発音することは「絵の具」を混ぜること! あなたの発音は個性です

タカコ

執筆者

WEBライター。2013年にアメリカに渡る。現在はアメリカ人の夫と子ども2人でテキサスに在住。

娘がもうすぐ2歳になります。誰に似たのか、本当によくしゃべります。

夫がアメリカ人なので、娘は「ハーフ」。

家では、私がほとんど日本語、夫は英語で娘に話していて、娘にはできるだけ両方の言語を習得してほしいと思っています。

実のところ、どういう風に言葉をおぼえていくのか、親として、言語に興味のある者としての両方で興味があります。

今回は、その娘の発音を聞いていて思ったことを書いてみます。

言葉は英語・日本語関係なくおぼえていく

よく考えたらあたりまえなのですが、娘は聞く言葉すべてをそのまま吸収していきます。

英語も日本語も関係ありません。

今、口から出てくる言葉は、英語と日本語の両方です。もちろん、本人は、それを使い分けている意識はありません。

まだ2つの単語を続けて話すことはできないので、英語と日本語の単語がポンポン飛び出してくる感じです。

子どもは聞いた音をそのまま吸収する

娘は、聞いたそのままの言葉を吸収しているので、日本語の言葉は日本語の発音、英語の言葉は英語の発音に近いです。

これも、考えたらあたりまえなのかもしれませんが……。

たとえば、娘は早い段階で、「鳥」の「bird」を言えるようになったのですが、「バード」というよりは、「ブード」に近いです。

話しだしてすぐの頃は、日本人の赤ちゃんでも、日本語の言葉を正しく発音できないことがあると思います。

聞き取って、一生懸命「まねをしている」といった段階です。

娘の「ブード」もそんな感じなのですが、明らかに英語の「r」の発音を意識して発音しているのです。

日本人は、「bird」を「バード」と言ってしまいがちですが、実際の発音では、「r」の音を出すときに舌を丸めるので、その音を文字で書くとしたら「バ」よりも「ブ」の音の方が近いんです。

「バ」よりも「ブ」の方がこもった音に聞こえますから。

実際、娘が「ブード」と言ったときは、ちょっと感動しました。

「r」の音をちゃんと聞き取っているんですね。それから、「そうやって英語の発音、日本語の発音を習得していくのか!!」と思いました。

知人に、帰国子女でバイリンガルの方がいるのですが、日本人には使い分けが難しい「L」の発音と「R」の発音も「違うものは違う」と話しています。

この方にとっては、「まったく違う音」ということなのですね。

みんな同じ構造をした「口」を持っているのに、作り出す音は違う

この状況を考えたとき、やはり、小さなうちからたくさんの音に触れることは、とてもいいことなのだと思いました。

音の違いを聞き取ったり、それを発音できれば、普段使うことがなくても、必要なときにそれが「普通に使える」ということにつながると思います。

どの言語を話す人でも、口の構造は同じです。

声(音)は、唇の形、舌の位置、空気の出し方によって作り出します。

みんな同じもの(口)を持っていますが、この使い方ひとつで、作り出される音が違うんです。

こう考えたとき、ふと「絵の具と一緒だな」と思いました。

「基本の色」を合わせて「色」を作り出す

こちらの3つを「基本の色」とします。

基本の3つ

  1. 音を作る唇の形
  2. 舌の位置
  3. 空気の出し方

あとは、その色を混ぜ合わせることによって、「いろいろな色(=音)」を作り出すイメージです。

唇の形を変えることで、「基本の色」自体も微妙に変わる。

舌の位置や空気の出し方も変えることで、またその色も変わり、それらを混ぜ合わせることでそれぞれ「違う色(=声)」ができる。

そう考えると、無数の「色」が作り出せそうです。

参考: 母音は「あいうえお」だけじゃない?! 母音の音は無数にあるよ!

英語の「色」、日本語の「色」、共通する「色」

娘は、英語と日本語の両方の音に触れることによって、その音の出し方を習得していくのだと思います。

私は日本語だけの世界で育ったので、日本語の音はほとんど出すことができます。

でも、私の育った地域では、鼻濁音の「が行」の使い分けがなかったので、そういう音は使えません。

英語はというと、英語は話しても、ネイティブには程遠い「日本語なまりの英語」を話します。

日本語と英語、共通の音は問題なく出せますが、英語しかない音を出したり聞き分けたりするのは、なかなか簡単ではありません。

もともとなじみがないので、「色の構造(=声の出し方)」がわからないんですね。

練習することによって、うまく出せるようになる音もありますが、正しい発音に近づけることが精いっぱいの音もあります。

うまくいかないときは「近い『色』」を作り出そう

色も同じですよね。一見、同じに見える色でも、少し違う。

出したい音が「赤」だとしたら、私の作る「赤」は、ちょっと青みがかっていたり、黄色っぽかったりします

聞く相手は「ちょっと違うけど『赤』と認識してくれる」というわけです。

もともと色の出し方がわかっていれば、そのままの「原色」を出せたり、誤差の小さな「色」を作り出せます。色の違いにも気づきますよね。

小さなうちからたくさんの「音」に触れておくことは、そういう意味で「強み」になるんです。たくさんの「色」を自由に使い分けられるなんて、うらやましい!!

専門的には、10代のごく早い段階までであれば、この音の使い分けができると言われています。これは年齢とともに習得が難しくなっていきます。

おとなになってしまってから新しい「色(=音)」を作り出すことは、いかに近い『色(=音)』を作るかが大事になってくるんですね。

うまく発音できないことも「個性」

ここアメリカでは、ほとんどの人が移民、もしくは移民のルーツを持つので、みんなそれぞれの「なまり(=独自の色)」を持っています。

たしかに聞きづらいこともありますが、それはお互い様。共存しています。

わからなかったら、聞き返せばいいんです。これをできるのが、会話のすばらしい点です。

「うまく話せない」と思うこともあると思いますが、「音」を「色」だと思えば、なんだか「違うものはダメ!!」という石頭的な考えから解放されそうな気がしませんか?

違っていいんです。それも長所。いろんな「彩り」があっていいんです。

でも、本当に通じないのは困るので、「できるだけ近い色を作ること」を目標にしたいですね。

まとめ

今回は、作り出す「音」を「色」に例えて書いてみました。

「発音」だと思うと、うまく出せなくて残念な気持ちになるのに、「色」と考えると、「それも個性だ」という風に思えませんか?

不思議ですよね。

将来、娘が学校に行くと、英語に触れる機会が増え、日本語はどんどん弱くなると思います。

それは仕方がないと思っていますが、せめて聞くことと話すことを習得してほしいというのが、日本人である私の願いです。

そのために、今のうちに日本語の「音」を聞かせておこうと思います。

そして、大きくなった娘がどんな「彩り」を見せてくれるのか、とても楽しみです。

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タカコ
アメリカ人の夫との結婚を機に渡米。現在は二児の母として英語に囲まれた環境の中で生活。日本語教育に携わっていたため言語への視点が鋭く、元・英会話教師の夫とのやりとりから生まれる記事が秀逸。
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