英語を見聞きしていると、単語の語尾に「 s 」が付く場合がよくありますよね?
たとえば「apple」が複数形になって「apples」になるときなど!
今回は英単語に「 s 」が付く場合の「スペル・表記のルール」を分かりやすく紹介しますね。
英語で「s」が付くのはどんなとき?
まず、英単語の語尾に「 s 」が付くのはどういうときか?……についてかんたんに紹介しますね。
それはズバリ以下の2つの場合です!
名詞の複数形
まずは、名詞が複数形になったときです。
名詞の複数形とは?
=名詞が2つ以上になったとき、その名詞の語尾に「 s 」が付く変化のこと
たとえば「carrot(ニンジン)」が2個以上あるとき「carrots」になるような変化を指します。
ニンジンが1個のときはこんなふうに言います。
I have a carrot.
(ニンジンを1個持っているよ)
ニンジンが2個のときはこんなふうに言います。
I have 2 carrots.
(ニンジンを2個持っているよ)
くわしくは英語の複数形ってなに?という記事をどうぞ!
動詞の「三単現」
そして動詞の「三単現」のときにも、単語の語尾に「 s 」が付きます。
三単現とは?
=「三人称単数」の主語で始まる文章で、動詞の時制が「現在」である状態
たとえば主語が「she」の場合、三人称・単数・現在なので、それに続く動詞「like」はlikesに変化します。
主語だけが異なる以下の例文で比べてみてください。
I play online games everyday.
(ボクは毎日、オンラインゲームをします)
She plays online games everyday.
(彼女は毎日、オンラインゲームをします)
ね? 動詞の「play」に「 s 」が付きましたよね。
というわけで、「名詞の複数形」と「動詞の『三単現』」という2つの場合に、英語では「 s 」が語尾に付くと覚えておいてください!
「s」を付けるときのスペル・表記のルール
では、ここからは「s」を付けるパターンを具体的に見ていきましょう。
語尾に「 s 」を付けると言っても、実際には以下の4つのパターンがあるんです!
それぞれ順番に紹介していきますね。
最後の「その他」以外、名詞の複数形にも動詞の「三単現」にも共通のルールです!
「s」が付く場合
まずは、ストレートに語尾に「 s 」だけが付くパターン。
基本的には、多くの単語はシンプルに語尾に「 s 」を付けるだけですよ♪
「pen(ペン)」が「pens」になるという具合ですね。ただそれだけで大丈夫です!
いくつかの例を以下に挙げておきますね。
名詞の例
- pen(ペン)→ pens
- apple(りんご)→ apples
動詞の例
- walk(歩く)→ walks
- love(愛する)→ loves
「es」が付く場合
通常は語尾に「 s 」が付けばオッケーなのですが、中にはなんと「es」を付けないとダメな場合もあります。
ややこしいですねー(笑)。
なぜ「es」になるのかというと、「イズ [ iz ]」という発音で読みたいからです。
語尾が「s(z)」で終わる単語
まずは、語尾が「 s 」「 z 」で終わる単語です。
例えば「bus(バス)」という単語に「 s 」を付けてみましょう。
「bus + s」にした例
bus(バス)busses
なんと!「 s 」が「es」になって「buses」になりました!
これはなぜでしょうか? じつは理由はかんたんなのです。
だって!「バッスス [ bʌ́ss ]」ってめちゃくちゃ読みにくいじゃないですかっ!
そもそも、英語で語尾に「 ss 」の表記が来るときは [ s ] の発音になるというルールがあります。
たとえば、「glass(ガラス)」なんか、「ss」で終わっていますが、発音するときは「 s 」×1個分の発音しかしません。
「buss」と表記したときの発音は「bus」と同じになるので、音声では複数形になっていることが表現できないわけです。
そこで、語尾に「 s 」の発音が来て、さらに「 s 」が続くときは「 s 」の前に母音の「 e 」を挟み込み「 es 」にするんです。
こうすることで、「バッスィーズ [ bʌ́siz ]」のように発音でき、急激に読みやすくなります。
ちなみに、「 s 」が濁った音(濁音)である「 z 」も同じ理由で「 z 」の後ろに「 es 」が来ます。
語尾の「z」の後ろは「es」
buzz(ブンブン飛ぶ)→ buzzses
こうすることで、「バズズ」ではなく「バズィーズ [ bʌ́ziz ]」と発音できます!
「s (z)+ es」にした例
- buses
- buzzes
このように、「 s( z )」という発音が語尾に来るときには「es」になります。
というか「kiss」なんかすでに「 s 」が2つ付いているので「kisss」というふうに「 s 」が3つも重なったら字面的にもおかしいです(笑)
名詞の例
- bus(バス)→ buses
- class(クラス)→ classes
動詞の例
- kiss(キスする)→ kisses
- toss(ぽいっと投げる)→ tosses
- buzz(ブンブン飛ぶ)→ buzzes
語尾が「x」で終わる単語
さらに「es」の例を挙げると、語尾が「 x 」で終わるときもです。
語尾が「x」で終わる例
box(箱)→ boxses
これも「語尾に『 s 』が来る例」と同じ理由です。
「 x 」は文字は違いますが、発音するときには「クス [ ks ]」という音になります。
つまり、字面は違えど、発音は [ s ] で終わるんです!
ということで、「boxs」って書いたら「ボックスス [ bɑ́kss ]」になって、発音しにくくなってしまいます。
「 s 」の前に母音をはさみ、「ボックスィーズ [ bɑ́ksiz ]」のように発音したいがために「es」と書くんですね。
名詞の例
- box(箱)→ boxes
- fox(キツネ)→ foxes
動詞の例
- fax(FAXを送る)→ faxes
- mix(混ざる)→ mixes
語尾が「sh 」「ch」で終わる単語
もう1つ例を挙げると、最後が「sh」もしくは「ch」で終わるパターンもそうです。
語尾が「sh」「ch」の例
- dish(皿)→ dish
ses - watch(腕時計)→ watch
ses
これはなぜでしょうか?
「sh」の場合は [ ʃ ] という発音になります。
カタカナだと「シュ」ですが、これは「 s 」と近い発音なので、「 shs(シュス)」と発音するのが難しいんですね。
「ch」の方も同じです。[ tʃ ] という「チ」のような音で破擦音という種類の発音です。
破擦音は音声の中でもエネルギーを使う音なので、「ch」の直後に「 s 」を持ってくるのはしんどいんです。
「sh」も「ch」も、「 s 」が直接続くと読みづらいので、母音を挟んで「〜イズ」のような発音にしたいがために「es」になるんです!
名詞の例
- dish(皿)→ dishes
- watch(腕時計)→ watches
動詞の例
- wash(洗う)→ washes
- teach(教える)→ teaches
語尾が「o」で終わる単語
語尾が「 o 」になる単語も「 es 」になるのですが、これはちょっと注意が必要です。
こちらをご覧ください。
語尾が「o」の場合
- tomato(トマト)→ tomato
ses - piano(ピアノ)→ pianos
なんと!「es」になるときと、ふつうに「 s 」でOKのときがあるんです!
「s」になる例 (「o」の前が母音) |
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「es」になる例 (「o」の前が子音) |
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ルールとして、「 o 」の前が母音のときは「 s 」が付き、「 o 」の前が子音のときにだけ「 es 」が付きます。
ただし、やっかいなことに、このルールには例外があるんですね……。
こちらは「 o 」の前が子音ですが「 s 」が付きます。
例外で「s」になるもの
- pianos(ピアノ)
- photos(写真)
そんなに多くないので、覚えれば大丈夫ですね!
最後に、「 es 」が付くものをまとめてみます。
語尾に「es」が付くもの
- sで終わる単語
focus(ピントを合わせる), glass(グラス) - zで終わる単語
buzz(ブンブン飛ぶ), quiz(クイズ) - x [ ks ]で終わる単語
fix(固定する), box(箱) - sh [ ʃ ]で終わる単語
wash(洗う), dish(お皿) - ch [ tʃ ]で終わる単語
teach(教える), watch(腕時計) - oで終わる単語
go(行く), tomato(トマト)
※「 o 」の前が子音字の場合だが、例外あり
「ies」が付く場合
「s」「es」と来て、お次は語尾が「ies」となる場合です。
それは語尾が「 y 」になる単語のときですね。
「y」→「i」+「es」
baby(赤ちゃん) → babyies
ただし「子音+y」のときだけ!
ただし! もう1つ重要なルールがあります。
「ies」となるのは、語尾が「子音字 + y」という場合だけです!
ちょっとややこしいですね。例を見たほうが早いです(笑)。
子音 + y |
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母音 + y |
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上の例のように、「 y 」の前が母音の場合は、「days」のように「 s 」を付けるだけです。
なぜ「 y 」を「 i 」にするの?
では、なぜ「 y 」を「 i 」にする必要があるのでしょうか?
英語史の専門家 堀田隆一 氏のサイトにこちらのように記述されています。
例えば,前代から現われていた傾向ではありますが,語頭・語中で〈i〉を,語末で〈y〉を用いるのが一般的となってきました.次の語との間に十分な空白が置かれないケースでは,〈i〉だと周囲の文字に埋没してしまい,語末であることが明確に示されなくなる恐れがあります.そこで,語末ではダミーの〈e〉を添えて〈ie〉とするか,あるいは〈y〉を用いるなどの方法が選ばれるようになりました.
連載 第9回 なぜtryがtriedとなり,dieがdyingとなるのか?より引用しました。
つまり、基本的には [ i ] の発音が語末にくる場合だけ「 y 」を使うというルールがあるのです。
でも「baby」に「 s 」がついて「babys」になると、「 y 」が語末ではなくなってしまいますよね?
そのため、語中にくる「 y 」の表記は「 i 」に直すというルールが発動するようになりました。
なぜ「y」の前が母音だと「ies」にならないの?
では今度は、なぜ「 y 」の前が母音だと「ies」にならないのでしょうか?
「 y 」の前が母音になるスペルの例というのはこちらの4つだけです。
ay [ ei ] | day(日)days |
---|---|
uy [ ai ] | guy(やつ)guys |
ey [ iː ] | key(カギ)keys |
oy [ ɔi ] | boy(男の子)boys |
「iy」で終わる単語は人名など、非日常的な単語に限定されるので入れていません。
上のように、この4つ「母音+y」の例では単に「 s 」がつくだけになります。
じつは、古来から英語には母音が3つ以上連なるのを嫌う傾向があります。
そのため、「day」の「 y 」が「 i 」になるとこうなってしまいますよね。
「day」+「s」
- daies
- days
「語中」に「 y 」が来ることよりも、「母音」が3連続になるほうを嫌うため、母音の後ろの「 y 」はそのままにして「 s 」をつけるだけになります。
「この単語は『ies』になるのか?」と迷ったらとりあえず「ies」にしてみて、母音が3つ続く場合はダメということを覚えておいてください。
語尾が「子音 + y 」のとき
「 y 」を「 i 」に変えて「es」を付ける!
その他(名詞の複数形のみ)
最後に、「s」「es」「ies」以外のその他の場合を紹介しておきますね。
名詞の複数形の場合だけですが、以下の3つの例外パターンがあるんです(動詞の「三単現」にはありません)。
3つの例外
では1つ1つ見てみましょう。
語尾が「f」「fe」で終わる単語
名詞の語尾が「 f 」か「fe」の場合は、「 f 」を「 v 」にして「es」を付けるというルールがあります。
「f」→「v + es」
wolf(狼)→ wolfves
そして、「fe」で終わる単語の場合はこうなります。
「fe」→「ve + s」
knife(ナイフ)→ knifves
なぜ「 f 」が「 v 」になるのかというと、日本語の連濁とよく似た現象(濁音化すると発音しやすいというもの)です。
英語では「のどの震え」をともなう音声に挟まれた子音は音声が濁ります。そのため [ f ] の発音が [ v ] になるのです(参考: 清音と濁音について)。
「ves」になるパターンは、以下のような単語がありますよ。
語尾が「 f 」 |
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---|---|
語尾が「fe」 |
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語尾に「fe」が付くものは、全部「マジックE」と呼ばれる音声ですね。なので、文字表記としては「 e 」が最後にありますが、発音は [ f ] で終わるものばかりです。
ただし、以下のように「s」が付く例外もありますのでご注意くださいね。
「s」が付くだけの例外
- belief(信念)→ beliefs
- grief(悲しみ)→ griefs
余談ですが、名詞の「life(生活)」「safe(金庫)」が動詞になると「live(生きる)」「save(助ける)」になりますね!
不規則変化
他には、「不規則変化」する名詞も存在します。
例えば、「chlid(子ども)」を複数形にするとどうなるか分かりますか?
「child」の複数形
child(子ども)→ children
そう、「chlids」とはならずに、そもそも単語の形が変わって「children」となるんです! 厳密には後ろに「ren」が付いていますね。
こんなふうに「 s 」を付けずに変化するパターンもあるんです。ではその例を見てましょう。
不規則な複数形変化
- child(子ども) → children
- man(男性)→ men
- woman(女性)→ women
- tooth(歯)→ teeth
- foot(足)→ feet
- goose(ガチョウ)→ geese
- mouce(ネズミ)→ mice
同じ「子ども」や「女性」でも、「kid」や「lady」には「s(es)」が付きますが、なぜか「child」や「woman」は形そのものが変わります。
不思議ですね~。
こういう不規則な変化は昔のルールが化石のように残っている現象です。現在では「 s 」を付けるというルールですが、大昔はいろいろとルールが変わってきた歴史があるんですね。
さらに言うと、日常で身近な単語ほど、大昔の英語のルールが残り続けている傾向があります。
単複同形
最後に、もう1つ、「 s 」を付けずに変化するパターンがあります。
それが「単複同形」という場合です。つまり、単数形も複数形も同じ形という意味ですね!
この「単複同形」の代表的な単語は「fish(魚)」なんですが、英語で「魚」の複数形は「fish」のまま!
「fish」の複数形
fish(魚)→ fish
そう、まったく変化しません。
それほど多くはないですが、このように「単数」でも「複数」でも変わらない単語もあるんですよ。
以下のように、動物が多いです。
複数形も同じ形の単語
- deer(鹿)
- sheep(羊)
- bison(野牛)
- fish(魚)
- salmon(サケ)
- trout(マス)
- carp(コイ)
あと、そもそも「不可算名詞」には複数形はありませんよ!
「water(水)」や「informatin(情報)」などですね。
詳しくは「可算名詞」と「不可算名詞」の違いは?で詳しくまとめているので、読んでみてくださいね!
まとめ
今回は、英語の単語に「 s 」がつくときの表記ルールについてまとめました。
難しそうに見えますが、基本的には「 s 」を付けるだけです。で、何個かのルールがあるだけです。
少しずつ覚えて慣れていけば、新しい単語に出合っても自然に「 s 」や「es」がつけられるようになりますよ♪
「 s 」が付いたときの発音変化についてはこちらの記事をどうぞ!