前回は、語源で英単語を覚えるということについてお話しました。
「語源によってラクに単語を覚えられる」とは言え、「語源自体」を覚えること、つまり「覚えること」からは逃げられません。
でも語源を覚える順番によって、その大変さはぜんぜん違ってきます。
この記事では、最初に覚えてほしい語源である「in」と「ex」について、そして「in」と「ex」で覚えられる英単語をご紹介しましょう。
単語のはじめに来る「in」と「ex」について
では、単語のはじめに来る「in」と「ex」について解説しますね。
この2つはもっとも覚えやすい語源なので、2つとも覚えてしまいましょう。
語頭の「in」は「中に」という意味
まず、単語のはじめの部分(語頭)に来る「in」は「中に」という意味です(例外もある)。
上の図解のように、「in」の「 i 」の点がゴールのネットの中に入っているイメージで覚えてください。
語源「in」の意味
中に
たとえば、「インドア」「インストール」という言葉はカタカナとしてもおなじみですよね。
単語(意味) | 単語の成り立ち |
---|---|
indoor (屋内の) |
in(中に)+ door(ドア) 「ドアの中」から「屋内」という意味に |
install (インストールする) |
in(中に)+ stall(語源は『置く』の意味) 「中に置く」からインストールの意味に |
この2つの単語「door(ドア)」と「stall(語源は『置く』の意味)」の語頭に「in」がくっつくことで、「中に」という意味を付加しています。
「indoor」なら、「in+door」で「ドアの中屋内」というイメージ。
そして「install」は、「in+stall」で「中に置く」というイメージです。
前置詞の「in」も同じく「中」という意味なので覚えやすいですね!
語頭の「ex」は「外に」という意味
単語のはじまり(語頭)に来る「ex」は、「外に」という意味になります(例外もある)。
上の図解のように「ex」の「 x(バツに見える)」を「 e 」がジャンプをして外に超えているイメージで覚えてください。
語源「ex」の意味
外に
たとえば、次のことばの「ex」という部分は「外に」という意味なのです。
単語(意味) | 単語の成り立ち |
---|---|
exit (出口) |
ex(外に)+ it(行く) 「外に行く」から「出口」の意味に |
extension (拡張、エクステ=付け毛) |
ex(外に)+ tension(延ばすこと) 「外に延ばす」で「拡張」や「エクステ(付け毛)」の意味に |
日本でもよく見かける、「EXIT(イグジット)」は「外に出る」から「出口」という意味になっていたんですね。
まつ毛や髪の毛などの「エクステ」は「extension」(外に延ばすもの)から来ています。
こんなふうに「言葉の成り立ち」がわかると「なるほど!」と覚えやすくなりますね!
続いて次項では、「in」と「ex」で始まる単語の例をさらに見ていきましょう。
「in」「ex」で始まる単語の例
では、「in」「ex」で始まる単語は、ほかにどんなものがあるのでしょうか。
セットで覚えるのがオススメの単語を3組ご紹介します。
「inspect」と「expect」
まず紹介するのは、「inspect」と「expect」です。
この単語の意味は次のとおりです。
inspect | 検査する |
---|---|
expect | 期待する |
なぜこのような意味になるのでしょうか。
「spect」は「見る」の意味
「inspect」「expect」の「spect」は、「見る」という意味なんです。
念のために上の図解の説明をしておくと、「 p 」が目を隠す遮眼子になっていて、「 e 」が視力検査をしている目です。
「 C 」が左や右を向いている印になっていて、見ているイメージ。
語源「spect」の意味
見る
「inspect」の成り立ち
「inspect」は、次のような理屈で「検査する」という意味になります。
in+spect
inspect
中を見る
検査する
「中を(詳しく)見る」のが「検査する」イメージとピッタリですね。
「expect」の成り立ち
「inspect」の「in(中に)」を、反対の意味である「ex(外に)」にした「expect(期待する)」を見てみましょう。
この単語も「ex(外に)」+「spect(見る)」で成り立っています。
ex+spect
exspect
外を見る(他の人を見る)
期待する
たとえば雨の日。外を見ながら「天気、よくならないかなあ」と期待しているシーンを想像しましょう。
もしくは、「外」を「他の人」と捉えると、「期待する」イメージがつかみやすいかもしれません。
ちなみに、「expect」は「ex + spect」なのですが、「ex」の最後の音と「spect」の最初の音は同じ [ s ] の発音なので、「 s 」が1つ省略され「ex s pect」になっています。
語源混同やスペルミスも防げる
わたしはこの方法で「expect」を覚えてから、「except(〜を除いて)」と混同することがなくなりました!
この2つって似ていませんか?
似ている2つの単語
- expect(期待する)
- except(〜を除いて)
語源で英単語を覚えると、混同やスペルミスも防げるということです!
「import」と「export」
今度は「import」と「export」という2つの単語を見てみましょう。
この単語の意味は次のとおりです。
import | 輸入する、データを取り込む |
---|---|
export | 輸出する、データなどを書き出す |
なぜこのような意味になるのでしょうか。
「port」は「運ぶ」の意味
まず、「import」「export」の「port」は、「運ぶ」という意味です。
上のイラストでは「port」の「 O 」を荷物に見立てて運んでいるイメージです。ちなみに「 T 」は運んでいるのを応援しているだけ(笑)。
語源「port」の意味
運ぶ
「ポーター(荷物を運ぶ人)」ということばもありますよね。
「import」の成り立ち
「import」は、次のように「輸入する」という意味になります。
in+port
inmport
中に運ぶ
輸入する、データなどを取り込む
国の中に運ぶと「輸入する」、パソコンの中に運ぶと「取り込む」になるわけですね。
「import」のスペルですが、「inport」ではなく「import」になっています。
唇を使って発音する [ b ] の発音、 [ p ] の発音、 [ m ] の発音の前に来る「 n 」は、基本的には「 m 」になるというルールがあるからです。
詳しくは英語で「天ぷら」を「tempura」と書く理由 をご覧ください。
「export」の成り立ち
今度は、「export」の成り立ちを見てみましょう。
「in(中に)」の反対に、「ex(外に)」に運ぶから「export」。「export」は「import」の反対の意味なので理解しやすいですね!
ex+port
export
外に運ぶ
輸出する、データなどを書き出す
パソコンをお使いなら、「インポート」と「エクスポート」は聞いたことがあるかもしれません。
「impress」と「express」
最後の例は、「impress」と「express」です。
この単語の意味は次のとおりです。
impress | 印象づける |
---|---|
express | 表現する |
なぜこのような意味になるのでしょうか。
「press」は「押す」の意味
まず、「impress」「express」の「press」は、「押す」という意味です。
上の図解のようにギューっと押して圧力をかけているイメージが「press」にはあります。
語源「press」の意味
押す
日本語でも、工場などで型に圧をかけて加工することを「プレス加工」と呼びますよね。
「圧力」という意味を持つ「プレッシャー(pressure)」も同じく「press(押す)」から来ていますよ。
「impress」の成り立ち
「impress」は、次のような成り立ちから「印象づける」という意味になります。
in+press
inmpress
中を押す(心の中に影響を与える)
印象づける
「中」というのは「心の中」のことです。「心の中を押す」→「心の中に影響を与える」と考えると、「印象づける」に結びつきますね。
そのイメージをイラストにしたのがこちらです。
「express」の成り立ち
そして、「ex(外に)」と「press(押す)」が合体した「express」は次のような成り立ちです。
ex+press
express
外を押す(外に影響を与える)
表現する
こちらの「外」は自分以外の「外」の世界と捉えるとイメージしやすいでしょう。
どっちでもいいですが、ウサギさんの服には「豚野郎」って書いています。たしかにダサいですね……。
もしかすると、「impression(印象)」「expression(表現)」のほうがなじみがあるかもしれません。
これらは「impress(印象づける)」と「express(表現する)」の語末に「ion」がくっつくことで名詞化しています。
まとめ
この記事では、「in」と「ex」で覚えられる英単語をご紹介しました。
「in(中に)」や「ex(外に)」で始まる英単語は、ほかにも数え切れないぐらいあります。
今度、教科書とかを見るときは探してみてくださいね。
語源を学習すると、英単語の見方が変わって、楽しくなってきますよ!
次はこちらの記事を読んでいくと効果的です。
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