ノンバーバル・コミュニケーション(非言語コミュニケーション)とは?

ノンバーバル・コミュニケーションとは?
サト

執筆者

TOEIC990点(満点)。ELSA認定アンバサダー。インドネシアで日本語学校を運営している日本語教師。話せる言語は英語のほかにインドネシア語、中国語。→ サトについてはこちら

コミュニケーションを取るときには、ことばが主役ですよね。

でも、ことば以外にも、メッセージを伝える手段があるんですよ。

それが「非言語コミュニケーション」こと「ノンバーバル・コミュニケーション」です。

この記事では、そんな「ノンバーバル・コミュニケーション」について解説します。

ノンバーバル・コミュニケーションとは?

では、「ノンバーバル・コミュニケーション」とは、そもそもどんな意味なのでしょうか。

「ノンバーバル」は英語で「non-verbal」。「non-verbal」をさらに2つに分けると、次のとおりになります。

「non-verbal」とは

  • non:否定(〜ではない)
  • verbal:ことばを使う

つまり、「ノンバーバル・コミュニケーション」は、「ことばを使わないコミュニケーション」という意味です。

「無言のメッセージ」を伝えるコミュニケーションとも言えますね。

「非言語コミュニケーション」と呼ばれることもありますよ。

ノンバーバル・コミュニケーションの例

「ことばを使わないコミュニケーション」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、ジェスチャーではないでしょうか。

ウンウンとうなずいて「聞いてますよ」ということを示したり、手を振って「バイバイ」と伝えたり。

でも、ノンバーバル・コミュニケーションは、ジェスチャーだけではないんです。

ここでは、ノンバーバル・コミュニケーションを「音声メッセージ」「非音声メッセージ」の2つに分けて説明します。

Wikipediaでは、次のように説明されています。

メッセージの例具体例
非言語/音声メッセージ声の張り、イントネーション、話す速度、言葉遣い
非言語/非音声メッセージ外見・身だしなみ、身振り手振り、姿勢、視線、対人距離、表情、呼吸
非言語コミュニケーション - Wikipedia

ノンバーバル・コミュニケーションには、ジェスチャーのほかにもいろいろあるんですね。

では「非言語音声メッセージ」「非言語非音声メッセージ」の例をそれぞれ紹介します。

非言語音声メッセージ

非言語音声メッセージには次のようなものがあります。

声の張り

まず、「声の張り」から解説します。「おはようございます」という朝のあいさつを想像してください。

たとえば、張りのある声であいさつをすると、「今日も元気にがんばりましょう」という無言のメッセージが伝わるかもしれません。

逆に、ボソボソとあいさつをした場合、相手に「この人、今日は機嫌が悪いんかな」とか「わたしのこと嫌いなんかな」とか思われてしまう可能性があります。

あいさつの仕方で「おはよう!」以外のメッセージ(=非言語音声メッセージ)も伝わってしまうんですね。

イントネーション

2つ目の例は「イントネーション」です。

たとえば、わたしは昔、イントネーションをつけて話すのがニガテでした。

「棒読み」みたいな話し方だったんですよ。

わたしが学生時代、先輩を飲み会に誘うために電話をしたときのことです。

留守電にメッセージを残し、電話をかけなおしてきた先輩に次のように怒らせてしまいました。

お前、ほんまに俺に来てほしいと思ってんのか?!

わたしの言いかたにイントネーションがなく、棒読みだったので「本当は来てほしくない」と受け取られてしまいました。

もちろん、尊敬している先輩だったので来てほしかったのですが……。

実際に顔を合わせて話していれば、表情などから、そんな誤解は生まれなかったかもしれませんね。

話す速度

話す速度」も非言語音声メッセージのひとつです。

たとえば、わたしは昔、早口で話す傾向がありました。

会社で働いていたとき、上司に「あわてて話さなくてもいい」とアドバイスをもらったことを覚えています。

「緊張して、あわてている」という無言のメッセージを発していたようです……。

わたしは急いで話しているつもりはなかったのですが、少なくとも上司にはそう伝わっていたんですね。

逆に、適度にゆっくり話すことで「落ち着いている、自信がある」という(これまた無言の)メッセージを伝えられたかもしれません。

ことばづかい

非言語音声メッセージの最後の例は、「ことばづかい」です。

たとえば、この間ひさびさに友人に会ったときのことです。

基本的にタメぐちで話していたのですが、友人がたまに敬語を使ってきて、少し距離を感じてしまいました

LINEでは100%タメぐちだったのに……。

あまり仲良くなりたくない人に、丁寧なことばを使うことがありますが、そのパターンではないと信じたいところです。

非言語非音声メッセージ

つづいて「非言語音声メッセージ」です。

「音声がないメッセージ」ってなに……?

……と思ったかもしれませんが、ジェスチャーはまさに「音声がないメッセージ」の代表と言えます。

ことばを使わずに、身振り手振りで何かを伝えるわけですから。

ここでは、非音声メッセージの例として、次の7つについて説明しますね。

外見・身だしなみ

まず、「外見・身だしなみ」です。

たとえば、寝ぐせだらけのボサボサ頭で大切なお客さんに会うのって、なかなかハードルが高いですよね。

お客さんに、次のように思われても仕方がありません。

(わたしのこと、どう思ってるんだろうか……というか、この人に仕事を任せて大丈夫なんだろうか……)

逆に、めちゃくちゃ仲のいい友人とプライベートで会うときに、仕事用のスーツでビシッと決めるのも、ちょっと勇気がいるかもしれません。

友人がムダに距離を感じてしまいそうですね。

このように、髪型や服装といった「外見・身だしなみ」でも、無言のメッセージを伝えてしまいます。

時と場面に合っていれば、無言のメッセージを伝えて「くれる」んですけどね。

身振り手振り

身振り手振り」は先ほど少し触れた「ジェスチャー」ですね。

先述の通り、手を振ることで「バイバイ」という別れの挨拶を伝えられます。

ほかにも、人差し指を立てて、閉じた口の前に持ってくると「静かに」というメッセージになりますね。

ちなみに「シー!静かに」のジェスチャーは英語でも同じです。

姿勢

姿勢」も非言語コミュニケーションになります。

これもわたしの失敗談ですが、会社で働いていたときのこと。

PC作業に疲れたわたしは、ちょっとの間、ほおづえをついてPC画面を見ていたんです。

すると、それを見た上司はこう言ってきました。

お前、やる気あんのか?!

当然、ほおづえは、ことばではありません

ですが「やる気がない」「仕事ではなく、他のことを考えている」というメッセージが伝わってしまったんですね。

視線

視線」も大切な非言語コミュニケーションのひとつです。

たとえば、友人と話しているときに、こちらをまったく見てくれないと、「怒っているのかな……?」と心配になりますよね。

また、相手の視線が定まらず、あちこちさまよっていると、「自信なさげだな……」とか「何か隠してるのかな?」と思うかもしれません。

このように、視線もメッセージを発していると言えます。

「目は口ほどに物を言う」というやつですね!

対人距離

対人距離」でも無言のメッセージを送ることができます。

たとえば、苦手なタイプの人には、物理的に近づきたくないですよね……。無意識のうちに、距離を空けてしまっているかもしれません。

逆に「お近づき」になりたい人には、文字通り、距離が近くても苦にならないはず。

このように、物理的な距離で、相手に対する気持ちを伝えることができます。

あまり露骨にやると、問題になるかもしれませんが……。

表情

表情」もことばではありませんが、メッセージを伝えることができます。

言うまでもなく、笑顔なら「楽しい」とか相手に対する好意などが伝えられます。

しかめっ面ならその逆ですね。

なんなら無表情で、「関心がない」ことも伝えられます。

呼吸

最後に紹介するノンバーバル・コミュニケーションは「呼吸」です。

「呼吸」でなにか伝えることってできるの?

……と思われたかもしれませんが、たとえば「ため息」はどうでしょう。

仲のいい友だちがため息をついていると、「どうしたの? なにかあったの?」と聞きたくなりますよね。

ため息自体はことばではないのですが、「心配事がある」「悩んでいる」といったメッセージが含まれる場合もあります。

ノンバーバル・コミュニケーションの重要性

ここまで、ノンバーバル・コミュニケーションについて、例を交えて解説してきました。

では、実際にコミュニケーションを取るとき、ことばとそれ以外(ノンバーバル・コミュニケーション)とでは、どちらの影響が大きいのでしょうか。

日本語教師になるための試験の書籍に、次のとおり書かれていました。

バードホイステルは母語話者同士が会話した場合でも、言語による情報量は約30%で、残りの70%前後はノンバーバルによる情報手段で伝えられるとしている。

ヒューマンアカデミー著『日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第2版』(2011年 翔泳社)

なんと、7割がノンバーバル、つまりことばを使わない手段で伝わっているんですね。これは超重要です。

ことばそのものだけでなく、ノンバーバルの要素にも気を配らないと、誤解を生んでしまう恐れがあるということにもなります。

そう、昔のわたしのように……。

まとめ

この記事では、ノンバーバル・コミュニケーションについて解説しました。

まとめると、次のとおりです。

まとめ

  1. ノンバーバル・コミュニケーションは、ことばを使わないコミュニケーションである
  2. ノンバーバル・コミュニケーションの例は、声の張り、イントネーション、姿勢、呼吸など数多くある
  3. ノンバーバル・コミュニケーションが情報量に占める割合は約70%と高い

ことばによるコミュニケーションだけでなく、ノンバーバル・コミュニケーションも意識して、コミュニケーションりょくを高めたいところですね。

ご参考になれば幸いです!

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サト
英語びより編集長。独学でTOEIC980点をマーク(2023年9月)。インドネシアで日本語学校を運営している。>>サトについて詳しくはこちら
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