前回はサブスク(subscribe)の語源から「sub(下に)」と「scribe(書く)」を紹介しました。
語源で覚える英単語シリーズ4回目である今回は「ディスる」ということばを例に挙げましょう。
「ディスる」の元である「disrespect(ディスリスペクト)」という単語を紹介し、その語源を活用して覚えられる英単語を紹介します。
語源については、いろいろな説がありますが、この記事ではわかりやすいものを優先しています。また、覚えやすさを重視しているので、解釈は「英語びより」独自のものになっていることがあります。
「ディスる」の語源とは?
日本語の「ディスる」は「否定する」「非難する」という意味です。
以前は「disる」という表記のほうが多く使われていましたね。
では「ディスる」の語源を見てみましょう。
「ディスる」の由来
「ディスる」は、どんな言葉が由来でしょうか?
英語の「disrespect」という名詞が由来です。
「disrespect」の意味
「disrespect」の意味は、Oxfordが英語学習者用に作った辞書には次のように書かれています(太字はサトによる)。
to speak about or treat somebody/something without respect
Oxford Learner's Dictionariesより引用しました。
日本語にすると、「誰か/何かについて敬意を払わずに話す、または取り扱う」となります。
「disrespect」の成り立ち
「disrespect」を分解すると3つの部分に分けられますが、まずは2つに分けて理解することにしましょう。
「dis(否定)」+「respect(尊敬する)」
「disrespact」は、こちらのように2つに分けられます。
2つに分解
- dis
- respect
後ろ側の「respect」ですが、日本語でもおなじみの「リスペクト(尊敬・敬意)」です。
そして、「disrespect」になると「敬意を払わない」という反対の意味になるということは?
「disrespect」の「dis」は「否定」の意味を表してるってこと!?
……はい、そのとおりです!
否定の他に、「離れて」という意味もあります。
上のイラストのように、「 i 」さんのことを否定して(嫌いになって)「 d 」と「 s 」が離れていっているイメージで覚えましょう。
「離れる」というイメージも、「否定」と通じるものがありますよね。
語源「dis」の意味
離れて・否定
「常識とはかけ離れた行動」という例を考えるとわかりやすいと思います。
dis+respect
disrespect
尊敬しない
敬意を払わない
「re(後ろに)」+「spect(見る)」
そして、「respect」は、さらに2つに分かれるのです。
re+spect
respect
後ろを見る
尊敬する
「re」は「後ろに」という意味ですが、こちらのイメージで覚えてください。
「 e 」が後ろを振り返ると「 r 」の影が!
語源「re」の意味
再び・後ろに・元に
「spect(見る)」はこちらのイメージです。
視力検査をしているイメージで「見る」と関連付けて覚えてください。
語源「spect」の意味
見る
「後ろを見る」というところから、「尊敬する」という意味になっています。
少しわかりづらいかもしれないので、こんなシーンを想像してみてください。
王様(社長)が車の後ろに座っていて、運転手が後ろを振り返って尊敬の眼差しで見ている。
これはあくまで例です。どんなシーンでも「後ろを見る」と「尊敬する」が結びつけばいいので。
それでは、次に、「dis」「res」「pect」が入った英単語をご紹介しますね。
以下で取り上げる英単語は、Oxfordが英語学習者用に作成した英単語のリストに載っているものです(一部除く)。
「dis」で始まる英単語
まず、「dis」で始まる英単語です。
「dis」の意味は、次のとおりでしたね。
「dis」の意味
- 否定(〜ではない)
- 離れている
ここでは、「dis」で始まる英単語を3つご紹介します。次のとおりです。
disgust(気分を害する)
まず、「disgust」です。
「disgust」は「(人の)気分を害する」という意味ですが、どうしてこんな意味になるのでしょうか。
「disgust」を分解してみましょう。
dis+gust
disgust
(期待の)味から離れている
気分を害する
「gust」には「味」という意味があります。
上のイラストのように、「 u 」が舌になっているイメージで覚えてください。レストランの「ガスト」で覚えるのもいいですね。
期待している味と違う料理を食べたときの気分を想像すると、「気分を害する」と結びつきやすいでしょう。
レストランの「ガスト」は、スペイン語の「gusto(おいしい)」から来ているんだそうです。
なので、「disgust」→「おいしくない」→「気分を害する」と覚えるのもアリです。
結局は、覚えたもの勝ちですので! 柔軟に行きましょう。
distance(距離)
次にご紹介するのは、「distance」という英単語です。
「距離」という意味ですが、この単語も分解して見てみましょう。
「stance」は「立つこと」という意味になります。
「stance」の文字ががんばって立っているイメージで覚えましょう。
そして「dis」が「離れて」という意味なので、分解すると次のようになります。
dis+stance
disstance
離れて立つ
距離
「離れて立つ」から「距離」という意味が生まれたんですね。
「dis」+「stance」で「disstance」になりそうですが、「distance」の「s」は1つです。
ちなみに、「stance」は「stand(立つ)」に似ているので覚えやすいかと思います。
disease(病気)
「dis」で始まる英単語、3つ目は「disease」です。
「病気」という意味の単語ですが、例によって分解してみましょう。
dis+ease
disease
楽な状態ではない
病気
「ease」には「楽な状態」という意味があります。
「ease」がお風呂に入ってゆったりしているイメージで覚えてください。「easy(かんたんな)」という言葉から連想したほうが覚えやすいかもしれませんね。
「disease」は「dis」で「楽な状態」を否定しているので、「病気」となっています。
「かんたん」と「楽」を結びつけると、さらに覚えやすくなりますよ!
「disease」の発音は「ディスィーズ」ではなく、「デズィーズ」のようににごります。
「re」で始まる英単語
次は、「re」で始まる英単語です。
「re」の意味は「後ろに」でしたね。
「 e 」が後ろ(元の場所)を振り返ると、「 r 」の影がいるというイメージでした。
ちなみに「re」には「再び(もう一度)」という意味もあります。
「後ろ」と「再び」は全然違う意味のように感じるかも知れませんが、次のような場面を思い浮かべてみましょう。
覚え方
後ろを振り返ってもう一度見る(二度見)
ここでご紹介する「re」のつく単語は、次の3つです。
順番に見ていきましょう。
recall(思い出す)
まず、「recall」です。
「思い出す」という意味のこの単語、分解するとどうなるのでしょうか。
re+call
recall
(頭の中で)後ろ(過去)に起こったことを呼び出す
思い出す
「後ろ」を「過去」と考えて、「過去にあったことを呼び出す」ことから「思い出す」という意味になっているんですね。
ちなみに、「re」を「もう一度」という意味でとらえ、「recall」を「もう一度呼び出す」→「思い出す」と覚えてもOKです。
これで、無理なく覚えられるはずです!
regard(注意して見る)
「re」で始まる英単語、次は「regard」です。
「注意して見る」とか「見なす」という意味のこの単語、例によって分解してみましょう。
re+gard
regard
後ろで見守る
注意して見る、見なす
「後ろでガードする」から「注意して見る」になり、さらに「見なす」という意味が生まれたんですね。
「ガードする」の英単語のつづりは「guard」です。「regard」の「gard」には「u」はないので、「guard」を覚える場合にはご注意ください。
reserve(予約する)
「re」で始まる英単語、3つ目は「reserve」です。
この単語は「予約する」という意味の動詞で、名詞の「reservation(予約)」のほうがなじみがあるかもしれませんね。
「reserve」を分解すると、次のようになります。
re+serve
reserve
後ろにキープしておく
予約する
「serve」には「キープする(保つ)」という意味があります。
上のように、「serve」の文字が「やじろべえ」のように保っているイメージで覚えましょう。
「後ろにキープしておく」というところから「予約する」という意味が生まれています。
これは、お店側の視点ですね。
予約が入った分は後ろに置いておいて、予約をしていないお客さんに売らないようにするというイメージです。
「spect」が入っている英単語
では、「disrespect」の「spect」が入っている英単語に進みましょう。
「spect(見る)」はこちらのイメージでしたね。
ここでは、「spect」が入っている英単語として、次の3つをご紹介します。
aspect(外見・見方)
1つ目の「aspect」は、「外見」や「見方」という意味です。
「外見」にも「見方」にも「見」という漢字が入っていますね。これは、まさに「spect(見る)」の意味です!
では、例によって「aspect」を分解してみましょう。
ad+spect
adspect
〜に向かって見る
外見、見方
接頭辞に来る「ad」は「〜に向かって」という意味になります。
上のイラストのように、「 a( A )が矢印になっているイメージで覚えてみてください。
「ad」は後ろに来るアルファベットによって「 a 」だけになったり、「at」「ap」「af」になったりと変化するので、上のように「 A 」だけで覚えるといいでしょう。
そこに「spect(見る)」がくっつき、「〜に向かって見る」というところから、「外見」「見方」という意味が生まれています。
ちなみに、この「見方」というのは「ものの見方」であり、「考え方」ということです。
日本語でも英語でも「見る」ことが「考える」ことに通じているのはおもしろいなあと思います!
prospect(可能性)
「spect」が入っている英単語、2つ目は「prospect」です。
この英単語は「(何かが起こる)可能性」という意味ですが、分解して見てみましょう。
pro+spect
prospect
前方(未来)を見る
可能性
「pro」には「前方に」という意味があります。
上のイラストのように、「 p 」と「 o 」が時計になっていて、前方に進むイメージで覚えましょう。
「前方=未来を見る」ことから「可能性」という意味になっています。
「前方を見る」の「前方」を、「未来」と解釈するのがポイントですね。
suspect(疑う)
「spect」が入っている英単語の3つ目は「suspect」です。
これは「疑う」という意味ですが、どうしてこうなったか見てみましょう。
sub+spect
subspect
下から(こっそり)見る
疑う
もともとは「sub(下に)」+「spect(見る)」だったんですね。
「sub」はこちらのようなイメージです。
疑うときに「下から見上げるように見る」というイメージでこっそり見るから「疑う」という意味が生まれたわけです。
疑うときには堂々と見ないで、こっそり見ますよね!
「suspect」は次のイラストのようなイメージで覚えてもオッケーですよ。
ウサギさんが屋根裏からこっそりと疑いを持って見ています(笑)。
まとめ
この記事では、「ディスる」のもとになった「disrespect」の語源を使って覚えられる英単語をご紹介しました。
最後に、この記事で紹介した語源をまとめます。
まとめ
- dis …… 離れて・否定
- re …… 再び・後ろに・元に
- spect …… 見る
「この方法で覚えるの、おもしろい!」と思っていただけたり、英語に興味を持っていただけるとうれしいです。
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