「スモークフリー(smoke-free)」とは? タバコ吸えるの? 吸えないの?

タカコ

執筆者

WEBライター。2013年にアメリカに渡る。現在はアメリカ人の夫と子ども2人でテキサスに在住。

スモークフリー(smoke-free)」っていう言葉を聞いたことがありますか?

スモークフリーって?
スモークフリーって?

日本でも、年々喫煙者への風当たりが厳しくなってきている今日この頃ですが、今回は、たばこに関する「smoke-free」という言葉に注目してみたいと思います。

「smoke-free」って、どういう意味?

さて、さっそくですが、「スモークフリー(smoke-free)」という言葉を聞いたことがありますか?

また、どういう意味かご存じでしょうか?

どちらの意味?

  1. たばこを吸ってもいい
  2. たばこを吸えない

どちらだと思いますか?

答えは……

2の「たばこを吸えない(禁煙)」のことです。

「free」って「自由な」という意味なのに?

私は、ある場所で、この「smoke-free」という表示をはじめて見たとき、一瞬「自由にたばこを吸ってもいい場所のことかな?」と思いました。

Smoke-Free Campus
Smoke-Free Campus

「そんな表示、珍しい!!」と。だって、「free」って、「自由な」という意味ですよね?

「smoke-free」ですよ? 自由に吸えそうな気がしませんか?? ところが、すぐに「いやいや、待てよ……」と思い直しました。

私がこの表示を見た場所って、大学の構内だったので。

さすがに、公共の場である大学内で、自由に吸えるってことはないよね。

……と。案の定、周りを見ても、誰一人として吸っていないし、たばこのにおいもしないし、吸い殻も落ちていません。灰皿も見当たりません。夫に聞いてみても……

たばこを吸えない場所のことだよ

やっぱりね! でも、紛らわしい言葉です。

実際、アメリカでは、何年も前に法律が変わり、ほとんどの州で、公共の場所ではほぼ禁煙になり、たばこを吸える場所が限られています

「smoke-free」という言葉も、その頃から使われるようになったようです。

私の住むテキサス州でも、公共の場やレストラン、バーも、屋内はほぼ禁煙で、バーでお酒を飲みながらたばこを吸う、なんてことはできない時代なんです。

「-free」が付くと「含まない」という意味に!

そこで、なぜ「smoke-free」を「どこでも自由に吸ってもいい」と「勘違い」してしまいそうになるのか、考えてみました。

実際は「禁煙」の意味です。「自由」なのに「(たばこが)禁じられている」って、意味がわかりません。

しかも、「禁煙」は「non-smoking (no smoking)」のはずだし。

そこで、ほかにいろいろ「○○-free」という言葉を挙げてみました。

「-free」のつく言葉

  • gluten-free(グルテンフリー)
  • fat-free(ファットフリー)
  • sugar-free(シュガーフリー)
  • fragrance-free(フレグランスフリー)
  • alcohol-free(アルコールフリー)

「gluten」は、小麦などに含まれる、粘りのある成分ですね。「fat」は脂肪、「fragrance」は香りです。

など、いろいろありますが、これらの言葉はどうですか? これらに共通するのは、「○○を含まない」という意味合いです。

名詞と「ハイフン」で「free」を繋いで「○○(名詞)-free」。「○○(名詞)を含まない」という形容詞になります。

私は、これらの言葉については、違和感なく受け入れられました。

「成分表示」のイメージが強いからかな? と思ったのですが、ほかにも「ストレスフリー」という言葉は、「ストレスがない」という意味で、違和感はありません。

でも、どうしても「smoke-free」だけは、「たばこがない」よりも、真逆の「たばこを自由に吸える(場所)」と思えてなりませんでした。なぜだか「禁煙」とは思えません。

私だけでしょうか?

「smoke-free」と「non-smoking (no smoking)」の違いとは?

そこで、また夫に聞いてみました。

ねえ、「smoke-free」って、私にはどうしても「自由に吸ってもいい」という風に見えるんだけど……。「smoke-free」と「non-smoking (no smoking)」の表示は、同じなんでしょ? なんで両方使うの? ややこしい!!

タカコ、その2つは、同じじゃないよ。

え……!?

実は、その日、私たちは動物園に行ってきたばかりで、こんな表示と、喫煙所を見たばかりだったんです。

普段なら、何とも思わないものなのですが、ここ最近「smoke-free」が気になっていた私には、「目につく存在」でした。

今は公共の場所ではほとんどたばこが吸えなくなってるよね? でも、中には、場所を指定して吸ってもいいことになっているエリアもある。

うん、それ、ちょうど今日動物園で見たよ。かわいそうに、喫煙所はすみっこにあった。

そうなんだよ。僕も「very old style」だと思ったけど、屋外だから仕方がないのかもね。たばこの煙がみんないるところに流れてきたら、意味がないわけだし。

で、その「たばこを吸ってもいい場所」は「smoking area」。

動物園内のsmoking area
動物園内のsmoking area

うん、わかる。その施設内で、たばこを吸ってはいけない場所は「non-smoking (no smoking) area」でしょ? 実は写真に撮ったんだよ。動物がいるところの近くにあった。

動物園にあった「non-smoking」の看板
動物園にあった「non-smoking」の看板

あ!!

じゃあ、「どこにもたばこを吸える場所がない」のが「smoke-free」ってこと!?

「smoke-free」の場所では「喫煙」の選択肢がない

そうなんです。

私は、「smoke-free」=「禁煙」だと思っていたのです

これは、間違いではありません。この表示がある場所では、「たばこを吸ってはいけない」場所なのですから。

じゃあ違いは何かというと、この2つで言葉を使い分けていたんです!!

2つの違い

  1. 完全に禁煙
  2. 部分的に禁煙

「完全に禁煙」というのが「smoke-free」とわかったところで、なぜ違和感があったのかにも気づきました

「smoke-free」という言葉、「たばこ(喫煙)を禁じる」という行為に焦点を当てるのではなかったんです。

その場所には「たばこがない」ので、そもそも「喫煙」の選択肢はないんです。

言葉の示す対象者の違いから勘違いしてた

たとえば、例に挙げた「グルテンフリー」。

アメリカでは、グルテンを摂れない人にわかりやすいように、「グルテンを含まない」商品には、「gluten-free」という表示があります。

これをその人が見ると、安心して買うことができますよね。それと同じ感覚だと気づきました。

「smoke-free」は、たばこが苦手な人に対して、「安心していいよ」と言ってくれている表示でもあるということなんです。

「smoke-free」の看板
「smoke-free」の看板

一方、「禁煙」や「non-smoking (no smoking)」という言葉は、喫煙者に対して「ここでたばこを吸ってはいけない」という表示に見えます。

私は、同じように、「smoke-free」を喫煙者に向けられた言葉だと受け止めていたのです。

その結果、「禁煙」という言葉は結びつかず、さらに「free(自由な)」という言葉も手伝って、まったく逆の「自由に吸ってもいい」という勘違いを生んでいたことがわかりました。

「non-smoking (no smoking)」は「分煙施設内での禁煙場所」

「smoke-free」の表示があれば、その施設内は、屋外屋内にかかわらず「完全禁煙」で、どこにもたばこを吸える場所がないということになります。

私の行った動物園のように、「non-smoking (no smoking)」の表示があれば、その場所ではたばこは吸えませんが、その施設内のどこかには「smoking area(喫煙場所)」がある可能性が高いですね。

そういえば、スーパーやレストランでは、屋内では「禁煙」ですが、お店の外ではたばこを吸っている人がいたり、灰皿が置いてあったりします。

レストランでは、屋外のテラス席ではたばこを吸えることもあります。

日本語では、「分煙」という意味ですね。

まとめ

今回の違和感は、言葉が示す対象者が違ったことで、勘違いを生む可能性を大きくしていたことがわかりました。

対象者の違い

  • non-smoking (no smoking)
    喫煙者に「ここでは吸えないよ」
  • smoke-free
    たばこが苦手な人に「ここではたばこはないから、安心していいよ」

ややこしかったのですが、意味をまとめると次のとおりでした。

  • non-smoking (no smoking)
    表示のある場所では禁煙(施設内のどこかで喫煙できる場所有り)
  • smoke-free
    → (施設内)完全禁煙

特に喫煙者の方、アメリカではお気をつけくださいね!

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タカコ
アメリカ人の夫との結婚を機に渡米。現在は二児の母として英語に囲まれた環境の中で生活。日本語教育に携わっていたため言語への視点が鋭く、元・英会話教師の夫とのやりとりから生まれる記事が秀逸。
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