日本語で言いたいことを英語で表現するのって、難しいですよね。
直訳できないことばもたくさんありますし。
特に、「どきどき」や「あっさり」などの「オノマトペ」は、英語にするのにひと工夫が必要です。
そこでオススメするのが『英語でオノマトペ表現』という本です。
この記事では『英語でオノマトペ表現』がどんな本かを書評として紹介します。
目次
オノマトペとは?
まず、本書のタイトルにある「オノマトペ」についてかんたんに解説しておきます。
「オノマトペ」は、物の音や様子を表すことばです。
大きく「擬音語」と「擬態語」があります。
学校で習った記憶があるなあ、と思ったかもしれませんね。
特徴や例を表にまとめると、次のとおりになります。
特徴 | 例 | |
---|---|---|
擬音語 | モノの音を表す | 「どきどき」「ざあざあ」など |
擬態語 | モノの様子を表す | 「あっさり」「がっしり」など |
日本語はこの「オノマトペ」、特に「擬態語」がものすごく豊富なんですよ。
本書には、次のとおり書いてあります。
英語のオノマトペの多くは、実際の音を言葉で表現する擬音語です。(中略)しかし、 日本語のオノマトペはもっと幅広く使える 点が大きな特徴です。(中略)音のないものに使える擬態語が非常に豊富にあるからです。
ルーク・タニクリフ著『英語でオノマトペ表現』(2021年 アルク)
なので、日本語のオノマトペ(特に擬態語)のニュアンスを英語で伝えるためにはひと工夫が必要になります。
直訳ができないので!
そこで、本書の出番というわけですね。
では、本書の著者はどんな方なのでしょうか。
著者のルーク・タニクリフ氏について
ここでは、本書の著者であるルーク・タニクリフ氏(以下、「ルーク氏」)についてご紹介しましょう。
ルーク氏は、次のような経歴をお持ちです。
ルーク氏の経歴
まとめると、英語のネイティブスピーカーとして日本の英語教育に関わってきたわけですね。
そんなルーク氏は、日本語も自在に操ります。次の動画をご覧ください。
本書は、日本語が堪能な英語のネイティブスピーカーが書いたので、信頼度バツグンです!
本書『英語でオノマトペ表現』の良い点
では、本書にはどんな良い点があるのでしょうか。
3点、ご紹介しますね。
順番に見ていきましょう。
機能別にオノマトペを整理しているので、わかりやすい
まず、本書では機能別にオノマトペを整理しているので、わかりやすいんです。
どう整理しているかと言うと、大きくは次のとおりです。
本書のオノマトペの整理方法
- 動作を表すオノマトペ
- 心の動きを表現するオノマトペ
- 感覚を表現するオノマトペ
- 様子・状態を表すオノマトペ
- いろいろなオノマトペ
このように大きく5つに分けた上で、さらに細かく整理しています。
たとえば、「動作を表すオノマトペ」は、次の8つに分かれているんですよ。
1見る | 「じろじろ」「ぼんやり」など |
---|---|
2歩く | 「きびきび」「よろよろ」など |
3食べる | 「ちびちび」「がつがつ」など |
4飲む | 「ちびちび」「ごくごく」など |
5話す・書く・読む | 「ぺらぺら」「はっきり」など |
6考える・分かる | 「じっくり」「くよくよ」など |
7くつろぐ・過ごす | 「のんびり」「まったり」など |
8眠る | 「ぐっすり」「うとうと」など |
上の「例」はほんの一例で、「動作を表すオノマトペ」だけで50を超えるオノマトペを取り扱っています。
かなりの数ですよね。
本書が「わかりやすい」とは?
ところで、先ほど、本書の良い点として「機能別にオノマトペを整理しているので、わかりやすい」と書きました。
この「わかりやすい」というのは、どういうことなんでしょう。
たとえば、先ほどの表の中に、「ちびちび」が2回出てきたのにお気づきでしょうか。
実は、「食べる」「飲む」それぞれに「ちびちび」が登場していたんです。
なぜかというと、「ちびちび食べる」と「ちびちび飲む」は英語では区別されるからです。
他にも、「さくさく」というオノマトペが取り上げられています。
本書では、「さくさく仕事が進む」と食感の「さくさく」はそれぞれ別に取り扱っているんです。
このように、単に日本語が同じだからという理由で一緒にせず、機能でしっかり分けて解説してくれているんですね。
なので、「わかりやすい」というわけです。
英語の発想がわかって、レベルアップできる
本書の良い点の2つ目は、英語の発想がわかって、レベルアップできる点。
というのも、オノマトペをいろいろな方法で日本語にしているからなんです。
どんな方法で英訳しているんでしょうか。
本書には、次のように書いてあります。
英語では、比喩表現やイディオム、副詞、動詞などで言い換えられることが多い(後略)
ルーク・タニクリフ著『英語でオノマトペ表現』(2021年 アルク)
「比喩表現」「イディオム」「副詞」「動詞」と、主に4種類の方法があるんですね。
本書にある例を見てみましょう。
日本語のオノマトペ | 本書の英訳 | |
---|---|---|
比喩表現 | のろのろ(歩く) | walk at a snail’s pace |
イディオム | ぺらぺら(外国語などを話す) | have a good command of〜 |
副詞 | すらすら(書く) | easily |
動詞 | ぺちゃくちゃしゃべる | chatter |
日本語のオノマトペを英語にするには、これだけの工夫が必要なんですね。
ちなみに、「比喩表現」の「walk at a snail’s pace」は、「カタツムリのペースで歩く」という意味です。
また、「のろのろ」「ぺらぺら」「すらすら」の動詞には「(歩く)」のようにカッコをつけていますが、「ぺちゃくちゃしゃべる」にはカッコがありません。
これは「chatter」だけで「ぺちゃくちゃしゃべる」という意味になるからなんです。
バラエティ豊かでおもしろいですよね!
しかもこれはすべて、英語のネイティブスピーカーが「自然」だと思える表現。
こういう英語を使えるようになれば、英語力がワンランクアップすることは間違いありません。
小話もおもしろく、記憶に残る
本書の良い点、3つ目は小話がおもしろく、記憶に残る点です。
授業で先生がしてくれた「横道にそれた話」が記憶に残るような感覚です。
たとえば、こんな話があります。
がばがば飲むときに、gulpをよく使います。ちなみに、アメリカのコンビニでは、XLサイズのソーダはBig Gulpとよく呼ばれています。
ルーク・タニクリフ著『英語でオノマトペ表現』(2021年 アルク)
わたしはこれで「gulp」を覚えましたし、なかなか忘れられないんじゃないかと思っています。
また、本書では「コラム」として、次の内容が取り上げられています。
本書のコラム
おもしろくて、役に立ちそうなタイトルが並んでますよね。
いちばん印象に残っているのは、「英語の擬音語のルール」にあった次の内容です。
whiff-whaffもping-pongも、(中略)(畳語の母音交替のルール)に従っています。畳語とは、(中略)「繰り返し言葉」のことです。英語の畳語では、母音の順番として、(中略)「i→a」または「i→o」の順番になる、というルールがあるのです。
ルーク・タニクリフ著『英語でオノマトペ表現』(2021年 アルク)
「whiff-whaff」も「ping-pong」も「卓球」を意味するそうですが、母音のルールがあったなんてまったく知りませんでした。
正直なところ、コラムだけでも、本書を読む価値はあります。
ぜひ手に取ってみてくださいね。
本書を無料で読む方法を、後ほどご説明しますので♪
本書『英語でオノマトペ表現』の注意点
ここまで本書の素晴らしい点をご紹介してきましたが、注意点も1つだけ挙げておきます。
それは、本書では英語の発音がわからないことです。
発音記号が載っておらず、音声ファイルもないので……。
まあ、今はインターネットでいくらでも音声が聞ける時代です。
ここは自分でカバーしましょう!
次の方法で本書を使えば、音声を調べるのもそんなに手間にならないはずです。
『英語でオノマトペ表現』のオススメの使い方
ここでは、本書のオススメの使い方をご紹介します。
正直、英訳をひとつひとつをぜんぶ覚えるのはなかなか骨が折れます。
というのも、本書にはぜんぶで600もの英語表現があるからです!
ひとつひとつ覚えるよりも、自分が使いそうなオノマトペだけを覚えていくといいでしょう。
たとえば、オンライン英会話で毎回天気の話をするなら、天気についてのオノマトペを重点的に覚えるとか。
もしくは、話し相手がいなくても、ふだんの生活で「あっさり」と言ったときに英語でどう言うか調べるとか。
本書には「索引(さくいん)」もあるので、日本語から英語を探すのもラクラクです!
そうやって少しずつ使える表現を増やしていきましょう。
本書を【無料】で読む方法?!
こんな素晴らしい本ですが、今なら無料で読む方法があります。
それは、Kindle Unlimitedの無料体験です。
Kindle Unlimitedは、Amazonの電子書籍読み放題サービスですが、本書も読み放題対象です!!
無料体験も30日間という太っ腹ぶりです。
スマホやPCのアプリでも読めますし。
ただし、読み放題対象は入れ替わりが激しいので、気になるなら早めに読んでおきましょう。
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まとめ
この記事では、『英語でオノマトペ表現』という本をご紹介しました。
本書の良い点は、次のとおりでしたね。
本書の良い点
- 機能別にオノマトペを整理しているので、わかりやすい
- 英語の発想がわかって、レベルアップできる/li>
- 小話もおもしろく、記憶に残る
注意点は「発音がわからない」ことでしたが、ネットで調べればカバーできます。
まずはKindle Unlimitedの無料体験で、気軽に読んでみてくださいね!
英語の勉強にオススメの書籍はほかにもいろいろあります。
次の記事にわかりやすくまとめたので、ぜひご参考に!!