わたしは以前、会社勤めをしており、仕事で英語を使っていました。
ところが、それ以前に学習していた英語と、仕事で使う英語は全く違うものだったんです。
いちおう『ビジネス英語』という教材で学習していたにもかかわらず……。
今回、そのギャップを埋めるためのヒントが満載の本を見つけました。
この記事では、『「超」英語独学法』という本をご紹介します。
著者の 野口 悠紀雄 氏について
まず、『「超」英語独学法』の著者である野口 悠紀雄氏についてご紹介しましょう。
野口氏は、本書執筆時点で、一橋大学の名誉教授でいらっしゃいます。
これまでに、次のポストを歴任されている方です。
野口氏が歴任したポスト
- 一橋大学教授
- 東京大学教授
- スタンフォード大学客員教授
- 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授
- 早稲田大学ビジネス/ファイナンス研究センター顧問
超有名大学ばかりですよね。
ご専門は経済ですが、次のとおり、お仕事でバリバリ英語を使ってきたそうです(太字はサトによる)。
私自身は英語そのものの専門家ではない。しかし、実際の仕事の中で英語を道具として使ってきた。外国の研究者と一緒に共同研究をしたり、研究会を開いたり、英語のメールでやりとりをしたりする。(中略)そうした機会がたくさんあった。つまり、私は英語のユーザーだ。
野口 悠紀雄 著『『「超」英語独学法』(2021年 NHK出版)より引用しました。
本書は、英語のユーザーの視点から、主にビジネス英語を身につけるために必要なことが書かれています。
タイトルは『「超」英語独学法』ですが、ビジネス英語がメインですよ!
ビジネス英語を身につけるために必要なこと
前項でご紹介した通り、本書には「主にビジネス英語を身につけるために必要なこと」が書かれています。
具体的には、次の2点です。
ビジネス英語に必要なこと
- ビジネス英語を身につけるにあたって重要な心構え
- ビジネス英語を身につける方法
順番に見ていきましょう。
ビジネス英語を身につけるにあたって重要な心構え
まず、ビジネス英語を身につけるにあたって重要な心構えです。
心構えは、次のとおり3点あります。
重要な心構えとは?
- 独学がベストの方法である
- 話す練習よりも聞く練習を重視する
- 仕事で重要なのは書くことである
1点ずつ、解説しますね。
独学がベストの方法である
まず、ビジネス英語を身につけるには、独学がベストの方法であるということです。
野口氏は、本書で次のとおりおっしゃっています(太字はサトによる)。
会社の仕事を取引先の相手に説明する、あるいは新しい事業を展開する際に、その事業がどういうものかを説明する。そうした状況では、たくさん専門用語が出てくる。そして専門用語が正しく使われていれば、何を話したいかが相手に伝わる。
分野固有の専門用語や独特の表現を学ぶには、その分野の専門書を教科書として独学するか、専門分野で英語を日常的に使っている人を教師とする他はない。
野口 悠紀雄 著『『「超」英語独学法』(2021年 NHK出版)より引用しました。
この点には共感しかありません。
わたしは以前、自動車部品のメーカーで働いており、海外のスタッフと英語でやり取りする機会が多くありました。
そして『ビジネス英語』という教材で学習もしていたのですが……。
特定の自動車部品に関係のある用語(言ってみればマニアックな用語)まではカバーできませんでした。
この点は英会話学校に通っても同じことですね。
英会話学校の先生がたまたま同じ業界での経験があるならカバーできるかもしれませんが、確率はかなり低いでしょう。
なので、ビジネス英語を身につけるには独学がベストということですね。
例外はオンライン英会話。
野口氏も本書で指摘されていますが、オンライン英会話なら、先生を職務経験で検索できるのでオススメです。
オンライン英会話の比較はこちらにあるので、ご参考に!
話す練習よりも聞く練習を重視する
心構えの2点目は、話す練習よりも聞く練習を重視するということ。
理由は、次のとおりです(太字はサトによる)。
外国で仕事をする場合も留学する場合も、「話す」機会より「聞く」機会のほうが圧倒的に多い。しかも、話す場合には内容を自分でコントロールできるが、相手の話を聞く場合には内容をこちらでコントロールすることはできない。
野口 悠紀雄 著『『「超」英語独学法』(2021年 NHK出版)より引用しました。
引用部分の中で、特に重要だと思うのは後半部分です。
確かに相手が使う英語はなかなかコントロールできません。
特にビジネスの場面だと「自分が分かることばと文法だけで話してください」なんて、言えませんよね。
わからないときに聞き返すこともできますが、それも限度がありますし。
なので、話す練習よりも聞く練習を重視したほうがいいということです。
仕事で重要なのは「書くこと」である
心構えの3点目は、仕事で重要なのは「書く」ことであるということ。
理由は、次のとおりです(太字はサトによる)。
仕事で英語を用いようとするとき、最も重要なのは、「書く」ことなのである。インターネット時代になって、 メールを使ったコミュニケーションが増えたため、この傾向はますます強まっている。
(前略)新型コロナウイルスの感染拡大によって、 在宅勤務(リモートワーク) が急速に広がった。それは、全世界的な広がりを持つ変化である。 そうした場合に、 ビデオ会議だけで用がすむはずはない。必ず文書のやりとりがあるはずだ。
野口 悠紀雄 著『『「超」英語独学法』(2021年 NHK出版)より引用しました。
メールでのやり取りが以前から多くなっているのは確かでしょう。
わたしが会社勤めをしていたのは10年以上前の話ですが、当時も基本的にはメールしか使っていませんでした。
それに加えて、ビデオ会議の普及に伴い、議事録など英語の文書を作る機会も増えていくということですね。
「仕事で重要なのは書くこと」というのも、うなずけます。
ビジネス英語を身につける方法
では、ビジネス英語を身につけるには、どうすればいいのでしょうか。
本書で重要とされている「聞く」練習と「書く」練習について、かんたんにご紹介しましょう。
聞く練習
「聞く」練習について、具体的には、たとえば次のような方法が提案されています。
聞く練習の例
- 発音のルールを知る
- 興味のあるものや専門に近い内容のものをくり返し聞く
- シャドーイングをする
それぞれ、詳しくは本書をご参照ください。
ちなみに、1点目の発音のルールについても本書でひととおり学べますが、『5つの音声変化がわかれば英語はみるみる聞き取れる』という本でしっかり学習するのもオススメです。
書く練習
「書く」ことについては、例えば次の練習が提案されています。
書く練習
- モデルになる文章を暗記する
- 添削サービスを利用する
- 日本のオンライン新聞の英語版(特に社説)を活用する
個人的に、特に3点目は役に立ちそうだと思っています。
なぜ社説がいいのか、具体的にどう活用するのかは、本書をお読みください。
その他にわかること
本書は主にビジネス英語を身につけるために必要なことが書かれています。
その他に、次のようなこともわかるんですよ。
他にわかること
- 英語学習を継続させるヒントとは?
- 学習を「おもしろい」と感じるために必要なこととは?
- 受験英語に教科書の丸暗記が有効な理由とは?
3点目について少しコメントすると、わたしも、教科書の短文を暗記しまくって受験を乗り越えました。
野口氏は教科書を全部丸暗記することを提唱しているので、全く同じ方法ではないのですが、丸暗記という点では同じです。
ただ、この方法が万人に効果があるかと言うと、疑問です。
実際、わたしは英語の家庭教師をしたこともあるのですが、丸暗記でうまくいった生徒とそうでない生徒もいましたので。
一度試してみて、うまくいかなければ他の方法を試すのがいいでしょう。
まとめ
この記事では、『「超」英語独学法』という本をご紹介しました。
本書ではビジネス英語を身につけるための心構えと方法がわかります。
心構えは、次のとおり。
重要な心構え
- 独学がベストの方法である
- 話す練習よりも聞く練習を重視する
- 仕事で重要なのは「書く」ことである
聞く練習と書く練習については、次のとおりでした。
聞く練習の例
- 発音のルールを知る
- 興味のあるものや専門に近い内容のものをくり返し聞く
- シャドーイングをする
書く練習の例
- モデルになる文章を暗記する
- 添削サービスを利用する
- 日本のオンライン新聞の英語版(特に社説)を活用する
本当に職場で使えるビジネス英語を身につけるために、ぜひ本書を手に取ってみてくださいね!
英語の勉強にオススメの書籍はほかにもいろいろあります。
次の記事にわかりやすくまとめたので、ぜひご参考に!!