先日、飼っていた猫が17年という長い寿命を終え、旅立っていきました。
私とは4年足らずの仲でしたが、アメリカに来て誰も友達がいなかった私を、日々癒してくれた最高の相棒だったのです。
そして友達たちに、たくさんのお悔やみの言葉をかけていただきました。
その実体験から、今回は英語でのお悔やみの言葉についてまとめます。
直接的な言葉を避けて使われる言葉
お悔やみの言葉を紹介する前に、基本として知っておきたいのは「直接的な言葉を避けること」です。
直接的な言葉というのは次の3つになります。
日本語でも「死ぬ」という言葉は使わず「亡くなる」のように婉曲表現を使いますよね。
では、上記の言葉の代わりによく使われる表現を3つ紹介します。
よく使われる婉曲表現
pass away(亡くなる)
「die(死ぬ)」という動詞の代わりに「pass ( away )」がよく使われます。
My grandma passed away 3 years ago.
(ばあちゃんが3年前に亡くなりました)
「pass away」は「時間などが過ぎ去る」という意味から「die」の婉曲表現としてよく使われます。
日本語の「亡くなる」や「いなくなる」にあたる言葉ですね。
原形 | 三人称単数 | 現在分詞形 | 過去形 | 過去分詞形 |
---|---|---|---|---|
pass | passes | passing | passed | passed |
「pass away」は、亡くなった人を主語にする自動詞なので、第一文型で使われます。
lose(失う)
「die(死ぬ)」の代わりに「lose(失う)」もよく使われます。
I lost my grandma to cancer.
(ばあちゃんをガンで失いました)
死んだ原因が病気の場合、上のように病名を「to」の後に入れます。
原形 | 三人称単数 | 現在分詞形 | 過去形 | 過去分詞形 |
---|---|---|---|---|
lose | loses | losing | lost | lost |
ちなみに、名詞として「lose(失う)」を使う場合は「loss(喪失)」を使いますよ。
先述した「pass away」との違いは、死んだ人を主語にするかどうかです。
gone(亡くなっている)
ほかには「dead(すでに死んでいる)」の婉曲表現として、形容詞「gone」もよく耳にします。
How is your grandmother ?
(キミのおばあさんはどうしてるの?)
She is gone.
(彼女はすでに亡くなってるよ)
日本語にある「逝く」という表現と似ていますね。
「go」の過去分詞形の「gone」と同じ単語ですが、これは形容詞の「gone」で、別ものだと覚えておいてください。
基本単語「sorry」を使ったお悔やみ挨拶例
では、実際に使う「お悔やみの挨拶」を見ていきましょう。
日本語だと、「この度はご愁傷様でした」と言ったり、「お気の毒」という言葉を使いますよね。
英語では、その「お気の毒」という意味の「sorry」が基本用語になります。
「I am sorry」ではじめることが多く、もっと気持ちを強調した「I am so sorry」や、主語を抜いた「Sorry」や「So sorry」と言うこともあります。
次の2つのパターンが一般的ですよ。
I am sorry to hear 〜(〜と聞いてお気の毒に思います)
まずは「I am sorry to hear 〜」の使い方を紹介します。
「to hear 〜.」で「〜と聞いてお気の毒に思います」という意味です。
訃報が明確な場合は「that」のみで
SNSへの投稿で知った訃報情報にコメントするときは、シンプルに次のように言えます。
(I'm) sorry to hear that.
(それを聞いてお気の毒に思います)
「Aさんが亡くなった」というような投稿にコメントするときは、情報が明確ですよね?
そのため「Sorry to hear that(それを聞いてお気の毒に思います)」だけで伝わるのです。
「that節」でつなぐ例
「〜」の部分は「that」を使って、次のように文をつなぐことがあります。
I am sorry to hear that she passed away.
(彼女が亡くなったと聞いて、お気の毒に思います)
詳しい文の作り方は「that節について」をご覧くださいね。
お悔やみのカードなどに丁寧に書く場合は「to hear of 名詞」
でも、お悔やみのカード(手紙)などでは「何について哀悼の意を表するのか?」を次のように明確に書く(話す)必要があります。
例
I'm sorry to hear of the passing of your beloved Tama(猫の名前).
(あなたたちがかわいがっていたタマがいなくなったと聞いて、お気の毒に思います)
「hear」の後ろを「of」でつなぎ、名詞で続けた方法ですね。
I am sorry for 〜(〜をお気の毒に思います)
お次は「I am sorry for 〜.」の表現です。
先ほどの「I am sorry to 〜」との違いは、前置詞の「for」ですね。
この「for」の後には、必ず名詞が続きます。
たとえば、名詞の「loss(喪失)」を使った次のような表現は一般的に使われますよ。
I'm sorry for your loss.
(ご愁傷様です = あなたの喪失をお気の毒に思います)
日本語に直訳すると「あなたの喪失をお気の毒に思います」になって少しおかしいですが「ご愁傷様です」という翻訳がピッタリです。
お悔やみで使える英語表現まとめ
では、お悔やみで使える英語表現のバリエーションをいくつか紹介します。
I'm sorry(お気の毒に思います)
まずは、先ほど紹介した「I'm sorry(お気の毒に思います)」のおさらいです。
例文
I'll miss 〜(〜がいなくて寂しく思う)
「私(自分)」が「寂しくなるだろう」という「I'll miss 〜」を使った表現もあります。
I'll miss him/her.
(彼/彼女がいなくて寂しく思うでしょう)
お悔やみの言葉をかける相手が「寂しくなるだろう」と想像して声をかける場合は「You'll miss him/her.」ですね。
I'm here for you(私はあなたのためにここにいます)
どんな人でも、大切な人を失うと心細くなりますよね。
そんなときに「あなたのそばにいるからね」という意味で「I'm here for you」を使います。
I'm here for you.
(私はあなたのためにここにいます)
実際、何か手伝ってもらうこともできますが、そう言ってもらうだけで「私はひとりじゃないんだ」と思えるひと言です。
It's never easy to say good bye to 〜(〜にお別れを言うのは簡単ではない)
「〜にお別れを言うのは簡単ではない」という表現は「It's never easy to say good bye to 〜」です。
It is never easy to say good bye to those we love.
(愛している人にお別れを言うのはとても簡単なことではありません)
I don't know what to say(何と言えばいいのかわかりません)
お悔やみの言葉は正直なところ、何と言葉をかけていいかわかりませんよね。
そんなときは、その気持ちをそのまま「I don't know what to say(何と言えばいいのかわかりません)」と伝える方法もあります。
I don't know what to say...
(何と言えばいいのか……わかりません)
It must be hard for you(さぞかしおつらいでしょう)
相手の気持ちを想像し「It must be hard for you(さぞかしおつらいでしょう)」と言うこともできます。
It must be hard for you.
(さぞかしおつらいでしょう)
「hard」の代わりに「tough(つらい、困難な)」も使えますよ。
He/She was a great man/woman(彼/彼女はすばらしい人でした)
故人をしのび「彼女はすばらしい人でした」のように伝える場合は、次のように言うといいでしょう。
He/She was a great man/woman, and it was my preasure to have known him/her.
(彼/彼女はすばらしい人でした。そんな彼/彼女と知り合えてうれしかったです)
My prayers are with you(祈りはあなたとともにあります)
「My prayers are with you(祈りはあなたとともにあります)」という表現もあります。
My prayers are with you.
(祈りはあなたとともにあります)
「prayers(祈り)」を「thoughts(思い)」にしてもOK
「prayers(祈り)」に宗教的な要素を感じる場合は「thoughts(思い)」を使う場合もあります。
My thoughts are with you.
(思いはあなたとともにあります)
宗教に関係なく人を思うことはできるので、「prayers」よりも使いやすいはずです。
ちなみに「prayer(祈り)」も「thoughts(思い)」も複数形になっていることがポイントです。
「prayers(祈り)」と「thoughts(思い)」を使う例
「prayers」と「thoughts」の両方を使うこともよくあります。
My thoughts and prayers are with you.
(思いと祈りはあなたとともにあります)
主語を「Our」にする例
次のように「my(私の)」を「our(私たちの)」にすると、一体感を感じるでしょう。
Our thoughts are with you.
(私たちの思いは、あなたとともにあります)
「you」を「〜家」にする例
「you」を相手側の家族にすることもできます。
Our thoughts are with the Tanaka family.
(私たちの思いは、田中家とともにあります)
このように、個人ではなく家族全体を指すときは「the 〜 family」という言い方をします。
ちなみに、カードを「家族全員」に送りたいときは、あて名を「the 〜 family」にしますよ。
ペットが死んでしまったときはどう言えばいい?
人間ではなく、ペットが死んでしまったときにはどう声をかければいいのでしょうか?
ペットも家族の一員という位置づけなので、同じように使える表現も多いです。
でも、少し言葉が違う場合もあるので紹介します。
ちなみに、人間と同じでメス猫なら「she」や「girl」という言葉が使われますよ。
gone to the rainbow bridge(虹の橋に行ってしまった)
うちの猫が死んだとき「gone to the rainbow bridge(虹の橋に行ってしまった)」という表現をいただきました。
I am so sorry to hear that she has gone to the rainbow bridge.
(彼女が虹の橋に行ってしまったことをお気の毒に[残念に]思います)
「虹の橋」という表現があるんですね。動物好きな人の表現かなと思いますが。
最初のほうで紹介した形容詞「gone」とは違い、ここでは「go」の過去分詞ですね。
I know how much you loved her/him(あなたからどれだけかわいがられていたか知っています)
「I know how much you loved her/him(あなたからどれだけかわいがられていたか知っています)」という表現もあります。
I know how much you loved her and how much she will be missed.
(彼女があなたからどれだけかわいがられて、いなくなったことをどれだけ寂しがられるか、私は知っています)
She/he will always be remembered(いつも思い出されるでしょう)
「She/he will always be remembered(いつも思い出されるでしょう)」という表現もあります。
She will always be remembered as a wonderful friend.
(彼女のことは、すばらしい友達としていつも思い出されるでしょう)
SNSで使われるお悔やみを表す「RIP」とは?
ところで、アメリカ人の夫が猫のことをSNSに投稿したところ「RIP」というコメントが何件かありました。
「OMG(Oh, my god / gosh)」のような省略した言葉だと察しはつきます。
でも、何の言葉が省略されているのかわからなかったので、夫に聞いてみました。
ねえ、コメント欄にあった「RIP」って、何の略?
「Rest In Peace(安らかに)」だよ。
なるほどー。「OMG(Oh my god)」みたいなものでしょ?
「OMG」は新しい略語だけど「RIP」はお墓にも彫ってあるくらい、ずっと昔から使われているんだ。
夫の話では、お墓には名前や何年から何年まで生きたという「年」が刻まれているそうです。
それだけでなく短い言葉が添えられることがあり「RIP」と書かれていることもあるんだとか。
「Rest in Peace」は、日本語にすると「安らかに」とか「ご冥福をお祈りいたします」という言葉が当てはまります。
【補足】新聞などニュースでは婉曲表現は使われない
冒頭で「die」などの婉曲表現は避けられると書きましたが、新聞やニュースではそのまま使われる傾向にあります。
こちらの引用をご覧ください(太字は私による)。
She died peacefully on Thursday afternoon at her Scottish estate, where she had spent much of the summer.
ニュースでは「事実を明確に伝えること」が大切であるため、直接的な言葉をそのまま使うのでしょうね。
まとめ
今回は、うちの猫が死んでしまったときに実際にいただいたお悔やみの言葉を元にまとめました。
決まり文句のように使われている言葉が多いので、お悔やみが必要な場面にそなえて覚えておいてください。