は間違いなく冠詞です。
それについては以下のように考えてください。
限定詞と冠詞の関係
冠詞は限定詞の一部
「a・an・the」という冠詞だけでなく、「this」や「my」や「some」などの言葉も限定詞になります。
つまり「限定詞」という大きな枠組みの中に冠詞が入っているんですね。

数式?階層?で表せば「限定詞>冠詞」となります。
「形容詞」と限定詞の違い
冠詞に続いて、形容詞との関係も見ておきましょう。
名詞を説明する言葉と言えば「形容詞」が浮かぶと思います。
例えば「big carrot(大きいニンジン)」というときの「big」が形容詞ですね。
形容詞と限定詞の違いは以下のようになっていますよ。
形容詞と限定詞の違い
- 形容詞…… 名詞そのものの様子・状態を説明
- 限定詞…… その状況での名詞の役割を説明
「大きい(big)」や「赤い(red)」や「柔らかい(soft)」などの言葉はニンジン自体がどんなニンジンなのかを表現していますよね?
それに対して「1本の(a)」や「この(this)」や「私の(my)」などはニンジン自体の性質とは関係ありません。
形容詞も限定詞も名詞の前に置くという点は同じですが、意味合いはまったく違うということです。

そもそも限定詞は品詞ではありません。
名詞・動詞・形容詞などの分け方とは別の考え方ですよ。
ぜんぶで6種類!代表的な限定詞の一覧
限定詞とは何かがわかったところで、具体的にどんな言葉があるのかを見ていきましょう。
ぜんぶで6種類に分類される代表的な限定詞を紹介していきますね。
冠詞
まずは「冠詞」です。
その名詞が「不特定のもの」なのか「特定のもの」なのかを表す言葉ですね。
冠詞はぜんぶで以下の3つとなっていますよ。
a | どれか1つの |
---|---|
an | どれか1つの |
the | まさにその |
「どれか1つ」という場合は「 a 」か「an」を使い、それに対して「まさにその」というニュアンスのときは「the」を使います。
冠詞については別記事にまとめているので、詳しくはそちらをご覧ください。
指示限定詞
お次は「指示代名詞」です。
指示代名詞と聞くとなんだか堅苦しいですが、いわゆる日本語の「こそあど言葉」ですよ。
以下の言葉たちのことですね。
this | この |
---|---|
that | あの |
these | これらの |
those | あれらの |
「this」の複数形が「these」で、「that」の複数形が「those」ですね。
品詞で言うと、これらの言葉は「代名詞」か「形容詞」として機能しますよ。
所有限定詞
もう1つ、限定詞になれる3つ目が「代名詞」の「所有格」です。
「私」や「あなた」などを表現する言葉で、具体的には以下の言葉たちですね。
my | 私の |
---|---|
your | あなたの・あなたたちの |
his | 彼の |
her | 彼女の |
its | それの |
our | 私たちの |
their | 彼らの・彼女らの・それらの |
中学の英語で「あい・まい・みー・まいん!」と繰り返して口にしたのではないでしょうか?
これらは限定詞の種類としては「所有限定詞」と呼ばれます。
人称代名詞についてはこちらをどうぞ。
疑問限定詞
どんどん行きましょう。お次は「疑問限定詞」です。
疑問限定詞とは以下の言葉を指します。
which | どちらの・どの |
---|---|
whose | 誰の |
例えば「Which pen ?(どのペン?)」と言うときの「which」ですね。
疑問詞の中では、「which(どちらの・どの)」と「whose(誰の)」だけが「疑問限定詞」として機能します。

「who(誰)」や「when(いつ)」や「where(どこ)」は限定詞にはなりませんよ!
否定限定詞
続いては「否定限定詞」です。
これは「それが無い」と言いたいときの表現ですね。
以下の言葉が当てはまりますよ。
no | ゼロ個の |
---|---|
neither | どちらも〜ない |
例えば「There is no carrot.」だと、直訳すると「ゼロ個のニンジンがある」です。
つまり「ニンジンが1つもない」ということですね。
「その名詞が無いよ」と言いたいときに付ける限定詞です。
数量詞
ラストは「数量詞」です。
その名前の通り、数や量を表す言葉で、以下のような単語・表現がありますよ。
some | いくつかの |
---|---|
any | どんな〜でも |
much | たくさんの |
many | たくさんの |
little | 少しの |
enough | 十分な |
several | いくつかの |
each | それぞれの |
either | どちらかの |
both | 両方の |
every | どの〜も |
other | 他の |
another | もう一つの |
all | すべての |
a few | 少しの |
a lot of | たくさんの |
実は単語だけでなく「a few」や「a lot of」のような2語以上の表現も限定詞になるのです。
他には「数詞(one・two・threeなど)」や「序数(first・second・thirdなど)」も限定詞に含めることもあります。
まとめ
今回紹介した「限定詞」は日本で英文法を学んでいるとあまり出てくることはありません。
しかし英語圏ではむしろポピュラーな文法なので、この考え方を知っておいて損はないですよ!
限定詞のまとめ
- 「その状況での名詞の役割」を説明する言葉
- 品詞の1つではない
- 冠詞は限定詞の一部