「端午の節句(こどもの日)」や「ゴールデンウィーク」などイベントが多い5月。
5月は英語で「May」と言いますが、「may」という言葉を含む単語・慣用句や言い回しなどが意外とあるんです。
というわけで今回は「may」にまつわる英語のフレーズや言い回しを中心をご紹介します。
「May」の意味は?
まずは「may」の基本を押さえておきましょう。
「may」という単語にはこちらのような5つの意味があります。
「月」の名前 | 5月 ※頭文字は大文字で必ず「May」と表記 |
---|---|
許可 | ~してもよい |
推量・可能性 | 〜かもしれない |
提案 | 「may I ~?」で「〜してもよろしいですか?」の意味 |
祈念(かたい表現) | ~が……しますように |
厳密には「may」の意味や用途はもっと幅広いのですが、今回はこれらに絞った言い回しに焦点を当てていきます。
「5月」という意味の「May」
12か月ある「月」のうち「5月」を「May」と呼びます。
注意したいのですが、「月の名前」や「曜日の名前」の頭文字は、必ず大文字にしますよ。
ここでは「may」のつくお花「mayflower(サンザシ)」と「may」のつく昆虫「mayfly(カゲロウ)」があるので紹介します。
「mayflower」も「mayfly」も「may」は大文字にしません。
mayflower(サンザシ)
愛らしい花が咲いた後に1cmにも満たない赤い実をたくさんつける「サンザシ」を英語では「mayflower」と呼びます。
私の実家の庭にも生えていました。
街路樹にも採用されているので目にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
英語名は「mayflower」ですが、オーストラリアでは「hawthorn」と呼ばれることが多いです。
ただ、ここで注意が必要なのは、英語でいうところの「mayflower」はサンザシにかぎりません。
地域によって雑多な植物のことを指しますよ。
日本語でも単純に「今夜は鍋にしよう」といっても想像する鍋の内容は違うのと似ていますね。
mayfly(カゲロウ)
「mayfly」と書くと、「カゲロウ」のことを指します。
カゲロウは川の中で幼虫として育ち、成虫になる際川から上がってきて一斉に羽化します。
そしてその時期はその名の通り5月に一斉に羽化するので「mayfly」という名前がついています。
この名前を付けられたのはユリウス暦(旧暦)だったため、新しいグレゴリオ暦(新暦)になった際には6月にも羽化現象が見られることになりました(笑)。
それだと「junefly」になってしまいますが、大元の意図を汲んでか(?)そのまま「mayfly」呼ばれていますよ。
ちなみに、カゲロウやカゲロウの幼虫をかたどった毛バリを、長い釣り糸で遠くまで飛ばして魚を釣るスタイルをフライ・フィッシングといいます。
色々なスタイルの毛バリがありますが、カゲロウをかたどったものは「メイフライ(mayfly)」、カゲロウの幼虫をかたどったものは「ニンフ(nymph)」と呼ばれています。
これらは英語からそのままのことばが使われていますね。
許可の「may(〜してもよい)」
「may」は助動詞として使われますよね。そのなかで「許可を与える」という意味もあります。
たとえば「You may come in.(入ってよろしい)」みたいに。
先ほどの5月という意味の「May」と、「許可」を表す「may」をかけたジョークを紹介しますね。
Can February march ?
(2月は行進してもいい?)
No, but April may.
(いや、でも4月はいいよ)
なんだか月の名前を2月から5月まで(February - March - April - May)つなげただけの意味のない文に見えますが、ちゃんと意味がとおります。
ここでのポイントは、こちらの2つの月の名前を違う意味でとらえていることです。
単語 | 月の名前 | もう1つの意味 |
---|---|---|
march | 3月 | 行進する |
may | 5月 | 〜してもよい(許可) |
完全に「ことば遊び」ですね!
ちなみに「February」さんにはお会いしたことはありませんが、「April」さんはときおり耳にする名前です。
推量・可能性の「may(〜かもしれない)」
助動詞の「may」には「推量・可能性」を表す「〜かもしれない」という意味もあります。
その「may」にbe動詞の原形「be」がくっついて「may be」と言うときもありますが、「maybe」という単語もありますよね。
なんかややこしいですが……。
この「may be」と「maybe」はつづりがほぼ同じですが、あいだにスペースは入っているかどうかで意味も違ってきます。
may be 〜 | 〜かもしれない |
---|---|
maybe | たぶん、おそらく |
この2つを使った会話でご確認ください。
Pizza delivery may be coming soon.
(もうすぐピザの配達が来るかもしれない)
Maybe you're right.(たぶんそうだろうね)
文法用語でいうと、「maybe」は副詞になります。
提案の「may(〜してもよろしいですか?)」
お店やレストランに入った際の「いらっしゃいませ」に相当する英語はありません。
実際に入店した際に店員さんからよく言われるのはこちらです。
店員さんの挨拶例
- Hello ! (こんにちは! )
- Hi, how are you ?(やぁ、元気? )
- How is it going ?(調子はどう? )
どれもカジュアルな表現ですが、例えば洋服のお店に入って店員さんに挨拶した後にこんなふうに言われることがあります。
店員さん
May I help you with anything ?
(何かお探しですか?)
この表現は「何かお探しですか?」的なフレーズですね。
特に買うものが無い場合はこちらのように答えましょう。
お客さん
I’m just looking.
(ただ見ているだけです)
「browse(見て回る)」を使って「I’m just browsing」 でもオッケー。
祈念の「may(〜が……しますように)」
5番目に紹介する「may」は「~が...しますように」という言い回し。
ちょっと固い表現ではありますが、スピーチなどでよく使われます。
そうしたフレーズの中でも特に有名なものがあります。
映画『スターウォーズ』で頻繁に使われるこちらのフレーズです。
May the force be with you.
(フォースと共にあらんことを)
May the force be with you, always.
(常にフォースと共にあらんことを)
※ force =映画の中に登場する超常的な能力
この文の「may(~しますように)」と「May(5月)」をかけ、さらに「force」と「fourth(4番目の)」をかけたこんなフレーズも。
May the fourth be with you.
(5月4日が共にあらんことを)
ファンの間で、こんなフレーズがまことしやかに囁かれるようになりました。
これを受けてなんと!「5月4日」が公式に「スター・ウォーズの日」と認定される事態に!
Star Wars Day, May 4, celebrates George Lucas' Star Wars.
Star Wars Day - Wikipediaより引用しました。
おふざけでやっていたことが公式に認定されるだなんておもしろいですよね。
5月とは関係のない「may」のつく言葉
そのほかに「may」のつく言葉がありますが、今度は「5月」とはまったく関係のない言葉を紹介します。
「mayor」は「5月の人」じゃない
「市長さん」は英語で「mayor」と言います。
ちなみに、自治体の長(市長、村長、町長)はすべて「mayor」と呼びますよ。
さてこの「mayor」ですが、私は勝手に「may + or」で「許可を出す+ひと」だと思い込んでいました。
しかし、調べてみると英語の「mayor」は旧フランス語の「maire」から来ており、その元はラテン語の形容詞「major(偉大なる)」から来ています。
というわけで「mayor」のスペルには「may」が入っているのですが、5月の「May」とも許可の「may」とも関係がないようです。
ちなみにこちらは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 の「将来、このひとは市長(mayor)になるんだ! 」というシーン。
緊急事態の連絡に使う「Mayday」は「5月の日」じゃない
アクション映画の「飛行機が墜落するシーン」でよく聞くこんな言葉があります。
機長: 「メーデー! メーデー! 」
機長が管制塔に連絡する際、連呼していて、日本語だと「SOS」と約されますよね。
さて、このフレーズ、「『May day』は『5月の日』だから歴史的に一大事が5月にあった由来でもあるのかな」と思っていました。
ですが! これまた私の大ハズレでした。
Wikipediaにはこのように書いてあります(赤字は私によるもの)。
メーデー(Mayday)とは、無線電話で遭難信号を発信する時に国際的に使われる緊急用符号語。フランス語の「ヴネ・メデ(venez m'aider)」、すなわち「助けに来て」に由来する[1]。一般に人命が危険にさらされているような緊急事態を知らせるのに使われ、警察、航空機の操縦士、消防士、各種交通機関などが使う。
メーデー (遭難信号) - Wikipediaより引用しました。
「Mayday」の「May」は5月とは関係なく、フランス語との関連がありました。
「Mayday」はバッチリ英語なのでてっきり「5月の日」に何かしらの由来があるのかと思っていたんですけどね~。
まとめ
「Mayor」も「Mayday」も英語ではなくフランス語が関係していたというのは意外でした。
それと同時に、諸言語が混じって形成されている「英語らしい現象」だなと自嘲を込めて思いました。
ぜひ、「may」の入ったフレーズ、使ってみてくださいね。