[書評]『「英語耳」独習法』で洋画や英会話が楽しめる英語力をつけよう!

[書評]『「英語耳」独習法』
サト

執筆者

TOEIC990点(満点)。ELSA認定アンバサダー。インドネシアで日本語学校を運営している日本語教師。話せる言語は英語のほかにインドネシア語、中国語。→ サトについてはこちら

最近はインターネットなどで、英語のニュースにも気軽にアクセスできるようになりました。

でも、ニュースをいくら聞いても聞き取れるようにならない、なんてことはありませんか。

わたしもTOEICなどのような「きれいな英語」はかなり聞き取れるのですが、ニュースなどの「生の英語」の聞き取りは苦手です……。

今回は、そんな苦手意識を吹き飛ばしてくれる書籍『「英語耳」独習法』をご紹介します。

著者の松澤 喜好 氏について

では、まず本書の著者である松澤 喜好(まつざわきよし)氏をご紹介しましょう。

松澤氏は、次のような経歴をお持ちです。

松澤氏の経歴

  • 大学卒業後、富士ゼロックス(株)に入社
  • 同社で海外と連携したプロジェクトを多数経験(イギリス駐在も経験)
  • 大学で英語の発音指導(2004年まで)
  • 英語学習者向けのサイトを運営
  • 「英語耳」シリーズを出版

お気づきのとおり、松澤氏は英語教育の専門家ではありません。

大学を出てから、コピー機などでおなじみの富士ゼロックスに就職されているわけですから。

ただ、ビジネスの世界で英語を操り、その経験をいかして英語の発音を指導したり、英語学習サイトを運営したりされています。

そして、「英語耳」シリーズの出版までされているということですね。

では、この書籍のタイトル『「英語耳」独習法』に使われている「英語耳」とは何なのでしょうか。

本書で使われる言葉「英語耳」について

では、本書で使われている「英語耳」ということばについても説明しましょう。

「英語耳」はリスニング力だけを指さない

「英語耳」について、松澤氏は本書で次の通り説明しています。

ネイティブ(英語を母国語にする人々)並みの発音を身につけ、字幕なしで洋画の早口な英語を聞き取り、ネイティブとの英会話に必要な語彙力

松澤喜好 著『「英語耳」独習法』(2022年 角川新書)

松澤氏の語る「英語耳」が何なのかをまとめると、次の3つになります。

英語耳とは?

  • ネイティブスピーカー並みの発音
  • 洋画のセリフも聞き取れるリスニング力
  • ネイティブスピーカーと会話ができる語彙力

英語」と書くので、わたしはてっきりリスニング力だけを指すのだと思っていたのです。

でも、発音と語彙力も含まれています

発音と語彙も大切な理由は、本書に譲ります。

そしてこの「英語耳」について、松澤氏は次のようにも述べているんですよ(太字はサトによる)。

あなたにも、日本語と同じように英語を自然に聞き取れ、語彙力不足を感じずに英会話ができるようになる日が必ず来ます。

松澤喜好 著『「英語耳」独習法』(2022年 角川新書)

「必ず」なんて、心強いことばですよね!

シリーズ合計で100万部突破

この「英語耳」ですが、実はシリーズものの書籍としていろいろな本が出ています。

はじめに本が出たのが2004年です。つまり20年前。

好評を得てシリーズ化され、合計で100万部を超えるベストセラーになっているんですよ! これはすごいですよね。

『「英語耳」独習法』の特徴

ここでは、本書『「英語耳」独習法』の特徴を3つご紹介します。

次のとおりです。

本書の特徴

  • 「英語耳」を格安で身につける方法がわかる
  • 「英語耳」を身につける方法がコンパクトにまとまっている
  • 基本をおさえつつユニークなアドバイスもある

順に見ていきましょう!

「英語耳」を格安で身につける方法がわかる

まず、本書を読むことで「英語耳」を格安で身につける方法がわかります。

タイトルに「独習法」とあるとおり、「独学で」というのがポイントですね。

高いお金を払って、教室に通う必要がないわけですから。

ここで、こんな疑問が出てくるかもしれませんね。

発音のチェックはどうするの……?

たしかに「英語耳」には、「発音」も含まれていましたね。

ご安心ください。本書では、発音のチェックも無料ツールで行うようアドバイスがありますし、具体的なツールの名前も紹介してくれていますので!

また、本書では何度も「英語耳」シリーズの紹介があるのですが、そのたびに無料ツールについても触れています。

たとえば、次のような感じで(太字はサトによる)。

現代では、『英語耳』『単語耳』のような「レッスン音声を収録したCD」付きの比較的高額な学習教材を使用しなくても、ご自分で工夫すれば、「英語耳」レッスン自体は可能になってきているのもまた事実です。

本書内でも再三触れたように、ネット上に、英単語の正確な音声を聞けるオンライン辞書だったり、ネイティブの実際の英会話を聞ける動画コンテンツだったりがたくさん存在するような時代になったからです。

松澤喜好 著『「英語耳」独習法』(2022年 角川新書)

ご自身の本を紹介しつつも、お金がかからない方法を紹介してくれています。

こういう著者には、好感が持てますよね!

「英語耳」を身につける方法がコンパクトにまとまっている

次に、本書では「英語耳」を身につける方法をコンパクトにまとめてあります。

本書のメインは、英語耳を身につけるにあたっての「心構え」と「実際の練習方法」で、次のようにまとめてくれているんですよ。

心構えと実際の練習法

  • 心構え: 9か条
  • 練習法: 3ステップ

9つの心構えを知り、3ステップに沿って練習を進めていけばいいわけですね。

事前に地図を渡されたような安心感がありますし、その地図自体がシンプルなので最高です♪

「心構え」や「練習方法」の内容については後で少しだけ触れますが、基本的には本書に譲ります。

基本をおさえつつユニークなアドバイスもある

最後に、本書では基本をおさえつつ、ユニークなアドバイスもしてくれます。

「基本」は例えば次のようなことですね。

単語の音は全部つながって発音されている

松澤喜好 著『「英語耳」独習法』(2022年 角川新書)

リンキングの基本を取り扱った上で、ユニークなアドバイスもあるんですよ。

わたしがユニークだと思ったのは、次のアドバイスです(太字はサトによる)。

要するにどのような単語でも、アクセントがついた音節の三~四音さえ聞き取れば、使用単語を絞り込めるのです。

単語の中にある音を全部聞き取ろうという必死な姿勢は必要ありません。

松澤喜好 著『「英語耳」独習法』(2022年 角川新書)

これは9つの心構えのひとつ、「アクセントのある音節で単語を識別する」に書いてある内容です。

実はわたし、はじめは本書を無料サンプルで読んだんですが、このアドバイスを見かけた後にすぐ買いました。

わたしは今までこんなアドバイスを聞いたことがなく、衝撃を受けたからです。

でも、本書を読むと「たしかに理にかなっているな」と思います。

詳しくは、ぜひ本書をご覧ください。

『「英語耳」独習法』の注意点

ここまで本書の特徴について書いてきました。

本書はめちゃくちゃオススメできるのですが、注意しておいたほうがいい点もあります。次の3つです。

注意点

  • 手っ取り早い方法ではない
  • 練習の題材は少ない
  • 根拠が弱い箇所がある

順に掘り下げていきますね。

手っ取り早い方法ではない

まず、本書で紹介されているのは、手っ取り早い方法ではないという点。

たとえば、「英語耳」を身につけるためのはじめのステップは、「子音母音の発音方法を習得すること」です。

例えば、特に重要な子音がひとつ紹介されているのですが、これを完全にマスターするのには1年ぐらいかかるそうで……。

これだけでも、手っ取り早く力がつく方法ではないというのがわかりますね。

ただ、この子音をしっかり発音できるようになると、他の発音も格段に身に付けやすくなるんだとか。

手っ取り早くはないものの、効率がいい順番を教えてくれるのは間違いありません。

ちなみに、「子音と母音の発音方法の習得」には、ELSA SPEAKというアプリがオススメです!

練習の題材は少ない

注意点の2点目は、練習の題材が少ない点です。

たとえば、先ほどもご紹介した「子音と母音の発音方法を習得する」ための練習について、次のとおり書いてあります。

『改訂3版 英語耳』で子音・母音の調音方法を知り、その上で、中学卒業までに習う必修千単語を子音・母音で整理しながら発音練習ができる『改訂版 単語耳 レベル1』を利用することをおすすめします。

とはいえもちろん、お手持ちの別の教材や教科書、あるいはYouTubeなどで見られるネット教材やスマホアプリなどを使って実践していただいても構いません。

松澤喜好 著『「英語耳」独習法』(2022年 角川新書)

本書以外の教材を使うようにとはっきり書いてあるわけですね。

まあ、内容がコンパクトにまとまっている分、仕方がないことですね……。

本書でも言われているとおり、無料のツールを積極的に使ってがんばりましょう。

当メディアでも英語の発音についていろいろ情報を発信しているので、ぜひご活用ください。

根拠が弱い箇所がある

最後に、本書には根拠が弱い箇所があるのが少し気になりました。

例を2つ見てみましょう(太字はサトによる)。

自分で発音できるようになると、その一・五倍速で話されてもリスニングが可能になります。

当時の私は、「リスニングは、いろいろな話し手が、さまざまな分野の話題について話すのを、〝たくさん〟聞くことでようやく習得できるのだろう」と考えていました。ところが同じ英文を百回以上くり返し聞いた経験を経てからは、「一つの英文をひたすらくり返して聞く一点突破式のほうが、短時間でかなりのレベルに達することができるのだ」と考えを改めました。

松澤喜好 著『「英語耳」独習法』(2022年 角川新書)

1つ目の例は前後を見ても、なぜ「1.5倍」という数字が出たのかは書いてありませんでした。

また2つ目の例はあくまで著者の体験談で、万人に共通する方法かどうかはわかりません。

ただ、根拠は紙面の都合で省略された可能性もあります。

何より、結果が出ない方法だったら、シリーズで100万部も売れるとは思えません。

細かいところには目をつぶって、本書の方法を試す価値は十二分にあります。

まとめ

この記事では、『「英語耳」独習法』という本をご紹介しました。

特徴と注意点は、次のとおりでしたね。

本書の特徴

  • 「英語耳」を格安で身につける方法がわかる
  • 「英語耳」を身につける方法がコンパクトにまとまっている
  • 基本をおさえつつユニークなアドバイスもある

本書の注意点

  • 手っ取り早い方法ではない
  • 練習の題材は少ない
  • 根拠が弱い箇所がある

わたしも本書にある方法で練習をはじめてみました。

英語が聞き取れないとお悩みなら、ぜひ本書を手に取ってみてください。

英語の勉強にオススメの書籍はほかにもいろいろあります。

次の記事にわかりやすくまとめたので、ぜひご参考に!!

海外留学で英語で学ぼう!

カナダ留学コンパス

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だったら、「英語勉強の書籍のカテゴリ」を要チェックだね♪

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サト
英語びより編集長。独学でTOEIC980点をマーク(2023年9月)。インドネシアで日本語学校を運営している。>>サトについて詳しくはこちら
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