私事ですが、しばらく前に父が他界しました。
現実的な話ですが、一般的に、遅かれ早かれ預貯金等の相続手続きをしますよね。
母から連絡があり、私は日本での住民登録がない(住民票を抜いている)ので、大使館や領事館が発行してくれる「署名(および拇印)証明書(以下、署名証明とします)」が必要だと言われました。
今回は日本での住民票のない人が「署名証明」を取るために必要な手続きについてまとめました。
目次
相続手続きで「署名証明」が必要な場合
相続の手続き……
考えるだけで「ややこしい」と思ってしまいますが、特に親が亡くなったときは、避けることができません。
預貯金の場合、金額が少なければ、金融機関によって略式になることもありますが、遺言書がない一般的な場合であれば、相続人の印鑑登録証明書(以下、印鑑証明とします)が必要です。
私は、渡米前に住民票を抜いてきたので、日本に住民登録がありません。
ではどうするかというと、外国に住んでいて日本に住民登録がない場合は、印鑑証明の代わりに「署名証明」がいるのだそうです。
「署名証明」はどうやって発行してもらう?
じゃあ、その「署名証明」はどうやって発行してもらうのでしょうか?
私も今回のことがあるまで、そんな証明書があることも、どんなものなのかも、どうやって発行してもらうものなのかも、ぜんぜん知りませんでした。
母からの情報によると「署名証明」は、大使館や領事館で発行してくれるということらしいのです。
ちなみに、私が住んでいる地域の領事館は、車で4時間ちょっとのところにあります。距離にして約450キロ。
領事館に電話をする
さっそく電話してみました。
署名証明が必要なんですけど、どうしたらいいですか?
普通は、こちらに出向いてきていただいての発行になります
(あぁ、やっぱり……。車で4時間ちょっと。わざわざ行かないといけないのか……)
……と思っていたら
ちなみにどちらにお住まいですか?
○○(住んでいる町)です。
12月の上旬にその地区対象の出張サービスがあります。ご利用されますか? 予約の締め切りが2日後ですけど。
おぉ、なんてラッキー!!
遠隔地に住む人を対象に、年に何回か出張サービスをしてくれるのですが、ちょうどその時期だったのです。
もちろん、さっそく予約することに。出張サービスのある会場まででも1時間くらいかかりますが、4時間に比べると「何でもない」距離に思えます。
その後、領事館から、あらかじめ申請にあたって必要な様式や用意しないといけないものリストが届きました。
申請に必要なもの
必要だったものは、
最初の3つは、本人確認できる証明書ですね。
申請に行った当日は、私が記入した書類に公印を押してもらうはずなのですが、出張サービスでは公印を持ち出すことができないので、後日返送してくれます。
返信用封筒はアメリカの郵便局(USPS)のPRIORITY MAILの封筒に「TRACKINGナンバー(追跡番号)」を先につけてもらい、6.45ドル分の切手を貼りました。
最後の「手数料」は、為替の関係で毎年変動します。
2種類ある「署名証明」
届いた様式に目を通していると、「署名証明」にも形式が2種類あることがわかりました。
様式にあった言葉をそのまま使うと、「貼付型」と「単独型」です。
- 貼付型の署名証明
- 署名をする必要のある書類に、申請人が署名したことを証明する形式です。お手持ちの書類に、大使館(総領事館)の証明が貼付されます。
- 単独型の署名証明
- 日本の市町村役場で発行される印鑑証明のように、申請人の署名および拇印であることを、一枚の証明書として発行します。
(※ 文言は、申請書に載っていたものです)
私の場合は……
私の希望
どちらにも当てはまりそうな気がします……。
もともと「署名証明」がどんなものか、見たこともないので、混乱してしまいました。
さっそく、領事館に電話してみると、「日本から送ってもらった書類がある場合は『貼付型』です」と。
署名証明とは
「貼付型」は、領事館の職員さんの前で日本から送ってもらった書類に署名し、その紙に「署名証明」を貼り付けて、公印で割印をしてくれるのだそうです。
要は、「署名証明」というものは……
「署名証明」とは?
「この様式に本人が自署をしたもので間違いないよ」と、領事館の方が証明してくれるもの
なんですね。はぁ、なるほど……。
母から送ってもらった「私が署名しないといけない書類」があるし、「貼付型」でいいのかな……と思っていると、証明書1通につき14ドルかかることが判明。
日本からの書類は2枚あったのです。本当にそれぞれの書類に貼り付けないといけないのかな?
「単独型」1通で使い回せるなら14ドル、「貼付型」2通なら28ドル。
14ドルの違いは大きい……。
相続の手続きにいるのは「単独型」
普通なら「印鑑証明」ですむところ、その代わりに「署名証明」が必要なのです。
金融機関等の「相続手続きの依頼書」は、相続人が、自署+実印の押印はしますが、印鑑証明書に自署をしたという証明の効力はぜんぜんありません。
もっと言うと、「相続手続きの依頼書」は、相続人全員が自署したものですが、自署を証明するものは何もないのです。
そう考えると、「相続手続きの依頼書」には、「自署したものという証明がなくてもいい」のだと思いました。
念のため、提出する金融機関に確認すると、すったもんだ調べてくれた結果、やはり「単独型」で問題ないとのこと。
確認してよかった……。14ドルの節約ができました。
ちなみに、これに気づいたのは、出張サービスの前日。アメリカと日本は、昼と夜が逆転しているくらいの時差があるので、本当に時間ギリギリでの確認でした。
余裕をもって用意することの大切さを、改めて感じました。
無事届いた証明書
初めてのことで、いろんなところでたくさんつまずきましたが、先日、無事に証明書が送られてきました。
週末を挟んでも1週間以内でした。さすが、日本のお役所は仕事が早いです。
証明書には、こんな文言が載っています。
書かれている文言
以下身分事項等記載欄の者は、本職の面前で以下の署名欄に署名(及び拇印を押捺)したことを証明します。
それとともに、次の情報が載っています。
記載されている情報
- 私が自書した氏名
- 生年月日
- パスポート番号
まとめ
「署名証明」は2種類あります。私の場合は、「単独型」ですみましたが、目的によっては「貼付型」が必要な場合もあります。
自分はどっちの形式が必要なのか、書類を提出する先に必ず確認しましょう。
海外に住んでいる人との取引が多い会社や金融機関ならいいのですが、そうでない場合はすぐに返事をもらえない場合もあります。
時間に余裕をもって準備されることをおすすめします。
最後の最後に余談ですが、相続手続きに必要な公的書類は、1通ずつあれば、金融機関や保険会社でコピーしてくれるところが多いです。
※原本を持ち込み、コピーしてもらい、原本を返却してもらいます(コピーを持ち込むのは無効です)
複数の金融機関や保険会社に取引がある場合は、事前にコピー対応してもらえるか確認しましょう。少しでも費用を節約できます。