「英語の勉強」と聞くと「……ううっ」と思う人もいるかもしれませんね。
でも英語学習は、勉強方法を工夫をすることで効果が高くなります。
単語の「語呂合わせ」などはよく使われる方法ですが、他にもいろいろあるのです。
そういった「勉強する方法」を専門的には「学習ストラテジー」と呼びます。
この記事では「学習ストラテジー」を大きく6つに分類して解説します。
目次
学習ストラテジーとは?
では、「学習ストラテジー」とはどのようなものなのでしょうか。
「ストラテジー」は英語の「strategy(戦略・方略)」のことです。
そのため「学習ストラテジー」の意味は「学習をうまく進めるための方略」のことです。
日本語教育能力検定試験の対策のための本には、次のように書かれていました。
学習を進める上で、個人がとる方略。レベッカ・オックスフォード(Rebecca Oxford)の説では、学習に直接関わる直接ストラテジーと、学習を間接的に支え習得のための条件を整える間接ストラテジーの2つに大きく分けられる。
ヒューマンアカデミー著『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 分野別用語集』(2018年 翔泳社)
ここで言う「学習」は「言語の学習」のことです。
この説明を読むと「難しそう……」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
例えば、英単語を覚えるときに、ひたすら反復したり、語呂合わせを利用したりするのも、学習ストラテジーです。
知らず知らずに英語の勉強をするときに「学習ストラテジー」を使っているんですね!
では次項から、こちらの2種類の「学習ストラテジー」について詳しく説明していきます。
直接ストラテジー
まず紹介するのは、「直接ストラテジー」です。
学習に「直接関係がある」ということですが、少しわかりづらいと思うので例を見てみましょう。
「直接ストラテジー」をさらに3つに分類するとこちらの3つになります。
順に解説していきますね。
記憶ストラテジー
「直接ストラテジー」の1つ目は、「記憶ストラテジー」です。
これは想像しやすいと思うのですが、何かを覚えるためのストラテジー(方略)ですね。
たとえば、英単語を覚えるためのストラテジーには、次のようなものがあります。
単語を覚えるための方略
- ひたすら反復する
- 語呂合わせを利用する
- 語源を利用する
英単語を覚える方法について、詳しくは、「英単語の覚え方は? 効率的に暗記する方法まとめ」という記事をお読みください。
認知ストラテジー
2つ目の「直接ストラテジー」は、「認知ストラテジー」です。
まずは「認知ストラテジー」ということばから解説していきましょう。
英語では「cognitive strategy」と言うのですが、「cognitive」については、次のような定義があります。
connected with mental processes of understanding
Oxford Learner's Dictionariesより引用しました。
日本語にすると、「頭の中で(何かを)理解するプロセスに関係のある」といったところでしょう。
なので「認知ストラテジー」は、いわば「理解を助けるストラテジー(方略)」ということです。
たとえば、次のようなものがありますよ。
認知ストラテジーの例
- 英語を日本語に翻訳する
- 日本語と英語を比べて分析する
- 英文を要約する
- 文法の分かりにくい説明を自分のことばでノートに書きなおす
- 英語のフレーズなどを覚えて使う
どれも理解を助けてくれそうですが、最後の「フレーズなどを覚えて使う」は、「理解を助ける」とあまり結びつかないかもしれませんね。
わたしは「使っているうちに理解が進む」ため、認知ストラテジーに入っていると解釈しています。
補償ストラテジー
直接ストラテジーの最後は、「補償ストラテジー」です。
「補償」も分かりにくいかもしれませんが、「補」という漢字があるので、何かを補うものですね。
「補償ストラテジー」は、言語能力の足りない部分を補うストラテジーなんです。
たとえば、次のような例があります。
補償ストラテジーの例
- 分からない単語の意味を文脈から推測する
- ジェスチャーを使う
- 自分がついていけない話題は避ける
- 英語で言えないことばを日本語で言う
- 聞き取れなかったときに聞き返す
これ、実は「コミュニケーション・ストラテジー」と重なる部分があるんですよ。
「コミュニケーション・ストラテジー」は、コミュニケーションがうまくいかないときに、何とかコミュニケーションを進める方法のことです。
念のため、「コミュニケーション・ストラテジー」はコミュニケーションが目的で、「学習ストラテジー」は学習が目的です(そのままですが)。
ただ、「コミュニケーション」をしながら「学習」をする場合もあるので、はっきりと区別するのは難しいんじゃないかと個人的には思います。
ここまで、「直接ストラテジー」について見てきました。
次の3つでしたね。
- 記憶ストラテジー
- 覚えやすくするためのストラテジー
- 認知ストラテジー
- 分かりやすくするためのストラテジー
- 補償ストラテジー
- 言語能力を補うためのストラテジー
どれも学習に「直接」関係がある……のですが、まだ分かりにくいかもしれません。
そこで、学習と「間接」的に関係があるストラテジーを見てみましょう。
間接ストラテジー
ここからは、学習と間接的に関係がある「間接ストラテジー」について解説します。
間接ストラテジーも、直接ストラテジーと同じく3つあるんですよ。
間接ストラテジー
順に見ていきましょう。
メタ認知ストラテジー
まず、「メタ認知ストラテジー」です。
さっぱり意味がわからないんですけどっ?!
「メタ認知ストラテジー」とは、自分の学習を客観的に見るストラテジーです。
例としては、次のようなものがあります。
メタ認知ストラテジー
- 何のために英語を学習するのかを明確にする
- 英語学習の計画を立てる
- 学習が計画どおりに進んでいるか評価する
自分が自分のコーチになる(セルフコーチング)イメージ、とも言えますね。
英語学習のセルフコーチングについて詳しく知りたい場合は、『超コーチング式英会話上達法~「学習が続かない」をついに解決! 』という本がオススメです。
情意ストラテジー
間接ストラテジーの2つ目は、「情意ストラテジー」です。
「情意」も難しそうなことばですが、気持ちを大切にするストラテジーとも言えます。
例としては、次のとおり。
情意ストラテジーの例
- 深呼吸や瞑想などをして、落ち着いた気持ちで英語を学習する
- 「自分はできる、大丈夫」などと自分に言い聞かせ、ポジティブな気持ちになってから学習する
- 英語を学習しているときなどの気持ちについて、他の人と話し合う
など
学習自体にばかり気を取られるのではなく、学習のときの気持ちも大切にしたいものですね。
社会的ストラテジー
間接ストラテジーの最後は、「社会的ストラテジー」です。
これは、人間関係を活用するストラテジーとも言えます。
たとえば、次のようなものがあるんですよ。
社会的ストラテジーの例
- 英語が得意な人に質問する
- 友だちと協力して学習する
質問したり協力したりというのは、当然オンラインでもできるので、SNSを活用するのもいいでしょう。
外国語学習にSNSを活用する方法を知りたい場合は、『もう学校も先生もいらない!? SNSで外国語をマスターする《冒険家メソッド》』という本がオススメですよ!
ここまで、3つの「間接ストラテジー」を見てきました。次のとおりですね。
- メタ認知ストラテジー
- 自分の学習を客観的に見るストラテジー
- 情意ストラテジー
- 気持ちを大切にするストラテジー
- 社会的ストラテジー
- 人間関係を活用するストラテジー
「客観的」とか「気持ち」とか「人間関係」というのを見ると、「学習に間接的に関係する」というのもお分かりいただけたのではないでしょうか。
そして、「間接ストラテジー」を見たあとは、「直接ストラテジー」が「学習に直接関係する」という意味も、わかりやすくなっていると思います。
まとめ
この記事では、学習ストラテジーについて解説しました。
もしまだ活用していないストラテジーがあれば、ぜひ試してみてくださいね!