例えば「その本はかんたんだから、私も読めるよ」という場合、前半部分と後半部分の主語が違います。
2つの主語
- 前半部分 …… その本
- 後半部分 …… 私
このように前半・後半で主語が異なる場合に「独立分詞構文」が使われます。
基本的な独立分詞構文の作り方から4つの応用パターンまで、今回は英語の「独立分詞構文」を詳しく紹介します。
目次
英語の「独立分詞構文」について
さっそく、英語の独立分詞構文とは何かをハッキリさせましょう。
意味と基本的な作り方を紹介していきますね。
「独立分詞構文」とは?
独立分詞構文とは英語の技法の「分詞構文」の種類の1つです。
ひとことで表せば「主語が違う分詞構文」のことなんですよ。
では、通常の「分詞構文」と「独立分詞構文」の違いを紹介します。
通常の分詞構文
通常の分詞構文は以下の例文のように前半・後半で主語が同じです。
Written in plain French, the book is easy for me.
(わかりやすいフランス語で書かれているから、その本はボクにとってかんたんだよ)
前半の分詞構文の「Written in plain French」も後半のメインの「the book is easy for me」も、どちらも主語は「その本」ですよね。
独立分詞構文の場合
それに対して、独立分詞構文は、前半の部分(分詞構文)と後半のメインの文の主語が異なります。
例えば以下の英文は独立分詞構文ですよ。
The book written in plain French, I can read it easily.
(その本はわかりやすいフランス語で書かれているから、あたしはかんたんに読めるよ)
この文だと、前半の分詞構文の「The book written in plain French」のところは「その本(the book)」が主語です。
しかし、メイン文(後半部分)の「I can read it easily」の主語は「私( I )」ですよね?
このように分詞構文の部分とメインの部分で主語が異なる文を独立分詞構文と呼びます。
独立分詞構文の基本的な作り方
では、実際に作ってみましょう。
独立分詞構文の基本的な作り方を紹介しますね。
いきなり分詞構文から始めるのはちょっと難しいので、まずは次の「形」を思い浮かべましょう。
独立分詞構文の形とは?
接続詞+主語+動詞
以下の3つのステップで作ってみてください。
3つのステップ
- 主語が違う2つの文をイメージする
- 片方を「接続詞+主語+動詞 〜」の形にする
- 接続詞を省略して動詞を分詞に変える
順番にやってみましょう。
主語が違う2つの文をイメージする
まず「妹がカゼをひいていた」と「昨日は私がお世話した」の2文を浮かべてみましょう。
2文をイメージ
- My sister had a cold.
- I took care of her yesterday.
2文の主語が違いますね。
片方を「接続詞+主語+動詞 〜」の形にする
その2つを接続し「because(〜だから)」でつなぐと以下のようになります。
Because my sister had a cold, I took care of her yesterday.
(妹がカゼひいてたから、昨日はボクがお世話したんだ)
これで片方が「接続詞+主語+動詞 〜」の形になりました。
接続詞を省略して動詞を分詞に変える
この場合「カゼをひかれる」ではなく「カゼをひく」なので、動詞は過去分詞ではなく現在分詞の「having」にしますよ。
すると以下のようになります。
Because My sister had having a cold, I took care of her yesterday.
(妹がカゼひいてたから、昨日は僕がお世話したんだ)
通常の「分詞構文」と違い、主語は省略しちゃダメですよ!
通常の分詞構文では主語を省略しますが、主語をそのまま残しておくのが独立分詞構文のポイントです。
分詞構文については別記事でまとめているので、詳しくはそちらを読んでみてくださいね。
「独立分詞構文」の4つのパターン
基本的な作り方がわかったところで、独立分詞構文のバリエーションを広げてみましょう。
否定や慣用表現など、独立分詞構文の4つのパターンを紹介しますね。
「否定」の独立分詞構文
まずは「否定」の独立分詞構文です。
独立分詞構文は否定の形にすることもかんたんにできますよ。
分詞の前に「not」を置くだけで大丈夫です。
The book not written in plain French, I can't read it.
(その本はかんたんなフランス語で書かれていないから、あたしには読めないんだ……)
つまり「主語 + not + 分詞」の順番になります。
「主語」と「not」を逆にしないように注意してくださいね!
「not」は主語の後に
- Not the book written in plain French, I can't read it.
- The book not written in plain French, I can't read it.
「not」以外には「never」を使うこともできますよ。
「there」を使った独立分詞構文
お次は「there」を使った独立分詞構文です。
「〜がある・〜がいる」という表現の「there is 〜」や「there are 〜」も分詞構文にすることができます。
例えば以下のような感じですね。
There being no vending machines, I have to go to the convenience store.
(自販機がないから、コンビニに行かなきゃいけないや)
この場合、接続詞「because」を使って言い換えもできます。
Because there are no vending machines, I have to go to the convenience store.
(自販機がないから、コンビニに行かなきゃいけないや)
また、分詞構文の部分が「自動販売機がなかったから」という過去のニュアンスなら「There having been no vending machines」となります。
【付帯状況】「with」を使った独立分詞構文
続いては「with」を使った独立分詞構文です。
前置詞の「with」と分詞の組み合わせで独立分詞構文を作ることができます。
「with + 目的語 + 分詞」の形を文末にくっ付けてみてください。
例えば以下の「with her legs crossed」の部分が独立分詞構文になっています。
She is eating carrots with her legs crossed.
(彼女は足を組みながらニンジンを食べているよ)
文全体の主語は「彼女(she)」ですよね。
でも「with her legs crossed」の部分は「足が組まれる(状態で)」という意味なので「足(her legs)」が主語です。
そのため、これは独立分詞構文だと言えるんですよ。
このように「〜しながら……」という形を付帯状況と呼びます。
「慣用表現」的な独立分詞構文
さいごは慣用表現です。
もはや1つのフレーズとなっている独立分詞構文もいくつかあるので、代表的なものを一覧で紹介します。
judging from〜 | 〜から判断すると |
---|---|
speaking of〜/talking of〜 | 〜と言えば |
generally speaking | 一般的に言って |
frankly speaking | 率直に言って |
strictly speaking | 厳密に言うと |
roughly speaking | 大雑把に言えば |
considering〜 | 〜を考慮に入れると |
all things considered | 全てを考慮に入れると |
weather permitting | 天気が許せば |
これらは理屈どうこうは考えずに、そのまま覚えてしまいましょう。
ちなみにこれらのように「独立分詞構文なのに意味上の主語が省略されてしまったもの」を懸垂分詞構文と呼びます。
「all things considered」と「weather permitting」は除きます。
慣用表現でなくても、例えば次の例もそうです。
Running in the park, a cute puppy got close to me.
(公園を走っているとかわいい子犬が私に近づいてきた)
本来は主語を残して「I running in the park」としなきゃダメですよね。
文法上は間違っているのですが、書き言葉でも話し言葉でもわりと見かけます(笑)。
まとめ
独立分詞構文について、最後にまとめます。
独立分詞構文のまとめ
- 前半と後半で主語が違う分詞構文
- 主語は省略せずに残しておく
- with+目的語+分詞の形もある
分詞についてはこちらの記事をどうぞ。