文法の勉強をしていると出てくる「自動詞」と「他動詞」という言葉。よくわからないですよね。
今回は日本語の自動詞、他動詞について、わかりやすくかみくだいて紹介します。
日本語の「自動詞 / 他動詞」について
では日本語の「自動詞」と「他動詞」について紹介します。
自動詞とは?
そもそも「自動詞」とは、なにを指す言葉でしょうか?
「主語(自分)がやる動作」を示す動詞のことです。
「自動詞」の例
この説明だけではわかりづらいので、例文を見てみましょう。
自動詞の例
ドアが開いた。
この文で「開いたもの」は「ドア」ですが、では「誰かがやった」のでしょうか?
いえ、この文章ではそこまでわかりません。
誰かがやったのか風がやったのかわからないけどとにかくドアが開いたんですね。
自動詞は「ドア=開く本人」の作用で開いた
こちらの図をご覧ください。
「開いた」という動作は、その動作の本人(主語)である「ドア」が自分自身で作用したものです。
そのため、次の例のように自然に起こったようなニュアンスで使われることがほとんどです。
自動詞の例
自分で作用したので「自動詞」なんですね。つまり「主語自身がやった動作」を示す動詞を「自動詞」と呼びます。
自動詞の例
ドアが開いた。
かん違いしそうですが、「自動 + 詞」ではなく、「自(分)+ 動詞」で「自動詞」です。
先ほどの例文を「数式」のように書くと、こちらになります。
数式のように書くと?
自分=ドア 開いた
他動詞とは?
では、今度は「他動詞」について紹介します。
他動詞というのは、「誰かが作用して起こる動作」を示す動詞のことです。
「他動詞」の例
この説明だけでは伝わりづらいので、わかりやすいように例文で見てみましょう。
他動詞の例
ドアを開けた。
こちらは、「ドアをわたしが作用して開けた」という意味ですよね?
日本語では主語が省略されるのですが、本当は「わたしが」という主語が隠れています。
「ドアを開ける」という行動を起こしたのは主語の「わたし」です。
他動詞の例
わたしがドアを開けた。
自動詞と違い、「わたし自身」が開いたのではないですよね?
他動詞: 他人の作用で「ドア(=開く本人)」が開いた
では、図で見てみましょう。「だれが作用したのか」に注目してください。
「自」である「ドア自身」ではなく、「他」である「わたし」がドアに作用して開けたわけです。
「他動詞」という名称も「他によって作用される」からなのですね。
そのため、次の例文のように、「だれかが意志を持ってやった行動」に使われることが多いです。
他動詞の例
こちらも数式のように書くとこうなります。
数式のように書くと?
他 自分(に作用) 開いた(=開けた)
日本語における自動詞/他動詞の違い
では自動詞、他動詞の両方を比べてみましょう。
自動詞・他動詞の比較
日本人にとっては当たり前すぎるので気づきにくいのですが、違う動詞を使っていることにお気づきでしょうか?
自動詞・他動詞の比較
2つの別々の動詞ですよね?
え? 当たり前じゃん! それがどうしたの??
……と思われるでしょう。これが、英語圏をはじめ、外国の方にとっては大ごとなのです。
じつは「自動詞」「他動詞」で動詞の形を変える言語は少ないのです。
日本語を勉強している外国人にとって、「自動詞」「他動詞」を使い分けるのは大変ということでもあります。
日本語の「自動詞」と「他動詞」の例
では日本語の「自動詞」と「他動詞」の例をいろいろと見てみましょう。
自動詞 | 他動詞 |
---|---|
開く | 開ける |
閉まる | 閉める |
伸びる | 伸ばす |
消える | 消す |
入る | 入れる |
出る | 出す |
付く | 付ける |
止まる | 止める |
落ちる | 落とす |
壊れる | 壊す |
この自動詞と他動詞のある動詞には「ある共通点」があります。
それは、「変化」です。「開く」「閉まる」など、どの動詞も「変化を表現する動詞」ばかりですね。
日本語の「自動詞」「他動詞」の見分け方
上で見たように、対応する自動詞、他動詞があるものは見分けが簡単です。
でも動詞の中には、対応する自動詞、もしくは他動詞がない動詞もあります。
たとえば、次の例がそうですが、どうやって「自動詞 / 他動詞なのか?」を見分けるのでしょうか?
例
- 行く
- 食べる
- チェックする
- 投げる
- 似合う
どれが自動詞で、どれが他動詞かぜんぜんわからん!
実は「〜を」を付ければ一瞬でどちらかが分かります。
他動詞には「〜を」が必ずつくからです。
日本語の他動詞には必ず「〜を」が付く!
では、先ほどの例に「〜を」を付けてみましょう。
日本語の他動詞
上記のように「〜を」がつく動詞はすべて他動詞になります。
逆に、こちらのように「〜を」以外がつく場合は自動詞になります。
日本語の自動詞の例
【補足】日本語の自動詞は「ものの変化」のみにフォーカスする
基本的に自動詞は「ものが自分で作用したもの」なのですが、次のような場合はどうでしょうか?
例文
ツボが壊れているのを見つけたとき
壊れているツボを見たときにどんなふうに言いますか? 次のように言うのではないでしょうか?
ああ! 壊れている!!
「壊れる」は自動詞です。
そこに犯人が登場したら、こんなふうに言うことでしょう。
フッフッフ……壊してやったぜ!
こちらの「壊す」は他動詞です。
この事例では「本当は他人が作用して壊れた」のですが、それを最初に見たときには分からないというのがポイントです。
そういう「原因がわからない」場合には、「変化していること」だけにフォーカスして「自動詞」を使います。
まとめ
今回は日本語の「自動詞」「他動詞」についてまとめました。
日本人は意識せずに当たり前に使いこなしますが、けっこう複雑なんですよね。
外国人に教えるときは苦労すると思いますが、がんばって説明してあげてください。
英語の自動詞・他動詞についてはこちらの記事をどうぞ。