「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」
上の一節は川端康成の小説『雪国』のはじまりの文章です。有名なので、もしかしたら目にしたことがあるかもしれませんね。
この有名な一節、実は主語がないんです。
トンネルを抜けたのは自分なのか、車なのか、はたまた列車なのか、この文章からは読み取ることができません。
あえて主語を省略することで読者の想像をかきたて、続く文章への関心を繋げてくれています。
では、英語でも「主語」を省略することはできるのでしょうか? この記事では英語で主語を省略する例について紹介します。
目次
日本語では「主語がない」ことが多い
さて、冒頭で「主語がない」という日本語の例を紹介しましたが、もう1つ違う例を紹介しましょう。
学校の教室で授業中、生徒がこんな発言をしたとします。
先生、トイレ!
この例ですが、生徒は「先生、(私は)トイレ(に行きたいんですけど、行ってもいいですか?)」と聞いています。
でも、字面だけを見ると「先生、トイレ」しか言っていないので、こんなふうに反応したくなります。
先生はトイレじゃありません!
主語、ならびにもろもろの要素が省略されています(笑)。
このような例は日本語ではよく見かけますよね。
そうなのです。日本語では、主語を省略することが非常に多いのです。
英語で主語が省略される例
では日本語に対して「英語」の場合はどうなのでしょうか?
基本的には日本語ほど主語を省略することはありませんが、英語にも主語の省略は存在します。
では、主語が省略される英文について見ていきましょう。
英語で主語が省略される例
【主語の省略】日記
英語で主語が省略される例として最初に紹介するのは、日記です。
日記は当然ながら一人称、つまり「私」が書いているものですよね。
そのため、いちいち「 I 」を書かなくてもわかるため、主語を省略するスタイルで書かれます。
日記の例
一見すると「命令文」みたいですが(※ 命令文は動詞が原形になります)、自分しか見ない「日記」なので、間違うことはありません。
【主語の省略】親しい人との日常会話
英語で主語が省略される2つ目の例は、親しい人との日常会話です。
たとえば、「I woke up at noon.(お昼に起きた)」なら、「 I Woke up at noon.」のように。
【重要】基本的には「くずれた話し方」
基本的に「主語の省略」はくずれた話し方になるため、主に「親しい相手との会話」での表現だと思っていてください。
そして、会話の「コンテクスト(文脈)」が確立していることが大前提になります。
それがないと「今日こそは銀行に行って、アレをナニして……」と言っているのと同じで、意思の疎通が難しくなります。
つまり、「雑なイメージ」になるので、テストや正式なスピーチでは使わないようにしましょう。
「おじさん英語」ぽく聞こえる?
そして、使ったとしても多用するのはやめておきましょう。
会話中、ずっと主語を抜かした話し方は、いわゆる「中年層」っぽいイメージがあります(※ はつ の主観です)。
What did you do ?
(昨日、何したの?)
Had a beer at a pub and walked down to servo and got some noodles.
(パブでビールひっかけてからガソリンスタンドへインスタント麺を買いに行った)
※ オーストラリアではガソリンスタンドとコンビニが併設されていることが普通。
たとえばこちらの動画ですが、インタビューを受けている男性が主語を省略しまくっています。
訛りと独特の言い回しが多いので、心してご覧ください。
「be動詞」や「助動詞」のある場合は?
もし、be動詞のある文の場合は、be動詞も省略します。
たとえば、「I'm tired(眠い)」なら「I am」まで省略し、「Tired」だけに。
また、助動詞がある文では、省略しないことが多いです。
でも、文脈によっては「 I Will do.(やります)」のように主語を省略することもあります。
【主語の省略】慣用句
英語で主語が省略される3つ目の例は、慣用句です。
いくつか有名なものをまとめますが、「主語が省略されている」と意識せず、「そういうふうに言うもの」だと思っていてください。
Sounds good(いいね)
「It sounds good(それはいい感じに聞こえるね=それ、いいね)」はしばしば略されて、「Sounds good !」になります。
Pizza tonight ?
(今夜はピザにする?)
Sounds good !
(いいね!)
この「It sounds 〜」は知覚動詞「sound」を使っていますが、ほかの知覚動詞でも主語は省略されますよ。
知覚動詞が使われる例
Thank You(ありがとう)
「ありがとう」で使われる「Thank you」も実は主語が略されている表現であることをご存じですか?
Here’s your pizza.
(はい、これキミのピザ)
Thank you!
(ありがとう!)
普段、意識することはないですが、「Thank you」は、「I thank you(私はあなたに感謝する)」の略になります。
Hope you like it(気に入ってくれるといいけど)
ちょっとしたプレゼントを渡すときによく使われるこんな表現があります。
I chose the “extra spicy” topping. Hope you like it.
(激辛トッピングにしたんだ。気に入ってくれるといいけど)
(口から火を出しながら)
Ohhhhhh !
(あ゛あ゛あ゛……)
これも「I hope you like it.」の主語である「 I 」が省略されていますね。
ちなみに、プレゼント(お土産)を渡すときの表現はこちらでチェックしてください。
文法上で主語が省略される例
以上が、英語のなかで主語が省略される例でした。
でも、実はほかにも存在します。
文法上、「結果として主語を省略した状態になっている」のが、こちらの2つです。
文法的な主語の省略
【主語の省略】命令文
日常会話でもよく使われる「命令文」には主語がありません。
たとえば次の例をご覧ください。
Pass me the salt.
(塩取って)
Sure.
(はいよ)
文法としては「You Pass me the salt.」の主語である「You(あなた)」が省略されています。
ただ、これは「主語が省略されている」というより、命令文にするために「主語を取り、動詞を原形にする」という手続きをしているだけです。
命令文については、詳しくは以下の記事をご覧ください。
【主語の省略】分詞構文
「分詞構文」も、形としては主語が省略されています。
たとえばこちらのような文が分詞構文です。
Arriving at school, everyone looked at me.
(学校に着いたとき、みんなが私を見た)
この例だと「When I arrived at school, everyone looked at me.」の「When I」が省略され、「arrived」が「arriving」になっています。
分詞構文についてはこちらをどうぞ。
まとめ
今回は、日本語のように英語でも主語を省略することがあるというお話でした。
まとめ
先述しましたが、会話のなかで主語を省略するときには注意が必要です。
主語を省略しても会話が通じるのは、対面で話している場合であったり、「お互いをよく知っている」ことがポイントです。
そのため「正式な場」や「テスト」などでは主語の省略はしないようにしましょう。
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