インドネシア在住の私は、普段はインドネシア語だけで生活しています。
まれに英語を使うこともありますが、インドネシア人が話す英語の発音には特徴があるのです。
今回は、そんなインドネシア人的英語「Indolish」の特徴を3つご紹介します。
インドネシア人の話す英語の特徴
それではインドネシアの英語の発音の中でも特に顕著な特徴を3つ紹介します。
以下、便宜上、インドネシア人的英語を「Indolish」として話を進めます。
[ v ]は[ f ]で発音する
インドネシア人の話す英語の特徴の1つ目は、[ v ]の発音は[ f ]の発音になることです。
例を挙げるとこういう単語です。
[ v ]の付く単語の例
これを、Indolishの発音をカタカナで書くと次のようになります。
発音の変化
このように、[ v ]の発音が[ f ]の発音に変化するのです。
[ f ]の発音方法はこのイラストをご参照ください。
実は、[ v ]も[ f ]も、口の中の構えは同じです。
違いは声帯振動(のどの震え)があるかないかだけです。
こちらの英語の清音・濁音という記事も参考になりますよ。
[ θ ]は[ t ]で発音する
インドネシア人の話す英語の特徴2つ目は、[ θ ](TH の発音)を[ t ]の発音で発音すること。
例を挙げると、こちらです。
[ θ ]のつく単語例
この[ θ ]の発音がIndolishになると[ t ]の発音になります。
[ θ ]が[ t ]に
[ θ ]は舌を上下の前歯の間に舌の先を入れて発音するのですが、日本語のように、インドネシア語にも同じ発音がないのです。
ちなみに、携帯のオペレーターで「3」という会社がありますが、ここのアドレスは「tri.co.id」です。
「3」はインドネシア語で「tiga」。「tri」も「3」を意味しますが、単独では使われないことになっています。
使うとすれば、「triatlon」(トライアスロンのインドネシア語)などですね。
さらに余談ですが、携帯のSIMカードなんかを売っている店の前に、「TREE 1GB」と書いてある看板を発見!
「樹木1GB」ってどんなインターネットプランなのかとおもわれそうですが、これは「three」→「tri」→「tree」になったものと思われます。
なお、語末の[ θ ]も[ t ]になるのですが、これは「寸止め」になります。
舌は[ t ]を発音する位置に持って行きますが、その舌を離さずに発音。
たとえば、「breath」や「death」だと次のように発音します。
「寸止め」の例
ちなみに、語末の[ t ]の発音が消失するのは、アメリカ英語も同じです。
[ æ ]は[ e ]の発音になる
最後に紹介するのは母音の例です。
[ a ]と[ e ]を足したような見た目の[ æ ]の発音がIndolishでは[ e ]の発音に変化します。
たとえば「bank」「happy」「land」の「 a 」の発音が[ æ ]です。
例
カタカナに直すと、ア段(アカサタナ……)になりますね。
これがIndolishでは「エ段(エケセテネ……)」になるのです。
例
またしても携帯ネタですが、昔、携帯のオペレーターで「hepi」という会社もありました。
これは「happy」がインドネシア風になったものでしょう。
ちなみに「ベン(ク)」「レン(ド)」と、語末に( )で表記したのは、閉音節だからです。説明は省きますが、気になる方は閉音節と開音節についてをどうぞ!
まとめ
以上、日本人からしたら笑ってしまう発音もあったかもしれませんが、インドネシア人の学生に英語のカタカナ表記(日本語)を説明するとだいたい笑われます。
それは、純粋にことばの違いに対して「おもしろい!」と、楽しんでいるような笑いです。
インドネシア人にとっても、日本人にとっても、英語は母語ではありません。
発音すると母語にある音に近くなってしまうのはお互いさま。
単純に言語的に「わかりあえる」ということも大切ですが、この「お互い苦労するよね」というところも「わかりあえる」と、Indolish話者と素敵な関係を築けるかもしれません。