たとえば、料理をしていて「あれ? ゆで卵って英語で何て言うんだろう?」「フライドチキンは英語でも同じかな?」みたいに思ったことはありませんか?
「ゆで卵」という日本語を英語に訳そうとするとけっこう苦戦しますが、「boil(ゆでる)」という英単語を知っていれば、簡単に言えるんです!
じつは「boil」を「boiled(過去分詞形)」にして「boiled egg」にすればいいんですよ。
というわけで今回は、知っている英単語を駆使して表現力をUPさせるための「動詞を過去分詞形にして名詞修飾」という技を紹介します。
目次
英語で「ゆでたまご」って言える?
ホームステイ先やレストランで意外とよく聞かれることの1つ。
それが「卵の調理方法」です。
How would you like your eggs ?
(卵はどうやって食べる?)
もし「ゆで卵」にしてほしいとき、なんと言えばいいかわかりますか?
ん〜、「ゆで卵」なんて英単語は習ってないよ……
……と思うかも知れませんが、大丈夫。
答えはシンプルに「ゆでた卵」、つまり「boiled egg」でOKです!
原形 | 三人称単数 | 現在分詞形 | 過去形 | 過去分詞形 |
---|---|---|---|---|
boil | boils | boiling | boiled | boiled |
「作用をする」というニュアンスがある動詞?
もう一度先ほどの「ゆで卵」を表す英語を見てみましょう。
「ゆで卵」を英語で?
boiled egg
「boil(ゆでる)」という動詞に「ed」が付いていますね。
これはあとで詳しく説明しますが、「〜された」という意味を表す受け身(受動態)の形です。
この用法で言いたいときには「作用をする」というニュアンスの動詞を使います。
「作用をする」とか、唐突に見えますが例を見てください(笑)。
boil | ゆでる(という作用をする) |
---|---|
fry | 油で揚げる(という作用をする) |
bake | オーブンで焼く(という作用をする) |
can | 缶につめる(という作用をする) |
slice | スライスする(という作用をする) |
color | 色をつける(という作用をする) |
rot | 腐らせる(という作用をする) |
cage | かごに入れる(という作用をする) |
逆に「作用する」というニュアンスのない動詞の例を出すと「run(走る)」があります。
「run」の動作は自分1人だけで完結しますよね。何かに作用するわけではありません。
そして「give(与える)」という動作は相手(=与えられる対象)がいないとできないですよね?
このように、自分以外の他の対象に動作が作用するニュアンスがある動詞を他動詞と呼びます。
ちょっと攻撃的というか、こっちから「やっている」というイメージでしょうか。
「卵をゆでる」だったら、以下のように「ゆでる」という攻撃を卵に加えてるイメージですね。
I boil eggs every morning.
(あたしは毎朝、卵をゆでてるよ)
英語では受け身で「〜された○○」という発想
その攻撃的な動詞(他動詞)が受け身の形(過去分詞形)になると「〜された」という意味になります。
そして、名詞にくっつくことが可能になるんです。こちらの例を見てください。
「受け身形+名詞」の例
- boil(ゆでる)boiled(ゆでられた)
boiled egg
(ゆでられた卵=ゆで卵) - can(缶に詰める)canned(缶に詰められた)
canned pinapple
(缶に詰められたパイナップル=パイナップルの缶詰)
日本語では「ゆでた卵ゆで卵」「缶に詰めたパイナップルパイナップルの缶詰」ですよね?
でも、英語だと「boiled egg(ゆでられた卵)」「canned pineapple(缶に詰められたパイナップル)」というニュアンスです。
日本語だと動作をする「人間」の視点なのに対して、英語では「動作をされる側(動詞に続く名詞側)」の視点……とも言えますね。
余談ですが、「can(缶)」という名詞が動詞化して「缶に詰める」という意味になりました。さらに、日本語の「缶」は英語の「can」またはオランダ語の「kan」が語源だそうです。
「〜された○○(〜な○○)」の形の作り方
この「〜された○○(〜な○○)」の形ですが、作り方はどうすれば良いのでしょうか?
ズバリ、以下の3つのステップで出来上がりですよ!
「〜された○○」の作り方
- その動きをイメージする
- その動きを表す言葉(動詞)を過去分詞にする
(※ 語尾に「ed」を付けるものが多い) - 「過去分詞になった動詞」+「名詞」の順番で言えばOK!
例えば、先ほどの「ゆで卵」と同じ卵料理で「スクランブルエッグ」を英語でなんと言うか考えてみましょう。
まず「スクランブルエッグ」に必要な動きをイメージしてください。
「スクランブルエッグ」だから、「グチャグチャに混ぜる」を意味する動詞「scramble(スクランブル)」を使います。
原形 | 三人称単数 | 現在分詞形 | 過去形 | 過去分詞形 |
---|---|---|---|---|
scramble | scrambles | scrambling | scrambled | scrambled |
「scramble(グチャグチャに混ぜる)」という動詞が浮かんだら、その言葉を過去分詞形にしましょう。
この場合は、お尻に「 d 」をくっつけ、「scrambled」になります。
あとはその「scrambled」を主役である名詞「たまご(egg)」の前に置けばOK(=「scrambled」で名詞を修飾するということ)。
みごとに「scrambled egg(スクランブルエッグ)」という表現の出来上がりです。
じつは、日本語の「スクランブルエッグ」は、本来「スクランブルドエッグ」と呼ぶべきなんです。
では、さきほどのオオカミさんの質問に英語で答えてみましょう。
How would you like your eggs ?
(卵はどうやって食べる?)
Scrambled eggs, please !
(スクランブルエッグでヨロシク!)
上の例文で「egg」が複数形になる理由はこちらです。
ね? かんたんでしょう?
「ん〜、英語でこれなんて言えばいいんだろう?」と困ったときは、このやり方を試してみてくださいね。
ちなみに文法的には「〜ed」は過去分詞(past participle)と言い、今回のやり方は「動詞を過去分詞形にした名詞修飾」という表現に当たります。マニアックですね(笑)
フライドチキンは「立派な英語だった」?!
上では「スクランブルエッグ」を例に出しましたが、ほかにも「動詞の過去分詞+名詞」がそのまま日本語になっている言葉はいっぱいあります。
たとえば「フライドチキン」なんかがそうですね!
「フライドチキン」は英語で「fried chicken」です。立派な英語だったんですね。
動詞 | 動詞の過去分詞+名詞 |
---|---|
scramble (グチャグチャに混ぜる) |
scrambled egg (グチャグチャに混ぜられた卵=スクランブルエッグ) |
fry (油で揚げる) |
fried chicken (油で揚げられたチキン=フライドチキン) |
ice (氷で冷やす) |
iced tea (氷で冷やされた紅茶=アイスティー) |
smoke (燻製にする) |
smoked salmon (燻製にされたサーモン=スモークサーモン) |
process (加工する) |
processed cheese (加工されたチーズ=プロセスチーズ) |
condense (濃縮する) |
condensed milk (濃縮されたミルク=コンデンスミルク) |
freeze (凍らせる) |
frozen yogurt (凍らされたヨーグルト=フローズンヨーグルト) |
最後の例で「freeze」が「frozen」になっているのは、不規則動詞だからです。
日本語になると、先ほどの「scramble」だけでなく、「ed」が抜けている場合が多いのでお気をつけくださいね。
日本語との違いに注意
- スクランブルエッグ
scramble eggscrambled egg - アイスティー
ice teaiced tea - スモークサーモン
smoke salmonsmoked salmon - プロセスチーズ
process cheeseprocessed cheese - コンデンスミルク
condensed milkcondensed milk
「アイスティー」を「ice tea」だと思っていた方も多いんじゃないでしょうか?
よく使う英語表現
さて、最後に実際に英語でよく使う表現もいくつか紹介しておきますね。
たとえば、こちらは「飲むヨーグルト」に書いてある表記です。
ふつうの「milk(牛乳)」と間違わないように「fermented milk(発酵した牛乳)」という表記が見えますよね?(「ferment」は「発酵させる」という意味)。
こちらは豆乳で、味を調整して甘くしてある商品。
「sweet(甘い)」が動詞化した「sweeten(甘くする)」が、「sweetened」になっていますね!
ほかにも以下のような表現を日常的によく見かけますよ。
日常でよく見る表現
- fermented milk …… 発酵させられた牛乳(ヨーグルト)
- canned tuna …… 缶詰にされたツナ(ツナの缶詰)
- baked chicken …… オーブンで焼かれたチキン
- fried prawn …… 油で揚げられたエビ(エビフライ)
- grilled shrimp …… グリルで焼かれたエビ(グリルで焼いたエビ)
- pickled daikon …… 漬物にされた大根(たくあん)
- mixed vegetables …… いろいろ混ぜられた野菜(ミックスベジタブル)
- sliced onion …… スライスされた玉ねぎ(玉ねぎのスライス)
- steamed broccoli …… 蒸されたブロッコリー(蒸したブロッコリー)
- rotten apple …… 腐らされたリンゴ(腐ったリンゴ)
- colored pencil …… 色を付けられた鉛筆(色鉛筆)
気づかれていると思いますが、食べ物の名前でよく使われます。
もし「刺し身」を説明したいなら「sliced raw fish(=スライスした生の魚)」と言えば伝わりますよ!まぁ、「sashimi」という単語自体が英語圏でも意外と浸透していますが(笑)
ちなみに、例外として「ローストビーフ(roast beef)」のようなものもあります。
「roasted」にならなくても「roast」は動詞だけでなく、形容詞で「あぶった」という意味もあるので、そのまま「roast beef」でオッケーです! ややこしいですね。
まとめ
さて、今回紹介した「ed+名詞」の形ですが、このルールを知っているとかなり便利です。
「あれ? 煮魚って英語でなんだろう?」「たくあんって何て言うの?」と思っても、このルールを使えば「boiled fish」「pickled daikon (radish)」と言えますから!
ぜひ知っている単語を駆使して表現力をUPさせてくださいね。