語学学習の「アウトプット」について

アウトプットとは
サト

執筆者

TOEIC990点(満点)。ELSA認定アンバサダー。インドネシアで日本語学校を運営している日本語教師。話せる言語は英語のほかにインドネシア語、中国語。→ サトについてはこちら

英語を習得するために、「話す」「書く」という活動は不可欠です。

「話す」「書く」という活動はまとめて「アウトプット」と呼ばれています。

英語学習についての本を読んだり、英会話を受講したりしたことがあるなら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

この記事では、英語を習得するのに欠かせない活動である「アウトプット」について解説します。

アウトプットとは?

まず、「アウトプット(Output)」とは何なのでしょうか。

ことばを学習する上での「アウトプット」は、次の2つの活動を指します。

アウトプット

  • 話す
  • 書く

話したり書いたりする、つまり「生み出す」活動とも言えますね。

ちなみに「アウトプット」に対する「インプット(input)」という活動を先に理解しておくのをオススメです。くわしくはこちらの記事を。

アウトプットの効果についての見解

では、「アウトプット」の効果について、どんな意見があるのでしょうか。ここでは、次の2つを取り上げます。

アウトプットに対する見解

  1. 「インプット」と「アウトプット」が必要
  2. 「インプット」だけでOK

順に見ていきましょう。

「インプット」と「アウトプット」が必要という意見

まず、「インプット」と「アウトプット」が必要という意見があります。

たとえば、言語学者 白井恭弘氏が第二言語習得について書かれた『英語はもっと科学的に学習しよう』という本には、次のとおり書かれています(太字はサトによる)。

「大量のインプットと少量のアウトプット」という考え方をSLAの観点から本書では提案したいと思います。つまり、 言語習得はインプットの理解なしにはおこらない。これは厳然たる事実です。ただ、それだけではだめで、 アウトプットをすることにより、インプットがより効果的に言語習得に結びつくということです。

白井恭弘 著『英語はもっと科学的に学習しよう』(2014年 KADOKAWA)より引用しました。

また、著名な言語学者であるスティーブ・カウフマン氏も、次の動画で「アウトプットも必要」と言っています。

動画ではまとめとして、次のポイントが挙がっています。 

動画のまとめ

  • アウトプットの前にインプットを行うこと
  • アウトプットより多くインプットを行うこと
サト

白井恭弘氏と、スティーブ・カウフマン氏は同じ立場だと言えますね。

「インプット」だけでOKという意見

一方、ことばの習得には「インプット」だけが役立つと主張している言語学者もいます。

言語学者クラッシェン氏の主張

有名な言語学者クラッシェン氏は、次の動画でも「インプットだけが役に立つ」という主張をされています。

動画では、次のように主張しています(カッコはサトの補足、太字もサトによる)。

クラッシェンの主張

  • 調査に基づく結論:人間がことばを習得するのは、言語を理解したときだけである
  • (言語を理解したときというのは、たとえば)他の人が言っていることや(自分が)読んでいるものを理解したときである

まとめると、人が言っていることを聞いたり、書いてあるものを読んだりし、それを理解することでことばを習得するということです。

サト

「聞いたり」「読んだり」ということなので、まさにインプットですよね。

ちなみにこのクラッシェン氏は、「ことばの習得にはインプットが大切である」と最初に提唱した言語学者でもあります。

アウトプットをしても損はしない 

いろんな意見があるので混乱するかもしれませんが、個人的にはアウトプットをして損はないと思っています。

ことばを学んでいたら話したり書いたりしたくなるのは自然なことですし、その気持ちが学習のモチベーションにもつながるからです。

サト

「モチベーション」は「継続」において大切な要素だと思います!

次でご紹介する点に気をつけつつ、インプットとアウトプットを学習に取り入れましょう!



「アウトプット」に大切なこと

前項で、インプットとアウトプットを学習に取り入れることをおすすめしました。

ただ、「アウトプット」は、やみくもに話したり書いたりすればいいのではありません。

次の大切なポイントがあるんです。

アウトプットのポイント

  1. インプット(「聞く」「読む」活動)より少なめにする
  2. 自分の表現したいこと・伝えたいことを話したり書いたりする

詳しくご説明しますね。

インプット(「聞く」「読む」活動)より少なめにする

まず、アウトプットはインプットより少なめにするということ。

たとえば、スティーブ・カウフマンは、先ほどの動画で次のようなことを言っています。

2つの活動の割合

インプット7

        対
アウトプット1

この割合にはいろいろな説があるのですが、どの説でも「9:1」とか「7:3」とか、インプットがかなり優勢になっています。

自分の表現したいこと・伝えたいことを話したり書いたりする

それから、自分の表現したいこと・伝えたいことを話したり書いたりするというのも大切です。

逆に言うと、本に書いてあることを
音読したり、書き写したりするのはアウトプットではないと言えますね。

サト

とは言え、表現したいことがあっても、伝える相手がいない場合もありますよね。

そこで、ひとりでできるアウトプットの練習が、先ほどご紹介した『英語はもっと科学的に学習しよう』で紹介されています。

いくつか書いておきますね。

1人でできるアウトプット例

  • 情景描写(周りで起こっていることなどを英語で言ってみる)
  • コメント(英語のニュースなどについて英語でコメントを言ってみる)
  • 日記(英語で日記を書く)

もちろんオンライン英会話で、言いたいことを先生に伝えるのもアウトプットの練習になりますよ!


まとめ

この記事では、ことばを学習する上での「アウトプット」について解説しました。

ポイントをまとめると、次のとおりです。

この記事のポイント

  • アウトプット=「話す」「書く」活動である
  • アウトプットの効果にはいろいろな説があるが、やって損はない
  • インプットに対してアウトプットは少なめにする
  • 自分が伝えたいこと・表現したいことを話したり書いたりする

ぜひ、英語学習にお役立てくださいね!

先述したオンライン英会話も「アウトプット」なので、オススメですよ。

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サト
英語びより編集長。独学でTOEIC980点をマーク(2023年9月)。インドネシアで日本語学校を運営している。>>サトについて詳しくはこちら
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