母音は「あいうえお」だけじゃない?! 母音の音は無数にあるよ!

ヨス

執筆者

アメリカ留学で言語に興味を持ち、日本語教師の資格をとる。メディアなど掲載多数。著書は2冊。一般的には学ばない「日本語の音声」を学ぶことで英語の発音を習得し、独自の英語の発音習得メソッドを持つ。→ ヨスについてはこちら

母音と聞けばパッと思い浮かぶのが日本語の「あいうえお」ですよね?

でも実は母音は5つではないことをご存じでしょうか?

英語の母音もあるから……とかそういうレベルの話ではありません。

じつは母音は無限にあります。本記事では言語の母音は「あいうえお」だけでないことについて紹介します。

母音とは?

言語の音声には「母音(ぼいん)」と「子音(しいん) 」があります。母音ってのは、舌を口の中のどこにも触れず、遮らずに出す音です。日本語でいうと「あいうえお」ですね。

逆に子音は主に舌をフルに使って、喉の奥から来る空気を遮りまくります。

で、例えば上前歯の裏辺りに舌を近づけて息を遮り、空気を摩擦させたような音を出すのが子音の「 s(『さしすせそ』の子音)」です。

では母音についてのお話が始まりますー!

母音の種類

日本語の母音は「あいうえお」の5つです。この「あ」と「い」と「う」と「え」と「お」の違いはなにかというと舌の位置です。

こちらの図を見て下さい。

日本語の母音は「あいうえお」
日本語の母音は「あいうえお」

上の図ですが、口の中を表しています。で、表みたいなやつは舌の位置を表しています。縦軸が舌の高さ、横軸が舌の位置(前後)です。

つまり、「イ」の発音は、舌の位置が口の中の前の方にあって、高さも高く(高いというより上顎に近づける)感じです。 で、「ウ」だと、舌を少し後ろに持って行ったら良いわけです。ほら、やってみるとわかりますよね?

同じ母音「あ」でも言語によって発音が違う

日本語の母音は上の表の5つしかありませんが、この母音の数って言語によって違うんですね。

例えば中国語なら約7個、アメリカ英語は約16個(数え方によって数は変わるので正確には言えません)です。

日本語でも琉球語なら約3個だし、奈良時代の日本語では母音が8個あったとも言われています。

で、厄介なことに言語によって「あ」という発音でも微妙に違うわけです。英語の「あ」も中国語の「あ」も。

ほら、外国の人が日本語を話していて、「あ・い・う・え・お」を言ってもらっても微妙になまって聞こえますよね?

それは自分の言語の「あ」の発音に引っ張られているためです。

もちろん日本人が外国語の「あ」を言っても同じようになまって聞こえます。

同じ日本語でも「本来の音声」としては5つ以上の母音が!?

さらに言うと、日本語を話していても、その時の話し方によって母音の音声が変わったりします。ええ。音声という意味で言えば。

例えば、ちょっとすねた風に「あ・い・う・え・お」と言ってみてください。たぶん、音声が違いますよね?

ん? 何かピンと来ないぞ?!って方、私の言った音声データも聞いてみてください。

まず、普通の「あ・い・う・え・お」を言っています。その後にすねた風に「あ・い・う・え・お」と言っています。

これ、厳密に言うと母音が変わっているんです。でもそれを日本人が聞くときには、日本語の「あ・い・う・え・お」に置き換えて聞くため、違う母音という意識を持つことはありません

つまり、上の例のような厳密には違う母音を聞いても、「あ、この人すねてるな」というその人の感情の違いに置き換えて、「すねた人が『あ・い・う・え・お』と言っている」と解釈して聞くんですね。

こちらの違いの秘密は母音の究極の秘密は「円唇」「非円唇」という記事が必読です。

舌の位置を微妙に変えていくと母音が変わる

さて、もう一度さっきの表みたいなやつを出します。口の中の舌の位置を示したマップみたいなやつですね。

母音いろいろ
母音いろいろ

なんかいろいろ見たことのない記号がありますが、これが国際音声記号(IPA: International Phonetic Alphabet)と呼ばれる、わたしの大好きな記号たちです。

うへへ、たまんねぇ(← 変態)。

そのまんまですが、音声を表す記号です。ほら「 θ (TH の発音)」とか、英語の辞書で見たことあると思います。あれの仲間ですよ。

舌を前の方に配置して、上の方に持っていった音が「 i(い)」でしたね。で、その舌を少し下に下げると「 e(え)」になります。で、もっと下げると「ε(この発音記号は『 e 』と『 a 』のちょうど中間の音声)です。ちなみに英語の「apple」の「あ」はこの「ε」と「 a(あ)」 の間に来ます。ややこしいですねー(笑)。

今、「 a 」を「 a(あ)」という風に日本語でカッコの中に書きましたが「 a = あ」ではないことにご注意ください。

日本語の母音は数ある母音の一部
日本語の母音は数ある母音の一部

ほら、日本語の「あ」って結構「 a 」から後ろに行ったところにありますよね?

こんな感じで舌の位置をずらすと違う母音にいとも簡単に変化するんですね。「 i 」と「 e 」の間にも無数に母音があるし、つまり母音って無数にあります。詳しくはWikipediaの「母音」のページにもっと詳しい表があるので、それを見てください。

参考: 母音 - Wikipedia

まとめ

実は私は、この「母音が無限にある」という事実を日本語教師になるために勉強していたときに知りました。

そして、この事実を知って「ほんげー!! こりゃすげー!」と感動したんですね。

それと同時に母音のからくりが分かったため、英語の母音の発音がさらに良くなりました。母音の音は無数にある!!ってこと覚えておいてくださいね♪

あと、母音の究極の秘密について書いたこちらの記事も必見です!

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なんか、この記事すごく気に入ったんだけどほかにオススメある?

だったら、「発音記号のカテゴリ」を要チェックだね♪

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アメリカ留学で言語に興味を持ち日本語教師に。その後、自分が「音声学」に猛烈に惹かれることに気づく。一般的には学ばない「日本語の音声」を学ぶことで英語の発音を習得し、独自の英語の発音習得メソッドを持つ。>>ヨスについて詳しくはこちら
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