英語や中国語を話しているのが耳に入ったとき「怒っている?」「うるさいなぁ」のように思ったことはありませんか?
本記事では、母語と外国語との違いで、人間はネガティブな印象をもつことがあることについて紹介します。
外国語がうるさい/怒っているように聞こえる?
外国語が耳に入ってきたとき、ネガティブな印象を持ったことはありませんか?
たとえば、英語が聞こえてきたときに「声が大きいなぁ」と思ったり、中国語が聞こえてきたときに「え? 怒っている?」と思ったり。
きっと誰もが思ったことがあるはず!
これは日本人だけではなく、ほかの国の人も同じように感じるそうです。
以前、わたしが英語を習っていたアメリカ人の先生がこんなエピソードを話してくれました。
先生はブラジル人と結婚しています。ブラジルの妻の実家でご飯を食べていたとき、すごく楽しくて、調子よくしゃべっていたそうなんです。
そのとき、こんなふうに言われたんだとか。
Calm down, calm down.
(落ち着いて、落ち着いて)
そのブラジル人の家族にとって、先生の話す英語が興奮しているように聞こえたんですね。
外国語の声が大きく聞こえる理由
英語は「ストレスのある部分を強く大きく、音を高く発音する」ので、発話に抑揚があります。
感情とは関係なく、音の強弱や高低で言葉を使い分けるので、その抑揚が重要な役割を持っているんですね。
英語話者ではない人がそれを聞くと、自分の言語の抑揚と比べて、「すごく興奮している」と感じるということです。
日本語では、音の強弱で言葉を使い分けることはないので、会話の中での強弱は激しくない言語といえます。
聞こえてきた言語が、自分の母語とあまりに違う特徴だと、声が大きく感じてしまったり、怒っているように聞こえたりするのはそういうことなんですね。
慣れない音のパターンは不快に感じる?
私たちには、日本語の音の抑揚パターンが身についています。
その音のパターンからはみ出る発話を「何かおかしい」と感じるようです。
慣れていないので、たいていは不快な感情になります。
「うるさい」とか、「怒っているの?」とか、「話に力が入りすぎ」とか。
以前、飛行機の中でアメリカ人の夫が「静かにしろ」と日本人の乗客に言われたことがありますが、まさにこの状況だったと思います。
日本語と英語の音の抑揚パターンと違うので、その乗客には、夫の声がうるさく感じたのでしょうね。
よく考えてみると、私と夫でもこのようなやりとりがあります。
Are you upset ?(怒っているの?)
No, I'm not upset!(怒ってないよ!)
I don't think so. You sound upset !!(うそ、言い方が怒っているじゃない!!)
そう。夫にとってはふつうに話しているだけでも、怒っているように聞こえることがあるんです。
(虫の居所が悪いと、そこからけんかになったりします)
でも、英語話者をパートナーに持つ方、心当たりはありませんか?
国民性も関係あることも
それともうひとつ、国民性も関係あるかもしれません(参考:日本人の国民性が英語学習の邪魔を?)。
日本人の場合、人前で他人の迷惑にならないことに神経を研ぎ澄ますように育てられます。
そのため、大きな声に対する耐性がほかの国の人よりも低い可能性はありますよね。
そのため、ほかの言語を聞いたとき「うるさい」と思う確率は高くなりそうです。
まとめ
耳慣れない言語が聞こえてくるとネガティブな感情をもちやすいというお話でした。
つまり「〇〇人はうるさい!」というような言い方は間違っているということです。
うるさいのは「その国の人だから」という理由ではなく、その言語と日本語の音声的特徴の差だということですね。
ほかの言語を聞くときの感じ方が変わるとうれしいです。