「TOEIC」には、通常の「TOEIC」とは別に「TOEIC Bridge」があります。
「なにが違うの?」とすこし混乱するかもしれませんね。
そこで本記事では、「TOEIC」と「TOEIC Bridge」の違いを解説します。
目次
「TOEIC」と「TOEIC Bridge」の基本的な違い
まず、「TOEIC」と「TOEIC Bridge」のいちばんの違いはレベルです。
TOEIC Bridgeはレベルが「やさしめ」
「TOEIC Bridge」は、レベルがやさしめに設定されています。
「TOEIC」を実施している「国際ビジネスコミュニケーション協会」の公式サイトに書かれている「TOEIC Bridge」の特徴は次のとおり。
TOEIC Testsへの架け橋として効果的
国際ビジネスコミュニケーション協会 公式サイト
「TOEIC Bridge」は「TOEIC」につながる「架け橋(=bridge)」ということですね。
さらに、「TOEIC Bridge」が想定している対象レベルについては、次のとおりです。
TOEIC Bridge® Listening & Reading Testsは、英語学習初級者から中級者を対象とした、日常生活で活きる“英語で聞く・読む能力”を測定するテストです。
国際ビジネスコミュニケーション協会 公式サイト
初級者でも安心して受験できそうです。
ちなみに「Bridge」ではない、通常の「TOEIC」は次のようにレベルについて触れられていません。
TOEIC® Listening & Reading Testでは、Listening(聞く)・Reading(読む)という2つの英語力を測定します。
国際ビジネスコミュニケーション協会 公式サイト
すべてのレベルが対象と考えられますね。
「L&R」と「W&S」の違い
ところで、先ほどの引用部分で「TOEIC」にも「TOEIC Bridge」にも「Listening & Reading」が付いていることにお気づきかもしれません。
この「Listening & Reading」の試験は、聴解や文法・読解などの4択問題に答えていく試験です。
「TOEIC」と聞いて、わたしが真っ先に思い浮かべるのも「Listening & Reading」です!
なぜわざわざ「Listening & Reading」と付けているかというと、「TOEIC」にも「TOEIC Bridge」にも「Writing & Speaking」という「別の試験」があるからです。
測定する技能によって2種類ある
「Writing & Speaking」は文字通り、「書く」「話す」を測定する試験ですね。
「TOEIC Writing & Speaking」と「TOEIC Bridge Writing & Speaking」のいちばん大きな違いも、レベルです。
以下、「Listening & Reading」を「L&R」、「Writing & Speaking」を「W&S」と表記します。
TOEICには4種類ある
まとめると、TOEICには次の4種類の試験があることになります。
4種類
- TOEIC L&R
- TOEIC Bridge L&R
- TOEIC W&S
- TOEIC Bridge W&S
では、「TOEIC」と「TOEIC Bridge」は、レベル以外にどんな違いがあるのでしょうか。
次項から、それぞれ「L&R」と「W&S」に分けて比較していきます。
「TOEIC L&R」と「TOEIC Bridge L&R」の比較
「TOEIC L&R」と「TOEIC Bridge L&R」の違いを表にまとめました。
項目名をタップすると、詳細を見ることができます。
項目名 | TOEIC L&R | TOEIC Bridge L&R |
---|---|---|
実施回数(年間) | 13回 | 4回 |
受験料(税込) | 7,810円 | 4,950円 |
試験時間 | Listening: 45分 Reading: 75分 合計: 120分 | Listening: 25分 Reading: 35分 合計: 60分 |
問題数 | Listening: 100問 Reading: 100問 合計: 200問 | Listening: 50問 Reading: 50問 合計: 100問 |
スコア | Listening: 5〜495点 Reading: 5〜495点 合計: 10~990点(5点刻み) | Listening: 15〜50点 Reading: 15〜50点 合計: 30~100点(1点刻み) |
出題範囲 | 日常生活・ビジネス | 日常生活 |
解答方法 | マークシート(4択) | マークシート(4択) |
L&Rの実施回数
「L&R」の試験が実施される回数は、「TOEIC」が年13回なのに対し、「TOEIC Bridge」は年4回です(2023年度)。
「TOEIC」のほうが、試験を受けるチャンスが圧倒的に多いんですね!
2023年度(2023年4月〜2024年3月)の実施日の比較は、次のとおりです。
TOEIC L&R | TOEIC Bridge L&R | |
---|---|---|
4月 | 23日 | (実施なし) |
5月 | 21日 | 21日 |
6月 | 25日 | (実施なし) |
7月 | 23日 | (実施なし) |
8月 | 20日 | 6日 |
9月 | 10日 | (実施なし) |
10月 | 1日, 29日 | 1日 |
11月 | 19日 | (実施なし) |
12月 | 10日 | (実施なし) |
1月 | 28日 | (実施なし) |
2月 | 25日 | 25日 |
3月 | 17日 | (実施なし) |
「TOEIC」は毎月実施され、10月は2回も受験のチャンスがあります。
一方「TOEIC Bridge」はざっくり春夏秋冬、1回ずつの実施。受験するなら、申し込みのタイミングを逃さないようにしたいところですね。
L&Rの受験料
「L&R」の受験料の比較は次のとおりで、「TOEIC」のほうが高くなっています。
TOEIC L&R | TOEIC Bridge L&R | |
---|---|---|
受験料(税込) | 7,810円 | 4,950円 |
なんと「TOEIC」の受験料は「TOEIC Bridge」の1.5倍!
「TOEIC」のほうが試験時間が長く、問題数も多いので、高くなるのは当然です。詳しくはこのあと解説します。
L&Rの試験時間
「TOEIC L&R」も「TOEIC Bridge L&R」も、試験時間が2つのパート(ListeningとReading)に分かれています。
「L&R」の試験時間の比較は、次のとおりです。
セクション | TOEIC L&R | TOEIC Bridge L&R |
---|---|---|
Listening | 45分 | 25分 |
Reading | 75分 | 35分 |
合計 | 120分(2時間) | 60分(1時間) |
「TOEIC」は、合計2時間。つまり、「TOEIC Bridge(1時間)」の2倍ですね。
2時間も集中力をキープするのが難しそうなら、まず「TOEIC Bridge」で慣れておくのも手です。
L&Rの問題数
「L&R」の問題数の比較は、次のとおりです。
セクション | TOEIC L&R | TOEIC Bridge L&R |
---|---|---|
Listening | 100問 | 50問 |
Reading | 100問 | 50問 |
合計 | 200問 | 100問 |
試験時間と同じく、問題数も「TOEIC」は「TOEIC Bridge」の2倍ですね。
単純計算すると、1問あたりに使える時間は変わらないので、「TOEIC Bridge」で問題を解くペースをつかんでから「TOEIC」に臨めそうです。
ただし、先述したようにTOEICのほうが難易度が高いので、その点はご注意ください。
L&Rのスコア
「L&R」のスコアの比較は、次のとおりです。
セクション | TOEIC L&R(5点刻み) | TOEIC Bridge L&R(1点刻み) |
---|---|---|
Listening | 5〜495点 | 15〜50点 |
Reading | 5〜495点 | 15〜50点 |
合計 | 10〜990点 | 30〜100点 |
「TOEIC」は中途半端な990点であるのに対し、「TOEIC Bridge」は100点満点です。
「TOEIC」のスコアはなんとなくイメージがつかめるものの、「TOEIC Bridge」のスコアは馴染みがないかもしれませんね。
公式サイトには、目安として次の比較表がありました。
TOEIC L&R | TOEIC Bridge L&R |
---|---|
〜120 | 30 |
210 | 40 |
265 | 50 |
325 | 60 |
400 | 70 |
490 | 80 |
605 | 90 |
610〜 | 90〜 |
一番下の行をご覧ください。
「TOEIC Bridge」で満点近く(90点以上)を取っても、「TOEIC」に換算すると610点程度。
「TOEIC Bridge」は、あくまで「TOEIC」への「架け橋」というのが、この表からも読み取れますね。
L&Rの出題範囲
L&Rの出題範囲の比較は、次のとおりです。
出題範囲 | TOEIC L&R | TOEIC Bridge L&R |
---|---|---|
日常生活 | ◯ | ◯ |
ビジネス | ◯ | ✕ |
TOEICもTOEIC Bridgeも、日常生活での英語が問われます。
違いは、ビジネス英語が問われるかどうか。
具体的な違いを知るには、公式サイトで問題例を見るのがいちばんです。
問題例のリンクを載せておきますので、興味があればご覧ください。
問題例(公式サイト)
L&Rの解答方法
L&Rの解答方法は、TOEICもTOEIC Bridgeも4択のマークシート方式です。
「TOEIC S&W」と「TOEIC Bridge S&W」の比較
「TOEIC S&W」と「TOEIC Bridge S&W」の違いを表にまとめました。
項目名をタップすると、詳細を見ることができます。
項目名 | TOEIC S&W | TOEIC Bridge S&W |
---|---|---|
実施回数(年間) | 24回 | 4回 |
受験料(税込) | 10,450円 | 9,350円 |
試験時間 | Speaking: 約20分 Writing: 約60分 (合計: 約80分) | Speaking: 約15分 Writing: 約37分 (合計: 約52分) |
問題数 | Speaking: 11問 Writing: 8問 合計: 19問 | Speaking: 8問 Writing: 9問 合計: 17問 |
スコア | Speaking: 0〜200点* Writing: 0〜200点* 合計: 0〜400点* *10点刻み | Speaking: 15〜50点** Writing: 15〜50点** 合計: 30〜100点** **1点刻み |
出題範囲 | 日常生活・ビジネス | 日常生活 |
解答方法 | 会場のPCで解答 | 会場のPCで解答 |
S&Wの実施回数
S&Wの実施回数は、TOEICが年24回で、TOEIC Bridgeは年4回です(2023年度)。
ただし、TOEICは同じ日に2回行われるため、実施される日は年に12日間だけです。
TOEIC Bridgeのほうは、L&Rと同じく年に4回しかチャンスがありません。
2023年度(2023年4月〜2024年3月)の実施日の比較は、次の表のとおりです。
TOEIC S&W(各2回実施) | TOEIC Bridge S&W | |
---|---|---|
4月 | 16日 | (実施なし) |
5月 | 21日 | 21日 |
6月 | 11日 | (実施なし) |
7月 | 9日 | (実施なし) |
8月 | 6日 | 6日 |
9月 | 3日 | (実施なし) |
10月 | 8日 | 8日 |
11月 | 5日 | (実施なし) |
12月 | 3日 | (実施なし) |
1月 | 14日 | (実施なし) |
2月 | 18日 | 18日 |
3月 | 24日 | (実施なし) |
S&Wの受験料
S&Wの受験料の比較は、基本的には次の表のとおりです。
TOEIC S&W | TOEIC Bridge S&W | |
---|---|---|
受験料(税込) | 10,450円 | 9,350円 |
S&Wの場合、TOEICとTOEIC Bridgeの間には、1割ぐらいの違いしかありません。
L&Rの料金では、TOEICのほうが1.5倍だったのとは大違いです。
採点などの手間が、同じぐらいかかるのかもしれません。
基本的な受験料は先ほどの表のとおりなのですが、S&Wの場合、次の料金もあります。
必要な料金
「追加申し込み期間の受験料」とは、申し込みをいったん締め切ったものの、空きが出た場合に申し込む際の受験料です。
たとえば、2023年7月実施の試験の申し込みは、6月23日で締め切られます。
ただ、空きがある場合は、6月26日から6月30日まで「追加申し込み」ができるんです。
また「変更手数料」は、試験日や試験を受ける時刻、会場を変更する際の手数料です。
通常の受験料の比較もあわせて表にまとめました。
TOEIC S&W | TOEIC Bridge S&W | |
---|---|---|
通常の受験料(税込) | 10,450円 | 9,350円 |
追加申し込みの受験料(税込) | 13,200円 | 12,100円 |
変更手数料(税込) | 2,750円 | 2,750円 |
キャンセル手数料 | 5,000円 | 5,000円 |
「追加申し込み」だと高くなりますし、変更やキャンセルには手数料がかかってしまいます。
お金をムダにしないためにも、確実に受験できる日をおさえて、早めに申し込みたいところですね。
S&Wの試験時間
「TOEIC S&W」も「TOEIC Bridge S&W」も、2つのパート(SpeakingとWriting)に分かれています。
S&Wの試験時間の比較は、次のとおりです。
セクション | TOEIC S&W | TOEIC Bridge S&W |
---|---|---|
Speaking | 約20分 | 約15分 |
Writing | 約60分 | 約37分 |
合計 | 約80分 | 約52分 |
TOEICのほうがTOEIC Bridgeより、1.5倍ほど長くなっています。
この点は、次の「問題数」で掘り下げます。
制限時間内で英語を話したり書いたりする……想像しただけでも緊張してしまいます……。
S&Wの問題数
S&Wの問題数の比較は、次のとおりです。
セクション | TOEIC S&W | TOEIC Bridge S&W |
---|---|---|
Speaking | 11問 | 8問 |
Writing | 8問 | 9問 |
合計 | 19問 | 17問 |
試験時間には1.5倍もの開きがあるのに対し、問題数だけ見ると、2問しか差がありません。
さらに、Writingに至っては、TOEIC Bridgeのほうが多くなっています。
お察しのとおり、理由は「問題のレベルが違うこと」です。
問題例が公式サイトに掲載されているので、ご参考までにリンクを載せておきます。
問題例(公式サイト)
S&Wのスコア
S&Wのスコアの比較は次のとおりです。
セクション | TOEIC S&W(10点刻み) | TOEIC Bridge S&W(1点刻み) |
---|---|---|
Speaking | 0〜200点 | 15〜50点 |
Writing | 0〜200点 | 15〜50点 |
合計 | 0〜400点(※) | 30〜100点 |
便宜上、点数を合計していますが、「TOEIC S&W」の証明書には合計点は記載されません。
ただ、この数字だけ見てもピンと来ないかもしれませんね。
「TOEIC S&W」の平均点
公式サイトに、TOEIC S&Wの2020年の国別データがあります。
一部抜粋すると、次のとおりで、SpeakingとWriting、それぞれのスコアが出ています。
国 | Speaking(200点満点) | Writing(200点満点) |
---|---|---|
ドイツ | 166点(1位) | 167点(2位) |
アルゼンチン | 155点(2位) | 166点(3位) |
フィリピン | 155点(2位) | 170点(1位) |
日本 | 114点(20位) | 133点(20位) |
日本の平均は、200点満点で114点とか133点とか……単純に計算すると、57%〜67%ということになります。
トップとは比べるべくもありませんが、参考になさってください。
「TOEIC Bridge S&W」の平均点
また、TOEIC Bridge S&Wについては、同じく公式サイトに日本のデータ(2023年3月実施分)があったので、こちらも載せておきます。
Speaking(50点満点) | Writing(50点満点) | |
---|---|---|
最高 | 50点 | 50点 |
最低 | 15点 | 15点 |
平均 | 35.8点 | 39.7点 |
「Speaking」と「Writing」は15点から50点の範囲で点数がつきます。
満点の50点を取る人もいるということですね!(最低点を取る人も……)
平均点も、単純に計算すると満点の70%〜80%程度なので、TOEIC S&Wよりは高得点です。
「TOEIC Bridge S&W」で自信をつけてから、「TOEIC S&W」を受けるのもいいかもしれません。
L&Rの場合、公式サイトに「TOEIC」と「TOEIC Bridge」の比較表がありますが、「S&W」については見当たりませんでした。
S&Wの出題範囲
S&Wの出題範囲の比較は、L&Rと同じで、次のとおりです。
出題範囲 | TOEIC S&W | TOEIC Bridge S&W |
---|---|---|
日常生活 | ◯ | ◯ |
ビジネス | ◯ | ✕ |
問題例のリンクを再度載せておきます。
問題例(公式サイト)
S&Wの解答方法
S&Wは、すべて会場のPC上で解答することになっています。
「TOEIC S&W」も「TOEIC Bridge S&W」も同じです。
次の公式動画のように「Speaking」はマイクに向かって話し「Writing」はPCに入力して解答します。
英語力を鍛えるのはもちろん、PCの操作にも慣れておいたほうがよさそうですね。
まとめ
この記事では「TOEIC」と「TOEIC Bridge」の違いを解説しました。
いちばんの違いは「TOEIC Bridge」のほうが「TOEIC」より難易度が低いという点でしたね。
最後にもう一度比較した表を紹介します。
「TOEIC L&R」と「TOEIC Bridge L&R」の違いは、次のとおりでした。
項目名 | TOEIC L&R | TOEIC Bridge L&R |
---|---|---|
実施回数(年間) | 13回 | 4回 |
受験料(税込) | 7,810円 | 4,950円 |
試験時間 | Listening: 45分 Reading: 75分 合計: 120分 | Listening: 25分 Reading: 35分 合計: 60分 |
問題数 | Listening: 100問 Reading: 100問 合計: 200問 | Listening: 50問 Reading: 50問 合計: 100問 |
スコア | Listening: 5〜495点 Reading: 5〜495点 合計: 10~990点(5点刻み) | Listening: 15〜50点 Reading: 15〜50点 合計: 30~100点(1点刻み) |
出題範囲 | 日常生活・ビジネス | 日常生活 |
解答方法 | マークシート(4択) | マークシート(4択) |
さらに、「TOEIC S&W」と「TOEIC Bridge S&W」の違いは、次の表のとおり。
項目名 | TOEIC S&W | TOEIC Bridge S&W |
---|---|---|
実施回数(年間) | 24回 | 4回 |
受験料(税込) | 10,450円 | 9,350円 |
試験時間 | Speaking: 約20分 Writing: 約60分 (合計: 約80分) | Speaking: 約15分 Writing: 約37分 (合計: 約52分) |
問題数 | Speaking: 11問 Writing: 8問 合計: 19問 | Speaking: 8問 Writing: 9問 合計: 17問 |
スコア | Speaking: 0〜200点* Writing: 0〜200点* 合計: 0〜400点* *10点刻み | Speaking: 15〜50点** Writing: 15〜50点** 合計: 30〜100点** **1点刻み |
出題範囲 | 日常生活・ビジネス | 日常生活 |
解答方法 | 会場のPCで解答 | 会場のPCで解答 |
どちらを受けるにしても、いい結果になるよう祈っております!