英語の句動詞とは?

サッシ

執筆者

WEBライター。旅をしながらブログを書いて生活。塾で英語を約20年教えた経験あり。早稲田大学 教育学部卒業。→ サッシについてはこちら

英語で「出ていけ!」を1単語で何と言うかご存じでしょうか?

じつは「Get out !」としか言いようがないんです。……そう。1語で言うのではなく、「get + out」という2語以上で伝えるのが自然なんです!

今回は、このようにネイティブが日常会話で多く使う2語を組み合わせた動詞句動詞」について詳しく紹介しますね。

英語の句動詞について

まずはそもそも、英語の句動詞ってなに?というところからお話しします。

英語の句動詞とは

では、句動詞の意味や形を見てみましょう。

英語における「句動詞(Phrasal Verb)」とは以下の意味ですよ。

英語の句動詞とは?
「動詞+他の単語」で1つの動詞となる表現

例えば「get」と「on」で「get on(〜に乗る)」などです。

「get(取る)」+「on(〜の上に)」=句動詞「get on(乗る)」
get(取る)」+「on(〜の上に)」=句動詞「get on(乗る)」

「句動詞」の「句」という言葉は「2語以上の言葉のかたまり」という意味です。

サッシ

そのため、句動詞は「2語以上で作る動詞」ということですね。

句と節について詳しくはこちらをどうぞ。

英語の句動詞の形

句動詞の形は、動詞前置詞、もしくは副詞になりますよ。

句動詞の形

動詞+前置詞か副詞

例: get on(〜に乗る)=動詞「get」+ 前置詞「on」

例えば先ほど紹介した「get on(乗る)」は動詞の「get」に前置詞の「on」がくっついています。

サッシ

副詞を使った句動詞では「look back(振り返る)」などがありますね。

このように「「動詞」と「前置詞(もしくは副詞)」がセットになっている形が句動詞」と思ってもらえればOKです!

句動詞とイディオムの違い

英語を学んでいると「イディオム(idiom)」という言葉に出合ったことがあるでしょう。

「句動詞は2語以上で作る動詞」と聞くと以下のような疑問が浮かぶかもしれません。

ウサギ

あれ、句動詞とイディオムって同じ?何か違いはあるの?

結論から言えば「いちおう別モノ」です。

イディオム=慣用句

イディオムは日本語では「慣用句」に当たるもので、「直訳とは違う意味を持つフレーズ」のような表現を差します。

たとえば日本語の慣用句である「猫の手も借りたい」ですが、本当に猫の手がほしいという意味ではないですよね? 英語の「イディオム」もまったく同じです。

break the ice」というイディオムは、直訳すれば「氷を溶かす」です。

でも実際は「緊張をほぐす」という意味で使われます。

【結論】句動詞とイディオムの違いは気にしなくてもいい

でも、英語を学ぶうえで「句動詞とイディオムの違い」なんて特に意識する必要はありません。

こだわるのは学者・講師や文法オタクくらいです(笑)

イディオムも句動詞も広い意味で「熟語」に含まれるので、どちらもただ熟語・フレーズと思っておけば大丈夫ですよ!

サッシ

ちなみに英語圏では「Idioms and Phrasal Verbs
」なんて有名な本も出版されたりしています。(ぜんぶ英語ですが、Amazonで買えますよ)


句動詞を覚えるメリット

ずばり句動詞を覚えると以下の2つのメリットがありますよ!

句動詞を覚えるメリット

  1. もともとの動詞単体では出せない表現ができる
  2. 句動詞は会話でよく使われる

もともとの動詞単体では出せない表現ができる

まず、1つ目のメリットとして「もともとの動詞単体では出せない表現ができる」という点です。

例えば「give」という動詞には「あげる・与える」という意味しかありませんよね?

でも、前置詞の「in」や「up」をくっつけることで以下のような表現になるんです!

「give」の句動詞の例

オオカミ

(対戦ゲームをしていて)
Hey, do you give in ?
(ヘイヘイ! もう降参するかい!?)

ウサギ

No! I'll never give up !
(いや! ぜったいあきらめない!)

そう。「give」という動詞から「降参する(give in)」や「あきらめる(give up)」という意味に広げられるんですよ。

「give」+ 前置詞
give in 降参する
give up あきらめる

句動詞は会話でよく使われる

もう1つのメリットとしては「句動詞は会話では、むしろ単語よりよく使う」という点が挙げられます。

例えば「延期する」と言いたいときは基本的に「put off」という句動詞を使います。

いちおう「postpone」という単語は存在するのですが、日常会話では圧倒的に動詞句の「put off」が使われるんですよ。

「延期する」の表現
put off 句動詞のこちらが日常会話で圧倒的によく使われる
postpone 単語であるこちらは会話ではあまり使わない。会話だと丁寧すぎる印象。
サッシ

動詞句を知らないと「単語はぜんぶ知っているのに……何を言っているのかサッパリわからん!」となってしまう可能性が高いんです!


句動詞を覚えるコツ

動詞句を覚えるコツとしては「まとめて1つの言葉としてとらえる」ということです。

例えば英語で「おはよう」の「Good morning」をイメージしてみてください。

2単語に分解して「グッド+モーニング」ではなく、まとめて「グッドモーニング」って覚えてますよね? まさにあの感覚です!

サッシ

「グッド(良い)」+「モーニング(朝)」というふうに2つの単語として意識して覚えませんよね!

「断る」という意味の「turn down」なら、「ターン+ダウン」ではなく「ターンダウン」という1つの動詞としてとらえたほうが身に着きやすいですよ♪


句動詞の注意点

では、句動詞を使うときの注意点も紹介しておきますね。

こちらの4つのことをぜひ知っておいてください。

句動詞の注意点

  1. 「目的語の位置」のルール
  2. 分けられない句動詞もある
  3. 句動詞には「他動詞」も「自動詞」もある
  4. 3語の句動詞もある

それぞれもう少し説明しますね。

「目的語の位置」のルール

まず第一に知っておいてほしい句動詞の注意点、それは……「目的語の位置」です!

「誰が何をどうする」の「何を」に当たる言葉を「目的語」と呼びます。

目的語があるときは、文章の中での順番・位置に気を付けてください

目的語を句動詞の中にはさむ

例えば「turn off(〜を消す)」という句動詞を使って、以下のように言うことができます。

オオカミ

Turn the phone off.
(スマホを消してよ)

目的語を句動詞のあとに付けてもOK

でも、これだけじゃないんです。

ちょっと順番を変えて以下のように言うことも可能です。

オオカミ

Turn off the phone.
(スマホを消してよ)

違いがわかりましたか?

「the phone(スマホ)」という言葉が、前者は「turn off」という動詞句の間に入り、後者は後ろに置かれているんです!

これはどちらが正解・優れているということはなく、人それぞれの好みで使って大丈夫ですよ。

【注意】目的語が代名詞のときは句動詞の間に!

でも、目的語が「代名詞」のときは要注意です。

目的語がスマホなどの「名詞」ではなく彼・彼女・それなどの「代名詞」のときは、必ず以下の形になります。

目的語が代名詞のときの動詞句の順番

動詞代名詞前置詞

例えば名詞「your shoes」を使って「(あなたの)靴を脱いで」と言うときは下記のどちらでもOKでした。

目的語が名詞の例

  • Take off your shoes.
  • Take your shoes off.

代名詞で「それ脱いで」と言うなら「take it off」だけです。

目的語が代名詞の例

  • Take off it.
  • Take it off.

動詞句の後ろに代名詞を置いて「take off it」とは言えません。

サッシ

代名詞のときは句動詞の間にはさむ」と覚えておきましょう!


分けられない句動詞もある

上で句動詞の間に目的語(名詞の場合のみ)をはさむことができると書きました。

ところが、さっそく例外があります。

じつは句動詞の中には分けられない(=間に目的語を入れられない)ものもあるんです。

例えば「call on(〜を訪れる)」という句動詞は、目的語が代名詞のときでも「call」と「on」の間に入れることはできません

句動詞「call on」の例

  • call him on
  • call on him

他にもこんな句動詞が間に目的語を置けませんよ。

間に目的語を置けない句動詞
run across 〜にばったり出会う
look after 〜の面倒を見る

句動詞には「他動詞」も「自動詞」もある

そして、句動詞には他動詞(Vt: Transitive Verb)も自動詞(Vi: Intransitive Verb)も存在します。

サッシ

……といきなり言ってもわかりづらいですよね(笑)。

動詞の後ろに「〜を」や「〜に」という目的語が必要なのが「他動詞」で、要らないのが「自動詞」です。

この記事でここまで紹介してきたのは全て「他動詞」として機能する句動詞ですが、以下のものは目的語を必要としない「自動詞」の意味の句動詞ですよ。

自動詞として機能する句動詞の例
break down 壊れる
come to 意識を取り戻す
get up 起きる

例えば「break down(壊れる)」は「The car will break down.(その車はもうすぐ壊れるでしょう)」のように使います。

「〜を」の目的語を必要としないですよね!

英語の自動詞・他動詞の違いについては別記事で詳しくまとめています。そちらもぜひ読んでみてくださいね。

3語の句動詞もある

あとは「3語の句動詞もある」ということです。

句動詞は2語とは限らず、3語のものも多く存在するんですよ。

例えば以下の例文の「keep up with(〜についていく)」や「run out of(〜が足りなくなる)」などがそうです。

3語の句動詞の例

ウサギ

(車に乗って追いかけていて)
We can't keep up with the car any more.
(もうこれ以上あの車についていくのはムリだ)

オオカミ

Why?
(なんで!?)

ウサギ

We have run out of gas !
(ガス欠なんだ!)

ちなみに有名どころだと、飛行機や電車のアナウンスでもおなじみの「look forward to(〜を楽しみにしています)」も句動詞なんですよ!

4語以上は……たぶん無いです。あったら教えてくださいね(笑)。


代表的な句動詞一覧

さいごに、代表的な句動詞30個を一覧にして並べておきますね。

どれも実際の英会話でネイティブがよく使うフレーズですので、覚えたらそのまま日常会話で使えますよ!

代表的な句動詞一覧
blow up 爆発する
bring up 育てる
call off 中止する
call on (人を)訪れる
catch up with 追いつく
fill out 記入する
get along with 仲良くやる
get over 乗り越える
find out 見つける
hand in 提出する
hold up 遅れる
keep up with ついていく
leave out 省く
look after 世話する
look forward to 楽しみにする
look over 調べる
look up to 尊敬する
make out 理解する
put off 延期する
put on 服を着る
put up with 我慢する
run across たまたま出会う
run out of 不足する
take after 似ている
take care of 面倒を見る
throw away 捨てる
try on 試着する
turn down 断る
turn up ボリュームを上げる
turn off スイッチを切る

まとめ

文法用語である「句動詞」についてくわしく紹介しました。

最後に要点をまとめると、このようになります。

まとめ

  • 句動詞は「2語以上で作る動詞」
  • 動詞+前置詞や副詞
  • 会話ではむしろ単語よりよく使う
  • 目的語が代名詞のときは順番に注意

英会話の中で句動詞を使えるようになると、自然な会話になります。

海外の映画やドラマの中でも頻繁に聞くと思うので、耳にしたらチェックしてみてくださいね。

「句動詞」と似た存在に「前置詞句」というものもあります。くわしくは下記ページをご覧ください。

海外留学で英語で学ぼう!

カナダ留学コンパス

なんか、この記事すごく気に入ったんだけどほかにオススメある?

だったら、「動詞のカテゴリ」を要チェックだね♪

英語が苦手なあの人に教えてあげよう♪
ABOUT US
中村サッシ
サッシ
塾講師として英語・国語の指導を約20年してきた経験のある「英語の文法オタク」。早稲田大学 教育学部卒。小学生の時から英語を学んでいた経験もあり。「毎日が生まれたて」という月間に100万回以上読まれる人気ブログも運営。>>サッシについて詳しくはこちら
こちらも合わせていかがですか?