英語で家族のことを紹介するシチュエーション。そんなときにこんなふうに言っていませんか?
不自然な家族紹介
I have 1 older brother and 1 younger sister.
(1人の兄と、1人の妹がいます)
日本語だとよく聞く紹介文ですが、英語では不自然なんです。
今回はそんな英語の「兄弟姉妹」の表現について紹介します。
目次
「弟」という単語は英語にはない?
わたし達日本人は、歳上の兄弟を「兄」、歳下を「弟」と区別します。女なら「姉」「妹」のように言いますよね。
でも英語では言いません。
こういうことを言うと、こんなふうに思われるでしょう。
いやいや、「older brother」とか「younger sister」って表現を習ったよ?
確かにそういう表現はありますが、ここで焦点を当てるのは表現の問題ではありません。
「英語表現」としてはあるが使われるのは特殊な場面
英語の表現として「older brother(年齢が上のブラザー)」のように言うことはできます。
でもそれは「歳上」であることを相手に言う必要があるときにだけに使われる表現です。
ポイントは、英語圏で通常は歳上か歳下か……という区別を表現しないこと。
逆に、英語にはあって日本語にはない例に置き換えてみましょう。
たとえば、日本語では「複数形かどうか」をいちいち言わないですよね?
かといって、複数形で言うことはできます。
「リンゴ達」というふうに複数形で「言うこと」は言語的に可能ですが、日常で言うとおかしいですよね。
スーパーでリンゴを買ってきたよ!
え? リンゴ? それともリンゴ達? どっちかちゃんと言ってよ!
……(何? この変なこだわりは?)
日本語で複数形にこだわると、上のようなやりとりになりそうです(笑)。
ところが、この「複数形かどうか」は英語という言語では重要なのです。1個かどうかをモヤッとされると気持ち悪いわけです。
日本人からしてみると、こんなふうに思っちゃいますが。
英語っていちいち複数形かどうかを言わないといけないからめんどくさいし、意味わかんない!
これと同じで、英語圏の人は「日本語っていちいち兄弟姉妹が歳上かどうかを言わないといけないからめんどくさいし、意味わからない!」と思うハズです。
これは「どちらの言語が優れているのか」ではなく、文化の差としか言いようがありません。
英語圏では「年齢」は重要ではない
とにかく英語圏では年齢の差が日本ほど重要ではありません。
では、なぜ日本では年齢が上か下かを重視するのかというと、それによって言葉づかいを変える文化があるから。
日本語では、相手の年齢に応じて「敬語」「タメ口」を使いわけますよね。
ところが英語圏には、相手の年齢で言葉づかいを変える文化がありません(年齢ではなく相手との「距離感」で使いわける)。
相手が10歳以上歳上でも、仲が良ければ呼び捨てで呼ぶのが普通ですし、むしろ敬語を使うのは不自然です。
この「歳上でも呼び捨てする文化」ですが、きょうだい間でも適応されるのです!
『サザエさん』でたとえると、ワカメは兄に対して「カツオ」と呼びますし、サザエさんのことも呼び捨てで「サザエ」と呼びます。
さらに言うと、タラちゃんも叔父のカツオや叔母のワカメのことを呼び捨てで呼ぶのが普通です。
日本みたいに弟に呼び捨てにされて怒るなんてことはありえません。
お互いを呼び捨てなので「兄」のように言う文化もない
つまり年齢での上下関係がないため「兄」のような表現が日常では使われません。
まぁ、子どもなら歳上はいばるとは思いますが(笑)。
これが「I have 1 older broghter and 1 younger brother.」は耳にしないという理由です。
自己紹介のときは、こんな表現でじゅうぶんですよ。
例
家族の話題になって紹介するときに「older」と言いたくなりますが、英語では不自然なのでこらえましょう!
もし「Is he an older brother?」と質問されたときだけ「an older brother(歳上のブラザー)」のように言いましょう。
【参考】「兄」「弟」と訳すのが混乱の元?
この記事を執筆していて思ったのですが、「older brother」を「兄」と訳すことが混乱を与えるのかもしれません。
「brother=兄」と訳すと、日本語と同じような感覚で気軽に使いたくなりますからね。
つまり「older brother」は「歳が上のブラザー」という訳が適切でしょう。
逆を言うと、英語圏の人に「複数形にするときは『たち』を付けたらいいよ!」と教えるとマズイということです。
同じ感覚で、何でもかんでも「たち」を連発しますから。
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まとめ
今回のお話ですが、20歳でアメリカ留学したときに学びました。
友達の歳の離れた弟(小学校低学年)に、初対面で呼び捨てにされて初めて「おおー! こういうことか!」と理解できました。
ちなみに前述したように、英語は年齢が上か下かは気にしませんが「数」にはこだわります。くわしくはこちらの記事を!