「動詞が三単現のときは『 s 』を付けましょう」というルールを学びます。
ここで英語がイヤになる人も多いのではと思いますが、そのくらいややこしい……。
そもそも、「三単現とはなんのこと?」というレベルからややこしいですよね。
本記事では、「三単現とは?」という基本から「なぜ『s』が必要なの?」という理由まで詳しく解説します。
「三単現」とは?
英語の文法を勉強していて必ず出てくる「三単現」という言葉があります。
これは、どういう意味でしょうか?
この言葉は3つの単語が合体しています。
「三単現」の成り立ち
三人称 + 単数 + 現在
あとで詳しく説明しますが、「三人称・単数の主語で始まる文で動詞が現在を表している状態」という意味です。
まずは、この3つの言葉を1つ1つ説明しますね。
三人称(Third-Person)とは?
まず「三人称」という言葉から見てみましょう。
英語には次のような3種類の「人称(Person)」が存在します。
- 一人称私
- 二人称あなた
- 三人称私・あなた以外
これだけでは説明不足なので、もう少し詳しく紹介しますね。
一人称(First-Person)・二人称(Second-Person)とは?
まずは簡単な一人称と二人称について紹介します。
一人称 | 主語が「 I(私)」になる状態 |
---|---|
二人称 | 主語が「you(あなた)」になる状態 |
こちらをご覧ください。
1一人称 = 私
I am a rabbit.
(私はウサギ)
2二人称 = あなた
Yes, you are a rabbit.
(そう、君はウサギ)
上の例文の「主語」に注目して、主語が「 I(私)」の状態が一人称、「you(あなた)」のときの状態が二人称ですね。たったこれだけです!
三人称(Third-Person)とは?
では、お次は「三人称」です。
主語が一人称の「 I(私)」、そして二人称の「you(あなた)」のとき以外が主語になる状態を指します。
Who is that hamster ?
(あのハムスターは誰?)
3三人称 = 私・あなた以外
She is Cathy.
(彼女はキャシーだよ)
Then, who is that guy next to her ?
(じゃあ、彼女の隣のあれは誰?)
4三人称 = 私・あなた以外
That tall giraffe is Bob.
(あの背の高いキリンはボブだよ)
5三人称 = 私・あなた以外
They are a perfect couple.
(2人はお似合いだね)
ウサギが皮肉で言っているのか、本心から言っているのかは謎ですが、上の例文の主語には「三人称」である次の3つが出てきています。
例文に出てきた三人称
- she(彼女)
- that tall giraffe(あの背の高いキリン)
- they(彼ら)
どれも「 I(私)」「you(あなた)」ではないですよね。
つまりこの3つは「三人称」だということです!!
三人称とは?
主語が「 I(私)」、もしくは主語が「you(あなた)」以外の状態
「三人称単数(Third-Person Singular)」と「三人称複数(Third-Person Plural)」
さて「三人称」がどういうものかについて紹介しました。
今度は「三人称」と「単数」が合体した「三人称単数」という言葉を紹介します。
「単数」というのは、「1つ」を指し、「複数」は「2つ以上」を指します。
先ほどの例をもう一度ご覧ください。
上の例文に出てきた三人称
- she(彼女)
- that tall giraffe(あの背の高いキリン)
- they(彼ら)
この中で「she」も「that tall giraffe」も1人(1匹?)を指します。
つまりこれらは「三人称」で「単数」なので「三人称単数」です。
片や、「they(彼ら)」は、ハムスターさんとキリンさんのカップル、つまり2人を指していましたよね。
つまり、「they」は三人称複数だということです。
わかりやすくまとめると、「they」は下記のうち「三人称複数」に該当します。
三人称「単数」と「複数」
- 三人称単数(Third-Person Singular)
- 三人称複数(Third-Person Plural)
では、三人称単数の例をもう少し紹介しますね。次のような言葉が三人称単数です。
三人称単数の例
- she(彼女)
- he(彼)
- Ichiro(一郎: 人の名前)
- the bear(そのクマ)
- it(それ)
- this car(この車)
まとめると、次のとおりです。
三人称単数とは?
主語が「 I(私)」「you(あなた)」以外の「人や物を表す単語」で、複数形じゃないもの
そのまますぎますが、英語の文法を勉強する上では重要な言葉なので覚えておきましょう。
ちなみに「we」は一人称複数で、「you」は二人称単数であり、二人称複数でもあります。
現在(Simple Present)とは?
そして「三人称・単数・現在」の最後の「現在」についてです。
ここでは、主語が「三人称単数」の文に出てくる動詞の時制が「現在」であるという意味です。
時制が現在のものと、時制が現在じゃないものを比べてみますね。
現在形はどれ?
- I played piano yesterday.(過去時制: 私は昨日、ピアノを弾いた)
- I will see him tomorrow.(未来時制: 私は明日、彼に会う)
- I like pizza.(現在時制: 私はピザが好きだ)
上の例では、一番下の「I like pizza」が「現在」です。
ここまでで「三単現」という言葉を構成する3つの言葉「三人称」「単数」「現在」を見てきました。
「三単現」の成り立ち
三人称 + 単数 + 現在
この3つの頭文字を取って「三単現」と言うんですね!
「三単現」に該当する単語はありませんが「Third-Person, Singular, Simple Present(三人称・単数・単純現在)」と言えば伝わります。
三単現の「 s 」とは?
「三単現」という言葉を詳しく紹介したので、もう一度おさらいします。
三単現とは?
「三人称単数」の主語で始まる文で、動詞の時制が「現在」である状態
そして、「三単現」の状態にある英文内の動詞に「 s 」が付くというルールがあります。
「三単現」の動詞には「 s 」が付く
「三単現」という条件がそろった文をご覧ください。
She like carrots.
(彼女はニンジンが好き)
(※ 上の例文において「carrot(ニンジン)」が複数形になる理由はこちら)
主語の「she(彼女)」は「三人称単数」です。そして、この条件の文に出てくる動詞「like」も「現在」です。
ここで
「三単現の動詞には『 s 』が付く」というルールが発動します!!
つまり「She like carrots.」の動詞「like」に「 s 」が付くのです。
She likes carrots.
(彼女はニンジンが好き)
ちなみに「 s 」を付け忘れても、意味は問題なく伝わります。
でも、ネイティブスピーカーが聞くと片言の英語に聞こえてしまうというわけですね。
日本語だと格助詞が抜けた「彼女ニンジン好き」みたいな感じでしょうか。
三単現の「疑問文」と「否定文」
では、三単現の「 s 」の文が疑問文になるときはどうなるのでしょうか?
三単現の疑問文
疑問文にするときは、文頭に「does」を付けます。
三単現の疑問文
- She likes me.(彼女は僕を好き)
- Does she like
sme ?(彼女は僕を好きなの?)
この「does」は「do(〜する)」に「 s 」が付いたものなので、「does」を見れば「三単現」だということが伝わります。
そのため、「likes」に付けていた「 s 」は無くなりますよ!
三単現の否定文
今度は三単現の否定文です。
こちらも単純で、「doesn't」を動詞の前に挿入するだけです。
三単現の疑問文
- She likes me.(彼女は僕を好き)
- she doesn't like
sme ?(彼女は僕を好きじゃない)
こちらも、否定形になると「likes」に付けていた「 s 」は無くなります。
三単現の動詞に「 s 」が付く理由
さて、この「三単現の動詞に『 s 』が付く」というルールを聞いたとき、99%の人がこう叫んだことでしょう。
この「 s 」はなに?
何のために必要なの?
もう意味がわかりませんよね。
ほかの言語における動詞の活用
英語の動詞に付く「 s 」を説明するために、ほかの言語を見てみます。そのほうが説明しやすいので。
英語以外のほとんどのヨーロッパ言語では、主語の代名詞に応じて「動詞の末尾」に「印」が付きます。
たとえばイタリア語の「dare(『give』の意味)」を例に見てみましょう。
動詞「dare(=give)」
- io(私) do(=I give)
- tu(あなた) dai(=you give)
- lui / lei(彼 / 彼女) dà(=he / she gives)
このように、主語の代名詞によって、動詞の「dare(与える)」が「do」「dai」「dà」と、変化します。
そのため、イタリア語では主語の代名詞が省略されて使われます。
主語の代名詞が省略?!
- do(=I give)
- dai(=you give)
- dà(=he / she gives)
主語が省略されたら「誰が」なのか、わからなくなるじゃんか!
……と思われるかもしれませんが、大丈夫なのです。
動詞「dare(与える)」が「do」という活用のときは、必ず主語は「io(私)」だし、「dai」という活用のときは、主語が「tu(あなた)」と決まっていて不要だからです。
英語の「 s 」は古英語の「活用」の名残
そして、イタリア語と同じように、古英語でも動詞の活用がありました。
英語史の専門家である堀田隆一氏は次のように述べています。
古英語では3単現に限らず,1単現,2単現,1複現,2複現,3複現でも何らかの語尾が付いていた.
そう。三単現だけでなく、一単現、二単現など、どの動詞も語尾の変化がありました。
言語はどんどん簡略化されるため、動詞の語尾に付く音声は消えていきましたが、三単現の語尾だけ残ったのです。
残るは3単現の lufaþ である.語尾に消失しにくい子音をもっていたために,中英語まではほぼそのままに保たれた.
英語の動詞の活用はほぼ消滅しましたが、「三単現の『 s 』」という動詞の活用は、最も使われる形であり、微々たる変化だったため残ったというわけです。
つまり「三単現の『 s 』」は、古英語がもっていた「動詞の活用」の名残です。
【参考】人称にかかわらず「s」が付く方言もある
参考程度に覚えておくとおもしろい情報もあります。
なんと、どの人称においても「 s 」が付く方言があるそうです。
人称にかかわらず直説法現在形で常に -s 語尾をとる方言としては,イングランド北部,南西ウェールズ,南ウェールズの諸方言が挙げられる.これらの方言では I likes it., We goes home., You throws it. などと -s 語尾が常用される.
非常におもしろいですよね。
まとめ
なんと、三単現の「 s 」というのは、古い英語の名残だったんですね。
ふと思いましたが、日本語の「へ」や「は」に似ていますね。
「学校へ」とか「私は」というときだけ、「は(=発音は『わ』)」「へ(=発音は『え』)」と読むのも古い日本語の名残ですからね。
ということで、三単現の「 s 」ですが、慣れると自然に言えるようになります。
「 s 」を忘れたら伝わらない……ということは一切ないので、ゆっくり慣れていきましょうね♪
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