辞書を開くと、単語の中にはとても用法の多いものがあります。用法が1つ2つならいいのですが、4つも5つもあると、ちょっと大変ですよね。
そんな用法の多い単語の筆頭といえば「get」。苦手ではないですか?
私自身、とても苦手だったのですが、今ではとても「使いやすい」と思っています。
そう思えるようになったのは、言葉のイメージをつかんだからでした。
目次
用法の多い「get」はややこしい?
辞書を見ていると、とても用法の多い(説明の多い)語があるのに気づくと思います。
- get
- have
- take
などですね。

私は、学生のころ、これらの言葉が大嫌いでした(笑)。
だって、文章を訳したいと思っても、用法が多すぎて、どれを選んでいいのかわからなかったんです。
今回注目する「get」ですが、私の持っている(英和)辞書を見ても、19もの用法が書いてあります。
「get up」などの成句を合わせると、なんと5ページ近くも! 英語が苦手だった当時の私は、どこをどう見たらいいのかわかりませんでした。
「"get"は便利な言葉」は本当!?
そんなころ、NHKのEテレの英語番組で、「"get"は、たくさんのことを表現できて、とても便利な言葉」と言っていたのです。

は? そんなはずはない! 用法が多くてややこしいのに!!
……と思っていました。
アメリカに来て、半年くらいまでは本気でそう思っていました。
例えば、「受け取る」という意味で、「I got your e-mail」よりも、「I received your e-mail」の方が、わかりやすくないですか?
たくさん用法のある「get」に惑わされるよりも、「受け取る」のイメージの強い「receive」を使った方が、確実に意味を理解できると思っていたのです。
日常会話の中でよく使う「get」
アメリカに来て気づいたのですが、日頃の会話の中で「get」という言葉を耳にすることがとても多いのです。本当によく使います。
その中で会話するうちに、いつのまにか自分にもうつって、今では「get」を使い倒しています。
会話に慣れると、「get」はとても便利なんです。
前述したものも含め、
- I got your e-mail.
- Can you get some apples at the store?
- I got this book at the library.
- I got it (you).
- I'm getting ready!
- I'll call you when I get there.
- She got big.
ざっと書いても、まぁ毎日こんな感じです。意味わかりますか?
日本語訳も入れてみると……。
- I got your e-mail.(メールもらったよ)
- Can you get some apples at the store?(お店でりんごを買ってきてくれる?)
- I got this book at the library.(この本、図書館で借りてきた)
- I got it (you).(わかった!!)
- I'm getting ready!(今、準備してるところだよ)
- I'll call you when I get there.(そこに着いたら電話するね)
- She got big.(彼女は大きくなった)
辞書に載っていない「get」が?
上の例での「get」は……
- 受け取る
- 買う
- 借りる
- 理解する
- 用意する
- 到着する
- (〜の状態に)なる
……の意味で使っています。
ところが、辞書を開いても、「買う」や「借りる」の用法は出ていないと思います。でも、通じるんです。
なぜでしょう?
言葉のイメージを理解すると広範囲で使える
それには、言葉の意味をイメージすることが必要です。「get」は、「手に入れる」というイメージです。
そうすると、そのイメージと前後の言葉から、
お店 + 手に入れる = 買う
とか……
図書館 + 手に入れる = 借りる
などのように、広範囲で使えるのです。
お店でものを「手に入れる」には、「買う」が普通ですし、図書館なら「借りる」ということが想像できるからです。
もし、お店で買わずに無料でもらったなら、「I got this for free at the store」と言えば、「無料でもらった」ことがわかります。
同じ「I got you」でも場面で違う意味に
「わかった(=理解した)!」の「I got it!」もよく使いますね。
「了解(=あなたの言っていることがわかったよ)!」の意味で、「(I) got you!」という表現もあります。
また、子どもが追いかけっこをしているときなど、「つかまえた!」と言ったりしますが、英語では「(I) got you!」と言います。

同じ表現ですが、場面に応じて、本当に「その人自体」を「手に入れる」のか、「その人の言っていること」を「手に入れる」のか、使い分けます。
それも、「手に入れる」のイメージです。「自分のものにした」っていう感じですね。
「到着する」→(行くことで)その場所を手に入れる
「到着する」も、「(行くことで)その場所を手に入れる」イメージです。
「(〜の状態に)なる」も、「get」の後ろに形容詞を置いて、「その状態を手に入れる」のイメージですね。ほかにも
He got tall. = (彼は)背が伸びた
It'll get hot. = (それは)熱くなってくる
というように、たくさん使えます。
では応用してみましょう
ここでクイズです。
ドアのそばで……
Can you get the door?
……と言われると、どういう意味になると思いますか?
これは、「ドアを開けてくれる?」という意味で使います。どこにも「開ける」という「open」という言葉がありませんが、「開ける」の意味になるんです。
どうでしょう? なんとなく想像できませんか??
「get」をほかの言葉に換えて使うときの注意点
言葉のイメージができていれば、例えば、「open」という言葉でなくても、「get the door」で言い換えられる、というわけなんですね。
ところが、「open」と動作を限定しているわけではないので、慣れるまでは、聞き手の想像力というか理解力も必要です。
「open」と「get」、同じように使えますが、どちらかというと「open」の方がかしこまって聞こえると思います。「get」の方が口語的です。
冒頭で書いたように、用法の多い「get」に惑わされるよりも、意味の限定できる動詞の方がわかりやすい、というのも本当なんです。
なので、その動作が大事なときや、正確に伝えたいときは、「get」を使わずに、その動作を限定できる動詞(「open」など)を使うといいですね。
気楽なしゃべり方は英語にもある
でも、普段のおしゃべりなど、気楽に話すときは、日本語だって、肩ひじを張りません。
英語も同じなんです。
使いやすい言葉をとことん使って、応用すればいいんです。
仕事の重要な場や、学校の授業では、「使う言葉」が大事なので応用できないかもしれませんが、普段のコミュニケーションでは大いに使えると思います。

特に動詞のボキャブラリー量が少ない方にはおすすめです。
それを知ったとき、Eテレで「"get"は、たくさんのことを表現できて、とても便利な言葉」と言っていた意味がわかりました。
まとめ
いかがでしたか?
用法の多い「get」、どう使っていいのかわからずややこしく見えますが、実は会話ではとても使いやすい言葉だったんです。
ポイントは言葉の意味をイメージすることと、まずは勇気を持って使ってみることです。
その会話が通じれば、気持ちが軽くなり、次からどんどん使えます。
そうすると、「get」と同じく用法の多い「have」「take」なども、一気に使い勝手が良くなりますよ。