英語の動詞にはいろいろな分け方があります。
その中でも「自動詞」と「他動詞」という分け方について今回は紹介します。
日常ではあまり気にしない専門用語ですが、TOEICなどでスコアを上げたい人や、5文型を勉強するときに知っておくべき考え方です。
目次
自動詞・他動詞とは?
では、自動詞・他動詞という言葉はどういう意味なのでしょうか?
日本語の「自動詞」「他動詞」について
この2つの言葉を理解するには、まずは日本語で見たほうが理解しやすいです。
まずは日本語の自動詞「開く」の例から見てみましょう。
上の図のように、ドアが自分自身で動くときに「あく」という動詞を使いますよね?
「自動ドア」だったり、「風」によってドアがひとりでに開いたときとか!
ドア自身が動くので「自動詞」と呼びます。
今度は「他動詞」を解説した図を見てください。
上のように、「他人」がドアに作用したときに使うのが「開ける」という他動詞ですね。
まとめるとこちらになります。
自動詞 | 開く |
---|---|
他動詞 | 開ける |
日本語の「自動詞」「他動詞」については下記にさらにくわしく書いています。
英語では「自動詞」も「他動詞」も同じ動詞を使う
日本語では「自動詞」「他動詞」として違う動詞を使うのですが、英語では同じ動詞を使います。
たとえば「open(開く)」という動詞は、自動詞にも他動詞にも両方使います。
例
自動詞、他動詞に関係なくどちらも同じ動詞「open」を使うんですね。
日本語は「同じ現象」を表すのに2つの動詞を使いわける
つまり、この現象だけを見ると、日本語のほうが面倒くさいということになります。
じつは「自動詞」「他動詞」の区別は、英語圏の人が日本語を学ぶときにつまずく箇所の1つです。
だって、同じ現象を表現するのに「自分がやる」「ほかの人が作用してやる」かで動詞を区別しなければいけないわけですから……。
【参考】英語では「Transitive」と「Intransitive」と呼ぶ
「自動詞」「他動詞」という言葉ですが、英語では、こちらのように言います。
自動詞 | Intransitive Verb |
---|---|
他動詞 | Transitive Verb |
英語では「他動詞」が主体です。「他動詞」が「transitive」なのは、「trans」の語源を考えるとわかりやすいかも。
「trans」には「越えて・向こう側に」という意味があるので、自分の向こう側の「ほかのもの」に作用するというイメージ。
「自動詞」は「in」という「否定」を表す言葉を頭に付けて「越えない」という意味で、「直接働きかけない」というイメージですね。
英語の「自動詞」「他動詞」の特徴
では続いて、英語の「自動詞」「他動詞」の特徴について紹介します。
先述した日本語の場合は、「他動詞」には「〜を」が付くというルールがあります。
日本語の「他動詞」の特徴
では、英語はどうなのでしょうか?
実は英単語でも簡単に見分ける方法があるのです。
英語の「他動詞」の特徴
では、英語の「他動詞」の特徴を見てみましょう。
英語では、動詞の直後に「作用する対象(名詞)」がくる場合は「他動詞」です。
こちらをご覧ください。2つの「eat」のうち、どちらが他動詞でしょうか?
例
上側に書いた「Japanese eat raw fish.」の「eat」が「他動詞」ですね!
動詞「eat」の直後に、作用する対象(名詞)の「raw fish」が来ているからです。
「他動詞」が使われる形は第三文型と呼ばれます。詳しくは下記をご覧ください。
英語の「自動詞」の特徴
今度は「自動詞」の例にフォーカスしましょう。
英語の「自動詞」にはどのような特徴があるのでしょうか?
自動詞の後ろには「with」などの前置詞を挟む
もう一度こちらをご覧ください。
2つ目の「eat」は自動詞になりますが、後ろに「with chopsticks」と続いていますよね。
自動詞の場合は、動詞のあとに直接「作用する対象(名詞)」は使えません。
自動詞の直後に名詞がくるとヘンな文に……
もし、この「with」がないとどうなりますか?
なんと! 他動詞になって、意味が変わってしまいました! しかもおかしな意味に!
つまり、自動詞の直後には直接名詞をもってこれないということを意味します。下の例はどちらも「自動詞」になりますよ。
自動詞の例
こんなふうに、自動詞は、後ろに「前置詞」をセットにして使うものが多いんです。
「自動詞」が使われるのは第一文型と呼ばれます。詳しくは下記をどうぞ。
【重要】他動詞を暗記するときのコツ
上で見た「go」や「look」は自動詞なので、「行く」「見る」という和訳で覚えてオッケーです。
ところが、他動詞しかない「discuss」という単語は「議論する」ではなく「について議論する」と覚えないといけません。
どういう意味??
「他動詞」に前置詞を追加してしまうミスについて
もし「discuss = 議論する」とだけ覚えてしまうと、日本語を英語にするときにこんなことをやってしまうのです。
例
「discuss」は他動詞なので、「discuss」の
直後に「前置詞」を入れてはいけないからです。
「discuss」は他動詞なので、この「about」があってはダメなんです!
ということで、正解はこうなります。
例
「about」があっても意味としては通じそうですが、文法としては完全に間違っています。
辞書にも「を」の記載がある!
なぜこんなミスをしてしまうのかというと、「discuss」を「議論する」と覚えるからです。
そこで「について議論する」と覚えればどうでしょうか?
「について」まで覚えておけば「discuss」のあとに直接「the matter(その問題)」を置きたくなる!!
例
実は辞書にもちゃんとこんなふうに記載があります。
これは「open」を調べたときの例です。左側が自動詞の「open」ですので、「開く」としか記載されていません。
ところが、右側の「open」は他動詞なので、「を開ける」というふうに「を」までちゃんと記載がありますよね?
単語を覚えるときには「を」までちゃんと覚えないとダメなんです。
自動詞/他動詞の区別がある英単語
さて、「open」のように自動詞でも他動詞でも同じものがほとんどですが、中には例外もあります。
どういうことかというと、自動詞と他動詞で違う単語を使う例です。
「lie」と「lay」
よく見かけるのがこちらの2つです。
例
つまり、「lie」は自動詞で、「lay」は他動詞になります。
「rise」と「raise」
そして、こちらも有名です。
例
「rise」は自動詞、「raise」は他動詞ですね。
ちなみに、暗記方法はこちらを。
自動詞に見える「他動詞」
動詞の中には、自動詞に見えるけど他動詞であるものがあります。
たとえば、「discuss」という単語。
思わず「I discuss about the matter」と言いたいところですが、この前置詞「about」は要りません!
くわしくはこちらの記事に書いていますのでご参考に!
まとめ
さて、英語の自動詞と他動詞をまとめていたらかなり長い記事になってしまいました。
わたし自身、考えずにカンでやっていたのですがまとめてみると「なるほど」と思いました。
ぜひ、この知識を試験とか英会話の実践で役に立ててくださいね!