【動画あり】猛毒を持つ「ヒアリ」とは? うちの庭にフツーにいるので対処方法をまとめた

タカコ

執筆者

WEBライター。2013年にアメリカに渡る。現在はアメリカ人の夫と子ども2人でテキサスに在住。

約7年前(2017年)、日本の名古屋や神戸などの港湾地域を中心に、ヒアリが発見されたというニュースが話題になりました。

2024年6月には大阪万博の会場となる場所でも見つかったそうです。

大阪・関西万博の会場となる夢洲にあるコンテナヤードで、毒性の強い特定外来生物の「ヒアリ」が約550匹見つかりました。

万博会場となる夢洲のコンテナヤードで特定外来生物「ヒアリ」があわせて550匹見つかる

そして、私の住んでいるアメリカのテキサス州には、ふつうにヒアリが生息しています

ニュースで聞いた方も多いと思いますが、このアリ、本当に怖いんです。

ドアにくっついているヒアリ
ドアにくっついているヒアリ

今回は、ヒアリがどういうアリなのかについて、刺されるとどうなるのかについて、そしてヒアリ対策ヒアリの怖さについて紹介します。

ヒアリとは?

では「ヒアリ」についてまとめます。

ヒアリは英語で「fire ant」

このヒアリですが、漢字では「火蟻ヒアリ」と書き、英語では「fire ant(ファイア・アント)」といいます。

Fire ants 01
By Stephen Ausmus [Public domain or Public domain], via Wikimedia Commons

「fire ant」だからそのまま直訳で「火蟻」なんですね。

fire(火)+ ant(蟻)= fire ant(火蟻)ですから!

ヒアリは南米原産

ヒアリは南米原産のアリで、日本で見つかったのは海外からの貨物に混じって侵入してきたのが原因だと言われています。

とても攻撃的で、繁殖力が高いことが特徴です。

夫の話によると、ここアメリカでも、やはり南米からの貨物に混じってやってきたのが始まりだそうです。

毒を持つ恐ろしいヒアリ

日本人の感覚からすると、「たかがアリでしょ?」と思うかもしれません。

ヒアリ(fire ant)の拡大写真
ヒアリ(fire ant)の拡大写真

実は、私も渡米してきたばかりのころ、そう思っていました。

でも、このヒアリ、本当に怖いんだよ!!

なぜこのヒアリを甘く見るべきではないのかというと、猛毒を持つアリだから。

世界の侵略的外来種ワースト100選定種」という悪名を持つほどです。

ヒアリに刺されたらどんな痛み?

では、ヒアリに刺されるとどうなるのでしょうか? どのような痛み、症状があるのでしょうか?

結論からいうと、火傷のような激しい痛みののちに水ぶくれができ、その後は1週間ほどかゆみが続きます

私自身は渡米してきて以来、ずっと気をつけているので一度も刺されたことはありません

そこで、毎年1回はヒアリに刺されるという友人に写真をもらったので、刺された足の指をお見せします(本人の許可済み)。

ヒアリに刺されてできた水ぶくれ
ヒアリに刺されてできた水ぶくれ

おそらく「想像していたより水ぶくれがひどい!」と思ったのではないでしょうか。

どの程度水ぶくれができるかは、人によって違うそうです。友人は影響を受けやすいほうだと思います。

また、実際に刺されたことのある夫は、ヒアリに刺されたときの痛みを次のように表現しています。

たき火をしているときに、火の粉が飛んできて火傷したような痛さだよ。

アリは小さいから痛みの範囲はせまいけれど、「fire ants」の名前の通り、火のように熱い、鋭い痛みなんだそう……。

それもそもはず、「ヒアリ」の名前の由来である「火(fire)」ですが、刺されると火傷のような激しい痛みがあるからです。

その後は「かゆみ」が1週間ほど続くんだそうです……。

ちなみに友人は、刺されたときは一応アレルギーの薬も飲んでいると言っていました。アメリカでは「Benadryl(ベナドリル)」という抗ヒスタミン薬が主流です。

痛みだけでなく、人によってはアナフィラキシーショックを起こし死ぬこともあるので、本当に怖いですよね。

ヒアリの生息場所

そんなヒアリですが、私の住んでいるあたりでは、寒い冬以外はごく普通にいます

そう……ごくフツーに。アメリカ原産のものじゃないのに、フツーにいるんですよ……

ヒアリがよくいる場所はこういうところです。

ヒアリの生息する場所

  • 家の庭
  • 公園
  • 町なかの植え込み
  • 歩道のわき

たとえば、公園の芝生のところに普通にいたりします。

公園の芝生
公園の芝生

「ヒアリ(fire ant)」は、とても繁殖力の高いアリですが、このアリの猛威に、ここ原産の動物たちが太刀打ちできていないとも言えます。

さらには家の中にまで入ってきたり……。

家の中にまで入ってくる……
家の中にまで入ってくる……

これは実際の我が家に入ってきたヒアリの写真です。

ドアにくっついているヒアリ
ドアにくっついているヒアリ

経年劣化とかでできた穴や亀裂から入ってくるんですよ。

【動画】ヒアリの巣

巣を踏んだりして傷つけてしまうと、無数の働きアリが一斉に出てきて、あっという間に足に這い上がってきて攻撃します

先ほども書きましたが、「ヒアリ」には、毒を持った針があり、その針で刺してきます。

これは私の録った動画ですが、本当にすごい量のアリが一斉に巣から出てくるのがわかりますよね……。

ほかにも新しくヒアリの動画を追加しているので、こちらもご覧ください。

もちろん、周りの人に襲いかかるといけないので、誰もいないときに突いていますよ。

この動画の「アリ塚」は、前日に雨が少し降ったため、巣の盛り土がかたくなっています。できたばかりの巣の土はもっとパラパラです。

知らずに巣を踏んでいて、気づくとひざ下が這い上がってきたアリで真っ黒になっていた、という話も聞くくらいです。

そんなアリが一斉に攻撃するんです。

1匹や2匹に刺されるならまだしも、無数のアリに刺される可能性もあります。

ヒアリ対策まとめ

このヒアリの対策ですが、どうすれば良いのでしょうか?

まずは普通のアリとの違いを知って、見分けたいものです。

Fire ants 01
By Stephen Ausmus [Public domain or Public domain], via Wikimedia Commons

ですが、正直なところ、ふつうのアリと見分けるのは厳しいと思います。やや赤っぽい色なのですが、なにせ小さいですので……。

では、アメリカに住む私が見分けられなくてもできる「ヒアリ対策」をまとめてみます。

ヒアリの巣には絶対近づかない

こちらは公園の芝生で見つけた、「fire ant」こと「ヒアリ」の巣の写真です。

fire antことヒアリの巣です
fire antことヒアリの巣です

「見つけた」と書きましたが、べつにぜんぜん珍しくありません(笑)。

アリの巣は、英語で「colony」と言います。夫は「nest」も使っていますので、それでも通じるみたいです。

こんな風に、巣のあるところには、土がこんもり盛っています。「アリ塚」です。

「ヒアリ(fire ant)」のアリ塚
「ヒアリ(fire ant)」のアリ塚

「アリ塚」は、英語で「mound」と言います。

サラサラではなく、少しパラパラしたような土です。

緑の芝生にこんもり盛られた土。こんなのを見ると、つい踏んづけたくなりませんか?

でも……

そんなことをしては絶対ダメです。絶対!!

こんな感じで、わりとわかりやすい感じなので、とにかく近寄らないことです!

草に隠れていることもある

上の写真のようなものなら「巣があるな」とすぐにわかりますが、芝生が伸びていたりすると隠れていて見逃すこともあります

……そうなると、知らないうちに誤って踏んでしまって……という大変なことが起きることも。

もしアリ塚が見えなくても、「草の中にはあるかもしれない」ということを常に考えています。

ヒアリに刺されないように長靴を履く

ヒアリ対処法として、わが家では娘が庭で遊ぶときには、必ず長靴をはかせています

ヒアリの巣の中から働き蟻が……
ヒアリの巣の中から働き蟻が……

私や夫でも、少し長くいる場合は、長靴をはくことも多いです。

また、巣ができていないかの見回りも欠かせません。

ヒアリ専用の殺虫剤

公園や町なかで見つけたら、近寄らないのが一番ですが、自分の家の庭ではそういうわけにはいきません。

ヒアリたちが巣の中から出てきている
ヒアリたちが巣の中から出てきている

お店では、ヒアリ専用の殺虫剤が何種類も売られています。

わが家には小さい子どもがいるので、できたら薬剤はまきたくありませんが、次のものを常に持っています。

ヒアリ専用の殺虫剤
ヒアリ専用の殺虫剤

でも、子どもが興味本位でヒアリを触ったり、誤って踏んだりして刺されてしまうことを考えると、やむを得ず薬の力に頼っているのが現状です。

女王アリを退治しないと解決しない

さきほどの写真にある「Bait」という殺虫剤は、働きアリに粉状の薬を巣に持ち運んでもらって女王アリを駆除するのが最大の目的です。

実は、巣の奥にいる女王アリを退治しないかぎり、どんどん繁殖してしまうんです。

庭の芝生にまいた殺虫剤
庭の芝生にまいた殺虫剤

私も何度か試していますが、完全に退治するのはなかなか難しいです。

一度は全滅したかに見えても、何日かすると薬をまいた巣の横に新しい巣ができていたりします。

【追記】業者にヒアリ駆除をお願いしました

家の中にいるヒアリの駆除をするため、業者さんに依頼しました。

業者さんに家の中のヒアリ駆除を依頼
業者さんに家の中のヒアリ駆除を依頼

業者さんが使っていたのは、上の写真のように液体タイプです。たぶん、強力なんだと思います。

もしものときのために「ポイズンリムーバー」

もしも刺されたときのために、ポイズンリムーバー(poison remover)を買っている人もいます。

私は使ったことはありませんが、刺されたときにはこれで毒を「吸い出す」ことで病院に行くまでの応急処置ができるようです。

これからも一生使うことがありませんように……。

「ヒアリがいるかも?」と意識する

こうやってまとめてみましたが、最も大切なのは注意を怠らないことです。

「もしかしたらヒアリがいるかも?」と意識しているだけで、刺される可能性はグーンと減ります。

日本ではまだその意識がないので、もしヒアリが繁殖しはじめたら気をつける必要がありますよね……。

ヒアリ(fire ant)の拡大写真
ヒアリ(fire ant)の拡大写真

小さい子どもがいると、もっともっと気をつけないといけません!

まとめ

日本でもいつかこんな風に注意して暮らさないといけないかもしれないと思うと、とても残念ですし、心が痛みます。

海外への渡航が簡単になり、海外から物がどんどん入ってきている世の中です。

それに伴って、もともと日本にはまったくなかった虫や病気が入ってきてしまうことを防ぐことは、もはや難しいのかもしれませんね。「セアカゴケグモ」のように。

さて、「fire ant」は「ヒアリ」ですが、「firefly」ってなんでしょうか? 気になる方はこちらもどうぞ!

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タカコ
アメリカ人の夫との結婚を機に渡米。現在は二児の母として英語に囲まれた環境の中で生活。日本語教育に携わっていたため言語への視点が鋭く、元・英会話教師の夫とのやりとりから生まれる記事が秀逸。
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