「summer time(サマータイム)」や「daylight saving time(デイライトセービングタイム)」といった言葉を聞いたことがありますか?
日本語で言うと「夏時間」ですね。どちらかというと、「サマータイム」という言葉のほうが知られているかもしれません。
「サマータイム」というのは、ヨーロッパや北アメリカなどの国々で行われている、夏場だけ時間をずらす制度や、その進められた時刻のことを指します。
今回は、日本でも検討されていると言われている「夏時間」についてまとめました。
目次
サマータイムについて
では「サマータイム」がどういうものなのかについてまとめますね。
サマータイムってなに?
では、サマータイムとは一体何のことを指すのでしょうか?
1年のうち夏を中心とする時期に太陽が出ている時間帯を有効に利用する目的で、標準時を1時間進める制度またはその進められた時刻のこと。ただし、オーストラリアのロード・ハウ島では夏時間と通常の時間の差が1時間でなく30分である。
夏時間 - Wikipedia
つまり、夏の期間だけ時計の針を進める制度と、その進められた時刻のことをサマータイムと呼ぶんですね。
どのくらいの時間を進めるのかというと、ほとんどの場合1時間です。
サマータイムを導入している国としていない国がある
日本では現在行われていませんが、ヨーロッパや北アメリカの国々を中心に、この制度を導入しています。
といっても、そのすべての国や地域で実施されているわけではないんです。
国によって違いますし、同じ国でも、アメリカやオーストラリアでは、地域によって「夏時間」を実施していないところもあります。
私の住んでいるテキサス州では実施されていて、夏場だけ冬場よりも1時間進めます。
「夏だけ時刻を進める」とはどういう意味?
「夏だけ(時刻を)進める」と言われても、よくわからないかもしれません。
「決められた日に時計の針を進め、また決められた日に時計の針を1時間戻す」のです。
一旦進めたものを戻すだけなので、実施期間が終わると、「ずれ」はなくなります。
サマータイムはいつ時間を変更するの?
では、サマータイムはいつ始まり、いつ終わるのでしょうか?
国によって違うので「アメリカ・カナダ」と「オーストラリア」「ニュージーランド」の例を紹介しますね。
緯度によって太陽が出ている時間が違うから、実施の時期が国によって違うんですね。
アメリカ・カナダのサマータイム
アメリカとカナダでのサマータイム(夏時間)はこちらの期間になっています。
北米の夏時間の期間
3月 第2日曜の午前2時
〜 11月 第1日曜の午前2時
「毎年○月○日に変更」と、日付で決まっているのではないため、毎回カレンダーで確認することになりますよ。
今年の場合は、次の日程になっています。
2024年の夏時間(北米)
3月10日 午前2時
〜 11月3日 午前2時
進めるときも戻すときも、多くの人が寝ている時間帯に行われますよ。
朝、目が覚めると、静かに「世の中の時刻」が1時間ずれているので、不思議な感じです。
オーストラリア・ニュージーランドのサマータイム
オーストラリアやニュージーランドは、南半球にあるので季節が日本やアメリカとは逆ですよね?
そのため、北半球での「夏の終わり」ごろに南半球のサマータイムが始まることになります。まとめるとこちらです。
- オーストラリアの場合
- 10月第1日曜日の午前2時
〜 4月第1日曜日の午前2時 - ニュージーランド
- 9月の最終日曜日の午前2時
〜4月第1日曜日の午前2時
ニュージーランドのほうが、サマータイムが1か月長いんですね。
北半球にいる私たちからすると、9月や10月と聞くと「秋」をイメージするので少し変な感じです。
「サマータイム」は英語で?
英語では「サマータイム」は何と呼ぶのでしょうか? 2つの表現があります。
英語では2つの表現
- summer time(サマータイム)
- daylight saving time(デイライトセービングタイム)
「summer time」という言葉は、主にヨーロッパで使いますよ。
どちらも日本語でいう「夏時間(サマータイム)」を指していて、その地域によって呼び方が違うだけです。
私の住んでいるアメリカでは、「daylight saving time」を使います。カナダやオーストラリアでも使うそうです。
なぜサマータイムを実施するの?
では、なぜサマータイムを実施するのでしょうか?
その理由について解説します。
サマータイムがないと多くの人が働く時間は「ずっと暑い」
日本でも、夏が近くなってくると日の出が早くなりますよね。
たとえば、夏場は朝5時くらいでも明るくて、6時にはすっかり明るい……というところがほとんどです。
私の住むテキサスでも、夏場は日の出が早いですし、太陽が高く昇ってしまうと気温が一気に上がります。
特に気温は、サマータイムを実施していても、朝9時半になるとかなり暑い……(参考: 華氏・摂氏について)。
夏場の日中は40℃くらいまで上がりますからね。
しかも、暑さのピークが夕方3〜4時くらいなんです。暑い時間が長くて長くて……。
もしサマータイムを実施していないと、多くの人が働く朝9時から夕方の5時くらいは、「ずーっと、とても暑い」ということになるんです。
早朝の涼しい時間を有効利用する
そこで社会全体で時計を1時間ずらし、早朝の涼しい時間を有効に使うのはどうでしょうか?
そう。これがサマータイムができた理由なのです。
高緯度にあるアイルランドで語学留学していたときは、夏場は夜の10時でも、外はまだ明るくてびっくりしました。
そこでは、テキサスのような「暑さ」とは無縁でしたが、もし「夏時間」がなければ、「夜11時でもまだ明るい」ということになります。
国や地域によって、気温だったり、太陽の出ている時間だったり……いろいろ事情があって実施しているのでしょう。
時計を進める(戻す)ときに実際にやること
では、続いてサマータイムになったとき、そしてサマータイムが終わったときに実際にやることをまとめます。
サマータイムに時計を動かすときの覚え方
サマータイム開始・終了時には「時刻を進める(戻す)」「時刻をずらす」「時計の針を動かす」ということは言葉としては理解できます。
でも、具体的に時計の針をどう動かすのか、すぐに判断できないですよね。
そこで、覚え方をアメリカ人の夫に覚え方を教えてもらいました。
タカコ、「Spring Forward, Fall Back」という言葉があるんだ。「春には時計の針を前に進めて、秋には後ろに動かす」という意味だよ。
これは覚えやすいです! この言葉を聞いて、時計の針の動かし方には迷いはなくなりました。
「進める・戻す」の覚え方
Spring Forward, Fall Back
(春には時計の針を前に進めて、秋には後ろに動かす)
サマータイムに対応・未対応の家電がある
この日の前後に必ずしなければならないのが、各個人が「時計の針を動かす」ことです。
時計のついているものには、こういう家電がありますよね。
手動で針を動かす必要がある家電
- 時計
- 電子レンジ
- 炊飯器
これらは手動で直す必要がありますが、電波時計や携帯電話、パソコンなどでは自動的に変更されます。
たとえば、こちらの画像をご覧ください。
左側がスマホの画面にある時間(自動で時間が変わる)、右側は電子レンジに表示されている時間(手動)です。
スマホだと「1:32」になっていますが、まだ手動で時間を直していない電子レンジでは「2:32」になっています。
うっかりしていると、時間を間違って大慌て……なんてことも。春のサマータイムの始まり時は大変なんです。
サマータイム変更時にスマホ上で起こっていること
「スマホ」だとサマータイムに対応されている……と聞くと、スマホの時計がどのように処理されているのか気になりませんか?
具体的に、時刻の切り替わり時に行われるスマホ上での処理を画像付きで紹介しますね。
サマータイム開始時のスマホ画面
アメリカとカナダでは、3月の第2日曜日の午前2時に、1時間進めます(Spring Forward)。
時間を進める日のスマホは、次の画像のように夜中2時台がスコンと抜け落ちたようになります。
そうです。スマホの表示で夜中の2時が存在しないんです!(画面は天気アプリ)
サマータイム終了時のスマホ画面
そして、11月の第2日曜日の午前2時になったら、1時間戻します(Fall Back)。
ではその日のスマホの時計ではどのように処理されるのでしょうか?
なんと、11月の第2日曜には午前1時台が2回あるんです!!
午前2時になっても、もう一度午前1時台になるんですね。
サマータイムの及ぼす影響について
最後に、サマータイムが及ぼす影響についてまとめますね。
サマータイムは時差にも影響する
サマータイムによって、その国の時間が変わるということは時差にも影響を与えます。
例えば、ここテキサスは、「Central Time(中部時間)」で、日本との時差はマイナス15時間。
ところが、「サマータイム(夏時間)」実施中はマイナス14時間になります。
サマータイム開始・終了日に飛行機に乗るときは、少し混乱しそうです。
サマータイムを実施している地域を旅行したり、その地域に住んでいる人と電話で話したりするときは、「夏時間」によって時差が変わるので、気をつける必要がありますね。
身体が時差ボケのような反応をする
サマータイム開始・終了時に外の景色を見ると、少し変化に気づきます。
開始したときは、それまで起きたときにはすでに明るくなっていたのに、(時計の時刻は同じなのに)辺りはまだ少し薄暗い……みたいな。
サマータイムは身体に負担がある?
外の景色だけではありません。サマータイム開始・終了時には、人間の身体は時差ボケのような反応をします。
たとえば、前日まで朝7時に起きていたのが、サマータイム変更後に時計の表示は7時でも、感覚的には6時に起きるのと同じということです。
おおげさに言うと、体に負担があるということです。
たかが1時間なんですが、されど1時間。朝起きても、頭がボーっとした感じで、体が慣れるまで数日はかかることも。
時間変更の直後には事故が増える?
体への負担が大きいと感じるのは私だけではないようです。実施直後はこんなことが起こりますよ。
実施直後の影響
- 交通事故の発生件数の増加
- 心臓発作の発症件数の増加
数字に表れているそうで、怖いですね……。
義母も「こんな体に負担になる制度、大嫌い!」と、サマータイムが始まるたびに怒っています(笑)。
反対に秋の変更は、「夏時間」の朝8時に起きる感覚なので、1時間余裕があるのと同じで、体にも優しく、心にも余裕があります。
「1時間長く寝られる」といった感じですね。
まとめ
日本でも、戦後数年の間、サマータイムが実施されたことがありました。
平成に入ってからも、サマータイムは一部地域で一時的に実施されたことがあったり、北海道では今も社会実験として行われているようですね。
日本が国全体としてサマータイムを実施することは、たぶんないと思いますが、よっぽど大きな利点がないかぎりは日本で実施しなくていいと思っています。
「1時間早める」ときの体の負担があるので、1年に一度やってくる、数少ない私の「嫌いな日」ですから。