「watch」と「see」の違いとは? 同じ「見る」でも動作が具体的?

タカコ

執筆者

WEBライター。2013年にアメリカに渡る。現在はアメリカ人の夫と子ども2人でテキサスに在住。

以前、「見る」という意味を持つ3つの動詞、「see」と「look」と「watch」の使い分けについて書きました。

今回は、同じ「見る」という意味のある「see」と「watch」との違いを、徹底的に比較してみます。

  1. 「see・look・watch」の違い
  2. 「see」と「watch」の違い今ココ
  3. 「meet」と「see」の違い

「see」と「watch」の見方の違い

まず、基本的な「see」と「watch」の見方の違いをおさらいしましょう。ちょっと車に乗ることを想像してみてください。

今、車の運転席に乗りました。で、目の前を見るとフロントガラスが見えますよね。

エンジンをかけ、車を発進させました。運転していくと……

  1. 公園がありました。
  2. 電車の踏切が見えてきました。
  3. 手前で踏切の遮断機が下がり始めました。
  4. 車を停車させて待ちます。
  5. 電車がやってきました。
  6. 「あ、普通電車だ」
  7. 「乗客がけっこう多いなぁ」
  8. 「なるほど、この時間は高校生がたくさんいるからか」
  9. 電車が通過し、遮断機も上がり、車を発進させました。

さて、この動作ですが、「see」と「watch」に分けることができます。フロントガラスを通して「目に入ってくる」景色すべてが「see」にあたります。

「see」は意識せずとも、目に映るものを「見る」動作をいうのです。

「watch」も、フロントガラスを通して「見る」ことには変わりがありませんが、意識してあるものを見続けることをいいます。なので、この「見る」という動作は、「see」です。

「see」と「watch」にわけてみる

先ほどの例文を分解して細かく見てみました。

1公園がありました。

この例文では、車を運転をしながら公園を探していたわけではありません。運転していると、「公園が目に映った」んですね。

そこで、この公園を見た動作は、「see」です。

2電車の踏切が見えてきました。

そのあとに続く文章も同じです。最初から、踏切や遮断機を探していたわけではありません

「あ、見えた」という感じですね。そもそも、運転している最中に「watch」は危険すぎます。

34手前で踏切の遮断機が下がり始めました。車を停車させて待ちます。

遮断器が降り始めているを見る動作は「see」です。自然に目に入りましたから。

ここで車を停車させ、目の前を通り過ぎる電車を「観察」し始めます。

68 「あ、普通電車だ 〜 この時間は高校生がたくさんいるからか」
やってきた電車を一定時間見続けていますよね。なのでここでは「watch」を使います。

こんなふうに、「watch」はあるものに対して意識して継続的に見続けることを指します。

映画などを「見る」にも「see」を使う

さて、ここで2つの例文を見比べてみましょう。このような表現を聞いたことがありますか?

  1. I watched a movie last night.
  2. I saw a movie last night.

どちらも用法は間違っていないのですが……何か違和感はありませんか?

先ほどの用法でいうと、「watch」は、見たいもの(この場合は映画)を意識して見続ける見方でしたね。なので、1の「watch」は正しいと思う方は多いと思います。

でも、「see」について違和感のある方が多いのではないでしょうか?

映画は、じーっとスクリーンを意識して見続けるのに、なぜ「see」? と。

実は、「see」には、自然と目に映るものを「見る」という見方の用法のほかに、「(映画や演劇を)見る」という意味もあるのです。

そこで、日本語にすると、どちらも「私は、きのう映画を見ました」なのですが……。

両方とも用法が正しくて、同じ和訳なんて、ややこしいですよね。でも本当に完全に同じなのでしょうか?

「see」と「watch」の動作は、性質的に違う!?

さきほどの例文2つ、

  1. I watched a movie last night.
  2. I saw a movie last night.

この意味は完全に同じなのか、夫(アメリカ人)に聞いてみました。

タカコ

ねえねえ、この2つの文の違いがわからないんだけど?

この2つは、動きが全然違うよ。「watch」の方が、より具体的な動作(specific action)なんだよ。それから、この「see」は、「見る」は「見る」でも、「(自然に)目に入ってきた」とは違う動作なんだ。

タカコ

そんなこと言われても、全然わからない(笑)。

この「see」と「watch」では、動作の性質が全然違うんだ。

タカコ

「動作の性質が違う」って? もっとわからなくなってきた。

タカコ、「I will go to the cinema and watch a movie tomorrow.」と「I will see a movie in the cinema tomorrow.」の違いはわかる?

タカコ

まったく同じに聞こえるけど?

最初の文は、「映画館に行って、映画を見る」っていう具体的な動作だけど、あとの文は、「see」使って、「映画館に行って帰ってくるまで」の一連の動作をいってるんだよ。具体的な動作の描写じゃないってこと!

タカコ

うーん、まだよくわからない……(笑)。

じゃあ、こういうのはどう? 「When I was watching a movie 〜(something happened)」とは言えるけど、「When I was seeing a movie 〜」は、言えない!

タカコ

うーん、なんとなく……(「see」は、動作を継続的にできないのかな?)。じゃあ、「I'm seeing」のように、「seeing」は言えないってこと?

「映画とか演劇を見た」っていう場合は言わないね。ただ、別のことで「seeing」を使うこともあるよ。

タカコ

あるんだ! (ややこしいな……)

それはね、意中の人に「今、誰かほかにいい人はいるの?」って聞くときに「Are you seeing anyone right now?」と言ったりするんだよ。

タカコ

え? なに?! そんな風に使うんだ! おもしろいね!

「Are you seeing anyone right now?」についても気になると思うので、あとで書きますね。

「see」は具体性に欠ける「見る」という動作

さて、話は戻って、

この「see」は、「I'm seeing a movie」というように、動作の継続を表現することはできません

なぜでしょう?

実は、この場合の「see」は、「何かを見る」という動作としては、具体性に欠けるからなんです。

具体性に欠ける=抽象的ということですね。

「具体的」な動作、「抽象的」な動作って?

「具体的」な動作、「抽象的」な動作がどういうものか、夫との会話にあった

  1. I will go to the cinema and watch a movie tomorrow.
  2. I will see a movie in the cinema tomorrow.

で検証します。

まず、1の和訳としては、「明日、私は映画館に行って映画を見るつもりです」です。

「私」が、「映画館に行って」「映画を見る」……という2つの具体的な動作がありますよね。

この2つの動作だけを描写しています。ところが、2は、どうでしょう?

I will see a movie in the cinema tomorrow.

「see」は一連の動作
「see」は一連の動作

夫が言うには、この場合の「see」は、映画館に行って、映画を見て、帰ってくるまでの一連の動作を表現しているのだそうです。

この文章を見ただけでは、そんな細かい動作がわかりませんね。

1の細かい(具体的な)動作の描写に比べて、2はずいぶんぼやけていると思いませんか? はっきりわかりませんよね?

この具体性に欠ける=「ぼやけた・はっきりしない」、つまり抽象的なのです。

「see」は話の骨組みを伝えるような感じ

例えば、

映画館に行って、チケットを買って、ポップコーンと飲み物を買って、映画を見て、帰ってくる。

……のような、具体的な動作の可能性があります。

でも、そんな一連の動作を「see」の一言ですませてしまっているのです。

具体的な動作を特定できないので、動作の継続を表現することはできないんですね。

また、文章としては、その具体的な動作の描写がなくても全然かまわないのです。

「see」を使って、骨組みを話すような感じで、具体的に話したければ、補足するように話を続けます

I will see a movie in the cinema tomorrow.(明日、私は映画館で映画を見るつもりです)

I'm looking forward to going there because it's new.(その映画館は、できたばかりなので、行くのが楽しみです)

I will get a cup of soda and some popcorn before the movie starts.(映画が始まる前に、ジュースとポップコーンを買うつもりです)

というように。いかがですか?

夫がくれた2つの例文ですが、実は全然違う動作なのがわかると思います。

あえていうと、「see」を使った「I will see a movie in the cinema tomorrow.」は、日本語的には「明日、私は映画館で映画を見てくるつもりです」という感じですね。

「Are you seeing someone right now?」とは?

さて、最後に先ほどの「Are you seeing someone right now?」です。

この質問は、夫の言葉を使うと「more personal」なのだそうで、「いいな」と思っている人に「(友人から恋人へ)一歩進んだ関係」を望むときに、

今、誰かほかにいい人はいるの?

というような意味で聞いたりするそうです。

「Do you have a boyfriend (girlfriend)?」というよりも、「more direct(直球)」なのだとか。ひゃー(赤面)。

また、

They are seeing each other.(彼らはつきあっている)

という表現も有るようです。

「I saw my friend yesterday.」というと、「きのう友人と会った」という意味ですが、「be seeing」になると、ぐっと親密感が増すとは……何とも不思議です。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、「see」と「watch」の動作の違いについて書きました。

日本語だと「見る」の一語で使い通せるので、ピンとこないかもしれませんが、状況を思い返してみると、動作の性質が全然違いました。

英語ではその部分を違う言葉で表現するんですね。

いやー、難しい。ややこしい。

「see」は抽象的な性質だからか、ほかにも用法が多岐にわたっています。それはまた別の記事で…。

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タカコ
アメリカ人の夫との結婚を機に渡米。現在は二児の母として英語に囲まれた環境の中で生活。日本語教育に携わっていたため言語への視点が鋭く、元・英会話教師の夫とのやりとりから生まれる記事が秀逸。
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