日本人の英語教育熱はとどまるところを知りません。自分が英語を話せないので、子どもには英語を……という気持ちもわかりますし。
今回は「アップル」という言葉は英語ではないよということです。英語を知る上で、けっこう重要なことですよ!
子どもに「英語の単語」を教えたがる親
子どもに英語を話せるようになってほしい親御さんは多いと思いますが、絵本などを見せながらこんなふうに言葉を教えていませんか?
(リンゴのイラストに指差しながら)これは「アップル」
(イルカのイラストに指差しながら)これは「ドルフィン」
こんなふうに教えると、子どもって飲み込みが早いということを見せつけられますよねー。
スーパーに連れて行ったときに、リンゴを見ながらこう言うでしょう。
アップル! アップル!
……と。
それは英語じゃないです!
そして、子どもがリンゴを見て「アップル!」なんて言うものだから、近くにいるおばさんがこんなふうに言うこともあります。
わあ! この子、英語で言えるんやね、すごい!
……うれしいですよね。
でも、うちの子は英単語が言える……と思ってはいけません。
残念ながら、それは英語じゃないですから!
その「アップル」という言葉は……
「apple」という英語が日本に入ってきて定着した「外来語」という種類の日本語
……です。そう、日本語なんですよ。
しつこくいいますが、「アップル」という言葉は、この果物を指す日本語です。
英語の「apple」とはぜんぜん違う言葉です。
英語になった日本語の例
ここまで聞いても、「いや、これは英語だろっ!」と思われそうなので、英語の例を見てみましょう。
逆に「日本語から英語になった言葉」を聞いてください。
……これ、なんだと思いますか? カラーディ??
実は「karate(空手)」なんですねー。
これってふつうの日本人が聞いても絶対に「ああ……『空手』という日本語がなまっているんだな」とは思いません。
なまっているとかいう次元じゃないですよね! 完全に違う言葉!
音声的にどこが日本語と違うのかを説明すると……
- 日本語にはないアクセントが「ra」についている
- 「ら」の発音が英語の「 R 」の発音になっている
- 「て」が「ティ」になっている
- さらに「 t 」の発音が「Flat T」という音声変化になっている
ここまで変化してるので、同じ言葉には聞こえないんです。アメリカ人が「これは日本語だ!」と言っても、「いや、もはや英語でしょ(笑)」になりますよね。
「アップル」と言っても英語だと認識されない
では「アップル」に話を戻します。
今度は、日本語で「アップル」と言っているのと、英語(アメリカ英語)で「apple」を言っているのを聴き比べてください。
まったく違いますよね?
たとえば、日本語を知らない英語話者に、こう聞いてみたとします。
Do you know アップル?
……と。そして間違いなく、こう返事が返ってくるはずです。
No.
……と。
発音がなまっているというレベルではなく、まったく違うのでわかってもらえません!
つまり、「アップル」を英語の「apple」がなまった発音とすら認識されないということです。
危険なのは「アップル」を「英語」だと認識すること
日本での英語教育で本当に怖いのは、「アップル」のような日本語が、あたかも英語であるかのように認識されていることです。
しつこく言いますが、どうか知っておいてください。
「アップル」のような言葉は、決して英語ではないということを!
そして、子どもに「アップル」と教えても、それは日本語の単語を教えているということであって、英語を教えているのではないということを!
日本ではカタカナ英語が高度に発達している問題点について書きましたが、それが日本語だと認識することが英語の発音をよくする第一歩ですので!
まとめ
さて、今回は知られていそうで意外と知られていないことについてまとめました。
わたしたちには「カタカナ」という便利な表記があります。
これで書いてしまうと、ついつい「英語っぽい」ように受け取ってしまって、「英語である」と勘違いしてしまうんです。
ということで、お子さんに英語を教えたいと思っている方は、英語と「日本語になった外来語」は違うということを知っておいてくださいね。
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