ハロウィンに欠かせないものと言えば、コスプレと「ハロウィンかぼちゃ」でしょう。
ハロウィンかぼちゃは「ジャック・オー・ランタン(Jack-O-Lantern)」と呼びますが、最近では、日本でもそれ用のカボチャ(pumpkin=パンプキン)がホームセンターなどで簡単に手に入るようになってきました。
今回はアメリカに住んでいる私が、「ジャック・オー・ランタン」の作り方について分かりやすく解説します!
実際には「パンプキン(pumpkin)」は「日本のカボチャ」とは違う種類ですが、分かりやすいので「カボチャ」という名称で書いています。
目次
ジャック・オー・ランタンについて
「ジャック・オー・ランタン(Jack-o'-Lantern)」というのは、「ランタン(lantern)」です。
日本語で言うと「提灯」でしょうか? でもただの提灯ではありません。
大きなオレンジ色のカボチャの中をくりぬき、皮を削って模様を彫った「ランタン」のことですね。
ここでは、どんなカボチャを買って、いつ作ればいいのか……といった基礎知識について紹介します。
ジャック・オー・ランタンはなぜ置くの?
私はアメリカに来るまで、ハロウィンなどまったくしたことがありませんでした。
今では毎年作っていますが「ジャック・オー・ランタン」という名前さえ知りませんでした。
そんなジャック・オー・ランタンですが、「悪霊を怖がらせて追い払うために置く」と言われています。
作ったら、中にろうそくなどを入れて明かりをともし、玄関先などに置いておくのです。
こうやって暗がりの中で見ると、悪霊も逃げそうな迫力ですね(笑)。
ジャック・オー・ランタンはなぜカボチャなの?
そもそもですが、ジャック・オー・ランタンは、なぜカボチャなんでしょうか?
実は、アイルランドから伝わってきたハロウィンなのですが、
もともとはカブだったそうです!
ジャック・オー・ランタンはカブだった!
ということで、アメリカ人の夫にジャック・オー・ランタンについて聞いてみました。
そうそう、カボチャじゃなくてもともとは「turnip(カブ)」だったんだよ。見たことある? "really scary looking(=すごく見た目が怖い)" だよ。
そうなの?! 知っているだけで、見たことはないよ。
……ということで夫がネットで検索して「ジャック・オー・ランタンのカブ version」を見せてくれました。
これは、ミイラみたいで怖い!!
「悪霊を怖がらせるために作っていた」っていうのもわかるね。
カブだと小さい上に、中に空洞がないので彫るのに時間がかかっただろうね(笑)。
当時のアイルランドにはカボチャがなかった!
でも、なぜアイルランドではカブを使っていたんでしょうね?
当時、アイルランドで、何か顔の形になる野菜といえばカブ(turnip)だったんだろうね。
カボチャはアイルランドにはなかったってこと?
だと思う。スクワッシュは(squash=パンプキンや日本のカボチャ、ズッキーニなど)はアメリカ大陸原産だから。当時、アイルランドの人たちは、カボチャを見たことがなかったんじゃないかな?
夫の推測だそうですが、当時のアイルランドにはカボチャがなかったのではということです。
そして、アメリカに移ってきたアイルランド人たちが、ハロウィンの季節になるとたくさん見かけるカボチャを見て「これはいい!」と代用したのだと。おもしろいですね。
ハロウィンかぼちゃはいつ買えばいい?
では、「ジャック・オー・ランタン」を作るためのハロウィン用カボチャはいつ買えば良いのでしょうか?
アメリカでは、9月半ばになると、お店にカボチャが売り出されます。
すごく早く感じますよね。10月31日のハロウィンまでだいぶ期間があるのに、そんなに早く買って大丈夫? 腐らない??と。
カボチャは、長持ちするので少し早めに買っても大丈夫です。ただ、彫るのはハロウィン直前です。
カボチャは、傷つけなければ日持ちしますが、彫ったりして皮を傷つけると、そこから急に腐敗がはじまります。
逆に、カボチャをハロウィン直前に買おうとしても、売り切れていたり、いいものがなかったりするので、少し余裕をもって買いましょう。
値段は、私が見ている限りでは、「直前に安くなる」という傾向はアメリカにはないように思います。
ハロウィンかぼちゃはどんなカボチャがいい?
次にカボチャを選ぶポイントです。どんなカボチャがジャック・オー・ランタン制作に最適なのでしょうか?
お店で見てみるとよくわかるのですが、カボチャってそれぞれ違います。
アメリカ人の夫が言っていたことをまとめるとこんな感じ。
こんなカボチャを選ぼう!
「持ち手」のあるカボチャを選ぶ
夫がまず言ったのはこちら。
「持ち手」のあるものがいいんだ!
え?! それは単なる好みでは??
……と思いましたが、ちゃんとした理由があるみたいです。
「ジャック・オー・ランタン」は作るときに、中をくりぬきます。
そのときに、上の部分が「ふた」になるので、ちょっと残った「つる」が「持ち手」になるのです。
売られているカボチャを見ていると、「つる」が折れて短いものもあります。
初心者の方は特に「持ち手」のあるカボチャを選んでください。持ちやすいです。
傷のないカボチャを選ぶ
それから、カボチャに傷がないか確認してください。
中まで傷ついていたり、割れていると、そこから腐ってしまいます。
後述していますが、カボチャを買ってからしばらくはそのまま置いておくことになります。
ジャック・オー・ランタンにする前に腐ってしまっては意味がありませんからね。
転がらないカボチャを選ぶ
そして、実際に「つる(持ち手)」を上にして地面に置いてみて、ごろんと転がらないものを選びましょう。
買う段階でうまく立たないカボチャは、ジャック・オー・ランタンにしてもうまく立ちません(笑)。
ちなみにカボチャの形はどんなものでも良いです。ランタンができたときのことをイメージして、好きな形を選んでください。
ジャック・オー・ランタンはいつ作る?
ハロウィン用のカボチャを買って「早くランタンを作りたい!!」と、はやる気持ちはわかりますが、お待ちください!
この作業をするのは、ハロウィン前日もしくは当日がおすすめです。
というのも、前述しましたが、カボチャは傷をつけると急に腐敗がはじまります。
傷がついていないと、屋外に置いておいても大丈夫です。
環境にもよりますが、私が住んでいるところ(わりと乾燥している)でも、彫ってしまうときれいな状態を保てるのは2〜3日が限度です。
特に、彫って皮がない部分は、しなびる感じで形が崩れます。
中にカビも生えて、たしかにその方が「不気味」で、ハロウィンっぽいのですが(笑)
あと、形が崩れると火をともすのも危険です。
ハロウィンにいい状態でランタンを飾りたい方は、
できるだけ直前に彫ってくださいね!
「ジャック・オー・ランタン」の作り方
ではいよいよ、具体的な「ジャック・オー・ランタン」の作り方です!
こちらのものをまず、そろえてください。
必要なもの
「ジャック・オー・ランタン」を作る具体的な手順を紹介します。
簡単に流れを説明すると……
制作の流れ
- 彫るデザインを考えて紙に下描き
- デザインを見ながら、カボチャにデザインを油性ペンなどで描く
- 「ふた」の部分を切り取る
- 中の種などをくりぬく
- 彫る
これだけです。
彫るデザインを考えて紙に下描き
まず、自分で彫りたいデザインを紙に描いてみます。
「一発勝負で!!」という方は、下描きをしなくてもいいかもしれませんが、慣れていないとなかなか難しいです……。
イメージするときに大事なのが、こちらです。
大切なこと
どの部分を白く、どの部分を黒くさせたいか決めておく
彫ったところが光る
ジャック・オー・ランタンは単なる飾りではなく、中にロウソクを入れて光らせることが前提です。
明かりをともすと皮を切り取った部分が白く、残された部分が黒く見えますよね?
右側が光をともした写真ですね。
顔の形にくり抜くとアウト!
気をつけたいのは、輪郭全体を完全にくりぬいてしまうとアウトだということ!
こちらをご覧ください。
上の画像左側は、ネコのシルエットをまずくり抜いてしまったため、表情を作れなくなった例です。
顔の輪郭全体を切り抜いてしまうと、目や鼻などのパーツが作れなくなってしまうんです。
顔の輪郭は切り取らず、「線」で表すのがコツです。
完全に切り取ってしまわず、どこかの部分と「接している」ことを考えながら作ります。
実際は、つまようじなどを刺して支える、という高度な技もありますが……初心者には難しいです。
カボチャが「球体」であるということを覚えておく
デザインの大きさで注意する点が1つあります。
カボチャは球体で、もちろん内部も球体です。
見た目より一回り小さい空間が内部にあることをおぼえていてください。図で説明します。
彫る部分があまりに大きすぎると、上の「ふた」の部分や、底の部分に近くなりすぎて、うまく彫り抜けません。
初心者の方は特に「簡単な」デザインを心がけてください。
△ や □ など、直線を結んだ図形を彫る方がいいかもしれません。
つい、曲線の混ざったかわいいデザインを彫りたくなりますが、彫る作業もなかなか思い通りにできません。初心者には直線が無難です。
ほら、「ジャック・オー・ランタン」を思い浮かべてみてください。目や鼻が三角で、口が大きく開いていて歯がガタガタで……。そういうのが一番作りやすいです。
ジャック・オー・ランタンの顔は?
「ジャック・オー・ランタン」の顔はなんだっていいんです。
「顔」でなくてもいいんです。私は、前回は「ネコ」にしました(黒ネコもハロウィンにはぴったりのキャラクターです)。
こんな楽しい「ジャック・オー・ランタン」を作ったこともありますよー。
カボチャにデザインを油性ペンなどで描く
紙にデザイン画を書いたら、そのデザインを見ながらカボチャの表面に油性ペンなどで描いていきます。
この作業も、自信があれば省いてもいいです。
ペンの下描き部分を残さない
気をつけたいのは、彫るときに「ペンで描いた部分」をちゃんと彫らなければ、表面にペンの線が残ったままになること。
暗いところでランタンにしてしまえばわかりませんが、明るいところで見ると、けっこう目立ちますのでお気をつけを。
夫(アメリカ人)は、小さいころから毎年彫っているうえ、もともと絵を描くのが好きなので、1と2の手順を完全に省きます。
下描きなしで、いきなり「ふた」を切り抜く作業から始めます。
「ふた」の部分を切り取る
それでは、ようやくここでカボチャを切っていきます。
汚れてもかまわないように、作業する台の上に新聞紙を敷きましょう。
上から見て、「持ち手」を中心に直径12〜14cmくらいのふたを切り抜きます。
「 V 」の字の切れ込みを入れてから
なぜ穴を開けるのかというと、中の種をくりぬいたりするための穴です。
腕が1本入る、作業しやすい大きさの穴にしましょう。
まず、「ふた」にする部分は、最初にナイフを縦にして「 V 」の字に切れ込みを入れます(←理由は後で)。
その切れ込みの横から、今度はナイフを少し寝かせ気味にして、丸く円をつなぎます。
ここでも注意が必要です!
フタが落ちないようにナイフの角度に注意
ナイフを縦にまっすぐ入れて切ってしまうと、「ふた」を支える部分が小さくなり、下に落ちてしまうんです。
説明が難しいのでこちらのイラストを見てください。
ナイフを縦にしたり、少し寝かせ気味にして切ると、フタがうまく引っかかってくれるようになります。
ちなにに、アメリカで買えるこういうカボチャは、かぼちゃとは違いわりとやわらかいので、あまり力を入れなくても簡単に切れますよ!
最初は縦に「 V 」に切れ込みを入れる理由は「ふた」の正しい位置(方向)がすぐにわかるからです。
ろうそくをともしたあと、フタをしますからね!
中の種などをくりぬく
フタ部分をくり抜いたら、フタを横に置いておいて、中の種を取り出します。
かぼちゃを想像しているとびっくりするのですが、このカボチャには、種はあまり詰まっていません。
上の写真のように、中はけっこう空洞です。
とは言え、もともとのサイズが大きいので、種を取り出していくとけっこうな量になります。
大きなスプーンで種とわたを取り除く
大きなスプーンを使って、種とわたを取り出します。
それから、中を少し削るように「ならし」ていきます。
特に、内側と外側を両手で同時に触ってみて(厚さを想像して)、「分厚すぎる」と思う方は、内部全体を少し削ってしまってもいいかもしれません。
カボチャの内部は、短いスパゲッティのような繊維になっています。かぼちゃとはぜんぜん違いますね。
この繊維が彫るときに邪魔をするんですね。
さて、スプーンでガリガリやって、カボチャの中身が滑らかになったら準備完了です。
次からガンガン彫っていきます!! やっとですね!!
フタ側の種・わたも取る
フタ側にも種とわたが付いています。
こちらもきれいにしておきましょう!
ハロウィンかぼちゃを彫っていく
では、ペンの線を頼りに彫っていきます。
ハロウィンかぼちゃを彫るための器具がある!
アメリカでは、カボチャを彫るための器具が売られています。値段はそんなに高くありません。
種をすくうスプーンや、彫るための大きさの違う小さなのこぎりのような器具がセットになっています。
わたしが持っているのはこういうやつです。
小さいのこぎりは、細かい部分を削るときに使いますが、刃の部分が細いため、けっこう壊れやすいです。
日本でも、ジャック・オー・ランタンを彫る用の商品がAmazonや楽天でも買えますよ。
ジャック・オー・ランタンを彫るときのコツ
カボチャを彫るときは、大きいのこぎりで大きな部わから彫っていきます。
細かい部分は小さいのこぎりで調整する程度にします。
ナイフやカッターなどで切ることもできますが、刃の部分を長く出すことになるので、けがをしないように十分気をつけてください。
切り抜くパーツ全体に切り込みを入れたら、内側に押し出します。すると、ポコッと取り出すことができます。
気持ちいい瞬間です♪
この作業を繰り返して、すべてのパーツを切り抜けば完成!
明かりをともして玄関に飾る
ハロウィンかぼちゃこと「ジャック・オー・ランタン」が、できあがりました!
そして夜になったら、お待ちかね! さっそく明かりを入れて試してみましょう。
アロマ用の小さなろうそくでもいいですが、最近では、LEDなど、電気を使ったライトも使われます。
これだと火事とかの心配がいりませんね。
【参考】私が作ったジャック・オー・ランタン
参考までに私が今までに作ったジャック・オー・ランタンをここに載せておきます。
新しく作って写真を撮ったら、ここに追記していきますね♪
インスタでも投稿しています!
この投稿をInstagramで見るまとめ
私は、アメリカに来てから毎年ジャック・オーランタンづくりをしています。
最初は絵や工作が苦手なので、デザインを考える時点で「う〜ん、どうしよう……」と悩んでました。
彫りながらも「う〜ん、うまくできない……」、できあがったランタンを見て「う〜ん、(思い描いていたのと)ぜんぜん違う……」ということばかりでした(笑)。
うまくできなくても、ハロウィン気分を楽しめるので、ぜひ挑戦してください♪
最後にもう一度書きますが、カボチャの購入は早めでもいいですが、彫るのはハロウィン直前にしましょう!!
Amazonや楽天でも北海道産のカボチャ(パンプキン)が買えるようですよ。