日本語の「た行」には3つの子音が混在しているという問題

ヨス

こんにちは! 言語オタクのヨスです。

今回は日本語の「た行」の話です。

実は「た・ち・つ・て・と」には3つの異なる子音があるということをご存知ですか?

では、「chi」「tsu」というつづりで書かれる謎を紐解いていきましょう!

「た行」には3つの子音が混在している

今回は日本語の「た行」について紹介したいのですが、まず「た行」をローマ字で書いてみてください。

ta・ti・tu・te・to

たぶん、こうやって書きますよね?

ヨス

パソコンでタッチタイピングをされている方もこうやって入力しているハズ。

でも「た行」にはほかの書き方があることをご存じでしょうか。

ta・chitsu・te・to

なんと!「ち」と「つ」のスペルが変わってしまいましたね。

疑問に思ったことがある方もいると思いますが「ち」と「つ」にはなぜか2種類のスペルが存在します

この2つの表記には、こんな違いがあります。

「ti・tu」の表記
これは日本人が学校で習う「ローマ字(日本語のアルファベット表記)」です。日本語のネイティブ……つまり、日本人のための書き方で、音声よりも「た行 = t 」というふうに法則を重視しています
「chi・tsu」の表記
こちらは、外国人(日本語がわからない人)のためのアルファベット表記(英語表記)です。ローマ字とは真逆で、発音に焦点を当て、読みやすいです。

では、「ち」と「つ」のアルファベット表記をもう一度比べてみましょう。

「ち」と「つ」のアルファベット表記
  ローマ字 英語
ti chi
tu tsu

「た行」の子音は「 t 」

上では「ta・ti・tu・te・to」という表記が「日本人向け」と書きましたが、どういうことでしょうか?

それを紹介するために「ta・ti・tu・te・to」を外国人ならどう読むかを音声にしてみました。

違いがわかりましたか?

こんなふうに聞こえませんでしたか?

「ta・ti・tu・te・to」を英語で読むと?
ta
ti てぃ
tu とぅ
te
to
ヨス

「ち → てぃ」に、「つ → とぅ」になってる?!

「ti → てぃ」「tu → とぅ」は正しい読み方

なぜ、英語圏の人を始め、海外の人は「ti → てぃ」「tu → とぅ」というふうに読むのでしょうか?

実は、これが
本来の読み方だからです。

「た行」の子音である「 t 」を発音するときの口の中はこちらのようになります。

[ t ] の発音
[ t ] の発音

簡単に「 t 」の発音の仕方を説明すると……

  1. 舌先を「上の前歯の根本」の後ろにくっつける
  2. 舌先を離す
  3. ……と同時に息を破裂させるように吹き出す

この「 t 」の発音のルールにのっとって「ta・ti・tu・te・to」を発音すると、「た・てぃ・とぅ・て・と」になりませんか?

「ち」と「つ」の発音はどこに?

そうなると、「ち」と「つ」の発音はどこに行ったのでしょうか?

ヨス

というか、どこから来たの?

実は、「さ行」に2つの子音が混在しているのと同じ原理です。

なんと、「た行」には
3つの異なる子音が混在しているんです!!

「ち」の子音は「tɕ」

では英語で「chi」と表記する「ち」の子音について紹介します。

「ち」の発音は国際音声記号では「 tɕi 」と表記します。

「ち」の子音「tɕ」の発音

「た」の子音が「 t 」のように、「ち」の子音は「 」です(2文字が使われているのは破擦音の特性です)。

では、この「 tɕ 」という子音に、ほかの母音を当てはめてみる(「a・i・u・e・o」を追加する)とどうなるのでしょうか?

ちょっと発音してみました。

そうなんです。「ちゃ・ち・ちゅ・ちぇ・ちょ」になるんですよ!

先ほど紹介した「ta・ti・tu・te・to」との比較表を作りました。

本来あるべき「た( t )行」と「ちゃ( tɕ )行」
  た( t )行 ちゃ( tɕ )行
あ段 た(ta) ちゃ(tɕa)
い段 てぃ(ti) ち(tɕi)
う段 とぅ(tu) ちゅ(tɕu)
え段 て(te) ちぇ(tɕe)
お段 と(to) ちょ(tɕo)

なんと!! 驚きの事実です!!

ヨス

「ち」の本当の所属する場所は「ちゃ行」だったのか!!

ちょっとややこしいですが、日本語で「ちゃ行」を表す表記がないため、「ちゃ」のように2文字表記になっています。

でも2つの音を出しているわけではなく、あくまで1つの音ですのでご注意を!

なぜ2文字を使うのかについて詳しくは下記記事をご覧ください!

子音「tɕ」を発音するときの口の構え

子音「tɕ」を発音するときの口の構えを見てみましょう。

[ tɕ ] の発音
[ tɕ ] の発音

先ほどの「 t 」を発音するときと比べ、舌の位置が上の前歯からだいぶ後ろにいっているのがわかりますか?

「 tɕ 」を発音するときの口の中で行われている動作をまとめてみます。

  1. 舌先を「歯茎硬口蓋(しけいこうこうがい)」と呼ばれるところにくっつける
  2. 舌先を離す
  3. ……と同時に息を破裂させるように吹き出す
  4. ……と同時に「し」のような「摩擦音(上あごと舌との小さなスキマから出る『スキマ音』)」を出す

ちなみに「歯茎硬口蓋」というのはこちらですよ!

歯茎硬口蓋
歯茎硬口蓋

「歯茎硬口蓋」と言うと難しそうですが、「ち」とか「し」を発音するときに舌が行っている場所と言えばわかると思います!

「つ」の子音は「ts」

続いて「tsu」と表記する、「つ」の発音についてです。

国際音声記号でも「つ」の表記は「tsu」になります。「 t 」と「 s 」が合体しているのは、これも破擦音だからです。

「つ」の子音「ts」の発音

ではこの「 ts 」という子音に、ほかの母音を当てはめてみますね。

「a・i・u・e・o」をつけて発音してみました。

つぁ・つぃ・つ・つぇ・つぉ」の発音になりましたね!

どういうことかが分かりやすいように、表にまとめてみます。

本来あるべき「 t 行」と「 ts 行」
  た( t )行 つぁ( ts )行
あ段 た(ta) つぁ(tsa)
い段 てぃ(ti) つぃ(tsi)
う段 とぅ(tu) つ(tsu)
え段 て(te) つぇ(tse)
お段 と(to) つぉ(tso)

なんと「ち」と同じで、「つ」が本来あるべき場所は「た行」ではなかったんですよ!

本来ある場所は「つぁ行」だったんですね。

ヨス

これも「つぁ」と2文字ではありますが、発音としては「つ」「あ」の2文字を言っているのではなく、あくまで1つの発音をしています。

子音「ts」を発音するときの口の構え

では子音「ts」を発音するときの口の中の構えを見てください。

[ ts ] の発音
[ ts ] の発音

こちらは最初に見た「 t 」と同じ場所「歯茎」で作られる音声ですが、調音法(舌を使って音を出す方法)が違います。

  1. 舌先を「上の前歯の根本」の後ろにくっつける
  2. 舌先を離す
  3. ……と同時に息を破裂させるように吹き出す
  4. ……と同時に「さ」のような「摩擦音(上あごと舌との小さなスキマから出る『スキマ音』)」を出す

途中までは「 t 」と同じなのですが、「 t 」と「 s 」を同時に発音するように舌を動かします。

「た行」「ちゃ行」「つぁ行」の比較

では、「た行」に混在する3つの子音について一通り見てきましたが、「た行」「ちゃ行」「つぁ行」のそれぞれを比較をしてみましょう。

本来あるべき「 t 行」と「 tɕ 行」と「 ts 行」
  た( t )行 ちゃ( tɕ )行 つぁ( ts )行
あ段 た(ta) ちゃ(tɕa) つぁ(tsa)
い段 てぃ(ti) ち(tɕi) つぃ(tsi)
う段 とぅ(tu) ちゅ(tɕu) つ(tsu)
え段 て(te) ちぇ(tɕe) つぇ(tse)
お段 と(to) ちょ(tɕo) つぉ(tso)

3つの子音が混在しているという意味が伝わりましたか?

3つの子音の発音の違い

では3つの子音の発音の違いを聞いてください。

「た行( t )」の発音

まずは、「た行( t )」の発音です。

「ちゃ行(tɕ)」の発音

「ちゃ行(tɕ)」の発音です。

「つぁ行(ts)」の発音

最後に「つぁ行(ts)」の発音ですね!

3つの子音を発音するときの口の構え

お次は、3つの子音を発音するときの口の構えの違いを比較してみます。

「た行( t )」を発音するときの口の構え

「た行( t )」を発音するときの口の中はこんな構えになっています。

[ t ] の発音
[ t ] の発音

音声学では「歯茎破裂音」と呼ばれます。

「ちゃ行(tɕ)」を発音するときの口の構え

「ちゃ行(tɕ)」を発音するときの口の中はこんな構えになっています。

[ tɕ ] の発音
[ tɕ ] の発音

音声学では「歯茎硬口蓋破擦音」と呼ばれます。

舌の位置は「 t 」より後ろで、発音する方法も「破擦音」で「 t 」とは違います。

「つぁ行(ts)」を発音するときの口の構え

「つぁ行(ts)」を発音するときの口の中はこんな構えになっています。

[ ts ] の発音
[ ts ] の発音

音声学では「歯茎破擦音」と呼ばれます。

舌の位置は「 t(た行)」と同じですが、音の作り方が「tɕ(ちゃ行)」と同じというややこしさです(笑)。

今回は「た行」の中に3つの子音が混在することについて紹介しました。

こういう事実って、日本語のネイティブはまったく知らないうちに行っていることです。

外国人に発音を説明するときにお役に立てばと思います!

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執筆者: ヨス
アメリカに留学した経験から言語に興味を持ち、日本語教師に。日本語教育を学んでいたときに自分が「音声学」に猛烈に惹かれることに気づく。一般的には学ばない「日本語の音声」を学ぶことで英語の発音を習得。ヨッセンスという月間に100万回以上読まれている人気ブログも運営。

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