アメリカでは夏休みが長く、私の住んでいるテキサス州では5月の末から8月の半ばまでが夏休みです(学区によって違う)。
そして夏休みが半分ほど過ぎた7月ごろから「Back to School(新学期)」という言葉を目にするようになります。
では、アメリカの新学期には具体的にどんなものを用意するのでしょうか?
それをお伝えするには日本にはない「school supply list」について語らなければなりません。
本記事では、アメリカで新学期をどのように迎えるのか、「school supply list」のメリットやデメリットについて紹介します。
娘が通うテキサス州の公立小学校を例に紹介しているため、アメリカ全土に共通するものではありません。一例としてご覧ください。
目次
アメリカの新学期に用意するもの
アメリカでも、新学期に用意するものは日本とほとんど変わりません。
次の3つです。
新学期に用意するもの
backpack(リュックサック)
まず、1つ目に紹介するのは「backpack(リュックサック)」です。
アメリカでは、ランドセルのようなものはないので、基本的に自分の好きな「backpack」で学校に通います。
低学年の子どもだと、アニメ、ゲーム、映画などのキャラクターものが人気です。
どんなリュックサックを選ぶのかについて、傾向があるのでまとめます。
男の子 | 女の子 | |
---|---|---|
小学校低学年 | 黒、赤、青。マインクラフト、マリオ、パウパトロール、スパイダーマンやマーベルなど。恐竜柄、サメ柄も人気。 | ピンク、パープル、オレンジ、ライトブルー、キラキラするグリッターがふんだんに使われているものなど。ピーチ姫、パウパトロール、ディズニーのプリンセスなど。ユニコーン柄、花柄、レインボー柄が定番。 |
小学校高学年 | 無地や飽きのこない柄、有名スポーツブランドのもの | 無地や飽きのこない柄、有名スポーツブランドのもの |
映画『スターウォーズ』のヨーダのように性別を問わず人気のあるキャラクターや、性別に偏っていないデザインもあります。
中学生くらいになると、荷物が増えるため、さらにデザインはシンプルで、加えて機能性の高いものになる印象です。
学年が上になるごとに、背負いやすい、長持ちする、ポケットの数や位置にこだわったり、使いやすさを重視する子が増えるのだと思います。
water bottle(水筒)
アメリカの新学期に用意する2つ目のものが「water bottle(水筒)」です。
日本の学校と同じように、アメリカでも水筒を持っていきます。
アメリカの水筒は、ストロータイプが主流です。
おとな用のもストロータイプが多く、コップが付いたものはほとんどありません。
直飲みタイプは、特に子ども用は「探せばある」、といった程度です。
日本でも有名なThermos(サーモス)は、保冷機能はあるし、人気のキャラクター柄や子どもが好きそうな柄も多いので、定番の人気商品ですよ。
我が家でも、子どもが3歳くらいからずっとお世話になっています(継続中)。
lunch関係(弁当箱、弁当袋など)
アメリカの新学期に用意をするものとして3つ目に紹介するのが「lunch(ランチ)」です。
lunchは、学校で買うこともできるので、必要な人だけ弁当箱や弁当袋などを用意します。
一定の基準(低所得など)を満たしている場合、申請すれば割引や無料で提供されるという制度がある。
アメリカのランチはすごく簡素で、日本の「お弁当文化」とはまったく違います。
たこさんウィンナーをアメリカ人が見たら、おとなも子どももびっくりすると思います。
アメリカの「school supply list」について
前項で、アメリカの新学期に用意をするものを紹介しました。
実は筆記用具などの学用品を入れてなかったことにお気づきでしょうか?
もちろん、アメリカでも新学期に学用品を持っていきますが、日本とはまったく違うシステムがあります。
それが「school supply list」というシステムです。
学用品は「クラスの所有物」
前提として、アメリカでは文房具などの学用品をクラスメートと共同で使います。
そして、その学用品を各家庭が用意をし、学校に持ち出すことが一般的なのです。
たとえば日本だと、はさみやのりは自分の持ち物として生徒1人1人が持っていますよね?
アメリカでは先生がすべて管理していて、生徒がどれでも好きなものを手に取って使う、といった感じです。
つまり、「学用品はクラスの所有物」という感覚です。
共同で使う学用品を用意する流れ
共同で使う学用品を、具体的にどういう流れで用意するかというと次のとおりです。
共同で使う学用品を用意する流れ
- 新学期がはじまる前に、学年の先生が1年間でどんな学用品がどれだけ必要なのか決定
- 学校のウェブサイトなどで「school supply lists」というリスト(一覧表)で通知
- 保護者がリストを見て必要な学用品を買いそろえる
- 新学期初日か直前にある、「Meet the Teacher Day(→あとで説明します)」に学校に持って行く
上で出てきた「school supply lists」という言葉を説明しましょう。
「supply」は「(相手が必要な)供給物、備え、備蓄」の意味で、「school supply」だと「学校で必要な備品」という意味になります。
文房具などを含めた「学校で使う備品」のことなので、本記事では「学用品」という言葉を使っています。
ちなみに、「office supply」だと「事務用品」になりますよ。
具体的にどんなものがリストに載っているの?
この「school supply list(スクール・サプライ・リスト)」には、次のような用品が書かれています。
school supply listに載っている商品例
これら全部という意味ではなく、年齢によって違いがありますよ。
たとえば、次のとおりです。
年齢による指定の例
鉛筆には「消しゴムが付いたタイプ」か「そうでないもの」かという指定があることも。
ノートは、罫線の幅、ページ数、綴じ方がスパイラル式(クルクルしたワイヤーで綴じたもの)かそうでないもの(糸で綴じたもの)、表紙の色とか……いろいろ指定があります。
指定された条件を満たしていれば、名の知れたブランドのものではなく、安価なものでいいということになっています。
リストに載っているが個人的に使うものも
「school supply lists」に入っているものでも、個人的に使うものもあります。たとえば、ヘッドホンです。
コンピューターやタブレットを使うときに、クラス全員が使いますが、衛生上の観点から使いまわさず個人的に使うようです。
そういうものには「名前を書いて(labeled with name)」という指定があります。
この場合は、自分が持って行ったものを使うので、前年に使った古いものでも大丈夫です。
また、学年が上になるにしたがって、共同のものは少なくなる印象です。
うちの上の子は今年3年生になりますが、初めて、ペンケースにも「名前を書いて」という指定がありました。
つまり、個人的に使うという意味ですね!
いくつかの学用品は学年末に戻ってくる
1年間で使うために用意した学用品は、ほとんどのものは使われて戻ってきません。
でも物によっては、はさみ、マーカー、クレヨンのように学年末に返ってくる場合もあります。
はさみが返ってくる……とはいっても、子どもが持って行ったものとは別のものです。
マーカーはインクが減ってよく書けないし、クレヨンはバキバキに折れています(笑)。
そのため、次の新学期に使いまわしもできず、また新しいものを買う羽目に……。
家の中には、はさみ、色のそろっていないマーカー、折れたクレヨンが毎年増えていきます。
「school supply list」のメリット
「school supply list」は日本にはないシステムですが、いい点があります。
たとえば次のようなメリットです。
「school supply list」のメリット
学期の途中で持っていくものがなくなる
1つ目のメリットは、学期の途中で持っていくものがなくなること。
新学期になればすべての学用品を学校に持って行くため、学年末になるまでなにも持っていかなくてもいいのです。
もちろん、担任の先生から消耗品(除菌ワイプや工作用ののりなど)が不足していると連絡が来ることもありますが。
新学期にリストに載った学用品すべてを学校に持っていくのが面倒なのではと思うかもしれませんが、大丈夫です。
今では、オンラインでまとめて注文して学校に配送してくれるというサービスも充実してきて、便利になりました。
先生が管理してくれる
「school supply list」の2つ目のメリットは、先生が管理してくれることです。
先生が教室で保管するので、必要な日に忘れ物をしてしまうことや、紛失してしまうことを防げます。
生徒は、「ほしいときに使って、終わったら戻す」といった感覚で学用品を使いますよ。
名前書きの作業が不要
「school supply list」の3つ目のメリットが名前書きの作業をしなくてもいいことです。
日本だと、鉛筆や消しゴム、クレヨンのようなこまごまとした学用品1つ1つに名前を書きますよね。
アメリカでも、上着やバックパック、水筒など、個人の持ち物には名前を書くように言われます。
でも「school supply lists」に載っている学用品は、クラスメートと共同で使うので、名前書きをする必要がありません(名書き指定のあるものは別)
これは本当に楽です!
「school supply list」のデメリット
さて、この「school supply list」にもマイナス点があります。
「school supply list」のデメリット
毎年けっこうな出費
1つ目のデメリットは、出費がけっこうかさむこと。
前述したように、低学年ほど文房具に加え、工作などに使うものも多く、金銭的な負担が大きいです。
学年を追うごとに使うものがシンプルになり、金銭的負担も軽くなる印象です。
今回、3年生の長女には40ドル、キンダーガーテンになる次女の学用品は50ドルくらいかかりました。
子どもの多い家庭だと、もっと大変でしょうね……。
毎年同じものを購入する
2つ目のデメリットは、毎年同じものを購入することです。
前述したとおり、1年間使われたはさみやマーカーなどは、学年末(夏休み前)に返却されます。
これらは使いまわしができず、新学期にはリストを見て新しいものを買わなければなりません。
物を大事にするように教えられる日本人にとっては、「古いけど、家に余っているはさみがあるのにな」「折れてるけど、使えるクレヨンがあるのにな」「もったいないな」などと思ってしまうのです。
金額的には大したことはないので割り切って買いますが、やはり「まだ使えるのにもったいない」と思ってしまう自分がいます。
物の大事さを学べない
そして3つ目のデメリットが、物の大事さを学べないことです。
共同で使うと「自分の持ち物」という感覚がないので、「大事に使う」という感情は薄くなります。
消耗品は、なくなればどんどん新しいものを使う感じですから……。
たとえば、工作用ののりは、ふたをしないと乾いて使えなくなってしまいますが、そうなってもおかまいなし。
床に落としても、もう使わなければ知らんふり。
自分のものではないので罪悪感もなく、使えなくなればまた新しいものを使うといったふうに。
もともとは各家庭が購入して集められたものなので(=無料ではない)、親としては、消耗品でも無駄にせず、責任をもって大事に使ってほしいです。
のりにはふたをするのが当たり前だと思ってほしいし、もしなくなったら、困ってほしいし、探してほしいです。
さらに言うと、日本のように自分たちで学校の掃除をしないので、掃除に入った人が、床に落ちているものを簡単に処分してしまうこともあるそうです。
次々と「物があって当たり前」のアメリカの学校では、日本人の感覚とは大きなギャップがあると感じます。
ドキドキの「Meet the Teacher Day」
さて、新学期がはじまる直前に、学校で大きなイベントがあります。
「Meet the Teacher Day」という、新しい担任の先生に会う日です。だいたい新学期が始まる1週間くらい前にあります。
「school supply lists」に載っていた学用品を持って、新しい先生と会うために、保護者もいっしょに学校へ行きます。
子どもたちは、新しい教室の場所や先生の顔をおぼえ、先生から新しい時間割やクラスでの過ごし方の説明を受けます。
親にとっても、先生と会って話せる貴重な機会となりますよ。
「いよいよ新学期が始まる!!」と感じさせてくれるイベントで、学校中がワクワクドキドキという雰囲気に包まれます。
まとめ
「school supply lists」のメリット、デメリットを紹介しました。
私自身は、リストを見ながら買いそろえる作業はけっこう好きですし、新学期に向けて用意をして、学校にドーンと持って行くのも好きです。
ということで、子どもたちの新学期の用意を楽しみます。