英語で疑問文を作るときや、「否定文」を作るときに必ず遭遇する「do」という単語があります。
この「do」という単語は一体なにものなのでしょうか?
今回は「『do』をどんなときに使うのか?」や「なぜ疑問文や否定文で『do』を使うのか?」というお話をします。
さらには、「do」と「does」の使い分けについても紹介しますね。
目次
「do」はどんなときに使う?
では、「do」という単語はどんなときに使うのでしょうか?
「do」には、3つの使い方があります。
「do」を使うとき
普通の動詞として使う
まず、「do」という単語は基本的には「〜する」という意味の動詞です。
相手に「何してるの?」とやっていることを聞くときにも「do」を使って聞きます。
Hey, what are you doing ?
(おいっす、なにやってんの?)
意味的に広い意味での「する」という言葉ですね。
日本語の動詞「する」に似てるね!「今日はなにする?」みたいに言うやつ。
「do」の活用はこちらになります。
原形 | 三人称単数 | 現在分詞形 | 過去形 | 過去分詞形 |
---|---|---|---|---|
do | does | doing | did | done |
動詞の活用についてはこちらに詳しく書いてあります。
では「do」を動詞として使う例をいくつか紹介しましょう。
宿題をする「do one's homework」
たとえば、「宿題をする」なら「do my homework」というように「do」を使って言います。
I do my homework after supper everyday.
(毎日、晩ごはんのあとに宿題をしているよ)
洗濯する「do the laundry」
「洗濯する」と言いたいときは「do the laundry」と言います。
I'm doing the laundry now.
(今、洗濯しているよ)
ご飯を作る「do the cooking」
「ご飯を作る」を「do the cooking」と表現します。
Who does the cooking in your home?
(あんたの家って誰がご飯作るの?)
さきほどの「do the laundry」のように「do」は家庭での日常行為によく使われますよ。
ほかにも「do the shopping(買い物をする)」や「do the ironing(アイロンをかける)」「do my teeth(歯を磨く)」のように。
ボタンをとめる「do up the button」
「ボタンをとめる」も「do」を使って「do up the button」のように言います。
Noooo ! I can't do up the buttons !
(なんでー! ボタンがとめられない!)
強調する「助動詞」として使う
「do」は動詞としてだけでなく、助動詞としても使うことができます。
どんなときに使うのかというと、強調です。
動詞の前に「do」を置くことで、動詞を強調する意味になりますよ。
強調の「do」の例
I do like natto.(納豆は大好き)
でもこの文を見て、次のような違和感を持つかもしれませんね。
だって、1つの文の中には動詞は1回だけって学校で習ったよ。
実は、この「do」は助動詞で「I can eat natto.(私は納豆を食べられる)」などと同じ扱いです。
いくつかの例を見てみましょう。
強調したいときに「do」を使う例
よく、相手の言ったことに対して「いやいや、そうじゃないよ!」と反論するような強調として「do」を使います。
You told me that you hate natto ?
(納豆って嫌いだったよね?)
I do like natto !
(納豆は大好きだよ!)
この場合、「I like natto」という返事だけでも通じますが、「いやいや、嫌いどころか!」というニュアンスを「do」が担っているのです。
主語が「三単現」の場合は「does」に
主語が三人称単数形で現在形の場合は、「do does」になりますよ(後述しています)。
She doesn't understand.
(彼女は分かっていない)
Yeah ! She does understand.
(いや、彼女はちゃんとわかっているよ)
この場合の「does」は助動詞なので、あとに続く動詞は「原形」になることをお忘れなく。
このやりとりに疑問を持った人は「否定疑問文について」もご覧ください。
過去形になると「did」に
過去形になると、助動詞「do」も過去形「did」になりますよ。
I won.
(ボクの勝ち!)
I did win.
(いや、あたしが勝ったよ!)
この場合も、「did」は助動詞なのであとに続く動詞は「原形」になることをお忘れなく。
文を疑問文 / 否定文にするときに使う
そして、文を疑問文、否定文にするときにも「do」が利用されます。
「do」が使われるのは「一般動詞(be動詞以外)」が使われている文のときだけです。
「do」を使って疑問文・否定文に
たとえば、「You like carrots(あなたはニンジンが好きです)」という文があるとします。
これを疑問文、もしくは否定文にするとき、「do」が現れます。
- 疑問文
- You like carrots.
Do you like carrots ?
(あなたはニンジンが好きですか?) - 否定文
- You like carrots.
You do not like carrots.
(あなたはニンジンが好きじゃない)
上の例文で「carrot」が複数形になっている理由はこちら。
この「do」も、品詞でいうと「助動詞」です。
「三単現」の場合は「do」が「does」に
主語が三人称単数で現在形(三単現)になる場合、「do does」に変化します。
肯定文 | He likes carrots. (彼はニンジンが好き) |
---|---|
疑問文 | Does he like carrots ? (彼はニンジンが好き?) |
否定文 | He doesn't like carrots. (彼はニンジンが好きじゃない) |
つまり主語が「私」「あなた」以外の場合はぜんぶ「三人称」です。
「私」「あなた」以外が主語になって、「単数形」+「現在形」の場合、「三単現」という条件が満たされます。
そして、「三単現」の文の動詞には「 S 」が必ずつき、疑問文、否定文にするときには「do」の代わりに「does」が使われるのです。
「三単現」についてはこちらにて詳しく紹介しているので、ご参考に。
「過去形」の場合は「do」が「did」に
また、過去形になると「do did」になります。
肯定文 | I saw him yesterday. (昨日、彼に会った) |
---|---|
疑問文 | Did you see him yesterday ? (昨日、彼に会った?) |
否定文 | I didn't see him yesterday. (昨日、彼に会わなかった) |
過去形は「三単現」よりも重視されるため、主語が三単現の場合も「does」ではなく「did」になります。
過去形を優先
He doesn't didn't like carrots.
(彼はニンジンが好きじゃなかった)
なぜ疑問文・否定文で「do」が出現するの?
さて、英語の中で「do」が使われる例を3種類紹介しました。
その中で、こんな疑問が生じませんか?
なんで疑問文や否定文になると「do」が出現するの?
ここではもう少し掘り下げて考えてみましょう。
【おさらい】be動詞を疑問文・否定文にするときのルール
一般動詞を使っている文を見てきましたが、ここではあえて「be動詞」にフォーカスしましょう。
動詞には「一般動詞」と、「be動詞」がありましたよね。
では一般動詞を使っていない場合、つまりbe動詞を使っている場合のルールはどうなるのでしょうか?
【例】be動詞の文を疑問文・否定文に
「You are a rabbit(あなたはウサギだ)」というbe動詞の文を疑問文、否定文にすると次のようになります。
- 疑問文(be動詞)
- You are a rabbit.
Are you a rabbit ? - 否定文(be動詞)
- You are a rabbit.
You are not a rabbit.
上記のようになりますね。
【結論】be動詞のルールは簡単である
こうやって見てみると、be動詞が使われている文を疑問文、もしくは否定文にするルールは単純です。
be動詞のルール
ここで、こんな疑問がわいてきませんか?
一般動詞の文も「do」とか使わずに、be動詞の文みたいに単純にすればいいのに!
【古い英語】一般動詞の疑問文も「動詞」を前に出していた
実は、衝撃の事実があります。
古い英語ではbe動詞と同じルールで、「動詞を前にする=疑問文」、「動詞+ not =否定文」だったんです!
英語史の著書も出版されている堀田隆一 氏の記事を引用しましょう。
疑問文は Do you go? の代わりに Go you? であったし,否定文も I don't go. の代わりに I go not. などとすれば済んだ
#486. 迂言的 ''do'' の発達
つまり古い英語では、「あなたはニンジンが好きです」を疑問文・否定文にするときには次のようになっていたのです。
- 疑問文(古来の英語)
- You like carrots.
Like you carrots ? - 否定文(古来の英語)
- You like carrots.
You like not carrots.
おおー! マジで?!
あくまで昔の英語の文法ですよ。今の文法では間違いになります!
ここで注目したいのは、疑問文や否定文の作り方が「be動詞でのやり方」とまったく同じだったという点です。
一般動詞に「do」が隠れていると考える
ところが、現在の英語では「You like carrots.」の疑問文、否定文は、次のようになります。
- 疑問文
-
- Like you carrots ?
- Do you like carrots ?
- 否定文
-
- You like not carrots.
- You do not like carrots.
上記では古来の英語文法と比較していますが、肯定文の「You like carrots.」にはなかった「do」が突如現れたように見えますよね。
なんで、突然「do」が出現するの??
実は「do」は常に入っている?
これは、「突如『do』が現れたっ!」と考えるから混乱するのです。
逆の発想で「do」は常に入っていると考えるとどうでしょうか?
- 疑問文
- You (do) like carrots.
Do you like carrots ? - 否定文
- You (do) like carrots.
You do not like carrots.
「You do like carrots.」が本来の姿で、「You like carrots.」には「do」が省略されていると考えるのです。
つまり、「be」と「do」には次のような「印としての意味」があると考えます。
2種類の印
先述しましたが、この「You do like carrots.」の形は「強調」として現在の英語でも使われています。
意味がダブるので「do」は省略になった?
では、なぜ肯定文では「do」が省略されるのでしょうか?
「do」は省略される
You do like carrots.
(あなたはニンジンが好きです)
「You do like carrots.」と言わなくても「like」だけで伝わるため、「do」が消えていったのでしょう。
「〜する」という「動作を表す印」として常に入っていた「do」が、「『do』がなくてもわかるじゃん!」になり、消失したと考えます。
それに対して、疑問文、否定文では「Do you 〜?」「You don't 〜」という形で「do」の痕跡が残り続けたのでしょう。
つまり、「do」が無くてもわかるから消失したという解釈です。
「do」と「does」の使い分け
では、最後に「do」と「does」の使い分けについて紹介しますね。
ここでは、「be動詞」との対比として「do」「does」の使い分けを紹介しましょう。
「be動詞」で「is」になるとき
まずは「be動詞」の使い分けを思い出してください。
be動詞「is」が使われるのは、どういうときでしたか?
「is」が使われるのはいつ?
主語が単数形のとき(I・you以外)
つまり、主語が単数形で「三人称」のときは「is」を使っていました。
例文を見てみるとこんな感じですね。
例文
ちなみに、人称代名詞についてはこちらに詳しく書いています。
「is」と「does」は発音が対応している?
唐突に「is」の話になりましたが、こんなふうに思っていますよね。
「do」と「does」の使い分けについての話だったのになんで「is」の話になったの?
実は、「is」を使う主語が、「一般動詞」を取るときには「does」を使うのです。例をご覧ください。
- 「she」の例
- 「Taro」の例
- 「a dog」の例
これはわたしの推測ですが、「is」と「does」が文法的に対応しているため、「is」と「does」は発音も対応しているのだと考えています。
is | does |
---|---|
[ ɪz ] | [ dəz ] |
どちらも「Z(ズ)」という同じ発音で終わってますね。
というわけで、「is」が使われる主語のときは「does」を使うと覚えておきましょう。
まとめ
今回は「do」という単語についてまとめて紹介しました。
まとめ
「do」と「does」の使い分けの参考になるとうれしいです。
こちらの「三単現のS」についての記事も必見ですよ。