こんにちは、インドネシアで現役日本語教師をしているサトです。
日本語教師という職業がありますが、今のところ「日本語教師にはこの免許が必須」と国が決めた資格はありません。
そんな中、2020年以降には「日本語教師が「公認日本語教師(仮称)」という国家資格になる」そうです。
今回は日本語教師が国家資格になるということ、そして、今現在の資格を取っても大丈夫なの?という疑問にお答えします。
日本語教師が「国家資格」になる?
現在は国の決めた資格のない「日本語教師」ですが、2020年以降には大きく変わってきます。
国家資格「公認日本語教師」になるんです。
なぜ国家資格に?
そもそも、なぜ国家資格になるのか。
その目的は、日本語教育能力の判定に関する報告(案)という資料に詳しく書いてあります。
この目的についての文章だけでも2ページ半もあるので、一言でまとめますね(笑)。
国家資格になる目的
日本語教師の質と量を確保すること
先生の質にばらつきがある?
今現在は国の決めた資格がありません。
そのため、日本語教師養成講座の内容や質にばらつきがあったりするんですよ。
そこを国がバシっと決めて、日本語教師養成講座を修了すれば、先生の質が確保できるようにしようということですね。
日本語教師の需要が増える?
また、今、日本に住んでいる外国の方が急増しています。
2012年末には200万人だったのが、2019年6月末時点では280万人超。
なんと、過去最多なんだそうです!
日本に住んでいるのに日本語が話せない人が増えるといろいろと問題が起きますよね。
そのため、そういう人に日本語を教える「日本語の先生」の数が必要ということです。
日本語教師の社会的地位を上げる
こんなふうに日本語教師の需要があるのですが、たとえば大学で日本語教育を専攻しても、日本語教師になる人が少ないのが現状です。
国家資格にすることで、社会的地位を示そうという意味もあります。
その結果、日本語教師になりたいという人も増えるだろうということですね。
日本語教師の待遇が改善される?
先ほど、社会的地位を上げ、日本語教師のなり手を増やすことを目指していると書きました。
この「社会的地位を上げる」ということですが、早い話が待遇改善も含まれているんじゃないかと期待しています!
【現状】日本語教師の勉強をしても実際になるのは少数派
わたしも日本語教師養成講座を修了したのですが、同期で日本語教師になった人はごく少数派なんですよ。
土日のクラスだったので、仕事をしながら講座に通っている同期が多かったです。
ところが、講座を修了しても、けっきょくは日本語教師になる人は少数派でした。
その理由が給料の低さです。日本語教師になるとどうしても収入が下がるので、やはり転職に踏み切れないんですね。
その日本語教師になった同期も、生活をしていくには厳しくて、大体やめてしまってます。
税金を使ってでも待遇の改善を期待
大学で日本語教育を専攻している学生の皆さんも、事情は同じではないかと思います。
ふつうに企業に就職したほうが待遇がいいのなら、そちらを選びたくなるのは自然なことですからね。
そんな中で日本語教師になりたいという人を増やしたいのなら、税金を使ってでも待遇を改善してほしいところです!
現在の「日本語教師の資格」を取っても大丈夫?
そんなわけで、日本語教師の資格が「公認日本語教師」になるわけですが、こんな疑問がわきますよね。
今の段階で現在の日本語教師の資格(日本語教師能力検定試験)を取っても大丈夫?
この懸念ですが、結論から言えば大丈夫です。
分かりやすく解説しますね。
公認日本語教師の資格とは?
まずは、文化庁が出している公認日本語教師の資格に関する案を見てみましょう。
下の資料の一番右に「現行の法務省告示基準の教員要件を満たす者(経過措置)」とあります。
「現行の法務省告示基準の教員要件」というのは、次の1〜3のいずれかです。
日本語教師の条件
- 四年制大学や大学院で日本語教育を専攻(または副専攻)し卒業
- 日本語教育能力検定試験に合格
- 四年制大学卒業かつ日本語教師養成講座を修了
- または1〜3と同等以上の能力がある人
この要件を満たしていれば、試験や実習をスルーして「公認日本語教師」の資格がもらえる!……ということですね。
もちろん、まだ案の段階なので絶対に大丈夫とはいい切れませんが。
いつから「公認日本語教師」の資格になる?
では、いつから資格が新しくなるんでしょうか。
残念ながら、まだはっきりしていません。
文化庁が2020年度以降を目標にしていることだけは分かっています。
今は日本語教師養成講座を受講するのが近道
なので、現段階では、四年制大学を出ていれば、日本語教師養成講座(420時間以上)を受講するのが一番の近道という状況に変わりありません。
また、先ほどの、「日本語教師の資格の仕組みイメージ(案)」の中の「要件1」の欄には「日本語教育能力を判定する試験」と書かれています。
調べたところ、この試験の分野は現行の日本語教育能力検定試験にものすごく似ているんですよ。
【比較】日本語教師試験の出題範囲(案)
それではどのくらい似ているのかを確認するために「現行の日本語教育能力検定試験」と「公認日本語教師 試験(案)」の比較表を作りました。
ちょっと現行の日本語教育能力検定試験について説明しますね。現行の試験では出題区分が5つあります。
そのうち、1つ目の区分である「社会・文化・地域」の出題内容を、下記表の左に並べてみました。
そして、表の右側には、 日本語教育能力の判定に関する報告(案)にある試験の内容から、該当しそうな項目を書き出しました。
現行の日本語教育能力検定試験 | 公認日本語教師 試験(案) |
---|---|
1.世界と日本 | |
(1)諸外国・地域と日本 | |
(2)日本の社会と文化 | (1)世界と日本の社会と文化 |
2.異文化接触 | (3)多文化共生 |
(1)異文化適応・調整 | |
(2)人口の移動(移民・難民政策を含む。) | |
(3)児童生徒の文化間移動 | |
3.日本語教育の歴史と現状 | |
(1)日本語教育史 | (4)日本語教育史 |
(2)日本語教育と国語教育 | |
(3)言語政策 | (5)言語政策 |
(4)日本語の教育哲学 | |
(5)日本語及び日本語教育に関する試験 | (6)日本語の試験 |
(6)日本語教育事情:世界の各地域,日本の各地域 | (7)世界と日本の日本語教育事情 |
4.日本語教員の資質・能力 |
内容に番号がついていますが、これはもとの資料にもついているものです。
明らかに、現行の試験をパク……いや、参考にして作ってますよね!
内容が同じなだけでなく、順番もほぼ同じですから。
いずれにせよ学んだものはムダにはならない
ちなみに、(わたしもお世話になった)ヒューマンアカデミーの「日本語教師養成講座」では日本語教育能力検定試験の対策もあります。
教育実習もバッチリやらせてもらえるし、もし仮に国家資格のための試験を受け直すようになっても大丈夫。
日本語教師養成講座での学びがムダになることはありませんよ。
そもそも、日本語教師に求められるものというのは、長い時間をかけて検討されてきたものですから、国家資格になっても同じです。
まとめ
さて、今回は日本語教師が国家資格になるという情報をまとめました。
ただ、いつから国家資格になるかは分かっていません。
現状では、日本語教師になる一番の近道は(四年制大学を出ていれば)日本語教師養成講座を修了することですね。
ひとりでも多く、日本語教師が生まれることを祈っております!
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