「可算名詞」と「不可算名詞」の違いは? イメージが大事という話

タカコ

執筆者

WEBライター。2013年にアメリカに渡る。現在はアメリカ人の夫と子ども2人でテキサスに在住。

英語には、「数えられる名詞(可算名詞)」と「数えられない名詞(不可算名詞)」があるのをご存じでしょうか?

中学校で勉強していくうえで、「『数えられる名詞』はともかく、『数えられない名詞』って何??」と悩む方も多いと思います。

今回は、そのややこしい「数えられる名詞(可算名詞)」と「数えられない名詞(不可算名詞)」の違いについてまとめました。

「数えられる名詞(可算名詞)」と「数えられない名詞(不可算名詞)」って何?

まず最初にざっくり説明すると……

「数えられる名詞(可算名詞)」は、文字通り、「1つ、2つ、3つ……」と数えられる名詞のことをいいます。

そして、「数えられない名詞(不可算名詞」)は、「1つ、2つ、3つ……」と数えられない名詞のことをいいます。

タカコ

え? 何それ?? と思うかもしれませんね。

実は、日本語では、あまりこういう考え方をしないので、そう思うのも当然です。

そして、英語を勉強していくうえで、この「数えられる名詞」や「数えられない名詞」と言われると、なかなか理解できないんですね。

可算名詞(数えられる名詞)について

まずは「可算(かさん)名詞」、つまり数えられる名詞から紹介します。

可算名詞には「単数形」と「複数形」がある

英語の場合、「数えられる名詞」には、次の2種類の形が存在します

2種類の形

  • 単数形
  • 複数形

頭に「a / an」という冠詞を付けたり、名詞の語尾を複数形にすることで、「1つ」「2つ」という表記ができます。

「単数形」と「複数形」
単数形 複数形
a cup cups
a pencil pencils
a book books

ちなみに辞書の中で「用法」の部分に「C」という印がある単語があります。

名詞のみにある印なのですが、「countable = 数えられる」の頭文字で、「この単語は『 s 』をつけて複数形になりますよ」という印ですね。

ポイントは「具体的な形」を想像できるかどうか

英語の「可算名詞(数えられる名詞)」は、一般的に、
「物(物体)」として、具体的に形あるものが多いです。

たとえば、「pencil(鉛筆)」という言葉を聞いて、想像してみてください。

「pencil」の長さや色、形は違うかもしれませんが、具体的に形を想像できますよね?

「鉛筆」と聞けばいろいろあるけど、想像できる
「鉛筆」と聞けばいろいろあるけど、想像できる

そんな「可算名詞」の数を表現するときには、頭に冠詞(a / an)を付けたり、その名詞の後ろに「 s 」を付けて複数形にしますね。

「pencil」が1本のときと2本のときの表現
1本の鉛筆 a pencil
2本の鉛筆 2(two) pencils

そして、その「物(物体)」を数えるときに、それ自体が単位となります

日本語のように「2本」のような単位を付けずに、「2 pencils」になるということです。

日本語だと「1本の鉛筆(鉛筆1本)」、「2本の鉛筆(鉛筆2本)」のように、数が増えても「鉛筆」と言いますので、かなり違いますね。

タカコ

日本語だと、何本だろうと「鉛筆」という名詞は変化しないんですね。

あえて言うなら、日本語には「家々」、「人たち」のように「々」という文字や「たち」という言葉を使って、複数形を表すこともできますが、単純に「家」「人」だけでも、単数と複数の両方を指すことができます。


不可算名詞(数えられない名詞)について

次は、「数えられない名詞」を具体的に見ていきましょう。

不可算名詞には「複数形」が存在しない

英語の場合、「数えられない名詞」には複数形は存在せず、常に単数形のまま使います。

辞書には、用法の部分に「U(uncountable=数えられない)」の表示があります。

たとえば、こちらのような名詞が不可算名詞になります。

不可算名詞の例

  • water(水)
  • air(空気)
  • information(情報)

英語の「数えられない名詞」の概念とは?

たとえば、上の例で見た数えられない名詞「water(水)」を想像してください。

水の姿

  • コップに入った水
  • 池や湖にたたえる水
  • 水たまりの水
  • バスタブにためたお湯

どれも水ですよね?

水は状況によって形が違う
水は状況によって形が違う

「お湯」は英語で「hot water」と表記する、「water」の仲間です。「ミネラルウォーター」は、「mineral water」ですし……。

つまり、英語の「water(水)」はいろんな状況や状態によってたくさんの種類があり、その姿が具体的に特定できません

「水」って目には見えても、ちょっと漠然としていて、形とか量とか数とかの具体性がないんですね。

英語では、「絵でうまく描き表せない」「一言では、うまく言い表せない」、そういう言葉が「数えられない名詞(不可算名詞)なんです。

タカコ

ほんと、日本語にはない感覚ですよね。

ほかの例「air」「information」でも見てみましょう。

「air」も無色透明で無味無臭、「information」も絵や言葉で簡単に表せません。具体的ではないからなんですね。

また、想像したときに、「あれもこれも……」といろんな形や状態の物(物体)が想像できて、特定しにくいときにも、英語では「数えられない名詞」なんですね。

「水」も「容器」に入ると数えられる?

……という説明をしましたが、

「air(空気)」はわかる! でも水は目に見えるのに、なぜ「数えられない」 に分類されるの?!

……と思われるかもしれません。

たとえば、日本語では5杯の水」のように数えられるじゃないかと。

でもこの「5杯」というのは「コップに入った水 × 5」という意味ですよね?

同じように、英語でも「2 cups of water」と、容器である「cup」の数を増やすことで数えられるようになります。

2 cups of water
(2カップの水)

「数えられるようになる」と言いましたが、厳密には「water」が複数になるのではなく、容器である「cup」が複数形になっていますよね。

「water」という物質は、具体的な形を持たないのですが、数えられる名詞(容器)とつなげることで形が固定され、「2 cups of water(2カップの水)」と表現できるのです。

容器が複数形になる例

  • 2 tablespoons of water(大さじ2杯の水)
  • 3 glasses of water(グラス3杯の水)


「数えられない名詞」の特徴や見分け方

ほかにも、英語には「数えられない名詞」は、意外とたくさんあります。ここでは具体的な例を挙げますね。

液体や気体

まずは数えられない名詞の代表でもある液体や気体です。

液体や気体を表す名詞の例

  • blood(血液)
  • gasoline(ガソリン)
  • oil(石油)
  • gas(気体やガス)
  • steam(蒸気・水蒸気)

素材

木やガラスのような素材も数えられません。

素材を表す名詞の例

  • wood(材木)
  • stone(石材)
  • marble(大理石)
  • glass(ガラス)
  • cotton(綿)
  • leather(皮革)
  • wool(羊毛)

食材

前項で見た「素材」と同じ感覚で食材も数えられません。

食材を表す名詞の例

  • fish(食べ物としての魚)
  • chiken(鶏肉)
  • honey(はちみつ)
  • butter(バター)
  • cheese(チーズ)
  • salt(食塩)
  • flour(小麦粉)
  • celery(セロリ)
  • spinach(ほうれんそう)

飲み物

最初に紹介した「液体」の一部でもありますが、飲み物も数えられません。

飲み物を表す名詞の例

  • beer(ビール)
  • wine(ワイン)
  • coffee(コーヒー)
  • tea(茶、紅茶)
  • milk(牛乳)

なにかの「総称」になるもの

続いて、なにかの「総称」になるもの、たとえば「食べ物」という言葉も数えられません。

総称を表す名詞の例

  • money(お金)
  • food(食べ物)
  • meat(肉類)
  • produce(野菜類と果物類の総称)

天気に関する空から降ってくるもの

雨や雪のように天気に関する「空から降ってくるもの」も数えられません。

空から降ってくる名詞の例

  • rain(雨)
  • snow(雪)
  • hail(ひょう、あられ)

具体的に形(物体)に表せないものや特定できないもの

具体的に形に表せないものや、特定できないものは当然ながら数えられません。

具体的に形に表せない名詞の例

  • news(ニュース)
  • homework(宿題)
  • equipment(設備)
  • beauty(美、美しさ)
  • help(助け)
  • advice(アドバイス)
  • love(愛)
  • safety(安全)
  • fear(恐れ)
  • anger(怒り)
  • happiness(幸せ)

「news」や「homework」、「help」、「advice」なんて、日本人の感覚だと、1つ、2つ……と数えられそうに思います。

言葉を想像してみたとき、つい、自分で内容を特定して想像してしまいがちですが、英語的には、かな〜り漠然とした言葉なんでしょうね。

【注意】「furniture」は数えられない

ややこしいのが「furniture(家具)」という言葉。これも「数えられない名詞」です。

タカコ

これも日本人の感覚では、「なんで??」と思いますよね……。

この「furniture」という言葉は、日本語で「家具」と訳されることが多いです。

家具といえば、desk(机)、table(テーブル)、chair(いす)、bookshelf(本棚)など。

ですが、本来「furniture」は、「『furnish(家や部屋などに家具などを備え付ける)』された物」という語の成り立ちで、「備えられた必要な物や備品」という意味なんです。

「furnish」の活用
原形 三人称単数 現在分詞形 過去形 過去分詞形
furnish furnishes furnishing furnished furnished

それを指す具体的な物に、「desk(机)」などの家具が含まれるだけで「furniture」=「家具」ではないんです。

「furniture」には、細かく言うと、ほかにも調度品、備品なども含まれます

つい、家の中の家具だけを想像してしまいがちですが、会社に置かれるようなものも含みます。

そうなると、「いろいろ感」が出て、具体的に物(物体)が特定できないので、「数えられない名詞」なのですね。


「可算名詞」と「不可算名詞」の両方がある単語

注意しなければいけないのは、以下の14の不可算名詞です。

数えられることもある不可算名詞

  1. 液体や気体
  2. 素材
  3. 食材
  4. 飲み物

これらは、具体的な種類や物体に対して使う場合は「数えられる名詞」になります。

つまり、一般的な物質として使う場合だけ数えられないのです。

素材としての「glass」は「数えられない名詞」ですが、ガラスコップを表す「glass(グラス)」は「数えられる名詞」になりますよ。

グラスたち(ガラスコップ)
グラスたち(ガラスコップ)
「glass」の2つの意味
可算名詞 グラス(ガラスのコップ)
不可算名詞 ガラス(素材)

ちなみにメガネは、常に複数形で「glasses」と言います。

こういうものは、たまたまスペルが同じなだけの「違う単語」と思った方がいいですね。


まとめ

いかがでしたか?

ややこしい「数えられる名詞」と「数えられない名詞」の考え方ですが、私は恥ずかしながら、語学留学するまで全く意識したことがありませんでした

語学学校で、それを知ったときにはそれはもうびっくりしましたし、辞書の用法に載ってある「 U 」と「 C 」の意味を知って、「目からうろこ」状態でした。

存在には気づいていましたが、「そういうことだったのかー!!」と。

それから(やっと)意識するようになりましたが、コツがわかるまでは本当にややこしく、今でもときどき間違っては夫に教えられています。

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タカコ
アメリカ人の夫との結婚を機に渡米。現在は二児の母として英語に囲まれた環境の中で生活。日本語教育に携わっていたため言語への視点が鋭く、元・英会話教師の夫とのやりとりから生まれる記事が秀逸。
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