中学校で習う英文法は、かなり重要です。
「中学で習う内容をマスターすれば日常英会話の9割はOK」とも言われているほど、いろいろなことを表現できますから。
とはいえ、「英語の文法」と聞くと、拒否反応を覚えてしまう人もいるのではないでしょうか?
文字ばかりの文法書を開いてひたすら読む、修行のようなイメージがあるから。
そんな人にオススメなのが、この記事で紹介する書籍『1回読んだら忘れない中学英語』です。
「文法書のニオイがしない文法書」で、中学英語の文法に挫折した人に特にオススメですよ。
著者の久保 聖一 氏について
まずは、『1回読んだら忘れない中学英語』の著者である久保 聖一 氏についてご紹介しましょう。
久保氏は、大学で言語学を専攻。
大学を卒業したあとは、次のような形で、英語教育に30年以上も携わっていらっしゃいます。
久保氏の英語教育との関わり
そして、次のような実績もあるんだとか。
その中で小学生から英語をやり直したい大人まで多くの「英語嫌い」を「英語好き」に変えてきました。
久保聖一著『1回読んだら忘れない中学英語』(2019年 KADOKAWA)
「嫌い」を「好き」に変えることは、並大抵のことでありません。
わたしもインドネシアで日本語教師をしているのですが、日本語がニガテな学生のモチベーションに悩んでいますし……。
久保氏は経験が長い(30年)のはもちろん、実績もあるということです。
そんな久保氏が書いた『1回読んだら忘れない中学英語』は、どんな本なのでしょうか。
『1回読んだら忘れない中学英語』の特徴
久保氏は、本書『1回読んだら忘れない中学英語』について次のように言っています(太字はサトによる)。
最初に断言すると、他の英語学習書や教科書とは「一線を画す」内容です。暗記を超えて、「根本の概念から理解」できる「新しい英語の見方」をお伝えしていきます。
久保聖一著『1回読んだら忘れない中学英語』(2019年 KADOKAWA)
「新しい英語の見方」って、なんかワクワクしませんか?
経験も実績も抜群の久保氏が言うのなら、なおさら期待も膨らみますよね!
ちなみに、本書は13章で構成されていて、次のような内容になっています。
タイトル | 主な内容 |
---|---|
時制〜現在形は「石」、過去形は「一匹狼」〜 | 時制 |
英語は「江戸っ子」語順 | 語順 |
絶対王者! 同士は「社長」 | 動詞 |
助動詞〜mustは「熱血」、mayは「上から」〜 | 助動詞 |
数にうるさい名詞 | 名詞 |
冠詞・形容詞〜aは「区切り」、theは「例のアレ」〜 | 冠詞・形容詞 |
前置詞は「幹」と「枝葉」 | 前置詞 |
「桃太郎とイヌ」の接続詞 | 接続詞 |
不定詞・動名詞・分詞は「3兄弟」 | 不定詞・動名詞・分詞 |
否定文と疑問文は3種類だけ! | 否定文・疑問文 |
奥深い比較の世界 | 比較 |
関係代名詞も江戸っ子 | 関係代名詞 |
「ワケあり」受動態など | 受動態(受身形) |
タイトルからして、個性的ですよね。「現在形は『石』、過去形は『一匹狼』」とか。
では、本書には具体的にどんな特徴があるのでしょうか。
わたしが思うに、本書の特徴は次の3点です。
本書の特徴
- 気軽に楽しく読める
- 文法がイメージでわかる
- 解説のことばが考え抜かれていて、わかりやすい
順に見ていきましょう。
気軽に楽しく読める
まず、気軽に楽しく読める点。
本書は、ひとことで言えば「文法書」です。
先ほどの表からもおわかりいただけると思います。
文法書といえば小さい文字だらけ……というイメージかもしれませんが、本書はそんなイメージにはまったく当てはまりません。
というのも、次のような工夫があるから。
本書の工夫
- イラストがふんだんに使われている
- 文字だけのページも、太字や下線などで読みやすくしている
この工夫について、少し詳しく見てみましょう。
【工夫1】イラストがふんだんに使われている
まず、本書ではイラストがふんだんに使われています。
イラストについては次項で詳しく説明しますが、次の画像のようなイメージです。
久保聖一著『1回読んだら忘れない中学英語』(2019年 KADOKAWA)
こんなイラストがあれば、楽しく学習できそうですよね。
数えてみたところ、
全264ページ中、141ページにイラストがありました。
半分以上のページにイラストがある計算になります。
こんな文法書、なかなかないですよね!
【工夫2】太字や下線などで読みやすくしている
また、文字だけのページも、たとえば次の画像のようになっています。
久保聖一著『1回読んだら忘れない中学英語』(2019年 KADOKAWA)
このページには、次のような工夫が見られますね。
ページに見られる工夫
「読む」ハードルを、できるだけ低くしてくれているのがわかります。
文法がイメージでわかる
特徴の2点目は、文法がイメージでわかる点です。
たとえば、文法の説明に、次のようなキャラクターが登場するんですよ。
久保聖一著『1回読んだら忘れない中学英語』(2019年 KADOKAWA)
書き出してみますね。
キャラクターの説明
これ、おもしろいですよね!
もちろん、おもしろいだけでなく、それぞれのキャラクターは文法の意味や機能、ニュアンスにピッタリなんですよ。
例として、次の2つを見てみましょう。
キャラクターの例
- 「現在形」の「頑固な石」
- 「must」の「熱血スポーツマン」
【例1】「現在形」の「頑固な石」
たとえば、「現在形」の「頑固な石」のキャラクター。
なぜ「石」のキャラクターなのかというと、次のような理由です。
現在形は、今の一時的なことではなく「永続的」「普遍的(いつでもどこでも当てはまる)」なことを伝える→わかりやすくいうと、「いつものこと」「普段のこと」を伝える
久保聖一著『1回読んだら忘れない中学英語』(2019年 KADOKAWA)
石の「頑固で変わらない」イメージは、まさに現在形にピッタリですよね!
【例2】「must」の「熱血スポーツマン」
それから、「must」の「熱血スポーツマン」。
「熱血スポーツマン」だけに、やる気マンマンです。
この「must」と「have to」は「〜しなければならない」で同じ意味、と習ったかもしれませんが、実は違うものなんですよ。
本書では、「must」と「have to」の違いを、次のようなイラストで見事に表してくれています。
久保聖一著『1回読んだら忘れない中学英語』(2019年 KADOKAWA)
「must」は熱血キャラなので自わから進んでやってますね。
それに対して「have to」は「いやいや」練習しています。
「〜なければならない」と言っても、こんな違いがあったんですね!
他にも、本書では個性豊かなキャラクターが多数登場します。
気になるなら、ぜひ本書をお読みください!
解説のことばがわかりやすい
特徴の3点目は、解説のことばが考え抜かれていて、わかりやすい点です。
イラストは、あくまでイメージをつかみやすくするもの。
イラストがおもしろくても、解説がわかりにくければ意味がありませんよね。
その点、本書の解説は、読み手のことをとことん考えて選んでいるのが伝わってきます。
たとえば、現在形。
先ほど引用した部分を、もう一度見てみましょう(太字はサトによる)。
現在形は、今の一時的なことではなく「永続的」「普遍的(いつでもどこでも当てはまる)」なことを伝える→わかりやすくいうと、「いつものこと」「普段のこと」を伝える
久保聖一著『1回読んだら忘れない中学英語』(2019年 KADOKAWA)
ここでは、「普遍的」を言い換えたり、「わかりやすくいうと」と、噛みくだいて説明してくれています。
さらに、現在形の使い方のひとつについては、こんな解説もあるんですよ(太字はサトによる)。
たとえば「来年のお正月は日曜日」とか(中略)「未来のこと」だけど、その人の力ではどうにも変えられないことは、現在形にするのです。誰にも動かせない「固定」されたことだから現在形ですね!
久保聖一著『1回読んだら忘れない中学英語』(2019年 KADOKAWA)
ものすごくシンプルなことばで説明してくれていますよね。
本書のターゲットは中学生から大人までなんですが、読み手のことを真剣に考えて、ことばを厳選しているのが感じられます。
中学生にわかりやすいものは、大人にもわかりやすいですからね。
イラストと解説の相乗効果で、理解が進むことは間違いありません!
引用はしませんでしたが、「来年のお正月は日曜日」などの英語の例文も、もちろんあります。
まとめ
この記事では、『1回読んだら忘れない中学英語』という本をご紹介しました。
特徴は次のとおりで、めちゃくちゃいい本です。今の中学生がうらやましい……。
本書の特徴
- 気軽に楽しく読める
- 文法がイメージでわかる
- 解説のことばが考え抜かれていて、わかりやすい
「文法書のニオイがしない文法書」とも言える本書、ぜひお子さんやご自身の英語学習にご活用ください!
英語の勉強にオススメの書籍はほかにもいろいろあります。
次の記事にわかりやすくまとめたので、ぜひご参考に!!