先日、「Fish and visitors stink after three days.」というおもしろい言葉に出合ったので紹介したいと思います。
直訳すると「魚と客は、3日目には鼻につく」という意味ですが、どんなときにつかうのでしょうか?
人を家に泊めてあげるのは3日が限度!?
先日、義両親が3泊4日で、親戚の家に行ってきました。その親戚は違う州に住んでおり、片道8時間かけての移動です。
以下、義両親が帰ってくる日の、私と夫の会話です。
父さんたち、今日帰ってくるんだっけ?
そうだよ。夜の7時くらいに帰ってくるんじゃないかな。
片道8時間かぁ……1週間くらいいたい距離だなぁ。いろいろ観光もしたいし。
今回は、4日のうち2日が移動だから、実質顔を見に行くだけの旅行だよね。お義母さん、今週はほかに用事があるって言ってたし、ゆっくりできなかったんだと思う。
忙しかっただろうね。でも、もしかしたら、「Fish and visitors stink after three days.(魚と客は、3日目には鼻につく)」というのもあったのかも。
何それ?! Fish(魚)? いきなり「fish」が出てきた!!
タカコ、魚を3日放置するとどうなる?
腐るんじゃないの?
そう、臭くなって、そのうちに腐ってくる。誰かの家に泊めてもらうとき、いくら「好きなだけいてもいいんだよ」と言ってもらっても、3日過ぎると、「厄介者」のように思われてくるという意味だよ。それに、泊めてもらう方も疲れてくるしね。
へー、そんな言葉があるんだ。言葉そのままの意味だけど、おもしろいね。
もちろん、本当によっぽど親しくて気をつかわない間柄なら、これに当てはまらないことだってあるけど。例えば、実家とか、おじいちゃん・おばあちゃんの家とか。でも、「友人の家に泊めてもらう」というような場合は、注意が必要だね。
これはたしかに、厚意で泊めてあげても、たいていの人は3日も経つとちょっと疲れてくるかも。お互いに疲れちゃうと思う。
ベンジャミン・フランクリンによって有名になった言葉
「Fish and visitors stink after three days.」について、詳しく説明しますね。
言葉の意味としては、夫が話したような感じのもので、「人の家にあまり長く泊めてもらうものではない」という教訓です。
もともとは、John Lyly(ジョン・リリー)という人の言葉だそうですが、後にBenjamin Franklin(ベンジャミン・フランクリン)が『Poor Richard’s Almanack(貧しいリチャードの暦)』で使ったことで有名になったようです。
ベンジャミン・フランクリンはご存知でしょうか?
日本人には、あまりなじみがないかもしれませんが、「アメリカ合衆国建国の父」の1人としてたたえられる有名な人だそうです。
現在の100ドル札に肖像が描かれています。
『Poor Richard’s Almanack(貧しいリチャードの暦)』は、そのベンジャミン・フランクリンが、リチャード・ソーンダーズという名前で 1732年から25年間発行していた「生活暦」のことだそうで、
「あらゆるジャンルの教訓とユーモアとことわざの寄せ集めはアメリカ人の道徳的手本となった」とあります。
当時大人気の暦だったようです。
日本のカレンダー(日めくりなど)でも、いろんな格言や名言、教訓などが書かれていることがありますが、それと同じような感じだと思います。
日本人でも共感できるはず
それにしても、この言葉、魚を例に出しているのがおもしろいですね。
いくら「好きなだけいてもいいんだよ」と言って泊めてくれても、やっぱり長居しすぎると、お互いが疲れてしまいます。
日本語でも似たような表現がありそうな気がしますが、思い当たりません。
でも、感覚としてはわかるのではないでしょうか。
お互いが気持ちよく暮らすには?
お互いの関係が良好なうちに出ていくのが一番いいのでしょうが、長く泊めてもらうこともあるかもしれません。
そんな場合はどうすればいいのでしょう?
正直、生活させてもらうにはお金がかかります。水道だって、電気だって使わせてもらうんです。日数が長くなれば、その分お金もかかります。
お金の問題だけではありませんが、やはりお金で埋められる部分もたしかにあります。
知人(アメリカ人)の話ですが、親しい友人でも、長く泊めてもらうときは、お礼として、食材を買ったり、帰るときに少しお金を置いて出てきたりしたそうです。
その友人は、面と向かってだと、絶対お金を受け取らないので、部屋に封筒に入れたお金を残してきたそうなのですが、
「彼女が気づいたときには、私はもう出て行った後だから、どうしようもないわよね(笑)」と言っていました。
その知人は、友人への感謝の気持ちとして、どうしても受け取ってもらいたかったそうです。
「親しき仲にも礼儀あり」。そんな言葉が思い浮かびました。知人は日本人じゃありませんが。
友人とのいい関係を保つためには、そういうことをするというのも、選択肢の1つですね。
泊める側も泊めてもらう側も、その期間はお互い気持ちよく過ごしたいですし、そのあとの関係も保ちたいですから。
まとめ
いかがでしたか?
魚と来客が3日もすると臭くなってくるとは……おもしろいしわかりやすい例えですよね。人の心理も的確にとらえていると思います。
英語にこんな教訓があったとは……。少し意外でしたが、友人なら3日くらいがいい関係で過ごせる、ちょうどいい期間かもしれません。
古い言葉ですが、時間的感覚は今も変わらない、ということもおもしろいですね。