[書評]『超コーチング式英会話上達法~「学習が続かない」をついに解決! 』

『超コーチング式英会話上達法~「学習が続かない」をついに解決! 』
サト

執筆者

TOEIC990点(満点)。ELSA認定アンバサダー。インドネシアで日本語学校を運営している日本語教師。話せる言語は英語のほかにインドネシア語、中国語。→ サトについてはこちら

英語の学習を始めたものの、長続きしない……。始めては途中でやめ、また始めては途中でやめの繰り返しで、自分が嫌になる。

そんな人には、英語学習のコーチが必要なのではないでしょうか?

この記事では、『超コーチング式英会話上達法~「学習が続かない」をついに解決! 』という本をご紹介します。

自分が自分自身のコーチになって、英語の学習を続けようという新しいコンセプトの本ですよ。

著者の船橋由紀子 氏について

まずは、本書『超コーチング式英会話上達法~「学習が続かない」をついに解決!』の著者である船橋 由紀子(ふなばし ゆきこ)氏を紹介しましょう。

船橋氏は、現在、英語学習コーチやメンタルコーチとしてご活躍中です。

コーチングメソッドを自分で実践する方法が学べる

船橋氏はコーチング型の英語学校に勤めていらっしゃったこともあるのですが、そこでは7年間で4000人以上もの学習者をコーチングしたんだとか!

「コーチング」については後述しています

すごいのは指導した人数だけではありません。

英語学校主催の英語スピーチコンテストでは、4年連続で担当受講生を優勝に導いた実績もお持ちです。

そして、船橋氏は現在、以下の3つをかけ合わせたコーチングを行っていらっしゃいます。

船橋氏のコーチング

  1. 4000人以上の学習者へのコーチ活動から得たノウハウ
  2. 科学的に正しい学習法
  3. 本人の性格タイプの活用

経験だけもすごいものですが、科学に基づいた方法に、性格も活用しているということですね。

本書ではそのコーチングメソッドが学べるわけですが、それだけではありません。

コーチングメソッドを自分で実践する方法を示している点が、最大の特徴です。

サト

言い換えれば、自分が自分自身のコーチになる方法が学べるんです!

コーチング = 迷いなく学習するための「強制」

「コーチング」という言葉を使いましたが、この言葉についてかんたんに説明しますね。

英語学習においてのコーチングについて、本書では次のとおり書いてあります(太字はサトによる)。

近年流行している「コーチング英会話スクール」をご存じですか。いったいどんなサービスを提供しているのでしょうか?  それは、ひと言で言ってしまえば“強制”です

船橋由紀子 著『超コーチング式英会話上達法~「学習が続かない」をついに解決!』(2020年 アルク)より引用しました。

サト

「コーチング」イコール「強制」?!

「強制」という言葉のインパクトで、こんなふうに思ってしまいましたが、続きがあります。

“強制”には、ネガティブなイメージがあるかもしれません。しかし、さまざまな学習方法が 氾濫 する中で、迷ってばかりでなかなか続けられない人にとっては、“強制”は大きな価値があるとも言えます。学習者は、その“強制”のおかげで「迷い」というリスクを排除し、「あとはやるだけ」という環境を手に入れられるからです。

船橋由紀子 著『超コーチング式英会話上達法~「学習が続かない」をついに解決!』(2020年 アルク)より引用しました。

たしかに、今はいろいろな学習方法や教材があふれかえっている時代です。

そんな中で、学習者が迷うことなく、「これをやればいい」という確信を持って学習できるように導くのが「コーチング」の役割のひとつと言えます。

と言っても、本書の趣旨は「英語のコーチをつけましょう」というものではありません。

サト

「自分が自分自身のコーチになりましょう」というのが本書の趣旨です。


自分が自分自身のコーチになる方法とは?

ここまで読んで、こんな疑問が浮かんだかもしれませんね。

ひより

「自分が自分のコーチになる」と言われても……

大丈夫です! きちんと本書に書かれていますので。

ここでは、本書で紹介されている「自分が自分のコーチになる方法」を、次の3点にまとめてご紹介します。

この3つを1点ずつ説明していきますね。

PDCAサイクルを回す

まずは、「PDCA」を回すことが自分が自分自身のコーチになるためには重要です。

「PDCA」というのは、次のステップの略です。

PDCAとは?

  1. P …… Plan(計画)
  2. D …… Do(実行)
  3. C …… Check(評価)
  4. A …… Action(改善)

このように、「PDCA」では、まず計画を立て実行(学習)した上で学習を評価し、必要に応じて改善していきます。

そしてその改善点を踏まえて、また学習を続けていき、評価、改善という好循環につなげていきます。

サト

学習をやりっぱなしにせず、学習を振り返って改善を重ねて、次の学習につなげていくプロセスとも言えますね。

ステップを細かく分けて解説してくれている

では「PDCA」を英語学習に適応させて、具体的にどうすればいいのでしょうか?

本書では、たとえば「Plan」の部分だけでも、次の7つのステップに細かく分けて解説してくれてます。

「Plan」のステップ

  1. 現状を再確認する
  2. 目標を再確認する
  3. 「Will(どんな想いで英語力をアップさせたいのか)」を再確認する
  4. 3か月の学習コンセプトを考える
  5. 1か月ごとの学習イメージを持つ
  6. 勉強内容を挙げ、学習時間を確保する
  7. 学習スケジュールを作る
サト

3にある「Will」については、本書に詳しく書かれています!

Excelシートに書き込んでPDCAを回していく

さらに、読者特典のExcelシートに書き込んでいくことで計画が作れるようにもなっていますよ。

Excelシートは本書にダウンロードの方法が書いてあります。

ダウンロードできる「Excelシート」にはこういうものがありますよ。

読者特典のExcelシート例

  • 学習計画カレンダー
  • 進捗管理シート
  • セルフコーチングシート
サト

このExcelシートは、「Plan」だけでなく、「Do」「Check」「Action」でも大活躍します。


科学的に正しい方法を理解して学習する

PDCAを回していくのはもちろん大切なのですが、自分で自分をコーチしていくには、正しい学習方法を理解しておく必要もありますよね。

本書では、その点もカバーされています。

しかも、第二言語習得の研究結果に基づいた、「科学的に正しい」方法です(参考: 第二言語習得とは?)。

サト

第二言語習得というのは、人間がどのように第二言語(外国語など)を習得していくか、そのプロセスを研究している分野です。

誰にでも効果のある学習方法を研究している、とも言えます。

本書で重視しているのは、次の2点です。

本書で重視している点

  1. インプットとアウトプット
  2. トップダウンとボトムアップ

それぞれ、かんたんにご説明します。

インプットとアウトプット

「インプット」と「アウトプット」をまとめると、次の表のとおりになります。

「インプット」と「アウトプット」
インプット 聞く・読む
アウトプット 話す・書く

第二言語習得では、「だいたいわかるレベルのもの」を大量に読んだり聞いたりすることが、外国語などの習得には大切だと言われています。

トップダウンとボトムアップ

また、「トップダウン」と「ボトムアップ」については、次のとおりです。

「トップダウン」と「ボトムアップ」
  概要 特徴
トップダウン それぞれの場面で使われる決まり文句や定型表現を習得 即効性があり、すぐ使える表現を学べる
ボトムアップ 文法などの基礎力を鍛え、単語を入れ替えたり、文を長くしたりすることでレベルを上げていく 基礎から着実に力が付き、応用力も付けられる
サト

トップダウンもボトムアップも大切なのですが、どちらを優先させるかを見分ける方法については、本書をお読みくださいね。


自分の性格に合った学習法や教材で学習する

最後に、コーチとして自分の性格も理解した上で、自分に合う学習法や教材なども知っておく必要があります。

2つの性格と学習法とは?

船橋氏が4,000人以上を指導する中でたどり着いたのは、次の2つの性格です。

2つの性格

  1. 山登り型
  2. 波乗り型

それぞれ、どんな性格なのでしょうか。また、どんな学習が合っているのでしょうか。

それぞれの性格と、基本的な学習法を表にまとめますね。

性格と基本的な学習法
性格 特徴 基本的な学習法
山登り型 目標を決めたら、その目標に向かって着実に一歩一歩進んでいくのが好きなタイプ 文法など、コツコツ基礎から積み上げていく学習
波乗り型 あまり先のことを計画せず、目の前のことに熱中して取り組むタイプ フレーズの習得など、実践的な学習

自分が「山登り型」なのか、「波乗り型」なのかを見極めて、ぴったりの学習方法を採用しましょう。

サト

本書では学習方法の例も多数紹介されています!

性格に合った教材が紹介されている

性格に合った学習法があるということは、性格に合った教材というものもあります。

たとえば、シャドーイングにオススメの教材として、本書では次のものが紹介されているんですよ。

シャドーイングの教材
性格 教材 特徴
山登り型 『ゼロからスタートシャドーイング』 短文から長文へステップアップしていくので、コツコツ学習してくのにピッタリ
波乗り型 『仕事英会話まるごとフレーズ』 仕事の場面ごとの会話が収録されていて、実践的な学習ができる

このように、それぞれの性格にピッタリな教材も数多く紹介されています。

サト

本書の中だけでなく、Excelシートにもリストとしてまとまっていて、親切です。



その他に本書で得られるもの

本書では「自分が自分自身のコーチになる」方法について学べるわけですが、他にも次のようなものが得られます。

本書で得られるもの

  • 記憶を強化するコツ
  • 中だるみを生む要因と改善策
  • 学習を楽しみ、「ついやってしまう」状況を作るための工夫

特に、最後の「ついやってしまう」状況を作るのは、学習を続けていく中で一番重要です。

わたしも英語の小説を毎日読んでいるのですが、もはや「学習のため」とは1ミリも思っていません

サト

小説の話がおもしろく、続きが気になるから読んでいるだけなんですよ。

この状態になると自然に学習が続いてしまいます

詳しくは、ぜひ本書をお読みくださいね。

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まとめ

この記事では、『超コーチング式英会話上達法~「学習が続かない」をついに解決!』という本をご紹介しました。

自分が自分自身のコーチになり、次のプロセスを通じて学習を続けていく方法が分かる良書です。

本書のまとめ

  1. PDCAサイクルを回す
  2. 科学的に正しい方法を理解して学習する
  3. 自分の性格に合った学習法や教材で学習する

「英語学習が続かない」とお悩みなら、ぜひ手に取ってみてくださいね!

英語の勉強にオススメの書籍はほかにもいろいろあります。

次の記事にわかりやすくまとめたので、ぜひご参考に!!

海外留学で英語で学ぼう!

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サト
英語びより編集長。独学でTOEIC980点をマーク(2023年9月)。インドネシアで日本語学校を運営している。>>サトについて詳しくはこちら
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