[書評]『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』

書評『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』
サト

執筆者

TOEIC980点。ELSA認定アンバサダー。インドネシアで日本語学校を運営している日本語教師。話せる言語は英語のほかにインドネシア語、中国語。→ サトについてはこちら

TOEICなどの資格試験の勉強をされている人は、聞き取りも慣れてくると思います。

そんなレベルの人でも、CNNなどのニュース英語は「なんのこっちゃさっぱり」というケースが多いのではないでしょうか?

わたしもTOEICで980点を取っているにもかかわらず、ニュース英語は苦手です。

そんなわたしがAmazonのおすすめで目にしたのが、書籍『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』!

この記事では、『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』の概要良い点悪い点を紹介します。

『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』の概要

まずは、『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』の概要を、次の3点に絞って紹介します。

『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』の概要

  1. 著者はスタサプなどでおなじみの関正生 氏
  2. CNNのニュースが題材
  3. ニュースの音声つき

順に掘り下げていきますね。

著者はスタサプなどでおなじみの関正生氏

まず、同書の著者は、「スタディサプリ(スタサプ)」などでおなじみのせき正生まさお氏です。

「スタディサプリ(スタサプ)」は英語などの学習アプリです。関氏は、同アプリの「大学受験講座」や「TOEIC対策コース」の動画を担当されています。

次の動画のCMなどにも出演されていたので、見たことがあるかもしれませんね。

同氏は『世界一わかりやすい英単語の授業』などの「世界一わかりやすい授業」シリーズをはじめ、著書を120冊以上も出しています……!

累計では、なんと300万部を突破。

そんな関氏は、『CNN English Express』という月刊誌で、連載を持っています。タイトルは「あなたの英語にカクシンを!関正生の『丸暗記いらず』英文法ゼミ」。

この連載が、同書のもとになっていますよ。

CNNのニュースが題材

タイトルにもある通り、同書はCNN(アメリカのニュース専門チャンネル)のニュースを題材にしています。

たとえば次のとおり、さまざまなジャンルのニュースがありますよ(本物は英語ですが日本語に訳してくれています)。

ニュースのタイトル(例)

  • 猛威を振るうスーパー台風 深刻化する「極端気象」の不安
  • 人口減少社会を突き進む日本 労働力不足解消のカギは「女性」
  • 史上最大級の発見!?近世に生命の兆候示す気体
  • イギリス本島沿岸を陸に上がらずに泳いで一周
  • クジラの彫刻に救われた電車、奇跡の転落回避

本書ではニュースの一部が取り扱われています。全文が読めるわけではありません。

話題はシリアスなものから取っつきやすいものまで、さまざまですね。

でも、次のように思われる人も多い気がします。

CNNのニュースが題材だと、内容はめちゃくちゃ難しいのでは?

ご安心ください。本書の前書きには、次のように書いてあります。

高校基礎・英検2級くらいのレベルであれば理解できる内容ですが、現状のレベルよりも「CNNで勉強したい」という思いがあれば大丈夫でしょう。

関正生 著『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』(2023年 朝日出版社)

「CNNで勉強したい」という気持ちが大切なんですね。

とにかく本書では、バラエティ豊かなニュースで、「生きた英語」を学べます!

ニュースの音声つき

本書を買うと、ニュースの音声もダウンロードできます。

PCでもダウンロードできますが、おすすめは専用のスマホアプリ(Listening Trainer)を使うこと。

次の画像のとおり、速度の調整や3秒戻しなども自由自在なので!

速度の調整や3秒戻しなど自由自在
速度の調整や3秒戻しなど自由自在

リスニングの練習にピッタリですね。

ただし、もともと本書ではニュースの一部だけが収録されており、音声が聞けるのも収録部分だけです。

ニュースの全文が聞けるわけではないので、ご注意ください。

『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』の良い点

ここでは、『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』を読んで感じた良い点を紹介します。

次の3点です。

詳しく見ていきましょう。

例文がおもしろいので飽きない

まず、本書は例文がおもしろいので、読んでいて飽きません

いわゆる文法書では、文法の解説を目的とした例文が使われることが多いですよね。

わたしの高校時代だと、仮定法の例文には必ず「もしわたしが鳥だったら〜」というものが出てきていました。

当時は「いつ使うねん」とは思わず、必死に覚えていましたが。

そんな解説のために作られた英文は、味気ないものがほとんどです。

その点、本書はCNNの英語という生きた英語が題材!

たとえば、仮定法の例文は次のとおりです。

But the architect of the sculpture says if it weren't so strong and built at the height it was, the driver might not have survived the accident.

だがその膨刻の作家によれば、もしその作品の強度や高さが足りなければ、運転士は事故で命を失っていたかもしれないという。

[EE 2021年2月号「クジラの彫刻に救われた電車、奇跡の転落回避」p.42]

関正生 著『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』(2023年 朝日出版社)

何があったのか、めちゃくちゃ気になりますよね?

こんな興味をそそる例文で、「もし〜」という仮定法を学べるわけです。

本書の中には解説のための例文もありますが、メインはあくまでニュースの英語

生きた英語の例文で文法を学べるのは最高です!

文法の解説がわかりやすく、頭に残る

本書では、文法の解説がめちゃくちゃわかりやすくて、頭に残ります

たとえば、「現在完了」の解説は次のような図解つき。

『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』のわかりやすい解説
『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』

図解だけでなく、「継続」「完了・結果」「経験」の3つが「矢印の中に集約」されているというまとめ方もわかりやすいですよね。

本書を読んで、「そうまとめればよかったのか!」と何度も思わされました……。そして、やはり頭に残っています。

タイトルの「丸暗記いらず」は本当です!

ニュースや試験の「読解文」や「小説」を読む際にも役立つ

本書は、CNNなどのニュースを理解するのに役立つ文法を取り扱っています。

とはいえ入試や資格試験なども意識しており、さらに、個人的には小説を読むのにも役立つと感じています。

「入試や資格試験」と「小説」に分けて解説しますね。

入試や資格試験に出てくる表現の例

本書は入試や資格試験にも役立ちます。

公式サイトには次のとおり書いてあるんです。

大学受験や資格試験の英文はもとより、CNNニュースのアンカーが口にする英語の真意を、正確につかめるようになることを目指します。

『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』公式サイト

実際、同書が取り扱う文法を見てみると、「これ、入試に出そう」と思われるものばかり。

たとえば、次のとおりです。

文法の例

  • 分詞構文
  • 倒置
  • 仮定法
  • 関係代名詞
  • be to 構文

全部わかりますか? 本書では、こういう入試に必須の文法が学べますよ。

小説に出てくる表現の例

さらに、本書が取り扱う文法は、英語の小説にもよく使われるものが多いようです。

これは、英語の小説を毎日読んでいるわたし独自の意見です!

たとえば、本書で取り扱いのある「It couldn't be better.」という表現。

小説ではじめて見たときは、文脈から「最高」という意味だろうと推測していました。

わたしの場合、小説は「だいたいわかればよし」と思っており、辞書も引かずに話を楽しんでいます(参考:多読について

その「It couldn't be better.」という表現について、本書では次のような解説がありました。

ここではthan now「今(の私)より」くらいの省略を補って、It couldn't be better(than now). と考える必要があります。直訳すると、「今より(than now)良い状態(better)なんて、仮の世界でもあり得ない(couldn't be)」→「もうこれ以上、上がりようがないほど良い」→「絶好調」となるのです。

『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』公式サイト』

うーん、わかりやすい! 文法面からの理解を深めることができましたよ。

さらに、「never more timely」や「I couldn't agree more.」など、同じ理屈の表現も本書で学べました。

ニュースがわかるようになり、試験で有利になり、小説まで読みやすくなる……まさに一石三鳥ですね!

『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』の悪い点

本書の良い点を紹介してきましたが、残念ながら悪い点もあります。

次の3点です。

『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』の悪い点

  1. リスニングのコツが少なめ
  2. 文法項目が多くはない
  3. ニュースが古め

順に解説します。

リスニングのコツが少なめ

まず、本書にはリスニングのコツがほとんどありません

たとえば次のようなことも書いてあるのですが、リスニングについての記述は数えるほどしか見つかりませんでした。

ここでmost of the women という表現が使われていますね。しっかりとofもtheも使われているわけです。

また、リスニングの際にこのtheを聞き取れなかったという人もいるでしょうが、most of womenという表現が存在しない以上、一瞬で、そして自力でtheを補って考えることができるわけです。

関正生 著『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』(2023年 朝日出版社)

もちろん、本書はあくまで「文法」メインなので、仕方がないところなのですが。

とはいえ、文法がリスニングりょくアップの役に立つことは間違いないです!

文法項目が多くはない

次に、本書で取り扱う文法項目は、決して多くありません

本書の前書き(以下)によると、取り扱っているのは「44項目」です。

(前略)「今まさに世界中で報道されているニュースを理解するために役立つ英文法の重要テーマ44項目」を精選しました。

関正生 著『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』(2023年 朝日出版社)

とはいえ、本書の目的は文法をすべて網羅することではなく、あくまで「ニュース英語を理解する」です。

文法をすべて学習したいなら、他の本を選びましょう!

ニュースが古め

最後に、本書のニュースはすこし古めです。

最新のニュースも『CNN English Express』という雑誌の2022年2月号に載ったもので、もともとは2021年11月に放送されたニュースでした。

『CNN English Express』はCNNで放送されたニュースを解説しているので、タイムラグがあります。

一番古いものだと、同誌の2017年9月号のニュース(2017年4月放送)。

公式サイトでは次のとおり「最新ニュース」とあるので、少し残念に思いました(太字はサトによる)。

英語の本質がわかる丁寧な解説で、いま世界で報道されている最新ニュースを理解するのに役立つ英文法や語法を、丸暗記なしで押さえることができます。

『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』公式サイト

とはいえ、大事なのはニュースの新鮮さではありません。

ニュースで実際に使われた英語を学ぶことで、ニュースを理解する英語力をつけることです。

ということで、どうしても新しいニュースで英語を学びたいなら『CNN English Express』(雑誌)を購読する手もありますよ。

まとめ

この記事では、書籍『CNNの生英語がわかる「丸暗記いらず」カクシン英文法』について紹介しました。

英語のニュースを聞けるようになりたい人はぜひ、手に取ってみてください。

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サト
インドネシアで日本語学校を運営している日本語教師。独学でTOEIC980点をマークした秘密が受験英語が好きだったという特異体質。オンライン英会話や電子書籍を試すことにハマっている。>>サトについて詳しくはこちら
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