桜の季節にニュースで流れてくる映像といえば、一面ピンクに染まった水面やピンクにライトアップされた木々ですよね。
そしてお花見シーズンの話題を目にする毎に「あぁ、日本は春なんだなぁ」と南半球からしみじみ感じます。
今回は英語で桜・花見は何と言うのかについてご紹介します。
目次
海外での桜・お花見事情について
最初に、海外での桜やお花見事情についてまとめます。
海外では桜は人気なの?
まず、海外では桜の花は人気があるのでしょうか?
もちろん、人気があります。
次の写真はオーストラリアで撮った広告ですが、桜の花が使われていますよね。
カナダでは「桜祭り」というイベントもあるんだそうですね。
日本の桜は有名なの?
私たちにとっては「日本の桜」は素晴らしいという認識ですが、海外ではどうでしょうか?
実は、日本の桜の美しさはオーストラリアでもよく知られています。
日本旅行でも、わざわざ桜のシーズンを狙って行くほどです。
一部の旅行代理店は桜前線を追っていく「パッケージツアー」も行っていて、桜の人気具合がうかがえます。
そうなのです。海外でも桜は人気で、日本の桜は有名なのです。
英語圏の人はお花見するの?
日本で桜といえば新学期や春の訪れを告げる花ですよね。
国花でもあります(パスポートの紋章にも使われている「菊」と桜の2つが国花です)。
そしてそれに伴った一大イベントが「お花見」です。
日本と同じで、花好きなオージー(オーストラリア人)ならお花見をするのでしょうか?
もちろん!……と思いきや、こちらにはお花見をするという習慣がありません。
こんなに美しいのになぜでしょうね?
海外で桜の花は咲くの?
では海外でも桜の花は咲くのでしょうか?
オーストラリアの場合
オーストラリアでは桜の木は一般的ではありません。
ですが、メルボルンではプラムの木が街路樹に植えてある地域があります。
春が訪れるとまず木瓜(ぼけ)の花が咲き、梅が咲いて、プラムへと続きます。
桜よりも濃いピンクでずんぐりした木なので桜のようなたおやかさはありませんが、春の雰囲気と晴れやかな気分を運んで来てくれますよ。
また、姉妹都市で日本から寄贈された桜が植えてある公園や記念碑があり、そこでお花見イベントがあります。
シドニーではカウラという街で催される、その名も「Sakura Matsuri Festival(サクラ・マツリ・フェスティバル)」。
メルボルンではシャクナゲ公園で行われる「Hanami Cherry Blossom Festival」が。
園芸屋さんに行けば枝垂れ(しだれ)桜(weeping cherry tree)も買うことができますよ。
カナダの場合
カナダの地域によりますが、バンクーバーでは桜の花をよく見かけます。
こちらはビクトリアにある並木道に植えられている桜の木。
日本から持ってきて植えられているそうです。
先ほども写真を紹介しましたが、カナダでも「桜まつり」は開催されています。
上の写真ではかなり桜がありますね。
桜・お花見にまつわる英単語について
では今度は、桜やお花見にまつわる英単語を紹介していきます。
英語で「お花見」は?
まずは英語で「お花見」はなんと言うのでしょうか?
「お花見」という文化がないため「お花見」に匹敵する言葉がありません。
日本語をそのまま直訳した「Cherry blossom viewing」という言葉が使われます。
ただしこの単語を使った場合、日本の様な「花よりダンゴ」的な飲めや歌えやの宴の要素はゼロ。
そのまんま「桜を観察する」……つまり、「バードウォッチング」に近いイメージですね。
ちなみに「watching」と「viewing」の使い分けは次のとおりです。
- watching
- 動的なものを見るときに使う
- viewing
- 風景や概念的、総括的なものを見るときに使う
英語版のウィキペディアには、日本のお花見の説明として「Hanami」という項目を設けています。
Hanami (花見, "flower viewing") is the Japanese traditional custom of enjoying the transient beauty of flowers;
つまりは日本独特のイベントなので「Hanami」としか説明できないのでしょう。
ただし「Hanami」という単語を知らない人には内容を説明するしかないですね。
英語で「桜」は「cherry blossom tree」
この日本人が愛でて止まない桜ですが英語でなんと呼ぶのでしょうか?
「桜」という木の種類を英語でいうと「cherry tree」になります。
ただし「cherry tree」とだけ言ったらサクランボの木のことだと思われるのです。
これと区別するために桜の木は「cherry blossom tree」と区別して呼んでいます。
2つの区別
ただ、これだと言葉として長くて不便ですよね。
それと日本の桜の存在が欧米でも市民権(?)を得てきたこともあり、一部では「sakura」と呼ばれています。
桜の木はもともとはすべてサクランボの実がなる木でした。
でも、日本では花を鑑賞ための品種改良が進んだ結果「桜」と称される種類ができたという背景がありあすよ。
その一方、西欧では食用に実が大きくてたくさんできるような改良が進んだというのは面白い点です。
日本と西洋の違い
「cherry picker」とは?
サクランボにまつわる言葉で「チェリーピッカー(cherry picker)」というものがあります。
「cherry picker」とは、次の画像のようなクレーン車を指します。
「サクランボを収穫する」という名前ですが、サクランボを収穫するのに使用されていなくてもそう呼ばれます。
この言葉ですが「ラクに作業ができる」という意味から転じた使い方もあります。
たとえば、バスケットボールで「ゴール前にいて、楽ちんなショットばかり狙っている人」のことを軽い侮蔑を込めて「チェリーピッカー」と呼びます。
梅の花や桃の花は英語で?
春の訪れをまず伝えてくれる花といえば桜の前に梅がありますよね。
紅白の梅の蜜を吸うためにやって来るメジロが見られたりしたら、とても風情があります。
さて、ここで春に咲く花、特に樹木のものをリストアップしてみました。
桜 | cherry blossom |
---|---|
梅 | plum blossom |
桃 | peach blossom |
李(すもも) | damson blossom |
すべてに「blossom」が付きますね。
ではなぜ「flower」とは言わないのでしょうか?
「blossom」と「flower」の違いは?
では「blossom」と「flower」の違いはなんでしょうか?
バラ、チューリップ、ひまわりの花は「flower」と呼ばれ、梅、桃、リンゴの花は「blossom」と呼ばれています。
どちらも日本語にすると「花」なのですが、これらの差はどこにあるのでしょうか?
その違いは、こちらの2つで区別されています。
違い
たとえば、バラの花は桜ほど密集して咲かないので「blossom」ではなくて「flower」と呼ばれます。
This type of rose produces beautiful flowers.
(この種類のバラは美しい花をつける)
また、桜の花でも、こんな使い分けがあります。
使い分け
Wikipediaでも次のように「flower」が使われていますよ。
The yaezakura have large flowers, thick with rich pink petals.
訳は「八重桜は厚手でピンク色の花びらをたたえた大きな花をつけます」です。
まとめ
桜の英語をまとめると次のとおりです。
桜の英語まとめ
私は「Hanami」こそ日本が世界に向かって発信するに値する文化じゃないかと思っています。
いつかは「Sushi」や「Manga」のように世界で通じる言葉になってほしいですね。
特にお酒が好きな国民性のオーストラリアにはお花見はうってつけだと思いますし。