「Pokémon」の「é」の上にあるチョンって何??

「Pokemon GO」の「チョン」はなに?
ヨス

執筆者

アメリカ留学で言語に興味を持ち、日本語教師の資格をとる。メディアなど掲載多数。著書は2冊。一般的には学ばない「日本語の音声」を学ぶことで英語の発音を習得し、独自の英語の発音習得メソッドを持つ。→ ヨスについてはこちら

世界で話題になっている位置ゲーこと「ポケモンGO」。

この「ポケモン」を英語表記では「Pokémon GO」って書くことをご存じですか?

この「 e 」の上にある「チョン」は何なんでしょうか?

本記事では、「ポケモンGO」の英語表記にある「 e 」の上の「チョン」について解説します。

「Pokémon」の「 é 」にチョンがある

国外で先に話題になっていた「Pokémon GO(ポケモンGO)」が8年前に日本で解禁になりました。

地球規模で大フィーバーした「Pokémon Go」ですが、この英語表記を見て「アレッ?」と思いませんか?

それは「 é 」の上に付いている「チョン」のことです。

専門的には「アキュート・アクセント」と呼ぶ

このチョンですが、専門的には「アキュート・アクセント( ´ )」と呼びます。

アクセントとして付けるときもあったり、発音の区別のためにつけたりといろんなときに使われます。

では「Pokémon」ではどんな意味なのでしょうか?

実はここでは「エ」と読ませるためにアキュート・アクセントをつけています。

「Pokemon」はなんて読む?

おそらく、日本人の場合は次のように思うのが普通でしょう。

え?「Pokemon」はどう読んでも「ポケモン」でしょ?

ところが、英語圏の人は「Pokemon」と書いても「ポケモン」とは読んでくれません

どのように読むのかというと「ポゥキモン」です。

ポゥキモン!

え? なんで?

「 e 」は英語表記の中でも、頻繁に使われるアルファベットです。

でも、そのほとんどが「あいまい母音」として適当な発音をします(← また別記事で書きます)。

そして「 e 」にアクセントを置いて強く発音するときは「e(エ)」か「i:(イー)」の発音になります。

「エ」と発音してほしいのに「イー」と発音される

傾向としては、語頭(単語の頭)にくる場合は「egg(卵)」「end(終わり)」のように「 e 」を「エ」と読むことが多いです。

「English」みたいに「i(イ)」と発音することもありますが。

逆に語尾(単語の最後)に「 e 」が来るときには「i:(イー)」と読むことが多いです。たとえば……

語尾に「 e 」がつく例

  • Yosuke(ヨウスケ)→ ヨゥスゥキー
  • Chie(チエ)→ チー
  • Karaoke(カラオケ)→ キャラオゥキー

全部、日本語ですが、本来読んでほしい「エ」の発音ではなく「イー」の発音で読まれます。

さらにレアな読み方には「cafe(カフェ=『キャフェイ』のような発音)」のように「 e 」を「ei」と読む例外もありますけどね。

そういえば、20歳のときにアメリカに行ってたんですけど、そのときに『バーチャファイター』ってゲームが流行ってたんですよ。

その中に、「影丸」というキャラがいるんですね。

で、画面では「Kage」という名前で表示されるんですけど、それをアメリカ人の友達は全員「ケイジ」と呼んでいたんです。

これは「マジックE」と呼ばれる現象で通常は語尾に来る「 e 」の発音はしなくなります。

とにかく、単語の最後の「 e 」を「エ」と読むのは英語では激レアというわけです。

「エ」と読んでもらうためには印が必要

というわけで、ふつうに読むと「イー」と読んでしまう部分で、あえて「エ」と読んでもらうには記号が必要になります。

それが「アキュート・アクセント」です。

たとえばわたしの名前の「Yosuke」を「ヨゥスゥキー」ではなく「ヨウスケ」と読んでもらうには「Yosuké」と表記しなければなりません。

「Pokemon」もまったく同じです。この例では語尾ではありませんが、ふつうに読むと「ポゥキモン」と発音するはずです。

わたしもこれが日本語だと知らされてなければ「ポゥキモン」と読んでいたでしょう。もしくは「poke(つっつく)」という単語に引っ張られて、「ポゥクモン(poukmon)」と読むかもしれません。

「なんで?」と言われると説明が難しいのですが、こういう並びのときには「エ」と発音する例がない(もしくは激レア)だからです。

ということで「Pokémon」の「 é 」のチョンは、ふだんの読み方「イー」とは違う「エ」という読み方だよという印でした。これがないと英語圏の人の99%の人は「イー」と読むので。

追記: それでも英語圏の人は「ポゥキモン」と呼ぶ

ちなみに、この「 é 」をつけても英語圏の人で「ポケモン」と呼ぶ人はほぼいません(笑)。

日本語の「ヴ」ぐらい意味がない、どちらかというと一応やっている側面が強いのかなと思います。

日本語で「ヴ」という表記は普通に使われますが、それを「bu」ではなく「vu」と発音する日本人はいません。

むしろ「 v 」を正式な発音で言うと「え??」とコミュニケーションの阻害になりそう。つまり「ヴァイオリン」と書かれてても「バイオリン」と発音するべきなんですね。

「ヴ」の表記は学校で正式にも習わないし、そもそも「 v 」を正しく発音できないし、使い分ける必然性が日本語にはないからです。

英語の「 é 」も同じで、あってもなくても「イー」と発音するのが慣習になってて、正しく「ポケモン」と発音できないことで困らないってことですね(笑)。

まとめ

さて、今回の話ですが、20歳のときになんとなく気づいていました。

だって、アメリカ人の友達は、わたしのことを「ヨウスケ」ではなく「ヨゥスゥキー」とみんながみんな呼びますからね。

もちろんそのときは「アキュート・アクセント」のことを知りませんでした。「ヨゥスゥキーじゃなくてヨウスケだよ!」と口頭で言っていたので、親しい人だけは「ヨウスケ」と呼んでくれていましたが。

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ヨス
アメリカ留学で言語に興味を持ち日本語教師に。その後、自分が「音声学」に猛烈に惹かれることに気づく。一般的には学ばない「日本語の音声」を学ぶことで英語の発音を習得し、独自の英語の発音習得メソッドを持つ。>>ヨスについて詳しくはこちら
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