前回は語源「in」と「ex」について紹介しました。
復習になりますが、「in中に」、「ex外に」という意味でしたね。
この記事では、おなじみのことばである「サブスク」の語源を紹介、その語源を活用して覚えられる英単語をご紹介します。
語源については、いろいろな説がありますが、この記事ではわかりやすいものを優先しています。また、覚えやすさを重視しているので、解釈は「英語びより」独自のものになっていることがあります。
「サブスク」の語源とは?
日本語の「サブスク」とは「月額課金制サービス」のことです。
毎月決まった料金を支払うと動画や音楽が見放題になったりするサービスで、すっかりおなじみになりましたよね。
有名なサービスで言うと、「Amazonプライム」や「Netflix」があります。
この「サブスク」の語源を解説し、その語源から英単語を増やそう、というのがこの記事の趣旨です。
まずは「サブスク」の語源を紹介しましょう。
「サブスク」の由来
日本語の「サブスク」は、どんなことばが由来でしょうか?
これは、英語の「subscribe」という動詞、もしくはその名詞である「subscription」から来ています。
「サブスク」の由来
- subscribe
- subscription
カタカナにすると「サブスクライブ」、「サブスクリプション」なので、省略するとどちらも「サブスク」になりますよね。
「subscribe」の意味
「subscribe」の意味は、英英辞典で見ると次のようにあります。
to pay an amount of money regularly in order to receive or use something
Oxford Learner's Dictionariesより引用しました。
日本語にすると、「何かを受け取ったり利用したりするために、定期的にお金を払うこと」という意味です。
日本語に訳すと「定期購読・定期購入」という意味ですね。
subscribe | 定期購読・定期購入する |
---|---|
subscription | 定期購読・定期購入 |
ということで日本語の「サブスク(月額課金制サービス)」と同じ意味です。
ちなみに「メールマガジン」に登録するときにも、ボタンに「subscribe(定期購読する)」と書かれていることがほとんどです。
「subscribe」の成り立ち
この「subscribe」は次のとおり、2つの部分に分けられますよ。
sub+scribe
subscribe
(書類の)下に書く(=サインする)
定期購読する、サブスクのサービスを利用する
サブスクのようなサービスを利用するには、利用規約を読んで、同意しなければなりませんよね。
その作業は、昔は書類を読んで、その下にサインをするという流れだったはずです。
なので、「subscribe」に「サービスを利用する」という意味があるんですね。
語源「sub(下に)」ではじまる英単語
先述しましたが、「subscribe」の「sub」は「下に」という意味を持ちます。
上の図解のように、「 s 」が崖から下に落ちているイメージで覚えてくださいね。
語源「sub」の意味
下に
「sub」は「in(中に)」や「ex(外に)」と同じく語頭(単語の頭)にしかこない「接頭辞」です(参考: 接頭辞について)
では、語源「sub(下に)」のつく英単語を紹介していきましょう。
ご紹介するのは、次の6つです。
順に見ていきましょう。
以下で取り上げる英単語は、Oxfordが英語学習者用に作成した英単語のリストに載っているものです(一部除く)。
subway(地下道・地下鉄)
「subway」には、「地下鉄・地下道」の意味があります。
「way」の語源は「道」という意味です。
念のため、上の図解を解説すると、「way」の文字が道路になっています。
「subway」の成り立ちはこちらになりますよ。
sub+way
subway
下にある道
【アメリカ英語】地下鉄
【イギリス英語】地下道
「下にある道」だから「subway」……覚えやすいですね。
ただし、アメリカでは「地下鉄」という意味になるのでご注意ください。
そして「underground」という単語が、アメリカでは「地下道」で、イギリスでは「地下鉄」になります。……ややこしい!
単語 | アメリカ英語 | イギリス英語 |
---|---|---|
subway | 地下鉄 | 地下道 |
underground | 地下道 | 地下鉄 |
subject(〜の影響下にある)
続いて、「〜の影響下にある・〜の支配下にある」という意味の「subject」です。
「ject」には「投げる」という語源の意味があります。
上の図解は、「 j 」が自分の「点」を「 t 」に投げているイメージです。
「subject」を分解すると、次のようになります。
sub+ject
subject
下に投げる
〜の影響下にある、〜の支配下にある
たとえば、こちらのイラストのようなイメージで覚えるのはいかがでしょうか?
「下に投げる」ということは、上に誰かがいて、下にいる人は「その影響下にある」ということですね。
「主題」の意味を持つ「subject」の覚え方
ところで、「subject」には、「主題」という意味もあります。
こちらは分かりやすい語源が見つからなかったのですが、「下に投げる」で次のように連想して覚えてみてはいかがでしょうか。
「主題」の意味の覚え方
「subject」=「下に投げる」
カードを下に投げて、そのカードに書いてあることについて話すゲームをしている
つまり決められた「主題」について話すゲーム
これはわたしが考えた「こじつけ」ではありますが、最終的には「覚えたもの勝ち」です!
substitute(代わりの人・物)
次に、「代わりの人、モノ」という意味の「substitute」です。
「stitute」には「立つ」という意味があります。
単語「substitute」を分解すると、次のとおり。
sub+stitute
substitute
(上ではなく)下に立っている
代わりの人、モノ
上ではなく、下に立っているので、メインではない「代わりの人、モノ」ということになります。
風邪を引いて無理して劇に出演しているウサギさん。それを舞台の下で心配そうに立って見ているオオカミさん。
オオカミさんは「代役」なんですね。
ちなみに、スポーツで「スーパーサブ」ということばがありますが、この「サブ」は「substitute」から来ていますよ!
submit(提出する)
続いて「提出する」という意味の「submit」です。
「mit」は語源で「送る」という意味があります。
「下に(sub)」という意味から、どうしてこんな意味になったのか、見てみましょう。
sub+mit
submit
管理下に送る
提出する
「下」は「下」でも、「管理下」なんですね!
たとえば先生に宿題を「提出」すると「管理下」に置かれます。
こちらは、王様に手紙を提出しているイラストです。王様の管理の下にいるわけですね。
ちなみに「submit」は英語でも次のような意味で、「提出」というイメージとぴったりです。
to give a document, proposal, etc. to somebody in authority so that they can study or consider it
Oxford Learner's Dictionariesより引用しました。
日本語にすると、「権威のある人に書類などを送る(その人が調べたり考慮したりできるように)」という感じ。まさに「提出」ですね。
substance(物質・本質)
「sub」で始まる英単語5つ目は、「物質」や「本質」という意味の「substance」を見てみましょう。
「stance」には「立つこと」という意味があります。
「substance」はこちらのように分解されます。
sub+stance
substance
下にある強固なもの
物質、本質
「下にある強固なもの」ということで、例えば今自分の立っているところの下には、しっかりした「物質」があるはずです。
また、「下」を「土台」と捉えると、大切な部分 =「本質」ともつながりますね。
suburban(郊外)
「sub」で始まる英単語の最後は「郊外」という意味の「suburban」です。
この「sub」は「下」という意味ではなく、「近い」という意味です。
では、「suburban」を分解してみましょう。
sub+urban
suburban
都会の下(近く)
郊外
「都会の近く」で「郊外」ですね。
次のイラストのように、都会は高くて、郊外の家は低いというイメージだと覚えやすいですよ。
都会の建物より「下にある」ように見えるから「suburban(郊外)」です。
「scribe」が入っている英単語
ここまで、「sub」で始まる英単語をご紹介しました。
次は、「subscribe」の「scribe(書く)」が入ってる英単語を見ていきましょう。
とは言っても、次の2つだけです。
2つだけではありますが、順に見ていきましょう。
describe(ことばで描写する)
まず、「describe」です。
「ことばで描写する」という意味のこの単語、2つに分けてみましょう。
de+scribe
describe
下に書く
ことばで描写する
「de」は「離れて」もしくは「下に」という意味になります。
上のイラストでは「 e 」が「 d 」から離れて下に行っているイメージです。
「de(下に)」+「describe(書く)」で「ことばで描写する」というのはちょっと分かりにくいかもしれませんね。
実は、「de」は「down」から来ていて、「describe」のもともとの意味は「write down(紙などに書く)」なのです。
そこから「ことばで説明する」という意味が生まれたんですね。
prescribe(薬を処方する)
次に、「薬を処方する」という意味の「prescribe」です。
分解してみましょう。
pre+scribe
prescribe
前に(事前に)書く
薬を処方する
「pre」は「前に(事前に)」という意味になります。
道路の前のほうに「pre」とう文字があるイメージでおぼえてください。
なぜ「前に書く」から「薬を処方する」という意味になるのかというと、薬をもらうときのことを思い出すとわかりやすいです。
まず、病院で「処方せん」を事前に書いてもらって、それから薬を買いに行くからですね。
イメージとピッタリですよね。
ちなみに、「prescribe」の「pre(前に)」は、「prepaid(前払い)」の「pre」と同じです。
先にお金を払う「プリペイド」は日本語になってますよね。
【参考】「script」が入っている英単語
「scribe」が入っている英単語を2つ紹介しましたが、もう少しオマケとして「script」が入っている英単語もご紹介します。
「script」は「書いたもの」という意味になります。
「scribe」と「script」は似ていますよね。
実は「scribe」から派生した言葉であるため、「書く」に関する共通の意味があるし、スペルも似ています。
では、「script」が入っている英単語を3つご紹介します。
「script」が入っている英単語
postscript(追伸)
「postscript」という単語をご存じでしょうか?
この「postscript」を省略すると「P.S.」……そう、「追伸」という意味のアレです。
post+script
postscript
後に書いたもの
追伸
「post」には「後に」という意味があります。次のように文字が後ろをついて行っているイメージで覚えてください。
「post(後に)」「script(書いたもの)」で、「postscript」!
こういうの、知れば知るほどおもしろくなりますよ。
transcript(書類の写し)
まず、「書類の写し」という意味の「transcript」です。
分解してみましょう。
trans+script
transcript
別の場所(紙)に書いたもの
書類の写し
「trans」は、こちらのように文字たちが丘を越えているイメージで覚えましょう。
「越えたところ=別の場所にある紙に書いたもの」で、「書類の写し」になるわけですね。
「trans」と「script」なので、もともとは「s」が2つありますが、「transcript」では1つの「 s 」は省略されます。
manuscript(手書きの文章)
もうひとつは、「手書きの文書」という意味の「manuscript」です。
分解すると、次のとおりになります。
manu+script
manuscript
手で書いたもの
手書きの文書
「manu」には「手で」という意味があります。
上の図を解説すると、「manu」のそれぞれの文字で「手」を作っています。
「manu(手で)」と「script(書いたもの)」なので「手で書いたもの = 手書きの文書」になりますよ。
車の「マニュアル車(manual)」が「manu(手で)」から来ているのはおもしろいなあと思います!
まとめ
この記事では、「「サブスク(subscribe)」の「sub」と「scribe」で覚えられる英単語をご紹介しました。
最後に、この記事で紹介した語源をまとめます。
学んだ語源まとめ
- sub …… 下に
- scribe …… 書く
- script …… 書いたもの
次はこちらの記事を読んでいくと効果的です。
「語源っておもしろいかも……?」と少しでも思ってもらえたらなら、書いたものとしてうれしい限りです。
「語源」の勉強には、イラスト付きのこの書籍をオススメですよー!